KPIとは?KGI・OKRの違い、事業を成功に導くKPIの設定方法や運用のコツを解説

(画像=annatodica/iStock)

会社の事業をどのように成長させていけばよいか。それは、企業のマネージャーや経営者にとって共通の悩みです。

経営視点に立ったとき、必ず向き合うことになるのが「KPI」という言葉。KPIとは、目標を達成するまでのプロセスにおいて設定される、中間的な指標です。
しかし、なんとなくその言葉を聞いたことがあっても、本当の意味では理解していないという人も少なくないでしょう。

本記事では、KPIの意味から、設定するメリット、効果的な設定方法まで詳しく説明します。

KPIとは?

KPIは目標を達成するための大切な指標の1つです。効果的に活用すれば事業やプロジェクトの成功に役立つため、まずはその意味を正しく理解しましょう。

KPIの意味

KPIは「Key Performance Indicator」の頭文字を取った用語で、「重要業績評価指標」と呼ばれます。KPIは、事業における「最終ゴール」に対して、プロセスの達成状況を定点観測するための指標です。

事業運営では売上高や利益率といった何らかの最終目標を掲げますが、それを実現するためには、より具体的なレベルで、どの時点でどのようなことを達成すれば良いのかを把握しておく必要があります。

例えば、売上目標を達成するためには、商品販売数などの目標設定が不可欠です。このように、大きな目標に向けて達成するべき中間地点の指標をKPIと呼びます。

KPI・KGI・OKRの違い

KPIについて考える際、関連する用語として「KGI」や「OKR」というものがあります。いずれも重要な指標や考え方であり、その違いを理解しておくことが大切です。

KGI

KGIとは、「Key Goal Indicator」の略語で「重要目標達成指標」とも呼ばれ、事業やプロジェクトを達成させるうえで最終的な目標の達成度合いを測るための指標です。

例としては売上高や利益率などが挙げられます。KPIは中間的な測定指標であるのに対して、KGIはより規模感の大きい指標です。

OKR

OKRとは、「Objective and Key Result」の略語で、達成目標と、それを達成するために必要な要因を表す用語です。

個人の行動がどのように結果に結びつくのかがシンプルに把握できる考え方として注目されています。

例えば、組織の達成目標が「ブランド認知度アップ」であれば、個々の要因は「広告の新企画の提案」などが挙げられるでしょう。

KPIとKFSの違い

KFSは「Key Factor for Success」の頭文字を取ったもので、重要成功要因という意味です。KPIが具体的な数値であることに対し、KFSはプロセスや方法を指します。

例えば「来期の売上額を10%上げる」という目標がある場合、KPI、KFSとしては下記のようなものが挙げられます。

KGI:来期の売上額を10%上げる
KFS:成約数をあげる、受注単価の見直し
KPI:1ヵ月に〇件の成約をあげる、受注単価を平均1~2%あげる

つまり、KFSを数値化したものがKPIと考えると分かりやすいでしょう。KFSが間違っていれば、KPIも本質からズレたものとなってしまいます。最終的な目標数値であるKGIを達成するためには、KFSも重要だということを覚えておきましょう。

KPIを設定するメリット

KPIを設定して運用すれば、動機付けによる従業員のモチベーションの向上、組織力の向上、生産性アップといったメリットを得られます。
ここからは、各メリットを詳しく解説していきます。

従業員のモチベーション向上

KPIを設定することにより、従業員のモチベーション向上に期待ができます。
一般的に、事業やプロジェクトでは大きな目標を立て、それを実現するために必要な要素を業務レベルに落とし込み、従業員にタスクを割り当てることになります。ただ従業員からすれば、自分に割り振られたタスクが、どのように事業の目標に貢献影響するのかイメージしづらくなっています。そのため、自分の仕事に意味ややりがいを見出せず、モチベーション低下につながってしまうケースがあるのです。

しかしKPIという中間的な指標を設定することで、個々人がなんのためにその業務を行ない、それが事業の目標にどのように結びつくのかが明確になります。そうすることで、従業員が自身の仕事の意味や意義を理解しやすくなり、モチベーション向上につながるのです。

組織力UP

KPIを設定して従業員の間に共通認識ができることで、組織力向上に期待できます。組織が機能するためには、具体的に何を達成するべきなのかを従業員間で共有している状態が理想です。

なぜなら意思疎通がスムーズにでき、チームワークも強化できるためです。
仮に漠然とした目標しかないような曖昧な状況では、従業員間で意思の統一が図れず、組織としての力を発揮できない可能性が高まります。

KPIを正しく設定すると、個々が具体的に何を達成すべきかがわかりやすくなり、適切な人事評価なども可能となります。
適切な人事評価は組織力アップにもつながります。つまり、KPIがあることでチームとしてブレない方針が確立し、組織力の強化が期待できるのです。

生産性の向上

KPIを設定する効果は、目標の中間的な管理がしやすくなるだけではなく、計画・実行・検証・行動のPDCAサイクルが回しやすくなるため、生産性の向上が期待できます。

KPIを設定すれば、組織として目標を実現するために計画を立て、実行した結果に対して「達成できた要因は何か」「達成できなかったのは何が問題だったのか」といった振り返りができるようになります。

PDCAを繰り返すことで、より良い施策を計画的に行なえるようになり、検証の精度も向上。中間指標を定めずに勘や経験で改善を試みる場合よりも、データに基づいた効果的な施策を実行できるようになります。KPIを設定することで、改善の積み上げも期待でき、生産性アップにもつながるのです。

KPI設定の例

KPIの設定をする場合、業種・職種によって指標が異なります。自社が手がけるビジネスの特性に合わせて設定すれば、より効果的な効果を得やすくなります。ここでは、業種・職種ごとに指標の例を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

営業職のKPI設定例

営業職のKPI設定例としては下記のものが挙げられます。

  • 平均受注単価(顧客単価)
  • 受注件数
  • 問い合わせ件数
  • 成約までの平均日数

営業の仕事として重要なのは受注契約を獲得することです。会社の売上に直接的に貢献をする役割を担い、成果も定量的に測定できるため、具体的な中間指標の導入に向いている職種でもあります。

平均受注単価や受注件数は、売上を構成する要素ですが、その他、問い合わせや成約日数といった項目も重要です。

マーケティングのKPI設定例

マーケティングのKPI設定例には下記のものがあります。

  • 訪問数
  • リピート数
  • インプレッション数

マーケティングは成約・購入といった最終的な購買活動だけでなく、顧客の認知獲得や訪問の誘導といった施策も担当します。また、実店舗だけでなく、Web広告やWebサイトでの集客も増えつつあるのが現状です。

そのため、インプレッション数やアクセス数、直帰率といったWebマーケティング領域の指標が重要視される傾向にあります。

カスタマーサービスのKPI設定例

カスタマーサービスのKPI設定例は以下の通りです。

  • 顧客満足度
  • 応答率
  • 平均対応時間
  • 解約率

カスタマーサービスは顧客からの要望、質問などを受け付けて適切に対応を行います。顧客と直接関わることが多いため、顧客が自社に抱くブランドイメージを左右する重要な役割を担います。

そこで、KPIの設定例には顧客満足度や、満足度に影響すると考えられる応答率、対応時間、離脱率、クレーム数などが用いられます。

システム開発のKPI設定例

システム開発のKPI設定例は以下の通りです。

  • 進捗率
  • 稼働率
  • 生産性
  • エラー件数

システム開発では「納期」「品質」「コスト」の三要素が重視されます。
開発現場では「人月単価」という用語が用いられるように、エンジニアの稼働がそのまま納期やコストに影響します。

それに関連するような、計画に対する進捗率や人員の稼働率といった指標が重視されるのが一般的です。

KPIの正しい設定方法

最後にKPIの正しい設定方法を紹介します。目標達成をより堅実に目指すためにも、正しい手順に沿ってKPIを設定しましょう。

自社の業務プロセスを分析する

まずは自社の業務プロセスを見つめ直し、業務の項目や流れを分析しましょう。先述の通り、業種・職種ごとに押さえておくべきKPIは異なります。そして企業ごとに業務フローや社内体制も違います。自社にとって適切なKPIの設定が重要となるため、まずは自社での業務プロセスの分析を必ず行いましょう。

KGIを設定する

次に、大きな目標であるKGIを明確にします。
先述の通り、KPIは最終ゴールを達成するための中間指標です。あくまでKGIを達成するための手段という位置付けのため、KGIを定めておかなければ効果的なKPIを設定できません。そのためKGIを適切に設定しましょう。

KPIツリーを作成する

KGIを設定した後は、業務プロセスの分析結果も参考にしながら、KPIツリーを作成します。KPIツリーがあることによって、中間指標となるKPIの進捗状況や改善をスムーズに行ないやすくなります。

なお、KPIツリーは、最終目標であるKGIを頂点とし、中間指標となるKPIを細分化して樹形図のように設計していくフレームワークのことをいいます。
KGIを頂点とすると、多くの場合でKPIは1つではありません。複数のKPIとKGIの関連性が全体像として把握できることによって、個々人が自分の役割を認識し、計画に対するボトルネックにも早期に気づけるといったメリットがあります。

それぞれのKPI、KGI達成に向けてどのような業務が必要なのか、どの程度達成すれば良いのか、分析しましょう。

KPIの設定に失敗する要因

折角PKIを設定しても、その内容が適切でなければKGIの達成が難しくなってしまいます。下記のような点に注意して、効果的なKPIを設定するようにしましょう。

・定義が曖昧
KPIの定義が曖昧であれば、共通認識が持ちづらくなります。「営業活動を増やす」など曖昧なものではなく、「1日のアプローチ数を〇件にする」など具体的なものを設定しましょう。

・達成できない目標設定
極端に高い目標は、従業員のモチベーション低下につながります。少し頑張れば達成できるような目標を設けましょう。

・期限を定めていない
いつまでにやるのか期限が決まっていなければ、どれだけの期間で何をしたか測定できなくなります。また、アクションも遅れがちになるため、期限を設けることが大切です。

・業務と無関係の項目を設定している
例えば「飲み会を年に〇回実施する」といった項目は、業務とは直接関係がありません。KPIは重要業績評価指標であることを認識し、業務に関する項目を設定しましょう。

・進捗を数値化できない
KPIは数値で測定できることが重要です。数値で測定できなければ、目標達成に対してどれだけ進捗があったのか正確に把握できません。「目標10件に対して、現在の成約数は7件」など、進捗や達成度が数値で測定できるような、KPIを設定しましょう。

KPI設定・運用のコツ

KPIを適切に設定し、運用していくために押さえておきたいコツについて紹介します。

「SMART」が重要!

正しくKPIを設定するためには、「SMART」の観点が重要であるとされます。KPI設定の際には以下の点に気を付けましょう。

S:Specific(明確性)
KPIを明確に言語化することによって、個人の解釈によるブレをなくします。同じKPIに関わる従業員が目標を具体的に共有するために必要な観点です。

M:Measurable(計量性)
求められる達成度合いは、なるべく具体的に数字で示すようにしましょう。達成度合いが数字で計測可能となることにより、目指すべき成果レベルがはっきりとし、評価のブレも少なくなる効果があります。

A:Achievable(現実可能性)
いくら素晴らしい目標でも、はじめから達成不可能と分かっているものであればチャレンジすることも難しくなってしまいます。実際に実現が可能なのかという点も意識しましょう。なお、「努力すれば達成できる」KPIであれば、従業員のモチベーションも高まる傾向にあります

R:Relevant (関連性)
従業員が個々に持つ目標と、KPIの関連性、KPIと企業として目指すKGIの関連性が十分であることが大切です。
個人の動きがどのようにKPIにつながり、そのKPIがどのように企業としての目標達成につながるのか、全体像が把握できることで、企業と従業員のベクトルを合わせることができます。

T:Timely(適時性)
どの企業にとっても、時間は無限ではありません。いずれのKPIも、適切な期限を設定し、達成度を測って振り返ることによってその効果を高めます。KPIは、必ず内容・達成度合いと期限をセットで決めるようにしましょう。

定期的に振り返りを行う

KPIを設定して運用に乗り出した後も、定期的に振り返りを行いましょう。
KPIは一度設定したからといって、そのまま運用して永続的に効果が得られるとは限りません。

KGIが変わらなくても、市場変化や事業方針の変更に合わせて、指標は見直す必要があります。設定したKPIに対して、「達成できた・できなかった」といった検証の他にも、「そもそもこのKPIは現在もベストなのか、他に適切な指標はないのか」といった視点でも分析しましょう。

設定を柔軟に変更する

定期的な振り返りの際に、KPIを見直す必要があると判断された場合は、柔軟に軌道修正しましょう。

KPIは最終的な目標を達成するための、中間目標です。軌道修正が必要な状況をそのままにしておけば、最終目標の達成から遠のいてしまいます。都度、要因を加味して柔軟に対応するのが大切です。

管理ツールを導入する

KPIの数が多くなれば、それだけ管理するのが難しくなってきます。適宜、CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援ツール)といったツールを導入しましょう。システム上で数値を確認したり、共有できたりなることで、業務自体も円滑に進めやすくなるのでおすすめです。

KPIの達成には最適な目標設定が重要

KPIは「重要業績評価指標」を指し、事業における最終ゴールであるKGIに対して、プロセスの達成状況を観測する指標です。

KPIを設定すれば従業員のモチベーション向上や組織力強化、生産性上昇といった効果が見込まれます。その結果、自社の業績向上も期待できるでしょう。
そして、KPIを達成していくためには、従業員個人の最適な目標設定も非常に重要となってきます。

一人ひとりが長期的な視野で目標設定をしていけるよう促すことは、経営者や人事にとって大切な役割です。「あしたの履歴書」のプログラムでは、特に重要となる「目標」と「行動」に焦点を当て、その手法をお伝えいたします。

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