KPIツリーとは?目標達成につながる作り方から具体例まで解説

企業が目標を達成するうえで、KPIツリーは欠かせないツールです。進捗管理や評価基準の設定がしやすくなることから、多くの企業で導入が進んでいます。

KPIツリーの活用で組織全体の目標が明確になり、部門や個人ごとの具体的な行動指標も設定しやすくなるでしょう。

本記事では、KPIツリーの基本的な概念から作成手順、効果的な活用方法まで解説します。

KPIツリーとは?目標達成につながる作り方から具体例まで解説

KPIツリーとは、KGI(重要目標達成指標)に向けた要素を段階的に分解し、KPI(重要業績評価指標)をツリー状に整理した図のこと

KGIは「売上10億円」や「市場シェア30%」などの大きな目標を指し、KPIは目標の達成度を測る中間指標です。「商談数」「受注率」「平均単価」などが、KPIにあたります。

KPIを論理的に分解・整理すると、目標達成に必要な具体的なアクションが明確になり、組織全体で共通認識を持って取り組めます。また、KPIツリーを活用すると現状の課題や改善ポイントを特定しやすくなり、効果的な施策の立案・実行にもつなげられるでしょう。

KGI・OKRの違い

OKRとは「Objectives and Key Results(目標と主要な成果)」の略で、組織の目標達成に向けたマネジメント手法の一つです。

KPIやKGIと異なり、OKRでは会社全体の目標(Objective)を設定し、それにともなう達成指標(Key Results)を明確にします。そして、会社全体の目標と連動するように、部署や個人の目標を設定するのが特徴です。

KPIが「部署や個人の目標達成のための指標」であるのに対し、OKRは「会社全体の目標を起点に、行動を導く仕組み」である点が違います。

OKRはIntelをはじめ、GoogleやLinkedInなどのグローバル企業が導入したことで注目を集め、今では多くの企業で活用されています。

KPIツリーとロジックツリーの違い

KPIツリーとロジックツリーの主な違いは、以下のとおりです。

比較項目KPIツリーロジックツリー
目的目標達成度の管理指標を体系化問題・課題の論理的な分析
構造KGIから具体的なKPIへの階層構造問題・原因・解決策を柔軟に構造化
特徴定量的な指標のみ定性的な要素も含む

KPIツリーは、最終目標(KGI)を達成するために必要な中間目標(KPI)を論理的に整理し、ツリー状に可視化したものです。目標達成のプロセスを明確にするなど、定量的な管理を行うのに適しています

一方、ロジックツリーは問題の原因分析や解決策の検討など、より広範な目的で使われる汎用的な思考ツールです。定性的な情報も扱えるため、アイデアの整理や課題の可視化に効果があります

KPIツリーの活用場面

次に、KPIツリーの主な活用場面とその効果を紹介します。

  • 目標管理
  • 進捗管理
  • 人事評価

順番に見ていきましょう。

目標管理

KPIツリーは、組織全体の目標に向けて社員それぞれが何をすべきかを明確にし、行動を後押しするツールです。

社員はKPIツリーを通じて、自分の業務が組織全体の目標にどう貢献しているかを理解できるため、モチベーションの向上にもつながります

目標管理を効果的に行うためには、次のようなポイントが重要です。

  • 具体的な数値と期限を含んだ明確な目標設定
  • 目標の階層的な分解と因果関係の可視化
  • 定量的な進捗管理と継続的なモニタリング
  • 定期的な見直しと改善のサイクル

体系的なアプローチを取ることで、社員が自分の役割を明確に理解し、組織全体の目標達成に向けた行動を実行できるようになります。

進捗管理

KPIツリーによる進捗管理は、数値目標を活用して目標達成までの道筋を継続的に監視・改善します

ここでは、具体的な目標設定や指標の例として、カスタマーサポート(CS)やカスタマーサクセス(CSM)部門におけるKPI設定・進捗管理を念頭に置いたものを示します。

売上高や新規顧客数などの全社的な目標も、CS/CSM部門が顧客満足度向上や解約率低減などを通じてどのように貢献するかの視点で関連指標が設定されることがあります。

以下の表は、その一例です。

項目
目標設定・2025年度までに売上高50億円達成
・2024年第2四半期までに新規顧客数30%増加
測定可能な指標・顧客満足度80点以上
・問い合わせ対応時間2時間以内
・月間アクティブユーザー10万人達成
見直し四半期ごとにKPIの妥当性・因果関係を確認し、環境変化に対応
モニタリング定期的なモニタリングにより、目標達成の遅れや問題点を早期発見・対策を講じる

常に現状を可視化しながら、柔軟かつ戦略的な目標管理が可能になります。

人事評価

人事評価は社員の業務実績や能力を体系的に評価し、結果を処遇への反映や人材育成、組織目標の達成に活かすことを目的としています。

社員自身の成果が正当に評価されることで、仕事への意欲も高まるでしょう

この人事評価にKPIツリーを取り入れることで、社員個々の業務と組織全体の目標とのつながりを明確にし、目標達成に向けた行動を促し、社員のモチベーション向上に寄与します。

評価制度の効果を高めるには、KPIツリーの考え方を基盤とし、以下の要素が重要です。

社員のモチベーションを高めるには、以下の要素が重要です。

  • 明確な評価基準の設定

KPIツリーを活用し、個人の評価指標(KPI)を組織目標に沿って具体的に設計し、社員に共有します。これにより、社員は何を達成すれば評価されるのかを明確に理解できます。

  • 定期的なフィードバック

設定したKPIの進捗状況をもとに、定期的にフィードバックを行います。単なる結果(達成/未達成)だけでなく、目標達成に向けたプロセスや行動についても具体的に伝え、成長を支援します。

  • 評価者の訓練

KPIツリーに基づく定量的な評価(数値目標の達成度など)に加え、目標達成に向けた行動や工夫といった定性的な側面も踏まえて、公平かつ適切な評価ができるよう、評価者への教育・訓練を実施します。

  • 評価結果の適切な活用

KPIの達成度や評価結果を、報酬・昇進・昇格といった処遇に適切に反映させる仕組みを構築します。また、明らかになった強みや課題を人材育成計画や配置転換に活かし、組織全体の成長につなげます。

上記を実践すれば、社員は評価に納得し、より意欲的に業務へ取り組むようになるでしょう。

KPIツリーを作成するメリット

KPIツリーを作成するメリットを示した画像

次に、KPIツリーのメリットを3つ解説します。

  • 目的・目標が明確になる
  • 対策を考えやすい
  • 結果の測定がしやすい

順番に見ていきましょう。

目的・目標が明確になる

KPIツリーを作成すると、目的や目標が明確になるのがメリットの一つです。

まず、KGI(最終目標)の設定によって組織全体が共通のゴールを認識し、それぞれが自分の役割を理解して行動できます。さらにKPIの設定により、個人や部署ごとの責任が明確になり「誰が何をすべきか」が具体的になります。

例えば、最終目標が「売上の増加」であれば、自分がどのような行動を取ればその目標に貢献できるのかが明確になるでしょう。結果、組織全体が同じ方向を向き、効率的に目標達成を目指せます

KPIツリーの活用は、組織の一体感を高めながら目標達成を後押しする有効な手段です。

対策を考えやすい

KPIツリーを作成する際は、KGI(最終目標)を頂点に置き、目標達成に向けたKPIを段階的に細分化します。結果、ボトルネックを早期に発見して、迅速にPDCAサイクルを回せるようになるのもメリットです。

成果が見込めない場合は他のKPIに着目できるため、新たな施策を柔軟かつスピーディーに検討・実行できます

結果の測定がしやすい

KPIに設定する指標を定量的かつ細かく設定すると、具体的な数値データの取得が可能です。数値としてデータを取得すると結果の測定がしやすくなるため、その成果がKGI(最終目標)の達成にどの程度つながっているかも評価しやすくなります

また、明確な改善点の発見にもつながり、PDCAサイクルを効果的に回せます。

指標を数値化しておくことでチーム内はもちろん、社内外に対しても結果をわかりやすく示せるため、評価の透明性が高まる点もメリットです。

KPIツリーの作成方法

次に、KPIツリーの作成方法を解説します。

  • KGIを設定し主要成功要因を導き出す
  • 要素を洗い出す
  • ツリー構造に分解する

以下の3つのステップを、順番に見ていきましょう。

KGIを設定し主要成功要因を導き出す

最終目標であるKGIを最初に設定したうえで、KPIを考えていきます。このとき、KPIは「3C分析」を活用して、主要成功要因を導き出しましょう

分析の際は、競合他社との格差(Competitor)・自社の能力(Company)・顧客対応力(Customer)の3つの視点から整理していきます。

そして、導き出したKPIをどのように達成していくかを、順を追って検討していきましょう。

要素を洗い出す

KPIツリーを構築する前に、KPIの主要な要素となり得る指標をあらかじめ洗い出しておきます。これは、ツリーを分解していく際に、目標達成に影響を与える重要な指標の見落としを防ぐためです。

ここでは、Webマーケティング部門におけるKPI要素の洗い出しを例に説明します。

要素の洗い出しには、Google Analyticsやメールマーケティングの分析データが参考になります。

Google Analyticsからは、アクセス数・平均ページビュー数・Webサイトの滞在時間・検索エンジンからの流入数などのデータを取得可能です。メールマーケティングでは、配信成功数や開封率などが指標として活用されています。

以上のデータを参考にすることで、KPIを数値として具体的に設定しやすくなります。

ツリー構造に分解する

ツリー構造に分解していく際は、遅行指標から先行指標へと進む流れを意識して進めましょう

ツリー構造の分解方法には、以下の2パターンがあります。

  1. ユーザーをセグメントに分解する
  2. 行動を分解する

1つ目は「ユーザーをセグメントに分解する」方法です。ユーザーセグメントとは、ユーザーを特定の属性や行動に基づいて分類したもので、新規訪問者・リピート訪問者・年齢・性別などに分類できます。

例えば、売上を分解する場合「新規訪問者からの売上」と「リピート訪問者からの売上」に分け、両者を合計して全体の売上とするようなツリー構造を組み立てます。

2つ目は「行動を分解する」方法です。ユーザーの行動は、訪問者数・購入率・注文単価などに分解できます。購入者数を分解する場合は「訪問者数」と「購入率」に分けて、それぞれをかけ合わせることで購入者数を算出します。

すべての要素を分解し終えたら、最後に漏れや重複がないかを必ずチェックしましょう。

【職業別】KPIツリーの具体例

次に、KPIツリーの具体例を職種別で解説します。

  • 製造職の指標
  • 営業職の指標
  • マーケティングの指標
  • システム開発
  • Webマーケター
  • SNSマーケター

各職種のKPIツリーの具体例を詳しく見ていきましょう。

製造職

製造業のKPIツリーは、生産性・品質・コスト・納期を主軸に構成されます。製造現場では、これらの指標を日々モニタリングし、継続的な改善活動を通じて企業業績の向上を目指します。

主な評価指標は、以下のとおりです。

KGI主要成功要因KPI測定単位・期間
生産量20%増加生産効率向上1時間あたりの生産量を10%増加させる各ライン、四半期ごと
品質管理強化不良品率を1%以下にする各製品、月次
設備最適化設備稼働率を95%以上にする各設備、週次
コスト削減原材料費を5%削減する各製品、四半期ごと
働き方改革残業時間を月10時間以下にする各部門、月次
安全管理労働災害発生件数をゼロにする全部門、年間
人材育成多能工化率を50%以上にする各部門、年度末
改善活動5S活動の評価点を平均4点以上にする各部門、四半期ごと

製造業のKPIは、製品品質の向上と生産効率の最適化に重点を置いて設計されています。

特に「品質管理」と「設備稼働率」は、短期的な評価が可能で、かつ継続的なモニタリングが求められる重要指標です。

また「安全性の確保」や「従業員のスキル向上」は、持続可能な生産活動を支える基盤となる要素です。

営業職

現代の営業活動では、売上高などの結果だけでなく、結果を導くプロセスに着目したKPIの設定が重要です。顧客自身が積極的に情報を収集する時代で、営業担当者には単なる商品紹介ではなく、顧客の課題解決を支援する役割が求められています。

主な評価指標は、以下のとおりです。

KGI主要成功要因KPI測定単位・期間
売上高30%増加新規顧客獲得月間新規顧客獲得数を20件にする個人別、月次
既存顧客売上増加既存顧客からの売上高を10%増加させる個人別、四半期ごと
顧客単価向上平均顧客単価を5%増加させる個人別、四半期ごと
顧客満足度向上顧客アンケートの満足度評価を平均4.5以上にする個人別、四半期ごと
営業効率向上1日あたりの訪問件数を5件にする個人別、週次
受注率向上見積もり提出からの受注率を30%以上にする個人別、月次
クロスセル・アップセル推進既存顧客へのクロスセル・アップセル率を10%以上にする個人別、四半期ごと
失注分析失注理由の上位3つを特定し、対策を講じる個人別、四半期ごと

上記のKPIはあくまで一例であり、自社の営業戦略やターゲット顧客層に応じた最適な指標の選定が重要です。

KPIを設定する際は、SMARTの原則(具体的・測定可能・達成可能・関連性がある・期限)を意識しましょう。

マーケティング

マーケティングのKPIツリーは、顧客・販売プロセス・売上の3つの視点から設定します。具体的には、ブランド認知度・サイト集客数・リード獲得・コンバージョン率・顧客獲得コストなどの指標を活用して、マーケティング活動の効果を測定・評価します。

特に、デジタルマーケティングの発展によって、上記の指標はより明確に数値化できるようになりました。

主な評価指標は、以下のとおりです。

KGI主要成功要因KPI測定単位・期間
Webサイトからの売上50%増加Webサイトトラフィック増加月間ユニークユーザー数を30%増加させる各チャネル、月次
コンバージョン率向上コンバージョン率を1%から2%に向上させる各ページ、月次
顧客獲得コスト削減顧客獲得コストを20%削減する各チャネル、月次
SEO強化特定キーワードでの検索順位を平均3位以内にする各キーワード、月次
コンテンツマーケティング強化週に3本のブログ記事を公開し、SNSでのシェア数を合計100件以上にする各記事、週次
広告運用最適化広告経由のコンバージョン率を3%以上にする各広告プラットフォーム、月次
SNS活用強化SNSからの流入数を月間1000件にする各SNSプラットフォーム、月次
メールマーケティング強化メールマガジンの開封率を20%以上、クリック率を5%以上にする各メールマガジン、週次

上記の指標は、ページビュー数・平均セッション時間・直帰率などの基本的なWeb分析指標と組み合わせると、より包括的なマーケティング効果の測定が可能になります。

各施策の成果を定期的に評価し、状況に応じて戦略を柔軟に見直しましょう。

システム開発

システム開発のKPIツリーでは、品質と納期を重視した指標の設定が重要です。開発効率・品質・納期・コスト・顧客満足度などの観点から目標を設定すると、プロジェクトの進捗を可視化し、問題点を早期に発見・対策できる体制を整えられます。

主な評価指標は、以下のとおりです。

KGI主要成功要因KPI測定単位・期間
開発期間20%短縮開発プロセス効率化各開発フェーズの期間を10%短縮する各フェーズ、プロジェクト単位
テスト自動化推進テスト自動化率を50%にする各機能、プロジェクト単位
バグ発生率低減バグ発生率を1%以下にする各機能、リリース単位
納期遵守率向上納期遵守率を95%以上にするプロジェクト単位
コミュニケーション円滑化週に1回の定例会議を実施し、議事録を共有するプロジェクト単位
スキルアッププロジェクトメンバー全員が、関連資格を1つ以上取得する個人別、年度末
コードレビュー実施すべてのコードに対して、コードレビューを実施するプロジェクト単位
顧客満足度向上顧客アンケートの満足度評価を平均4.5以上にするプロジェクト単位

テスト完了率・バグ発生率・納期遵守率などの具体的な指標を用いると、プロジェクトの健全性を定期的に測定・評価できます。

結果、継続的な改善活動を推進し、品質と納期を両立した開発体制の構築につながります。

Webマーケター

Webマーケターには、Webサイトの集客力向上とコンバージョン率の最適化が求められます。日々のデータを分析し、ROI(投資対効果)を重視した戦略を立案・実行することが重要です。

主な評価指標は、以下のとおりです。

KGI主要成功要因KPI測定単位・期間
Webサイトからの売上50%増加Webサイトトラフィック増加月間ユニークユーザー数を30%増加各チャネル、月次
コンバージョン率向上コンバージョン率を1%から2%に向上各ページ、月次
顧客獲得コスト削減顧客獲得コストを20%削減各チャネル、月次
SEO強化特定キーワードで検索順位3位以内各キーワード、月次
コンテンツマーケティング強化週3本の質の高い記事公開、SNSシェア100件以上、月間検索流入50%増加週次/月次
広告運用最適化広告コンバージョン率3%以上、ROAS500%以上各広告、月次
Webサイト改善直帰率40%以下、平均滞在時間3分以上各ページ、月次
リピート率向上リピート率20%以上月次

データ分析に基づいて、SEO・コンテンツマーケティング・広告運用・Webサイト改善などの施策を実行し、PDCAサイクルを継続的に回すことが成果につながります。

SNSマーケター

SNSマーケティングでは、フォロワー数・エンゲージメント率・ブランド認知度・Webサイトへのトラフィック誘導・リード獲得などを、主なKPIとして設定します

各SNSプラットフォームの特性を理解し、ターゲット層に合わせたコンテンツ配信や、ユーザーとの積極的なコミュニケーションが重要です。

主な評価指標は、以下のとおりです。

KGI主要成功要因KPI測定単位・期間
SNS経由の売上30%増加フォロワー数増加毎月1000人以上の新規フォロワーを獲得各SNS、月次
エンゲージメント率向上投稿ごとのいいね500件以上、コメント50件以上、シェア100件以上各SNS、週次
ブランド認知度向上月間リーチ数10万件以上インプレッション数50万件以上各SNS、月次
Webサイトへのトラフィック誘導月間サイト訪問者数500人以上各SNS、月次
リード獲得月間リード50件以上各SNS、月次
投稿頻度最適化週5回以上の投稿各SNS、週次
キャンペーン実施月1回以上のキャンペーンで新規フォロワー1000人以上獲得各SNS、月次
インフルエンサー活用月1回以上のコラボでエンゲージメント率〇%以上またはWebサイトへの誘導数〇〇人以上を達成など月次

SNSマーケターは、各プラットフォームの特性を活かして、コンテンツ戦略・キャンペーン・インフルエンサーとの連携などを、効果的に組み合わせて施策を展開します。

設定したKPIは定期的に測定・分析し、継続的な改善の実施が成果につなげるカギです。

KPIツリー作成時の注意点

次に、KPIツリーを作成する際の注意点を紹介します。

  • KPIの設定はSMARTを意識する
  • KPIは適切な数にする
  • KPIツリーは定期的に見直す

以下で紹介する注意点を意識して、KPIツリーを作成・運用しましょう。

KPIの設定はSMARTを意識する

KPIを設定する際は、SMARTの法則を基準にしましょう。SMARTとは、目標設定で重視すべき5つの要素の頭文字をとったフレームワークです。

項目概要
Specific(具体的)誰でも理解できる、具体的な目標を立てる。
Measurable(測定可能)数値で測れる目標を設定する。
Achievable(達成可能)現実的に達成できる目標を立てる。
Relevant(関連性)KGI(重要目標達成指標)と直接つながる目標を設定する。
Time-bound(期限)達成期限を明確にする。

SMARTの法則に沿ってKPIを設定すると、目標達成への道筋が明確になり、PDCAサイクルを効果的に回せます。

KPIは適切な数にする

KPIが多すぎると、注力すべきポイントがぼやけてしまい、業務が非効率になるおそれがあります。各担当者が重要なKPIに集中できるよう、適切な数に絞り込むことが重要です。

一方で、KPIが少なすぎると目標達成に向けた取り組みが不十分になり、必要な要素を網羅できないおそれがあります。そのため、KGI達成に必要な要素をカバーしつつ、管理可能な範囲でKPIを設定しましょう。

KPIの適切な数は、組織・プロジェクトの規模・目標の複雑さによって異なりますが、主要成功要因(KSF)ごとに2~3個、多くても5個程度が目安とされています。

KPIツリーは定期的に見直す

KPIツリーは作成して終わりではなく、継続的な改善が欠かせません。事業環境は常に変化しているため、KPIツリーも定期的に見直す必要があります

見直しが必要となる主なタイミングは、以下のようなケースです。

  • 競合他社による新製品の発売
  • 顧客ニーズの変化
  • 人事異動や組織再編の発生
  • 新しいツールやシステムの導入

見直しの頻度は四半期ごと、可能であれば毎月の実施が理想的です。見直す際は、関係者全員でKPIの妥当性や変更の必要性を議論し、合意を得てから進めましょう。

KPIツリーの作成に役立つツール

最後に、KPIツリーの作成・管理・共有に役立つツールを紹介します。

  • Excel
  • Xmind 8
  • coggle

適切なツールを活用すると、チーム全体でのKPI管理がスムーズになります。

順番に見ていきましょう。

Excel

KPIツリーの作成に役立つツールの一つが、ExcelのSmartArt機能です。機能内にある「組織図」を選択すると、ツリー構造テンプレート挿入できます

また、表示されるダイアログを使って自由に編集できるため、自社やプロジェクトに合わせた構成でKPIツリーを柔軟に作成できます。

Excelは身近で扱いやすいツールの一つがであり、チーム内で共有・閲覧・編集がしやすい点もメリットです。手間がかからず、KPIツリーを初めて作成する方にもおすすめです。

Xmind 8

KPIツリーの分解が多岐にわたり、Excel以上の自由度を求める方には「Xmind 8」がおすすめです。ロジック図のテンプレートを挿入でき、ワンクリックで直感的に編集できる操作性の高さが特徴

また、チーム内での共有が容易なうえ、タスク情報をガントチャートビューで管理できるため、KPIだけでなくプロジェクト進行の可視化にも役立ちます。

基本機能は無料で利用できるため、コストをかけずに高機能なツールを導入したい方にも適しています。

coggle

Xmind 8よりも柔軟にKPIツリーを作成したい方には、coggleの利用がおすすめです。

図のループを結合したりボックスを追加したり、さらには画像を挿入したりと、枝分かれの構成を自在に調整できる柔軟な編集機能が備わっています

Googleアカウントがあれば無料で利用でき、見た目にこだわりたい方にも適しています。デザイン性と操作性の両方を重視したい場合に、有効な選択肢です。

KPIツリーを作成する際は人事評価制度の見直しも忘れずに

KPIツリーは、目標達成までのプロセスを可視化し、組織全体で一貫性のある行動を取るために有効なフレームワークです。

しかし、どれだけKPIツリーを論理的に構築しても、実行する人の行動が評価と結びついていなければ、期待する成果にはつながりません。

そのため、KPIツリーの運用と並行して、人事評価制度の見直しも行うことが重要です。個人のKPIが評価制度と連動していることで、社員のモチベーションは高まり、目標に対する責任感や行動力が促進されます。

KPIツリーと人事評価を一体でとらえ、定期的に見直しを行うことで、組織全体の成果と人材育成の両立を図れます。

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