執行役員とは?取締役との違いは?報酬の扱いは?執行役員制度を導入するメリットとデメリット

執行役員

「執行役員制度の導入を検討しているが、具体的な仕組みがよくわからない」
「執行役員として、どのような人材を登用すべきか悩んでいる」

本記事を読んでいる経営者や人事担当者の中には、上記の課題を抱えている方もいるはずです。

執行役員制度は経営と執行を分離し、企業の意思決定スピードを加速させるための重要な仕組みです。しかし、会社法上の立ち位置や取締役との違いを正しく理解していないと、制度の形骸化や現場の混乱を招きかねません。

本記事では、執行役員の定義から導入のメリット・デメリット、成功させるための運用ポイントまでを網羅的に解説します。

自社にマッチした制度設計を行い、組織の成長につなげたい方は、ぜひ参考にしてください。もし、導入に迷いや不安がある場合は、人事評価制度の構築支援を行う「あしたのチーム」へご相談ください。

執行役員とは?

執行役員とはを示した画像

執行役員の全体像を以下5つの観点から解説します。

  • 執行役員の定義(会社法上の扱い)
  • 執行役員制度
  • 執行役員の役割
  • 執行役員の職務内容の例
  • 執行役員の法的責任の範囲

執行役員とは、企業運営で現場の指揮を執る重要なポジションです。法律上の役員とは異なり、あくまで従業員のトップとして位置づけられます。

まずは、基本的な定義と制度の仕組みに関して理解を深めましょう。

執行役員の定義(会社法上の扱い)

執行役員とは、経営陣が決定した方針に従い、事業運営を担い責任を持つ役職です。

執行役員という役職は、会社法で定義がされているわけではありません。

一般的に耳にする「取締役」や「役員」とは、会社法で定められており、経営方針や代表取締役の選任といった重要事項を決定することになっています。

しかし、執行役員は個別の会社が任意で定めているポジションです。

あくまでも事業運営のトップであり、法律上は取締役のような重大な権限を持つというわけではありません。そのため、法律上では、執行役員は従業員という位置付けです。

執行役員制度

執行役員制度では、取締役とは別に執行役員という役職を設置し、そのポジションには事業部のトップなどの従業員を就かせることになります。

法律上は任意の役職であるため、執行役員の役割や人数などについて特に規定されているわけでありません。

一般的には、事業部門ごとに部長クラスの人物が執行役員として事業を統括するケースが多いようです。

執行役員制度を導入している企業の特徴として、幹部人材の機能が切り分けられているという点があげられます。

執行役員制度を導入していない企業では、取締役が会社の重要事項を決定し、同時に事業運営にも責任を持つことが普通です。

一方、執行役員制度を導入している場合は、取締役は経営に関する重要事項の決定を行い、執行役員はその実行に専念するという分業が確立できます。

執行役員の役割

執行役員の役割

執行役員は、取締役が決定した経営方針に基づいて、その実行・遂行をしたり、事業を統括したりする役割を果たします。

執行役員は、経営方針を決定したり、取締役会で決議したりといった、重要事項に関与する権限は持っていません。

会社法の上では従業員という立場のため、あくまでも事業部レベルのトップとして事業組織の統括や運営を行います。

ただし、執行役員が従業員だからといって、必ずしも役割が重大でないというわけではありません。

事業部のトップは、執行役員制度が導入されていない企業では取締役が兼任することもある重大な役割ですが、執行役員制度ではあえてそういったポストを設置して、執行役員に業務を担当させることになります。

そのため、取締役が行う役割の一部を任される、責任あるポジションでもあります。

その他の会社における役職については、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:会社の役職一覧についてまとめた記事はこちら

執行役員の職務内容の例

執行役員の具体的な職務は多岐にわたりますが、中心となるのは事業戦略の立案と具体的な施策の推進です。経営目標を達成するために、担当部門の戦略を練り上げ、部下を指揮して実行に移します。

また、部門間の調整やプロジェクト管理など、組織を横断する業務も重要な仕事です。縦割り組織の弊害を防ぎ、全社的な視点で最適化を図ります。

さらに、経営会議への報告や取締役会への提言を行い、上位層との連携も欠かせません。現場のリアルな情報を経営層に届けるパイプ役としての機能も担います。

執行役員の法的責任の範囲

執行役員の法的責任は、原則として従業員としての立場から労働契約法の適用を受けます。取締役のように、会社法上の重い役員責任を負うわけではありません。

しかし、業務遂行で故意や重過失がある場合は、会社に対して損害賠償責任が発生する可能性があります。

また、株主代表訴訟の対象にはなりませんが、経営の一翼を担う以上、一定の社会的責任や説明責任を負う立場であることは間違いありません。コンプライアンスを遵守し、誠実に職務にあたることが求められます。

執行役員が重要視される背景

執行役員が重要視される背景

執行役員が重要視される背景を以下3つのポイントに絞って解説します。

  • 監督と執行の分離で経営を活発化させる必要性が増した
  • コーポレートガバナンス強化の重要性が増した
  • 経営のスピード化と権限委譲の必要性が増した

近年、多くの企業で執行役員制度の導入が進んでいるのには、明確な理由が存在します。

監督と執行の分離で経営を活発化させる必要性が増した

従来型の組織構造では、取締役会が監督機能と執行機能のすべてを担ってきました。しかし、単一の組織がすべてを行うと、業務負担が大きすぎてスピーディーな意思決定ができません。また、権限集中によって多様な意見が反映されなかったり、自浄機能を失ったりするなど、経営が停滞してしまうこともよくあるケースです。

こうした流れを受けて、日本では1990年代ごろから「監督」と「執行」を分離して経営を活発化できる執行役員制度の導入が進みました。背景には、グローバル経済化による競争激化、国内の長期不況、IT革命など、ビジネス環境の激変に対応する目的がありました。

現在のビジネス環境の変化はより一層早くなっており、執行役員の役割がさらに重要になっています。

コーポレートガバナンス強化の重要性が増した

アメリカでは1980年代から、経営者が株主、顧客をはじめとするステークホルダーのために適切な意思決定を行う「コーポレートガバナンス」が重視されるようになりました。こうした流れを受けた日本企業が、コーポレートガバナンス向上のために採用したのが執行役員制度です。

折しもバブル崩壊後の日本企業では、粉飾決算や違法労働、偽装表示などの不祥事が相次いでいました。また、機関投資家や外国人投資家の持ち株比率が増えたことや、グローバル経済によってステークホルダーとの関係が多様化したことなどもあり、ガバナンス強化が急務でした。

現在もコーポレート・ガバナンス強化を求められる流れは続いています。このため、経営陣による意思決定や業務の適正化を進める組織作りとして、執行役人制度が取り入れられています。

経営のスピード化と権限委譲の必要性が増した

近年、市場環境の変化が激しくなり、企業には迅速な経営判断が求められるようになりました。従来のトップダウン型では対応が遅れる場面が増えています。

そのため、現場への権限委譲を進め、意思決定のスピードアップを図る動きが加速しました。現場に近い執行役員が自律的に判断を下すことで、顧客ニーズやトラブルへの即応が可能になります。

結果的に、組織全体の対応力が向上し、競争優位性を確保できます。経営のスピード感こそが、現代のビジネスでは必要不可欠な要素です。

執行役員と取締役・執行役の違い

執行役員と取締役・執行役の違い

執行役員と混同しやすいものに取締役と執行役があります。

これらは似ているようですが、実際には立場も役割も異なるため、違いを知っておくことが大切です。

執行役員と取締役の違い

執行役員と取締役との大きな違いは、その役割と、会社法における定義です。

先述の通り、執行役員は会社法で規定されていない社内任意のポストで、取締役会で決定された経営方針の実行や事業部レベルの意思決定を行います。

基本的には従業員という立場なので、労働基準法に基づいて雇用契約を結び、給料という形で報酬が支払われるのです。

取締役は会社法で定義されており、取締役会において決議に参加したり、経営に関する重要事項を決定したり、あるいは代表取締役の指名といったさまざまな役割を持ちます。

つまり、事実上会社で最高の意思決定者の1人。立場についても、雇用契約を結ぶ従業員ではなく、会社法によって委任関係とされており、いつでも解任される可能性があります。

執行役員と役員の違い

会社組織を大きく分けると、従業員と会社役員の階層に分けられます。執行役員は従業員に属します。

一方、役員は取締役、監査役、会計参与などの役職の一般的な名称で、会社役員の階層に属するポジションです。

また、執行役員は会社法で定められた会社役員ではありません。一方、役員は会社法で定められた会社役員です。

役員には「みなし役員」という役職も存在します。詳しくは以下の記事をご覧ください。

関連記事:みなし役員についてまとめた記事はこちら

執行役員と執行役の違い

執行役員と執行役は、言葉は似ていますが全くの別の立場です。

執行役とは、委員会設置会社において業務執行を行う役割で、会社法によって設置が義務付けられています。

執行役は、会社法に基づいて取締役会の決議で選任され、取締役と兼ねることも可能です。執行役が複数いる場合には代表執行役を選任します。

立場は雇用契約を結ぶ従業員ではなく、会社と委任関係を結ぶことになります。

このように定義や立場は異なりますが、取締役が決定した経営方針に従って業務を執行するという役割は執行役員との共通点です。

企業における一般的な役職の序列

企業における一般的な役職の序列

企業におけるさまざまな役職と、執行役員との上下関係はどのようになるのでしょうか。企業によって異なることがありますが、一般的には以下の順番で序列が決まっています。

  1. 会長
  2. 社長
  3. 常務
  4. 監査役
  5. 執行役員
  6. 部長
  7. 課長

この記事で解説している「執行役員」は、一般的に監査役の下に位置する役職です。基本的には部長より上ですが、部長の権限は会社によって異なり、例えば部長が取締役を兼任しているケースもあるため一概にはいえません。

「会長」は社長よりも上の立場で、前社長が相談役として会社に残る場合に就くことが多い役職です。「取締役会長」と呼ばれる場合は取締役会の議長を務めます。
「社長」とは経営の最高責任者で「代表取締役社長」とも呼ばれます。 「常務」とは役員の中でも序列が下に位置することが多い役職です。日常的な業務を担当して社長など他の役員を補佐する役職ですが、会社法で定義されたものではないため、役割は会社によって異なる場合があります。

「監査役」とは取締役を監査する役職で、株主総会で選任されます。執行役員より上の立場として、会社全体の業務や会計などの健全性を担保する役割を担う役職です。
「部長」とは各事業部の責任者で、その下に位置する「課長」は事業部に含まれる各課の責任者です。

執行役員に役員報酬はつく?定年は?

執行役員に役員報酬はつく?定年は?

会社役員には役員報酬がつきますが、執行役員はどのような扱いなのでしょうか。

また、執行役員制度の導入を検討している経営者や人事担当者にとっては、執行役員が定年退職の対象になるかどうかも知っておくべきポイントです。

役員の役員報酬は?

執行役員は、会社法に基づく取締役ではないため、役員報酬は支払われません。

雇用契約を結んだ従業員であるため、役員報酬の代わりに給与や賞与という形で報酬が支払われることになります。

一般的に、取締役の報酬は取締役会で定められるものです。あるいは、報酬委員会を設置している会社では、委員会の中で議論した上で、適正な報酬金額が決定されます。

そのため、委員会の判断によっては、業績が評価されて報酬額が大きくなることもありますし、あるいは実績不足によって報酬が減らされることもあるという仕組みです。

一方、執行役員は雇用契約であるため、社内規定に従っての給料やボーナスといった報酬が決められます。執行役員と取締役では、報酬についてこういった決め方の違いもあるのです。

執行役員の定年は?

執行役員は従業員であるので、定年退職の対象になるのが普通です。

一般的に、定年退職の制度を設けている企業は、就業規則によって定年年齢や退職時期を定めています。

執行役員も、その規則に従って定年退職の対象になるのが一般的な解釈です。就業規則は会社によって個別に定めることができます。

そのため、執行役員については、執行役員でない従業員よりも定年時期を延長するといった取り決めをすることも可能です。

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執行役員制度導入のメリット

執行役員制度導入のメリット

執行役員制度が機能すれば、経営にも従業員の業務にも好ましい影響をもたらします。ここでは執行役員制度導入のメリットを、4つのポイントに分けて解説します。

取締役が経営に専念できる

執行役員制度を導入すると、取締役が経営に専念できるようになります。執行役員制度を導入すれば、会社を監督したり経営方針を決定したりする取締役と、実行に特化する執行役員に分けられるため、それぞれが仕事に専念できるからです。

反対に執行役員制度のない会社では、経営・執行どちらかに専念できないため仕事の質が落ちる可能性があります。また、自らの仕事を自ら監督することになるため監督者としての効果が期待しづらいのです。

現場の業務や意思決定が早くなる

現場の業務スピードや、意思決定スピードが早くなる効果も期待できます。執行役員は経営陣から執行権限を与えられているため、自らの裁量で業務を仕切れます。このため、部長や支店長などが経営陣の指示・承認を受けながら活動するのに比べて、業務執行のスピードが上がりやすいのが特徴です。

また、取締役は執行役員を通じて現状を把握するため、意思決定が早くなります。執行役員がいない場合、現場の状況を自ら確認し判断を下さなければなりません。一方、執行役員がいれば、取締役が知りたい情報を聞き取ったり、相談したりして経営判断につなげられます。

経営人材を育成しやすい

執行役員制度を導入すると、経営層になる人材を育てやすくなるのもメリットです。執行役員は従業員の最上位であり、経営層と近いポジションで業務を遂行します。必然的に経営戦略についてレクチャーを受けたり、経営視点でマネジメントを考えたりする機会が増えます。

こうした機会は、経営人材にスキルアップするための貴重な経験となるでしょう。その結果、執行役員が取締役になった際に、監督業務にスムーズに対応できます。また、自らの業務経験を踏まえて、執行役員との協力関係も築きやすくなります。

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優秀な人材のモチベーション向上が見込める

執行役員というポジションを設けると、優秀な人材のモチベーションを高めることにもつながります。

例えば、実力主義の人材戦略を採用して、優秀な若手社員が執行役員に抜擢される環境を整えれば、組織は活性化するでしょう。現場に近い人材が従業員側のトップになるため、経営層と現場をつなぐ仲介役としての役割も期待できます。

執行役員制度導入のデメリット

執行役員制度導入のデメリット

意思決定スピードの向上や、経営陣と現場の連携強化などの目的で執行役員制度を導入したものの、かえって状況が悪化するケースがあります。執行役員制度導入のデメリットについても知っておきましょう。

組織が複雑になるリスクがある

執行役員制度を導入すると、組織の序列化、重層化が過度に進んでしまう場合があります。執行役員という階層が増えることで、かえって経営陣と現場に垣根ができてしまうのです。この問題は、年功序列制度などによって、事業の成長や適切な人材配置と関係なく執行役員が増える組織でよくみられます。

また、執行役員が増えるにしたがって専務執行役員、常務執行役員、上席執行役員のように役職が増えてしまうのも、よくあるケースです。こうしたケースでは、複雑な上限関係や承認プロセスが生まれてしまい、業務が滞ってしまいます。また、取締役が誰の意見が正しいのかわからなくなり、意思決定が遅れてしまうリスクもあります。

経営層と現場の意見が乖離するリスクがある

執行役員に現場の業務執行を任せると、経営層が現場の事情に疎くなる可能性があります。その結果、経営層と執行役員および現場従業員の意見が対立するリスクがあります。

対立が顕在化すると、取締役が現実的ではない経営判断をしてしまったり、あるいは執行役員が経営戦略を無視した業務を進めたりしてしまいかねません。

立場が曖昧になり形骸化しやすい

執行役員は会社法で定義されている役職ではないため、立場が曖昧になり、形骸化しやすい点に注意が必要です。

例えば、ワンマン経営の企業が執行役員制度を取り入れた場合、社長がつい業務執行にまで介入してしまうケースがあるかもしれません。逆に、執行役員が経営に深く関わらなければならないケースも考えられます。

執行役員の設置方法

執行役員の設置方法

執行役員を設置するには、どのような手順を踏む必要があるのでしょうか。基本の流れは以下の3ステップです。

  1. 規程や条件の事前確認
  2. 「取締役会」による執行役員の選任
  3. 「選任辞令」の交付

執行役員を設置するための準備として、就業条件・規則などを定めた「執行役員規定」や「報酬」など、執行役員の雇用にまつわる詳しい条件を決めていきます。 通常の従業員と同じ「雇用契約」にするのか、それとも業務委託の「委任契約」にするのかなど、契約方法についても詳細を決めなければなりません。

準備ができたら「取締役会」で、執行役員の選任についての決議をします。既に述べた通り執行役員は法律上の定義がありませんが、会社法にある「重要な使用人」にあたる者として取締役会で選任の決議をするのが一般的です。

また「選任辞令」を交付して、執行役員の同意を得ることも必要です。委任契約の場合には、執行役員が辞令に同意したことを示す「就任承諾書」を作成します。

執行役員に求められる人材要件とスキル

執行役員に求められる人材要件とスキル

執行役員に登用すべき人材像や必要なスキル、キャリアパスを深掘りします。

  • 執行役員に適した人物像
  • 必要なマネジメントスキルとコンピテンシー
  • 執行役員へのキャリアパス

執行役員は、経営と現場をつなぐ要となる存在です。そのため、単に実務能力が高いだけでなく、視座の高さや人間力も求められます。

どのような基準で人選を行うべきか、具体的な指針を見ていきましょう。

執行役員に適した人物像

執行役員にふさわしいのは、強い責任感を持ち、組織のビジョンを自らの行動で具現化できる人物です。

具体的には、以下の特徴を持つ人材が適しています。

  • 責任感と実行力
  • 好奇心と勇気
  • 専門性と課題解決力

単なる「いい人」や「調整役」に執行役員は務まりません。ときには痛みをともなう改革を断行したり、部下を鼓舞して高い目標に挑ませたりするリーダーシップが必要不可欠です。

必要なマネジメントスキルとコンピテンシー

執行役員には、部長クラス以上に高度なマネジメント能力が求められます。特に重要なのが「戦略的思考力」です。

目の前の業務を回すだけでなく、3年後、5年後の市場環境を見据えた長期的なビジョンに基づき、具体的な計画を立案する能力が必要です。

また、多様な人材を束ねる「コミュニケーション能力」も欠かせません。メンバーの強みを引き出し、モチベーションを最大化することで組織の総力を高める力が問われます。

さらに、グローバル化が進む現代では、広い視野と国際感覚(グローバルマインド)を備え、多様な価値観を受け入れて活用するダイバーシティ・マネジメントのスキルも重要視されています。

各能力をコンピテンシー(高業績者の行動特性)として定義し、評価基準に組み込むことで、客観的な人選が可能になるはずです。

執行役員へのキャリアパス

執行役員への就任ルートは、大きく分けて2つ存在します。

1つ目は、社内昇進ルートです。実績のある部長や本部長から抜擢されるケースで、企業文化や業務内容を熟知している強みがあります。

2つ目は、外部招聘ルートです。他社で実績を上げたプロフェッショナルを、スカウトやヘッドハンティングにより招き入れるケースです。新しい風を吹き込み、組織変革を促す狙いがあります。

また、執行役員になった後のキャリアパスとして、実績を積み上げた後に取締役へ昇格する道を用意するのが一般的です。昇進の道を用意すれば「執行役員=ゴール」ではなく、あくまで経営者へのステップであるとの意識付けが可能になります。

企業は、内部育成と外部登用をバランスよく組み合わせ、組織に最適な人材配置を行う戦略が必要です。

執行役員へ権限委譲を行う際の3つのポイント

執行役員へ権限委譲を行う際の3つのポイント

円滑な運用のために押さえておくべき3つのポイントを解説します。

  • 職務権限規程と決裁権限を明確にする
  • 取締役会と執行役員の権限分担ルールを定める
  • 形骸化を防ぐ権限委譲を実践する

制度を成功させるためには、「誰に任せるか」と同じくらい「どう任せるか」が重要です。適切な権限委譲が行われないと、執行役員は手足を縛られた状態になり、期待された成果を出せません。

上記のポイントを事前に規定し、周知徹底することがトラブル防止につながります。

職務権限規程と決裁権限を明確にする

まずは、執行役員が「何をどこまで決めてよいのか」を明確にルール化しましょう。

口頭での曖昧な指示はトラブルの元です。「契約金額〇〇万円までは専決」「新規取引先の与信限度は〇〇万円まで」と、金額や契約内容に応じた具体的な決裁権限基準を設定します。

同時に、権限を超える事項に関しては、取締役会への報告や承認が必要であることを明記します。

「権限の範囲」と「責任の所在」を文書化すると、執行役員は迷いなく判断を下せるようになり、取締役も安心して任せられるでしょう。

取締役会と執行役員の権限分担ルールを定める

取締役会と執行役員の役割分担を明確にし、相互干渉による機能不全を防ぐ必要があります。

原則として、取締役会は「経営方針の決定」と「業務執行の監督」に専念します。個別の案件に細かく口出しするのではなく、大きな方向性を示し、結果をモニタリングする役割です。

対して、執行役員は「日常的な業務執行」と「具体的施策の実行」を担当します。現場の戦術レベルの判断は執行役員に委ね、重要事項のみを取締役会へ報告するフローを確立します。

両者の線引きが曖昧だと、取締役会が形骸化したり、執行役員の主体性が損なわれるでしょう。それぞれの役割を定義し、お互いがリスペクトし合える関係性を構築するのが大切です。

形骸化を防ぐ権限委譲を実践する

制度を作って終わりではなく、実際に機能し続けるためのメンテナンスが欠かせません。

執行役員が実質的に権限を行使できる環境を整備するとともに、定期的な評価とフィードバックを行う必要があります。数値目標の達成度だけでなく、プロセスや行動評価も交えて、責任の所在を明確にします。

また、ビジネス環境の変化に合わせて、規定や運用ルールを見直すことも重要です。制度導入当初の目的が達成されているか、新たな課題が生まれていないかを定期的にチェックし、必要に応じて軌道修正を行いましょう。

執行役員を解任するときの流れ【3STEP】

執行役員を解任するときの流れ【3STEP】

執行役員を解任する場合の流れについても確認しておきましょう。
「解任すべき事例」に該当する場合など、任期の途中でも執行役員を解任できることがあります。例えば以下のような事由がある場合に、執行役員を解任できることがあります。

  • 執行役員規程に違反している
  • 就業規則の懲戒事由に該当する
  • 何らかの不正・背信行為をした
  • 業務の遂行が困難である

執行役員を解任するためには、まず該当行為の事実調査を行い、取締役会における解任決議を経て、本人に解任を通知します。
雇用契約の場合、執行役員を解任されても単に役職を降りるだけなので、「解雇」にまで至るとは限りません。一方、委任契約の場合に解任がなされると、契約終了となり会社を離れることになるのが基本です。

雇用契約の場合でも、正当な理由が認められる場合には、解任だけでなく「解雇」するケースもあります。ただし正当な理由が認められるかどうかは法律の専門知識がないと判断が難しいケースもあるため注意が必要です。「不当解雇」などの法律違反にならないよう慎重に扱う必要があります。

執行役員を設置するか悩んだら…

執行役員を設置するか悩んだら…

執行役員を置くかどうか迷ったときは、まず税理士などの専門家に相談することが大切です。

執行役員の報酬や契約形態は、会社の税務処理に直結するため、慎重な判断が求められるからです。

また、執行役員を新たに設ける場合、その職責や評価基準を既存の制度にどのように組み込むかを考える必要があるため、人事評価制度を見直す必要があります。

そこで活用をおすすめしたいのが、あしたのチームが提供する「人事評価テンプレート」です。

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執行役員制度を導入する際は「あしたのチーム」にご相談ください

執行役員制度を導入する際は「あしたのチーム」にご相談ください

執行役員制度は、経営のスピードアップとガバナンス強化を同時に実現できる仕組みです。しかし、単に役職を設置するだけでは効果は得られません。明確な役割定義、適切な権限委譲、そして公正な評価制度とセットで運用することが成功のポイントです。

特に、執行役員の評価は、業績(定量面)だけでなく、コンピテンシー(行動特性)などの定性面も含めて多角的に行うことが大切です。評価結果を報酬やキャリア開発に連動させることで、高いモチベーションを維持できます。

もし、「自社に合った執行役員制度の設計が難しい」「評価基準の作り方がわからない」とお悩みであれば、ぜひ「あしたのチーム」にご相談ください。

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