確証バイアスとは?起こる理由や事例、人事ができる対処法を紹介

確証バイアスとは、自分に都合の良い事実だけに無意識で注目してしまう、心理的な偏りです。人の人生を左右する採用面接や、人事異動などにかかわる人事担当者なら、確証バイアスに陥ってしまわないか不安になることもあるかもしれません。

本記事では、確証バイアスとは何か、確証バイアスに対応するための考え方、人事領域における具体例と対策などを解説します。基礎知識を網羅的に知っておくことで、バイアスをかけずに人事業務に取り組み、成果を出せるようになるでしょう。

確証バイアスとは

確証バイアスとは、自分の思い込みや偏った考え方に合致する情報だけを集めてしまい、それ以外の情報を無意識に捨ててしまうバイアスです。ローマ帝国のカエサルは「人は見たいものしか見ない」という名言を残しましたが、これはまさに多くの人が陥りがちな確証バイアスを指したものであると言えるでしょう。

確証バイアスは、思い込みや直感などによって非合理的な判断をしてしまう認知バイアスの一種です。後ほど、確証バイアス以外の認知バイアスについても紹介しますので、参考にしてください。ここで押さえておきたい重要な特徴は、認知バイアスは無意識に、誰でも、頻繁に起こり得るものだということです。

したがって、確証バイアスはビジネスや実生活のさまざまなシーンでみられます。例えば、採用面接において「この人は一流大学を卒業しているから優秀に違いない」という確証バイアスを持ってしまえば、能力を疑うような事実があっても見逃してしまうかもしれません。また、「O型はおおざっぱ」「AB型は変わり者」といったように、さしたる根拠もなく血液型で性格を判断する人も多くいます。

確証バイアスが起こるのはなぜ?

確証バイアスは誰にでも起こり得る自然なことで、これ自体は悪くありません。しかし、確証バイアスによって経営判断を誤ったり、人間関係を悪くしたりするような問題が起きる可能性もあります。

確証バイアスを予防するためには、なぜ確証バイアスが起きるのか、原因や背景を知っておくことが必要です。ここではその主な要因を2つ解説します。

自分の正当性を証明したいから

確証バイアスは、自分の正当性を証明したいという欲求から引き起こされます。例えば、マーケティング戦略の仮説を立てた後は、それを立証するような事実、データに注目してしまいがちです。都合のよい情報ばかりを集めてしまえば、正しい判断ができなくなってしまうでしょう。

正当性を証明したいという欲求は、いろいろな場面で起こります。例えば、厳しいノルマを課せられている営業職なら、努力は報われると思いたいために、非効率な営業方法に気付かなくなってしまうかもしれません。また、大きな責任を担うリーダーが、そのプレッシャーから、よい報告をしてくる部下だけ信頼するようになるケースもあります。

先入観や思い込みがあるから

知らず知らずにレッテルを貼ってしまい、その思い込みから確証バイアスが生じる場合もあります。例えば、「男性は仕事第一であるべきなので育休を取らなくてもよい」「部活動をしていた人は忍耐力がある」などのように、無意識に判断を下してしまうケースがしばしばです。

こうした確証バイアスが強まると、条件反射的に結論を出すようになってしまいます。したがって、自分で間違った判断をしている反省が生まれません。

もっと身近な確証バイアスは、見た目やしぐさなどから受ける印象です。例えば、採用活動の面接官が応募者の第一印象を引きずってしまい、その後の評価に偏りが出るケースがあります。こうした小さな影響まで含めれば、確証バイアスは仕事や日常生活で常に起きていると言えるでしょう。

確証バイアスを防ぐには?

ここでは、確証バイアスを回避するための考え方を5つ紹介します。いずれも業種や職種、ビジネスシーンなどを問わず適用できる考え方ですので、状況に合わせて具体策に落とし込めるでしょう。なお、人事の現場での具体的な方法は、後ほど詳しく解説します。

確証バイアスの存在を認識する

確証バイアスを防ぐ第一歩は、確証バイアスが誰でも頻繁に起こり得るものだと知っておくことです。すでに解説したように、確証バイアスは無意識に生まれるうえに、外部環境によっても引き起こされます。

自分が確証バイアスに陥るかもしれないと意識しておくだけで、自分の判断を疑えるようになります。他人の意見も聞き入れやすくなるでしょう。これによって未然に確証バイアスを防げる可能性が高まります。

他人の確証バイアスが疑われる場合も、それを指摘できます。制度やルールを見直すなどによって、恒久的な対策も取れるようになるでしょう。

批判的な情報を探す

批判的な情報を意識的に探すように訓練するのも、確証バイアスを防ぐ良い方法です。確証バイアスとは、いわば自分の心の中に住むイエスマンに耳を傾けてしまうことで起きる現象ですので、あえて反対意見を考えてみるわけです。このテクニックは、「クリティカルシンキング」や「悪魔の代弁者」などとも呼ばれます。

批判的な情報を探すことで、客観的な視点を得られます。賛成意見と反対意見を比較して、妥当な落としどころを見つけられる場合もあるでしょう。

第三者の意見を聞いてみる

利害関係のない第三者、あるいは専門家に意見をもらうのも良い方法です。つまり、見聞を広げる方法です。もし反対意見や思いもよらない指摘が多かったりすれば、自分の思考の偏りに気付けます。逆に、同じ意見が多いなら、確証バイアスに陥っていないと自信が持てるでしょう。

多様な意見をヒアリングするのは、知見のない事柄に対して確証バイアスが生じやすいからです。例えば、人事担当者がテレワーク導入に伴い、座席を自由に移動できるフリーアドレスに移行するとします。通常、人事担当者はオフィスデザインについて知識が乏しいため、確証バイアスが入り込みやすくなります。

このような場合は、専門業者のアドバイスを受けたり、各部署から1人ずつプロジェクトメンバーを出してもらったりするなどが効果的です。多様な意見を集めることで、確証バイアスを修正しやすくなります。

思い込みの原因を探る

確証バイアスが出てしまった場合には、なぜそのような思い込みが起きたのか原因を探ります。それによって、実害が出る前に問題をなくせる場合があります。また、次に同じ確証バイアスが起こらないように対策が取れるでしょう。

原因の追究が欠かせないのは、確証バイアスが些細なきっかけで起こりやすいからです。例えば、体育会系の部活に所属していた学生の採用数が過度に多い原因を探ってみれば、実は採用担当者が同じ経歴を持っていたことがわかるかもしれません。

もし確証バイアスの引き起こした結果だけ見てしまえば、対策が的外れになる恐れがあります。上記の例なら、「体育会系の学生以外にも、積極的に求職情報を届けよう」などと考えてしまうかもしれません。確証バイアスがあった際は、何が根本的な原因だったのか考えてみる必要があります。

具体的な数値を参考にする

客観的な数値に基づいて判断することも、確証バイアスの防止につながります。確証バイアスの多くは思い込みや自分が正しいという非合理な判断で起きるため、定量的なデータで客観性を担保するのが効果的です。

わかりやすい例を挙げれば、「勤務態度が悪い」といった評価をする際にも、遅刻・早退・欠勤などの勤怠情報と照らし合わせて判断します。主観が入り込む余地のない要素を組み合わせれば、公平な判断をしやすくなるでしょう。

ただし、確証バイアスによって数値を都合よく解釈してしまうリスクは残ります。このため、他の事例の数値と比較してみることも重要です。

人事の現場で起こる確証バイアスの例

人事の現場では、どのような場面で確証バイアスが起こるのでしょうか。ここでは代表的なシチュエーションとして人事評価、人材採用、広報活動の3つを取り上げます。

人事評価での影響

確証バイアスによって、公平な人事評価ができないケースがあります。よくあるのは、目立った部分があった際に、その評価が他に影響してしまうパターンです。

例えば、大口契約を獲得した実績がある社員が優秀だと認識することで、これと無関係な業績の評価も高くなるなどです。あるいは逆に、平凡な経歴に目が行ってしまい、今のスキルを低く評価してしまうようなケースもあるでしょう。

このような不公平な人事評価をしてしまえば、従業員の不満は高まります。改善せずに放置していれば、モチベーション低下によって生産性が下がったり、離職率が高くなったりするなど悪影響が出ます。

人材採用で起こる確証バイアス

採用面接は確証バイアスが起きやすい業務です。人は第一印象で直観的に判断してしまう傾向があるため、確証バイアスの種が生まれてしまいます。

その理由は、人は迷ったときに非言語情報に頼る性質があるからです。心理学の「メラビアンの法則」によると、人はいろいろな解釈ができるメッセージを受け取った際に、しゃべり方やしぐさといった視覚情報に55%依存し、声音やテンポなどの聴覚情報に38%依存する傾向があります。

残り7%が言語情報による判断となるため、ロジカルで客観的な判断はしにくいと言えるでしょう。したがって、短い面接時間の中で、的確に応募者の真意や本質を見抜くのは、ベテランの面接官でも難しい作業であるわけです。

こうした確証バイアスが起こってしまえば、組織に必要な人材を集められなくなってしまいます。また、業務や職種とのマッチングミスを引き起こしてしまい、短期間で離職されてしまうリスクも高まります。

マーケティングで良い効果をもたらす

上記2つの確証バイアスのマイナス面とは別に、確証バイアスを利用したマーケティング手法もあります。つまり、消費者側の確証バイアスを利用して、商品、サービスを伸ばす戦略です。

人事領域においては、採用活動の広報や人材育成などに応用できます。よく使われる手法は、Webサイトやアプリなどに掲載される画像や動画、テキストで構成される「ディスプレイ広告(バナー広告)」です。

例えば、特定の期間を選んで集中的に広告を出したり、権威のあるWebメディアに出稿したりすれば、「この企業は一流企業である」「景気の良い企業なのだろう」などの印象を持ってもらえます。あるいは広告で「人と人をつなぐ」といった共感を呼びやすいビジョンを発信することで、「やりがいを持って働けそうな企業だ」などと連想してもらえる場合もあるでしょう。

もちろん、人事領域においては人と人との信頼関係が軸になるため、節度と配慮が必要です。しかし、情報の受け手の確証バイアスを考えることで、的確に情報発信している企業もあります。

人事が確証バイアスを回避する方法

人事担当者が確証バイアスに陥ってしまえば、不公正な人事評価や人材採用などにつながりかねません。どうすれば確証バイアスの影響を低く抑えられるのでしょうか。

結論から言えば、確証バイアスが起こると想定したうえでの仕組み作りが必要です。すなわち、客観性を確保する仕組み、多様な意見を聞く仕組み、主観が入りにくいように判断材料を絞る仕組みの3つを整える必要があります。

評価基準を明確にする

第一の客観性を確保する仕組みとは、明確な評価基準を持った制度作りです。例えば、採用面接での質問を標準化する「構造化面接」という手法があります。偏った内容の質問ができないために、面接官の主観や思い込みによる確証バイアスが生じにくくなるのが特徴です。

また、ITツールを活用した人事評価のスコアリング(数値化)によって、評価作業を一律化し、公平性を高めようとする企業も増えています。

360度評価を取り入れる

第二の多様な意見を聞く仕組みとは、いろいろな関係者を意思決定に加える制度です。例えば、人事評価においては「360度評価」を導入する企業が増えています。

360度評価は、人事担当者や上司のほかに、従業員の同僚、部下にも意見をヒアリングする手法です。これによって、今まで気付かなかった長所や短所、結果に至るまでのプロセスなどを評価できるようになります。

過去の評価・実績を参考にしない

第三の主観が入りにくいように判断材料を絞る仕組みとは、関係のない物事を思い込みで関連付けないように評価対象を限ることです。例えば人事評価においては、過去の評価や実績を参考にせず、当期の成果への貢献度だけで判断するようにします。

企業によっては、特定の仕事のみを与えて成果を判断する、欧米型の「ジョブ型人事制度」を採用する企業も増えています。

ビジネスに影響を及ぼす他のバイアス

確証バイアスのほかにも、ビジネスに影響を及ぼす心理的なバイアスはたくさんあります。ここでは代表的なバイアスを5つ選んで紹介します。

正常性バイアス

正常性バイアスとは、異常事態が起こっても「たいしたことはない」「想定の範囲内だ」などと思い込もうとするバイアスです。正常性バイアスは冷静さを保とうとする無意識の反応ですが、深刻な異常事態が起きた際に対応が遅れてしまいます。

正常性バイアスは短期的な異常事態だけでなく、長期的なものにも働きます。例えば、長時間労働が常態化している企業では、「今まで問題がなかったから、たいしたことではない」などと事実を曲げて解釈してしまいます。その結果、従業員の健康被害や過労死などの重大な問題を引き起こしてしまいます。

アンカリング効果

アンカリング効果とは、初めに目にした数値や条件が判断基準(アンカー)となり、その後の数値、条件を正しく判断できなくなるバイアスです。アンカーとは船のいかりのことで、最初の印象にとらわれて動けなくなる様子を表しています。

アンカリング効果の身近な事例は、広告でよく使われる「定価○○円のところ、半額の△△円」などのフレーズです。多くの人は最初の価格を目にしたことで、販売価格が安い、お得だと考えます。同様に、人事担当者が先に上司の低い人事評価を見たことで、従業員の高い自己評価を疑わしく思ってしまう場合があるのも、アンカリング効果の一種です。

ハロー効果

ハロー効果とは、目立つ部分の特徴によって、他の部分の判断に影響が出るバイアスです。ハローとは天使や神の「後光(halo)」の意味であるため、後光効果、光背効果とも言います。ただし、ハロー効果は肯定的な判断が増えるポジティブ・ハロー効果だけでなく、否定的な判断が増えるネガティブ・ハロー効果もあります。

ハロー効果の代表例は、著名な芸能人を使ったCMです。芸能人への好意や信頼感などの影響が、商品の印象に反映されます。ブランド戦略、イメージ戦略も広い意味ではハロー効果を用いた施策です。

人事評価においても、特定の項目に過度に着目してしまえば、他の要素に影響が出ます。例えば、強いリーダーシップを持った管理職に対して、さしたる根拠もなしに人材育成力も高いなどと判断してしまうなどです。

バンドワゴン効果

バンドワゴン効果とは、多くの人が評価している事柄に対して同調し、後追いしたくなるバイアスです。バンドワゴンとはパレードの先頭を行く楽隊車のことであり、群衆がそれに付いていく様子をバンドワゴン効果の特徴として表しています。

例えば、人気歌手であるというだけで曲を聴きたくなったり、高騰している株の銘柄をさらに高値で買いたくなったりするのは、バンドワゴン効果が関係しています。一般消費者向けの商品では、「メガヒット御礼」「累計出荷数○億本」などの広告文のように、バンドワゴン効果をあおるようにプロモーションされるケースもしばしばです。

バンドワゴン効果では、最後に乗った人が大きな不利益をこうむるのが特徴です。例えばバブル崩壊で大きな被害を出したのは、末期に不動産投資を始めた人たちでした。バンドワゴン効果という群衆心理に陥らないようにするには、自社の理念やビジョンなどを明確にしておく必要もあります。

コンコルド効果

コンコルド効果とは、投資資金が増えるにつれて、たとえ損失がわかっていてもやめにくくなる心理です。この名称は、巨額の資金を投じて開発した超音波旅客機の「コンコルド」が、赤字が出続けるとわかっているのに、経営層が責任を取りたくないために運行が続けられ、破綻したことに由来します。平たく言えば、引くに引けなくなってしまう心理と言えるでしょう。

コンコルド効果に特に注意したいのは、経営層やマネジメント層です。投資資金を回収できない見込みが立った時点で、縮小、撤退を考えなければなりません

人事の領域においても、長年資金を投じてきた人材育成プランやオフィス環境の整備などの見直し、撤廃は勇気が要ります。しかし、順調ではない施策を改善なしに続けている際は、コンコルド効果に陥っていないか疑うべきです。

確証バイアスが起こりにくい習慣を付けよう

確証バイアスは、思い込みや先入観などによって、自分にとって都合の良い事実ばかりに注目してしまうことです。人間誰しも起こり得ることですので、あえて批判的な意見を挙げてみたり、具体的な数値を参考にしたりするなど、確証バイアスが起こりにくい習慣を付けましょう。

人事領域では採用面接の質問を標準化する構造化面接を導入したりするなど、確証バイアスを防ぐ仕組み作りも必要です。「己を知れば百戦あやうからず」ではありませんが、人間心理を学んだうえで対処していきましょう。

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