間接部門とは?大企業リストラ事例から学ぶ間接部門の課題

間接部門におけるリストラの動きが大企業を中心に広がっています。

この記事では、間接部門の業務内容や課題、大企業のリストラ事例について解説します。今後の間接部門に求められる人事評価にも触れているため、ぜひ参考にしてください。

間接部門とは?

間接部門とは、業務が直接売上に結びつかない部署のことです。人事部や総務部、情報システム部などがこれに該当し、バックオフィス業務を担当します。具体的には、人材採用、人事評価、給与計算、財務諸表の作成といった業務が含まれます。

一方、直接部門とは、業務が売上に直結する部署です。花形部門やフロントオフィスとも称され、企業の成長をリードします。営業や販売、製造、開発などの部署が代表例です。

企業活動には直接部門と間接部門の双方が欠かせません。直接部門を後方支援する役目を果たす部署が間接部門です。

代表的な間接部門

代表的な6つの間接部門について解説します。

人事部

人事部は、人材管理を担う部署です。そもそも、企業活動を行うためには、「人」「物」「金」「情報」などの経営資源が必要です。人事部は「人」に関わる企業の制度設計や運用全般を担当します。

経営層との密接な意思疎通を図ることで、自社にとって最適な人事戦略を構築することも人事部に求められる役割です。具体的な業務内容を以下で紹介します。

  • 人材採用
  • 教育・研修
  • 人材配置
  • 人事評価

人事部の業務内容は企業によっても異なり、労務管理や給与計算が業務に含まれる場合もあります。

経理部

経理部は、「金」の流れを管理・記録する部署です。タイムリーな経営戦略を実現するために随時情報を経営層にフィードバックする役割も果たします。

経理部の業務遂行には専門知識が欠かせません。一方、定型業務も多く、デジタル化・自動化が急速に進んでいます。主な業務内容は以下の通りです。

  • 請求書や伝票の整理
  • 経費精算
  • 帳簿作成
  • 月次決算書や財務諸表の作成
  • 給与計算、年末調整
  • 会計監査対応

法務部

法務部は、企業活動に関わる「法律」を扱う部署です。企業に対して厳格なコンプライアンス(法律や企業倫理の順守)が求められるようになったことで、法務部の重要性はこれまで以上に高まっています。

コンプライアンス違反が発覚すると、企業の存続をも揺るがす重大なダメージにつながりかねません。主な業務内容は以下の通りです。

  • 契約法務(契約書作成やリーガルチェックなど、他社との取引や契約に関わる業務)
  • 機関法務(株式総会や取締役会などの社内機関を合法的に運用するための業務)
  • 紛争・訴訟対応(取引先や顧客とのトラブルを法的に解決する業務)
  • 法制度調査
  • コンプライアンス対応(社内ルールの策定、社内への周知徹底、法務相談など)

総務部

総務部は、円滑な企業活動に必要ではあるものの他部署が対応していない業務全般を担います。企業によって担当範囲は大きく異なり、不定期な業務も少なくありません。主な業務内容は以下の通りです。

  • 一般事務
  • 安全衛生管理
  • 備品管理
  • 福利厚生制度の運用

情報システム部

情報システム部は、「IT」に関わる部署です。これまで企業の社内システムといえば、自社設備内にサーバーを設置してシステムを運用するオンプレミス型が主流でした。

ところが、低コストで手軽に導入できるクラウドサービスの利用が広がった影響で、情報システム部の業務内容は変わりつつあります。アウトソーシング化して規模を縮小する動きも出てきています。主な業務内容は以下の通りです。

  • IT戦略の策定
  • 基幹システムの構築・運用・メンテナンス
  • 情報インフラの管理
  • ヘルプデスク(顧客や社員に対する技術サポート)
  • セキュリティ対策、情報資産管理

経営企画部

経営企画部は、経営戦略の策定と運用を担当する部署です。小規模企業では経営層が担うような業務内容が含まれます。経営判断に直接関わる重要なポジションで、企業のリーダー的人材が起用されるケースが一般的です。

海外の企業では通常CEO(最高経営責任者)が経営企画部の業務範囲をカバーするため、基本的に設置されません。以下で主な業務内容を紹介します。

  • 中長期経営計画の策定
  • 年度予算決定
  • 組織再編、経営資源の再配分
  • IR(株主や投資家への対応)

間接部門の役割

間接部門の役割について解説します。

企業の基盤を支える

間接部門は、企業基盤を支える存在です。企業活動をスムーズに進めるためには間接部門が欠かせません。人材確保や資金管理などの業務が適切に行われなければ、直接部門の業務はもとより企業活動全体に支障が生じるためです。

政府が進める働き方改革やパワーハラスメント・セクシャルハラスメントの防止も、経営層と間接部門の積極的な取り組みがなければ実現できません。

コストを削減する

コスト削減は、間接部門の重要な役割です。直接部門は売上アップで企業に貢献しますが、間接部門はコスト削減によって企業に貢献します。

そもそも、企業活動の最終目標は利益を上げることです。利益は、売上から経費を差し引くことで算出します。直接部門がいくら売上を上げても、無駄な経費が膨らめば利益は上がりません。

間接部門には、「人」や「金」、「情報」などの経営資源を適切に管理・運用して利益アップにつなげる役割が求められています。

生産性向上と人材確保

業務効率化による生産性向上も、間接部門に課せられた責務のひとつです。

日本では少子高齢化や労働者不足が深刻化しており、少ない労働力で利益を上げるための改革が強く求められています。従来通りのやり方では国際競争に勝てないという企業の危機感は高まる一方です。

今回のコロナショックによって、日本のデジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が世界に比べて遅れている実情が浮き彫りになりました。コンピューターでできることは自動化して、人間はより創造的な業務に専念する必要があります。

優秀な人材の確保も急務です。転職が当たり前の時代になったことで、新入社員や将来を嘱望される若手社員の早期離職に悩む企業が増えています。

間接部門の課題

間接部門の課題について解説します。

コストセンターとみなされやすい

間接部門が抱える最大の課題は、コストセンターとみなされやすくリストラの対象になりやすいことです。

コストセンターとは、利益は集計されずコストが集計される部門を指す経営学用語です。

間接部門に所属している人のなかには、企業活動の重荷になっているかのような扱いを受けた経験のある人もいるのではないでしょうか。直接部門は企業活動に必須ですが、間接部門は直接部門よりも優先度が低めです。

そもそも、間接部門自体が問題を抱えている場合もあります。「デスクワークは楽そうだ」「営業は難しそうだ」といったイメージで間接部門を志望する就活生は決して少なくありません。

ルーチン業務をこなして給料を得るだけで満足し、企業への貢献を考えない社員もいます。

直接部門との連携が難しい

直接部門の理解が得られにくく、連携が難しい点も課題のひとつです。間接部門が新たに打ち出す業務改善案が、直接部門にとって負担になる場合があります。

特に、実情にそぐわないルールの導入や直接売上アップにつながらない手続きの新設などは、直接部門の不満を高めやすい要因です。

たとえば、営業職の業務効率化を目的として出先から業務報告ができるシステムを導入したとします。

「オフィスに戻らなくて済む」と感じる人もいる一方で、IT機器に慣れずに負担に感じるベテランも存在します。使いにくいシステムを導入した場合はなおさらです。

定型業務が主要業務を圧迫する

間接部門の特徴として、定型業務が多い点が挙げられます。日々定型業務をこなすことに追われて、企業成長への貢献や直接部門の支援といった主要業務にまで手が回らないケースも少なくありません。

一方、一部の間接部門では、定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAI(人工知能)の活用、アウトソーシング化、テレワーク化が急速に進んでいます。

部署全体をアウトソーシング化できれば、オフィススペースの縮小による大規模なコストカットを実現できます。

人事評価が難しい

人事評価が難しい点も間接部門の見逃せない課題です。直接部門は業務の成果を数値化しやすいため、評価が比較的容易です。評価に対する社員の納得も得られやすく、前向きな努力を引き出せます。

一方、間接部門は業務の成果や貢献を数値化しにくく、公平な評価のハードルは高めです。完璧な業務遂行が求められ、ミスやトラブルに注目する減点方式の評価になりやすいことも問題です。

評価が上司によって大きく変わったり、好き嫌いで評価が決まったりするケースも珍しくありません。評価を上げるための方向性を見いだしにくく、モチベーションの低下を招く場合もあります。

間接部門の課題を解決して、社員がいきいきと働ける労働環境を構築するためには、部門によらない公平で客観的な人事評価の導入が不可欠です。貢献度を適切に評価して給料やボーナスに反映する人事制度こそが、企業の成長を支える原動力になります。

大企業も苦渋の決断。富士通の間接部門リストラ事例

ここでは、日本を代表するITベンダー・富士通の間接部門で実施されたリストラ事例を紹介します。

2018年10月、富士通は総務部や人事部、経理部といった間接部門を対象として営業やSE(システムエンジニア)への人事異動を敢行しました。対象は約5000人で、同時に希望退職者も募ったことから事実上の退職勧告と捉えられています。

通常、正社員は正当な理由がなくては解雇できません。富士通のリストラは業績不振を受けた苦肉の策でした。とはいえ、間接部門の社員が短期間に営業やSEの業務に適応することは容易ではありません。

結果的に約3000人が早期退職に応じ、約2000人が配置転換されました。

まとめ

間接部門とは、売上に直結しない業務を担う部署のことです。DXの必要性が高まる今、間接部門の業務自動化やアウトソーシング化の動きは避けられません。

一方、間接部門は企業の根幹でもあります。間接部門を含めた企業全体の成長を図るためには、適切な人事評価システムの導入が必要です。

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