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働き方改革で注目される裁量労働制とは?導入のメリットとデメリットを知ろう

(画像=redhumv/iStock)

働き方改革が推し進められる中で注目されている裁量労働制。企業で導入を検討する際は、制度の仕組みや特徴を知り、その効果や注意点を知っておくことが重要です。本記事では、制度の具体的な内容や、導入のメリット・デメリットなどを解説します。

裁量労働制とは?

裁量労働制は、労働時間に対する考え方が特徴的で、通常の規則とは異なります。ここでは、裁量労働制の定義や特徴を説明します。

裁量労働制の定義

裁量労働制とは、労働基準法が定める労働時間制度のひとつで、実労働時間数によらず、あらかじめ定めた時間数を働いたものとみなす制度です。

通常、労働時間は労働基準法という法律によって定められており、それに従わなければなりません。

例えば、原則として使用者(会社側)は労働者を1日に8時間、1週間に40時間を超えて働かせてはならないことになっています。

仮にそれを上回って働かせる場合は、労使間(会社側と労働者側)で「36協定」という時間外労働協定を結ばなければなりません。

また、通常は労働時間だけでなく、労働時間帯についても就労規則によって定められていることが一般的です。

しかし、裁量労働制はそういった労働時間や業務遂行の手段を問わない特定の業務に適用されます。実際の労働時間数ではなく労使協定で定めた労働時間数を働いたものとみなすのです。

裁量労働制の特徴

裁量労働制は、働き方、報酬、適応対象といった点で大きな特徴があります。まず労働者には出退勤時間の規定がなく、基本的に働く時間帯や時間数を問いません。

また、報酬は年俸制などによって定められることが多く、実労働時間が長いからといって残業代は上乗せされないのが普通です。

そして、この制度は全ての業種が対象ではなく、適用される業種が法律で定められています。

要約すると、裁量労働制とは業務遂行の手段や時間配分などを労働者に委ねる特定の業務について、就労時間帯や実労働時間を問わず、労使協定で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度です。

この裁量労働制を導入するには、労使間で協定を結ぶ必要があります。会社側の判断だけで裁量労働制は導入できません。

協定は、労働組合の代表者か、労働者の過半数を代表する人物と会社側で行います。この協定に盛り込む内容としては、具体的な時間配分や業務遂行時間の指示をしないという規定に加え、長時間労働が常態化する場合の対策、健康管理の方法や問題解決窓口の設置などです。

協定を締結したあとは、労働基準監督署に届け出を行う必要があります。

裁量労働制が適用できる職種とは?

裁量労働制は、労使協定を結んだからといって、どの職種であっても導入できるわけではありません。

「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」ごとに対象業務が規定されています。

専門業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制は、業務遂行手段や時間配分などに関して使用者が具体的な指示をしない業務が対象で、19種類が定められています。

研究や開発に関する業務としては、新商品開発、プログラマー・システムエンジニア(コンサルタント含む)、大学の研究職といったものが対象です。

クリエイティブに関する業務では、放送・映画コンテンツのプロデューサー・ディレクターやメディアの取材編集といったものが含まれます。

また、デザイナー、コピーライター、インテリアコーディネーター、ゲームソフトの創作といった業務も対象です。

金融関連では、証券アナリストや金融商品開発といった専門的な業務が対象になります。

士業は多くのものが該当し、公認会計士、弁護士、建築士、不動産鑑定士、弁理士、税理士、中小企業診断士といった業務が対象です。

企画業務型裁量労働制

企画業務型裁量労働制は、業務遂行手段や時間配分などに関して使用者が具体的な指示をしない「事業運営の企画、立案、調査及び分析の業務」が対象です。

まず経営企画に関する部署では、経営状態・経営環境などについて調査・分析を行い,経営計画を策定する業務や、社内組織の調査・分析・編成といった業務が対象になります。

人事や労務に関する部署では、人事制度の調査・分析や制度策定の業務、社員教育や研修計画策定に関わる業務が対象です。

財務経理に関する部署では、財務状態などの調査・分析や、財務についての計画策定業務が該当します。

その他には、広報の部署では広報手法の調査・分析や広報企画立案をする業務が、営業の企画を担当する部署では営業成績や営業活動の問題を調査・分析して営業方針や営業計画を策定する業務が対象です。

生産の企画を担当する部署では、生産効率や原材料などの調査・分析を行い、調達計画や生産計画を策定する業務も対象になります。

残業代や休日出勤、遅刻はどうなる?

裁量労働制において気になるのが残業・休日出勤の手当てや遅刻・早退です。ここでは、残業代の有無や深夜・休日の割増賃金の有無、遅刻や早退の考え方について説明します。

残業代の扱い

裁量労働制では、残業という概念がありません。

あらかじめ1日の労働時間を8時間と取り決めていた場合、3時間働いても8時間働いたとみなして給与を支払います。あるいは、10時間働いたとしても会社側は超過2時間分の残業代を支払う必要はないのです。

一方、深夜や休日の割増賃金は発生します。深夜業に対する割増賃金は、午後10時から午前5時の時間帯が対象で、割増率は通常賃金の25%以上です。

休日とは労働基準法で定められた法定休日を指し、割増分として通常賃金の35%以上を支払わなければなりません。

遅刻はある?

裁量労働制においては遅刻や早退がありません。短い勤務時間であっても、あらかじめ決められた労働時間数が適用されます。

ただし、待ち合わせ時刻に遅れたり、出席しなければならない会議を欠席したりといった行動には注意が必要です。

時間にルーズな行動が頻繁に発生する場合は、「業務遂行に問題あり」と評価し、減給の対象にするケースもあります。

会社側は、裁量労働制だからといって労働者を油断させず、組織人としてのモラルに即した行動を促し、成果につなげさせることが大切です。

裁量労働制とみなし残業時間・フレックスタイム制はどう違う?

みなし残業制度とフレックスタイム制は、裁量労働制と合わせて語られることが多い制度ですが、仕組みは異なります。

みなし残業制度とフレックスタイム制の仕組みをそれぞれ簡単に説明した上で、裁量労働制との違いを解説します。

裁量労働制とみなし残業制度の違い

みなし残業制度とは、「固定残業代制度」とも呼ばており、会社が一定の残業時間を想定し、月給に残業額を固定で上乗せする制度です。

この制度では、想定されている残業時間を下回った場合であっても固定残業代を支払います。仮に想定された残業時間を上回って残業した場合は、超過した時間分の残業代も支払わなければなりません。

裁量労働制は、そもそも残業という概念がないだけでなく、法律で適用業種が定められており、みなし残業制度とは全く別物です。

裁量労働制とフレックスタイム制の違い

フレックスタイム制とは、一定期間の総労働時間をあらかじめ規定しておき、労働者はその枠内で働く時間帯を自主的に決定する制度です。

この一定期間は「清算期間」と呼ばれ、1カ月を上限に設定可能です。

例えば、2週間を清算期間として労働時間を80時間と定めておけば、労働者はその枠内で80時間を満たすように勤務開始時刻や終了時刻を自由に決められるのです。

裁量労働制は、実労働時間にかかわらず所定の時間を働いたとみなすのに対して、フレックスタイム制は実際に所定の時間数を働かせる点が異なります。

裁量労働制のメリットとデメリット

裁量労働制の導入を検討する際は、メリットとデメリットを理解することが大切です。ここでは、両者について具体的に解説します。

裁量労働制のメリット

裁量労働制のメリットは、コスト面とパフォーマンス面に分けられます。

裁量労働制を導入すれば、みなし労働時間数に応じて給与を支払うため、会社は人件費の管理がしやすくなるでしょう。

仮に深夜や休日の業務が発生すれば割増賃金が発生しますが、人件費の目安が把握しやすいのは人件費の管理においてメリットです。

また、社員のパフォーマンス向上も期待できます。

裁量労働制を導入すれば、対象の社員が従来の形式に縛られず、仕事の効率が高まるように働くことが可能です。そのため、生産性アップや成果にもつながりやすくなります。

裁量労働制のデメリット(導入する際の注意点)

裁量労働制は、労務管理や組織形成の点でデメリットがあります。

裁量労働制を導入すれば、対象の社員の労務管理は複雑になるでしょう。

この制度は労働者が労働時間を自由に決められる反面、長時間労働が常態化してしまうリスクもあります。

管理職と顔を合わす時間が少なくなれば、健康面などの問題に気づけない可能性もあるため注意が必要です。

また、裁量労働制は、組織面でも課題があります。

チームワークや組織文化は、社員がフェイストゥーフェイスで仕事をすることによって醸成されやすいものですが、働く時間がバラバラだと、そういった組織効果が薄れてしまう可能性があるのです。

裁量労働制に即した人事評価制度の見直しを

裁量労働制を導入すれば、社員の働き方は大きく変わります。

働く時間帯に幅が出るだけでなく、労働時間の短縮と成果の両立といった考え方も浸透していくでしょう。

裁量労働制を導入する会社は、こういった変化を踏まえて、実態に即した人事評価制度を整備しなければなりません。

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