ホーム > 経営者・人事部向け > インクルージョンの意味を簡単に解説!実は、ダイバーシティとは切っても切れない関係

インクルージョンの意味を簡単に解説!実は、ダイバーシティとは切っても切れない関係

(画像=Cecilie_Arcurs/iStock)

ダイバーシティ経営に乗り出す企業が増えているなかで、「インクルージョン」という言葉を目にしたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

インクルージョンとは「包括」「包含」を意味する言葉であり、実はダイバーシティとは切り離せないものです。

今回はインクルージョンに関する基本的な情報と、ダイバーシティとの関係性、そしてインクルージョン&ダイバーシティの実践例などを解説します。

インクルージョンとは?

インクルージョンとは、「包括」「包含」「一体性」などの意味を持つ言葉です。

ビジネスの世界では、企業内の誰にでも仕事に参画・貢献するチャンスがあり、平等に機会が与えられた状態を指します。

また、個人が持つ特有のスキルや経験、また価値観などが認められ、活用される社会・組織を目指すものです。

教育の分野においては、障がい者と健常者が同じ教室で学習することを「インクルージョン教育」と呼ぶことでも知られています。

インクルージョンがダイバーシティ推進の中で登場した経緯

インクルージョンの考え方に近い言葉には「ダイバーシティ」という言葉があります。

もともとはダイバーシティという考え方が先に生まれ、その推進を進める中でインクルージョンという考え方は生まれました。

1960年代に米国で起こった公民権運動によって、マイノリティの権利が認められるようになると、企業に「ダイバーシティ」を推進する動きが広まります。

歴史的な背景により従来から移民が多いアメリカでは、企業がマイノリティ従業員を受け入れ、多様性を持った経営を行おうことは必要不可欠でした。

そこで、多様な人材の相違を認め登用を目指す「ダイバーシティ」を推進する企業が増えたのです。

ところが、実状は「〇%のヒスパニック系社員を雇用する」といった表面的なもので、社員の定着率は低く、採用・教育に係る費用ばかりがかさむ状況に。

そうした実態に対し、1980年代に生まれたのがダイバーシティにインクルージョンをプラスした考え方です。

雇用する従業員におけるマイノリティの割合だけに注目するのではなく、マイノリティであっても能力・創造力を発揮できるようモチベーションが向上する職場環境、またそれぞれの従業員が働きやすい職場を整える動きが推進され始めました。

ダイバーシティ&インクルージョンとは?

このようにして、ダイバーシティにインクルージョンをプラスした「ダイバーシティ&インクルージョン」という言葉は生まれました。

日本企業では「ダイバーシティ」が一般的ですが、ダイバーシティ&インクルージョンとはどのような言葉なのでしょうか?

ダイバーシティ&インクルージョンを理解するためには、まずダイバーシティについて知る必要があります。

ダイバーシティとは「多様性」と訳される言葉であり、年齢や性別、人種などにかかわらず、さまざまな人々が社会や組織に参加する機会を得ることを目指そうという考え方です。

ところが、ダイバーシティは多様な人々の参加は促すものの、参画したあとの体制づくりや継続性の部分で不十分なところがありました。

一方、インクルージョンの考え方は、「個々の考え方や能力をいかに活用していくか」に焦点を当てたもので、人材登用後の制度や風土づくりに重きをおく考え方です。

「多様な人材が社会・企業で活躍する」ことを実現するためには、ダイバーシティとインクルージョンの考え方双方が必要不可欠なのです。

ダイバーシティ&インクルージョンとは、あらゆる多様性を受容し、どのような人であっても活躍する機会がある社会・組織を作っていこうとする理念となります。

日本でのダイバーシティ&インクルージョンの動向

もともと多種多様な人種を受け入れてきたアメリカや、多くの国家が密集しているヨーロッパなどと比較して、日本ではダイバーシティ&インクルージョンに対する取り組みは遅れてきました。

近年は、経済産業省が「ダイバーシティ経営」を推進し、「女性」「外国人」「高齢者」「障がい者」を含めた多様な人材が事業に参画しやすい制度を設けており、実際に効果を表している企業を表彰するなどしています。

経済産業省では、企業の経営戦略としてのダイバーシティ経営の推進を後押しするため、「新・ダイバーシティ経営企業100選」や「なでしこ銘柄」の選定により、先進事例を広く発信するとともに、女性を含む多様な人材の活用を経営戦略として取り込むことをより一層推進するための方策を検討しています。

経済産業省『ダイバーシティ経営の推進』より

日本における「ダイバーシティ」は、実質的にダイバーシティ&インクルージョンを目指すものです。

一方で、日本ならではの「ダイバーシティ」ではなく、あえて「ダイバーシティ&インクルージョン」を掲げる企業も増えており、特に外資系企業では強く推進するところも多いです。

ただし、日本でダイバーシティ経営を取り組む会社には、ダイバーシティに対して誤解を抱いている会社が多いのが実情です。

それは、「ダイバーシティ=女性の活躍を推進すること」だという考え。

たしかに、女性の活躍はダイバーシティの目的の1つですが、女性の活躍推進をしておけばダイバーシティが実現できていると考えるのは間違いです。

多様な人材は、もちろん女性以外にもさまざまですが、日本ではダイバーシティ経営の名の下に、女性の登用・活用を推し進める会社ことを目標にする会社が圧倒的に多いのが実情となります。

日本でも「インクルージョン」を加味したダイバーシティ経営は広まりつつありますが、まだまだ課題が残っている状態と言えるでしょう。

企業のダイバーシティ&インクルージョン導入事例

日本の企業においても、ダイバーシティ&インクルージョンの理念を導入し、実践している企業は少なくありません。

ここでは、ダイバーシティ&インクルージョンのために、各企業が実際に行っている取り組みを紹介します。

事例1.パナソニック

パナソニックもダイバーシティ&インクルージョンに対する取り組みを進めており、女性管理職を増やしたり、育児・介護とキャリア継続の両立のための支援制度を充実させたりしています。

また、高齢者や障がい者の雇用やLGBTなどのマイノリティへの理解を促進し、ハラスメントや差別などが起こらないように対応を進めています。

事例2.リクルート

リクルートの経営理念には「個の尊重」が掲げられており、2006年にはダイバーシティ&インクルージョンを推進する専任組織を設置しています。

労働環境の改善から始まり、保育施設の設置や育児と仕事の両立支援など、女性が活躍できる職場環境を整えてきました。

また、リモートワークを導入するなど働き方そのものの変化に対応したり、LGBTQなどのマイノリティに対する体制づくりも進めたりしています。

ダイバーシティ&インクルージョン導入に欠かせない考え方

企業においてダイバーシティ&インクルージョンを推進するためには、「多様な人材が参画しやすい体制・風土づくり」が最も重要です。

特に、日本企業においては女性の活躍ばかりに焦点が当たっているところがあるため、もっと広範な多様性を確保できるように努力すべきです。

そのためにも、人材の多様性にどのようなものがあるのかを実例も含めて理解する必要があります。

また、多様性を維持することが経営目標につながるという共通認識を社内に浸透させることも欠かせません。

ダイバーシティ&インクルージョン導入のポイント3つ

ダイバーシティ&インクルージョンを導入するためには、単に理念を掲げるだけでは足りません。ここでは、実践していくために必要な3つのポイントを紹介します。

1.制度・体制を整備する

ダイバーシティ&インクルージョンを実施するにあたり、まずは制度・体制を整備していくことが欠かせません。

たとえば、足の不自由な障がい者を雇用するためには、社内をバリアフリーにして社内を通りやすくするために、道幅を配慮する必要があります。

また、体力的に長時間の仕事が難しい場合や通院状況などを考慮に入れて、細切れでの休暇が取得できるよう休暇制度を見直すなどの対応が必要でしょう。

さまざま人々が働きやすいように、それぞれの背景の状況に配慮して、育休などの制度を整えたり、教育プログラムを導入したりすることが重要です。

また、多様な人材が集まるということは、評価の手法も見直す必要がでてくる場合もあります。全社員の評価を公平かつ客観的に行える人事評価制度であることが望ましいでしょう。

2.社内の意識を変化させる

ダイバーシティ&インクルージョンを導入するには、制度を変えるだけでは足りません。管理職や従業員に多様性を受け入れる意識を持ってもらわなければ、本当の意味でダイバーシティ&インクルージョンが達成されているとは言えません。

多様な人材さえ雇用すればよいと考えるのではなく、それぞれが実力を発揮できるようにお互いを尊重する意識を持たせることを目標にしましょう。

3.誰とでも垣根なく発言ができる風土

多様性を確保するためには、誰とでも垣根なく意見を言い合える風土が必要です。

どれだけ多様な人材を雇ったとしても、それぞれの価値観や能力を発揮できなければ意味がありません。

従業員一人ひとりが持つ独特の意見・考えこそ、経営を支えるものだという意識が社内に広まるようにしましょう。

インクルージョンとダイバーシティのワンセットで推進しよう!

インクルージョンとダイバーシティは、それぞれが重要な意味合いを持っており、多様な人材の活躍には両者ともに欠かせない考え方です。

ただ単に多様な人材を確保すれば、人材不足を抱える企業の問題解決につながるとは限りません。

重要なのは、多様性に注視するだけではなく、それを活かすための体制を構築することにあります。

すでにダイバーシティ&インクルージョンを実施している企業も多いため、そうした実践例をお手本にしたり参考にしたりして、人材の確保や育成、体制の構築に取り組むと良いでしょう。

人事評価制度の「いまとこれから」

人事評価制度サービスをリードし続けるあしたのチームが考える人評価制度の「いまとこれから」、深い洞察とエビデンスに基づいた最新のレポートをダウンロードいただけます。


人事評価制度の役割とこれから〜基礎編〜
この基礎編では、人事評価制度の本質的な役割と位置づけを考察します。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

人事評価制度の役割とこれから〜基礎編〜


人事評価制度の役割とこれから〜応用編〜
応用編では、人事評価制度を導入するにあたっての問題点とこれからを考察していきます。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

人事評価制度の役割とこれから〜応用編〜


人事評価を制度化する意義とその効果とは
人事評価を制度化する意義やその効果についてあらためて考えます。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

人事評価を制度化する意義

あしたのチームのサービス

導入企業3000社の実績と12年間の運用ノウハウを活かし、他社には真似のできないあらゆる業種の人事評価制度運用における課題にお応えします。


あしたのチームのサービス
人事評価制度の構築・運用支援、クラウド化。 これらをワンストップで提供することにより、企業の成長と従業員の育成を可能に。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

サービスガイド


あした式人事評価シート
あなたの会社の人事評価制度は運用しにくい制度かもしれません。人事評価制度を適切に運用するノウハウと、その理由をお教えます。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

評価シート