
働き方改革や新型感染症の影響で、これまでとは違う働き方や制度が取り入れられつつあります。「ジョブ型」と呼ばれる制度も、そのうちの一つです。今回は、ジョブ型人事制度について紹介していきます。
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ジョブ型人事制度とは?
はじめに、ジョブ型人事制度の概要を紹介します。ジョブ型人事制度とは、簡単にいえば業務内容に着目した人事制度のことです。
人材募集の段階から、ジョブディスクリプション(職務記述書)を発行し、それに基づいた人材を採用します。採用された人材は、原則的にジョブディスクリプションに記述された業務のみを行います。
ジョブ型人事制度と対比されるのが、職能に着目したメンバーシップ型雇用です。日本の「年功序列型」と呼ばれる制度は、メンバーシップ型人事制度の考え方になります。
メンバーシップ人事制度では、新卒一括採用で多くの人材を獲得し、転勤や異動を経て会社が人材を育てていく考え方です。
最近では、日立製作所や富士通がメンバーシップ人事制度からジョブ型人事制度へと移行を進めています。なお、ジョブ型人事制度はアメリカなどの欧米では主流の制度です。
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ジョブ型人事制度のメリット・デメリット
続いて、ジョブ型人事制度のメリットとデメリットをそれぞれ4点ずつ紹介します。
ジョブ型人事制度のメリット
まずは、メリットを4つ解説します。
・勤続年数・年齢に縛られない給与設定ができる
ジョブ型人事制度では、業務ごとに給与を設定できるため、年齢や勤続年数が関係ありません。そのため、優秀な人材でポジションが上がれば、給与も上がっていきます。年功序列にはならないため、若手にもチャンスがあるのが特徴です。
一方、年齢や勤続年数で決まらない分、20代の従業員の給与よりも40代の給与のほうが低いといったこともあり得ます。ジョブディスクリプションに規定された職務レベルによって給与が決まることから、実力主義的だといえるでしょう。
・即戦力を採用しやすい
ジョブ型人事制度では、採用の面でもメリットがあります。それは、自社の求める人材を採用しやすい点です。求人時にジョブディスクリプションも合わせて提示しておくことで、採用者に任せたい業務が明確になります。
その上、応募者も業務内容を理解した上で入社を検討しているため、双方のマッチングがしやすいといえるでしょう。入社後も、ジョブディスクリプションに沿った業務を進めてくれるため、会社の即戦力となるはずです。
・社員の専門性を高められる
ジョブディスクリプションで業務の範囲を指定している分、社員の専門性が高まりやすいのがメリットです。社員一人ひとりが専門性を持っていることで、業務の質の向上につながる可能性もあります。
・業務の効率化や人件費の削減ができる
ジョブディスクリプションに沿って従業員を採用しているため、業務の無駄がなくなります。また、「誰がどの業務を行うのか」が明確になっているため、生産性の向上にもつながるでしょう。
生産性が向上することにより、人件費の削減にもつながる可能性があります。
ジョブ型人事制度のデメリット
ジョブ型人事制度は、良い面だけではありません。デメリットも踏まえた上で導入を決めるとよいでしょう。
・ジョブディスクリプションに合う人材が探しにくい
ジョブ型人事制度では、採用の難易度が上がってしまうのがデメリットです。ジョブディスクリプションで業務の範囲を限定しているころから、応募数も少なくなるでしょう。そこから採用に至る確率は、これまでのメンバーシップ型採用よりも低い可能性が高いです。
・社員のスキルアップは当人に委ねられる
社員教育のしにくさはデメリットだといえます。ジョブ型人事制度では、それぞれ業務が分かれていることから、まとまった研修は実施しにくい傾向にあります。そのため、どうしてもスキルアップは従業員任せになってしまうのです。
・仕組みの運用が複雑
ジョブ型人事制度を運用していくためには、すべての社員のジョブディスクリプションが必要になります。ポジションをこまかく決めた場合には、より運用が複雑になるといえるでしょう。給与面も含めて、メンバーシップ型よりも手間や時間がかかります。
・ポジションを上げることが難しい場合がある
ジョブ型人事制度では、上のポジションが固定化される可能性が高まります。そのため、管理職ポジションになりたい従業員は、社外へ流出してしまうこともあるでしょう。
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ジョブ型雇用制度の設計方法
ここでは、具体的にジョブ型雇用制度を設計する方法を紹介します。結論からいえば、以下の4つの手順で進めていくことになります。
- 社内の業務の洗い出し
- ジョブディスクリプションの作成
- ジョブディスクリプションに基づきポジションの決定
- ジョブ・ポジションをもとに給与の検討・決定
以下では、手順ごとの詳細を詳しく解説していきます。
社内の業務の洗い出し
まずは、社内の業務の洗い出しからはじめましょう。どの部署で、どのような業務を行っているのかをとりまとめます。組織が大きい場合には、洗い出しの時間がかかる点には注意が必要です。
また、従業員の協力も欠かせない部分でもあります。可能であれば一人ひとりの従業員と面談し、業務内容を聞き取るとよいでしょう。また、アンケートやフォームでの記入などの方法を用いると負担が少なくなります。
この洗い出し作業が細かくできていると、次のジョブディスクリプションの作成が楽になります。
ジョブディスクリプションの作成
洗い出しが完了したら、ジョブディスクリプションの作成をしましょう。全社員のジョブディスクリプションを作成することが理想的です。
その理由としては、社員一人ひとりが行っている業務は異なることが挙げられます。ジョブディスクリプションが記述できないと、ポジションや給与の検討が曖昧になってしまうので注意しましょう。
なお、ジョブディスクリプションについては、完成したら社員と共有することをおすすめします。それぞれの社員が業務の範囲を知ることで、業務がより効率化されることでしょう。
本人だけでなく上長にもジョブディスクリプションを確認してもらうと、部下の業務の範囲を知ることができるためおすすめです。
ジョブディスクリプションに基づきポジションを決定
ジョブディスクリプションの整理が終わったら、ポジションを設定していきます。基本的にポジションは、現状のメンバーシップ型における役職だと考えてください。役職をもとにポジションを大まかに決めていきます。
その後、「ここにこのポジションが必要だ」となった場合には、適宜ポジションを追加します。
ただし、あまり細かくしすぎてしまうと運用の負担が大きくなってしまう点に注意してください。負担が大きくなりすぎると、ジョブ型人事制度が形骸化してしまう可能性があります。
ジョブ・ポジションをもとに給与の検討・決定
最後に給与を決定しましょう。給与は、ポジションに基づいて決めていきます。ポジションと業務内容を掛け合わせて検討してください。この際、給与に少し幅を持たせておくと、評価に基づいた給与の上げ下げが可能になります。
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ジョブ型雇用導入の注意点
ジョブ型人事制度の注意点を紹介します。
業務内容が変わる場合には再契約が必要
ジョブ型人事制度では、基本的に業務内容を変えることはできません。契約時に提示したジョブディスクリプションをもとに運用しているからです。
仮に業務内容の変更を従業員にしてもらう場合には、改めて契約を結ぶ必要があります。従業員には拒否する権利もあるため、業務内容を変えるのは難しいといえるでしょう。
ポジションを上げるのは簡単だが下げるのは難しい
ジョブ型人事制度の場合、ポジションを下げるのが難しくなります。ポジションによって給与が決まっているため、ポジションが下がると給与が下がるからです。従業員の反対も受けるでしょう。
逆に、ポジションを上げるのは比較的行いやすいといえます。給与も役職も上がるため、従業員が納得しやすいからです。
人事担当者は、この点を頭に入れながら制度を運用していく必要があるといえるでしょう。
組織としての一体感を出す工夫で離職を防ぐ必要がある
ジョブ型人事制度は、離職率を高める要因になることがあります。それは、新しいポジションを探して転職する従業員が増えるからです。そのため、企業としてできることは、組織としての一体感を出す工夫や、充実した福利厚生などだといえます。
特に優秀な社員ほど上のポジションにつくために転職してしまう可能性があるため、注意が必要です。
ジョブディスクリプションの運用方法を考えておく
ジョブディスクリプションの管理・運用は負担の大きな仕事です。そのため、どの程度まで細かく業務を行うのかを決めておくとよいでしょう。
その他の業務の負担が大きかったり、人的リソースが不足している場合には、ディスクリプションの更新頻度を落としたりする必要があるといえます。
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まとめ
本記事では、ジョブ型人事制度について紹介しました。ジョブ型人事制度は、導入企業も少なく、海外の事例から学ぶことも大切です。必要に応じて自社に合う形にアレンジしながら運用するとよいでしょう。
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