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社員が転職を考えだしたらもう手遅れ。人材流出を防ぐカギは人事評価制度への不満解消だった!

(写真=Joyseulay/Shutterstock.com)

終身雇用制度が崩壊し、転職がもはや当たり前となった昨今。

中小企業では中途社員の約3割、新卒社員の4割以上が、入社から3年以内に退職しています。このような現状に、頭を悩ませている企業も多いのではないでしょうか。

あしたのチームでは、2019年7月に「転職者」に関するアンケート調査を実施しました。
その結果から転職者は何を考えているのか、そして離職が企業に与える影響を考えてみましょう。

【概要】
インターネット調査
全国の従業員5人以上300人未満の企業に勤める、
現在転職を考えており面接や面談・情報収集など具体的な活動をしている管理職
(部長・課長クラス)、および一般社員、20歳~59歳の男女

有効回答数:300人(管理職:150人、一般社員:150 人)
調査実施日:2019年6月27日(木)~2019年7月1日(月)

人材定着のカギは人事評価制度

この調査では、「現在、転職を考えている人」の割合は40.2%にも上りました。

過去数年の離職率の平均値は15%程度※ですので、すべての人が実際に転職する訳ではありませんが、潜在層も合わせると多くの人が転職を視野に入れながら働いていることが浮き彫りになりました。
※厚生労働省「雇用動向」より

【本調査対象者とする転職意向者を抽出する事前設問(スクリーニング)】
あなたは現在転職を考えていますか。
(単数回答)n=2292 管理職n=1087、一般社員n=1205

また、転職理由の中で、会社に対する不満を聞いてみたところ、
「人事評価制度(81.7%)」「給与(79.0%)」「自身が成長できる環境かどうか(72.7%)」 「労働時間(残業の多さ(54.7%)」という回答となり、人材定着のカギは人事評価制度にあることが分かります。

あなたは現在お勤めの会社の【給与】【人事評価制度】【自身が成長できる環境かどうか】
【労働時間(残業の多さ)】についてどのように感じているかお答えください。
(単数回答)n=300 管理職n=150、一般社員n=150

人事評価制度への不満内容

それでは具体的に、人事評価制度の何に不満があるのかを見ていきましょう。
不満要因の上位は、「好き嫌い評価である(47.3%)」「評価基準が不透明(41.6%)」「行動を評価してくれない(38.4%)「頑張りと連動していない(37.6%)」となっています。

人事評価制度に関して不満に思うことをお答えください。
(複数回答)n=245 管理職n=115、一般社員n=130
※【人事評価制度】に関して「とても不満」、「やや不満」と回答した方

年功序列から成果主義への移行

少し前までは、「年功序列」が日本型雇用システムの核となっていました。

「年功序列」とは、勤続年数、年齢などに応じて役職や賃金を上昇させる人事制度で、
従業員側には賃金アップの確約・将来の安定、企業側には社員間の連携の強まりや、
会社への帰属意識の高まりで離職低下が見込めるなど、従業員にも企業にもメリットのある制度でした。

しかし、勤続年数による昇給決定は人件費の拡大を意味するため、
経済が右肩上がりに成長し消費が伸びている時代にしか対応できません。

経済の低迷とともに「年功序列」が終焉をむかえ、現在では「成果主義」を取り入れた評価が主流となってきています。しかし、この「成果主義」の広がりが、離職者増加の一因となっているのです。

先の、人事評価制度への不満内容を思い出してみましょう。
色々な意見が出ていますが、ランキング上位の回答は「適切な評価を受けられていない」というものです。

「年功序列」の時代は、勤続年数に比例して給与があがるので評価への関心が今ほど高くありませんでした。それが、個々の成果によって給与が決まる時代になり、自分の頑張りを適切に評価してほしいという欲求が強まっているのです。

人事評価制度の3つのポイント  

従業員に納得して働いてもらうための人事評価制度とは、どのようなものでしょうか?
3つのポイントに分けてご紹介します。

1.会社のビジョンと期待する役割をきちんと共有している

どんなに優秀な社員でも、目指すべき方向を間違えては意味がありません。
会社のビジョンと、その中で何を担当して欲しいのかを明確に伝えましょう。
そうすることで、会社への貢献意欲や自発的な行動が生まれやすくなります。 

2.評価基準が明確である
(何をどこまでやるのか、目標を具体的な数値に落とし込む)

人事評価のスタート地点は目標設定。「○○を頑張る」「××するために努力する」のような曖昧な目標設定では、評価基準が不透明で感覚評価にならざるを得ません。
何をどこまでやれば評価されるのかを、目標設定の段階で明確にしましょう。

3.成果をあげた社員を正しく評価(昇給・昇格)する

「頑張って目標を達成しても、頑張らなかった社員と給与が変わらない…。」
そんな評価制度では社員のモチベーションは上がりません。
成果に対して褒める・評価することを忘れないようにしましょう。

転職検討者の引き止めはほぼ不可能!?

もう一つ見逃せないデータがあります。

仮に現職の企業から引き止めにあった場合、どのような条件なら転職を踏みとどまるのかを調査したところ、「給与の増額(53.0%)」「今後の評価の見直し(36.3%)」「昇進の提案(35.7%)」という結果になりました。

この回答には、踏みとどまる可能性がある・検討するという層も含まれているため、実際に会社に残る決断をするのは半数以下になることが予想されます。

このように、一度崩れてしまった信頼関係の修復は非常に困難で、
社員が転職に向けての行動をとってから対応したのでは手遅れであることが分かります。

あなたは仮に下記条件で現在の企業に引き止められた場合、転職を踏みとどまると思いますか。
(単数回答)n=300 管理職n=150、一般社員n=150

離職者が企業に与えるダメージ

最後に、従業員の離職が企業に与えるダメージを確認しましょう。

金銭的損失

採用コストや教育コストを指します。

一人の退職が313万円もの損失になるというデータもあるほどその額は大きく、
後任者の採用等を含めるとさらに高額になります。
(平均年収300万円、一人前になるまで6ヶ月かかる想定)

知識やノウハウの損失、流出

退職前に業務の引継ぎが行われますが、そこで引き継がれる情報はごく一部です。

退職者の頭の中にある知識や経験をすべて移行することはほぼ不可能なため、知識やノウハウの再習得が必要です。

さらに、競合他社へ転職される場合、自社で培った知識が他社へ流出するリスクも考える必要があります。

風評被害

3年離職率は会社四季報で目立つ位置に掲載されたり、ハローワークへも情報提供が必要になるなど、会社を選ぶ上での大きな指標となっています。

離職率が高いとブラック企業と判断され、優秀な人材が集まりにくくなることはもちろん、企業としての信頼性にも悪影響を与えます。

組織へのダメージ

退職者の穴埋めをするために他の従業員の負荷が高くなりモチベーション低下を招いたり、組織全体の生産性低下にも繋がります。

採用と離職の繰り返しは、風評被害や組織へのダメージを増加させ、新規採用が難しくなる、定着していた既存社員までもが離職を考え始めるなど悪循環の始まりです。

離職による”人的倒産”を引き起こさないためにも、従業員の定着する組織を作ることが求められます。

手遅れになる前に早急に対策を!

今回は、転職を考えるにいたる従業員の不満の根源を見てきました。

「適切な評価をうけたい」という要望の高まりに対して、企業側の対応が追い付いていないことが、この転職時代の一因になっていることをご理解いただけたかと思います。

人事評価制度の見直しは容易ではなく、検討しながらも実行に移せていない企業が多いのが現状です。

しかし、従業員の離職にともなって受けるダメージの大きさや、一度離職を決意した従業員の引き止めが困難なことを鑑みると、手遅れになる前に早急に対策をとる必要があるでしょう。

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