絶対評価と相対評価の違いとは?人事評価制度におけるメリット、デメリットを解説

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(写真=janews/Shutterstock.com)

人事評価において、絶対評価と相対評価のどちらが優れているのかという議論は長く続いています。

どちらにも一長一短ありますが、現在の経営環境をふまえると絶対評価を推す声が多いのが実情です。それは中小企業においても例外ではありません。

絶対評価と相対評価それぞれの特徴と、絶対評価が重視されるようになった理由についてみていきましょう。

絶対評価と相対評価の違い

人事における絶対評価とは、設定された目標をどの程度達成できたかによって処遇を決定する評価方法です。目標をクリアすれば高評価がつき、未達成だと低評価がつきます。他社員との比較ではなく、評価基準に従って一人一人を客観(絶対)的に評価するので、周囲の成績に左右されることはありません。

評価基準は一律ではなく、部門や職種あるいはポジションによってそれぞれ作成されます。スポーツに例えると、42.195キロを〇時間〇分以内に走ればオリンピック出場資格を与えるというものです。

それに対し相対評価とは、他者との比較により評価する方法です。「AさんよりBさんの方ができた」「CさんはDさんよりできなかった」と、集団の中で順位を決めることで優劣をつけます。オリンピック資格は上位5人に与えるというのが、分かりやすい例です。

相対評価においては、例え自分の目標を達成しても、他にそれを超える結果を出した社員がいれば評価は下がります。逆に、未達成でも周りの結果がそれよりも悪ければ、相対的に評価が上がります。

相対評価は、評価する側からすると判断がしやすいのが長所ですが、される側からすると分かりにくいという短所があります。頑張っても評価されない時もあれば、手を抜いても評価される時もあるためです。何をもって給料が上がるのか明確でない状態は、モチベーションを著しく低下させます。

  絶対評価 相対評価
方法 期首に立てた目標の達成度で評価する。
被評価者の順位付けにより優劣を決定し評
価する。
メリット
✔︎ 目標を達成すれば、他の被評価者に関係になく評価されるためフェアで納得感がある。
✔︎ 順位付けで評価を行う為、定められて給与原資の枠内での分配が容易である。
デメリット ✔︎ 昇給原資との調整が困難である。
✔︎ フェアな評価とはならない場合がある。
✔︎ 部下の給与を上げるために甘めの評価になる。
✔︎  仮に全ての社員のパフォーマンスが期待外れであっても順位付けにより高評価者が発生する。

絶対評価が重視されるようになった理由

人事においては、絶対評価を取り入れるべきだという考えが主流になってきています。その理由は、絶対評価の持つ透明性にあります。

どのような基準に基づいて、どのような結果になったのかが明らかであれば、人事評価に対する信用度が上がります。

社員がきちんと評価されている実感を持てなければ、どんな制度もうまく機能することはないので、透明性や客観性は不可欠な要素と言えるでしょう。

絶対評価を取り入れることによって、社員のパフォーマンスが上がることも期待できます。

具体的な方向性を示すことで必要な業務に集中でき、無駄な業務が減ります。自身の目標の達成が組織にどのような結果をもたらすかをイメージできれば、モチベーションの向上にも役立つでしょう。

その結果、組織全体の力が最大限に発揮できます。

学校現場においても、相対評価より絶対評価を採用する動きが見られます。

学校では、学年や学級などの集団においてどのような位置にあるかを見る「集団に準拠した評価」(=相対評価)が長く重視されてきました。

しかし、少子化に伴い個性を重視したり、評価への信頼性を高めたりする必要が生じたことから学習指導要領が改正され、2002年以降は「目標に準拠した評価」(=絶対評価)による成績評価へと大きく流れが変わりました。

企業においても学校においても完全に相対評価がなくなったわけではありませんが、全体としては絶対評価を重視する傾向が強くなってきているのは確かです。

人事評価制度における絶対評価のメリット・デメリット


人事評価制度における絶対評価のメリット・デメリットをそれぞれ解説します。

絶対評価の3つのメリット

・明確な評価が可能
目標への達成度で評価がきまるため、曖昧な評価を排除できるというメリットがあります。

人事評価への不満でよく挙げられるのが、上司の裁量重視の判断基準が不明瞭な評価。日本はそもそも年功序列、終身雇用が前提の雇用システムのため、曖昧な評価が横行してきました。


絶対評価、成果主義の評価を取り入れることで、評価基準を周知させ明確な評価を実現できるでしょう。

・モチベーションの向上
目標が評価と直結するため、努力すべきところが明らかになり社員のモチベーション向上を助けます。

目標を達成してもしなくとも評価に直結しない場合と比べて、目標達成への求心力が上がると同時に、成果に対して相応の評価をもらえるということが次の仕事へのやる気につながるでしょう。

・効率的なスキルアップ
絶対評価は成果で見る厳しい評価とも言えますが、結果がはっきりとする分自分が不足している部分も明らかになりやすいです。


「達成できなかったのは何が足りなかったのか」という観点から、自身のスキルアップが必要な部分が明確になりやすい仕組みです。
そのため、それに関連したスキルアップを重点的に行うことができ、効果的なスキル向上が期待できるでしょう。

絶対評価の3つのデメリット

・昇給原資との調整が困難
絶対評価では、昇給の原資をどれくらい確保しておけば良いか予測を立てることが難しいです。相対評価であれば、社員同士を比較して、予め決まっている昇給の予算を振り分ければよいので、調整しやすいです。


絶対評価では、全員が成果を出した場合には、予想以上の昇給金額になることも想定されるため、調整が難しいデメリットがあります。

・成果までのプロセスが加味されない
絶対評価は成果までのプロセスが評価されないという難点があります。
成果は本人の実力や努力のみならず、その時の社会の動向など外的な要因によって果たされない場合も多々あることです。

その時点では成果が出ていない事柄であっても、それまでのプロセスがどうであったかによって将来的に貢献しそうな人物であるかどうかの評価には違いが出るでしょう。

・数値化できない業務への適用が難しい
事務職や研究職など業務内容の中には数値化が難しかったり、成果がでるまでには長期の時間が必要だったりするものがあります。

そういった評価の時点で数値ができない業務に絶対評価を適用することは難しいです。適用したとしても、曖昧さが残りやすいでしょう。

絶対評価運用のポイント

中小企業も例外ではありません。社員が1人でもいれば、絶対評価の導入が求められます。

「個人に対して正当な評価を行い、報酬によって応える」という姿勢は、従業員の規模とは無関係に必要だからです。少ない社員だから手厚く人事評価ができるという自信は、「人数が少ないから相対評価が簡単」と言っているにすぎません。

もちろん、絶対評価を導入すれば万事うまくいくわけではありません。運用においては、さまざまな課題が存在します。まず、目標や評価基準は単純な業務成績だけでなく、プロセスや行動レベルまで考慮することが求められます。

1990年代に多くの企業がアメリカ式成果主義を導入した際、社員が自身の業績を重視するあまり部下の育成に消極的になるなど、間違った個人主義が横行しました。

そのため、業績評価だけでなく、それを生み出すプロセスや適性などを踏まえた行動評価も、併せて行う必要性が明らかになりました。

また、目標設定は社員それぞれに対して行われなければなりません。所属する部門や職種、勤続年数やポジションによって求められる要素やレベルは異なります。技術部門1年目の社員と営業部門の10年目の社員では、越えるべきハードルが違うのは当然のことです。

以上のことから分かるように、人事における絶対評価は運用上の負担が大きいのが実情です。それだけに、人事評価は単なる給与査定ではなく、人材育成も兼ねていると考えるべきです。

絶対評価においては、経営者と社員の間で目標に対する合意が取れていることが非常に重要です。経営環境や個人の適性から評価基準を交渉・共有化し、評価のフィードバックを行うことは、社員の育成に大いに役立つと考えられます。

・ 個人の能力やポジションに合った目標(客観的基準)を設定すること
・ 結果だけではなくプロセスや行動レベルにも着目すること
・ 目標をすり合わせることによって社員の人材育成につなげること

上記3点に注意しながら、適切な人事評価制度を取り入れることにより、企業全体の長期的なパフォーマンス向上につながります。

絶対評価を上手に活用して公正な人事評価を実施しよう

絶対評価は成果で判断するため、評価基準が明確で評価にありがちな曖昧さを排除できるメリットがある一方で、プロセスや質的な評価をまで排除してしまうデメリットがあります。

絶対評価は人事評価に必要考え方ではありますが、コンピテンシー評価など他の評価方法を組み合わせながら、自社に合った活用方法を見つけることが重要です。

人事評価者への評価も加味しながら、社員が実力を発揮させやすい人事評価システムの構築を目指しましょう。

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