顛末書とは?始末書との違い、書き方、テンプレート、例文、注意点を紹介

顛末書のイメージ画像

仕事上の業務ミスや不祥事、事故やトラブルなど、さまざまな問題が発生した際、作成するのが「顛末書」です。顛末書は、謝罪や反省の意味のほか、問題の再発を防ぐという意味合いもあります。

本記事では、顛末書の役割や始末書との違いを解説するとともに、作成のポイントや顛末書を書くときに役立つテンプレート、例文について紹介します。

顛末書とは

顛末書(てんまつしょ)とは、仕事上のトラブルや過失が発生した場合、問題の原因、経緯、状況など一連の情報をまとめ、報告するために作成する書類や文書をいいます。

顛末書と始末書の違い

問題を報告する文書といえば「始末書」を思い浮かべる人も多いかもしれません。たしかに同様に仕事上のトラブルが発生した際に作成する書類ですが、顛末書と始末書では目的が異なります。

顛末書を作成する主な目的は、「再発防止」や「改善」のためです。問題の原因や経緯を振り返り、次に同じことが起きないよう、事態が収束したあとに提出します。

一方、始末書は問題点を振り返るといっても、「謝罪」と「反省」の意味合いを強く持ちます。トラブルの経緯や要点、影響範囲、今後の対策についてまとめ、問題が発覚したのち、なるべく早く提出することが求められます。

また、顛末書は基本的に社内のみに提出する書類です。始末書は、取引先や顧客など、社外向けに提出する場合があります。始末書の作成が必要となるケースでは、不注意による情報漏洩、商品発注のトラブルなどがあります。

顛末書が必要なシーン

顛末書を書く必要があるシーンについて、以下に具体的に説明します。

発注トラブルの対応

必要な商品の発注個数を間違え注文してしまったケースです。顛末書には、伝票に個数を記入するまでの確認方法から、伝票が発注処理されるまでの経緯、誤発注した商品をどのように対処したのかを記載します。また、なぜ発注ミスがあったのか、「PCの入力ミス」「システムエラー」など発生原因を解明すると共に、原因となった事態が繰り返されないよう、対策をまとめます。

業務上のミス

業務上で発生したミスでも顛末書を書く場合があります。たとえば、エンジニアがコード処理を間違えてしまったために、一時的に自社のECサイトにアクセスできなくなる障害が発生した場合は、復旧までユーザーに対してアクセス障害のお知らせなどを掲示するとともに、復旧後は顛末書に発生経緯・原因・復旧の対応についてまとめます。

工場での事故

製品工場で機械の操作ミスや火災など、事故が発生した際に顛末書を作成します。従業員は全治3日のケガ。この場合、事故の発生原因を起こした従業員が顛末書を作成します。発生日時、発生場所、事故内容や当事者の氏名をまとめ、事故原因について記載します。また、医師の診断書などがあれば負傷の程度についても触れ、現場の対応、今後の対策についてまとめます。

従業員の不祥事

顧客データを不法に流出させたといった従業員の不祥事があった際、社外に向けても顛末書を作成します。そのほか、横領、データの改ざん、資金流用など、コンプライアンスに問題のある不祥事についても、顛末書を作成するのは珍しくありません。

商品の不具合

自社商品に不具合があった場合、社外向けに顛末書を作成します。一般消費者に提供する商品だけでなく、取引先に卸す商材などの不具合も、会社の信頼を損ねる重要な問題です。発生経緯、対応、原因、再発防止策を速やかにまとめましょう。

顛末書の書き方

顛末書には、一定の書き方があります。「何を書いていいかわからない」という場合でも、書くべきポイントを抑えることで、要点がまとまった顛末書を作成できます。

トラブルが発生した日時と場所

トラブル、問題、事故など、顛末書に記載する問題について、その発生日時と場所を記載します。発生日時は、「2022年〇月〇日午後〇時ごろ」とわかる限り正確に記載しましょう。発生場所については、社外向けの顛末書であれば事業所や工場名、社内向けの場合はそれよりさらに細かい、部署名やフロアを記載することもあります。

発生時の状況

問題が発生した状況を記載します。問題が複雑だと感じる場合でも、時系列に沿って記載すると書きやすくなります。さらに「状況」といってもさまざまな要因があります。大事な要点を記すためには、「問題が起こったときの影響」「問題が発覚したときの一時対応」「問題を収束させたときの対応」と、発生から収束までを記載するよう心がけるといいでしょう。

原因

顛末書で重要なポイントです。原因を記載する際は、主観や定性的なものではなく、客観、定量、事実に基づいた記載を心がけます。また「Aさんが誤った操作をしたため」というようなあいまいな表現は避け、「停止ランプがついたのに停止レバーを引かなかった」というように、具体的に原因となった動作・処理を記入しましょう。

対応

問題を収束・解決するために行った一連の対応を記載します。対応については「発生時の状況」で要約を記載し、「対応」の部分で具体的な行動について記載するのがいいでしょう。

対策

ここまで書いてきた内容を踏まえ、再発防止のための対策について記載します。原因を繰り返さないよう、問題の根本に注目することが大切です。

顛末書のテンプレート

顛末書の作成イメージがわかない場合は、テンプレートを参考に書いてみるといいでしょう。

顛末書

令和4年11月28日

営業部長 
〇〇 〇〇殿

担当者:営業部 〇〇 〇〇

令和〇年〇月〇日に発生した、○○につきまして、下記の通り報告致します。(ご報告申し上げます)

■発生日時
■発生場所

■発生経緯
■原因
■今後の対応
■発生防止策

以上

スタンダードでシンプルな顛末書は上記の通りです。社内であれば上記の内容で十分ですが、社外に顛末書を提出する場合は、謝罪の言葉を文頭や文末に記載するようにしましょう。「大変申し訳ありませんでした。」「多大なるご迷惑をお掛けしましたこと、深くお詫び申し上げます。」などを文頭で記載します。加えて、文末に「今後、事故防止のため社員教育を徹底していきますので、何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。」など添えると十分でしょう。

社内の場合は報告という点が重視されますが、社外の場合は謝意も込めた内容にする点に注意が必要です。取引相手に失礼がないよう心がけましょう。

顛末書を作成する際の注意点

項目を抑えても、内容がまとまっていない場合、顛末書の再提出を求められるかもしれません。また、再発防止という目的から、第三者が読んで理解できない顛末書は避けるべきです。

以下の顛末書を、「わかりにくい一例」として見てみましょう。納品したイラストデータにミスがあった際、デザイナーが顧客向けに作成した顛末書です。

顛末書

作成日:2022年〇月〇日
作成者:〇〇 〇〇

発生日時:2022年〇月
発生場所:作業場
発生経緯:A社から依頼された「春のお花見団子祭り」についてのポスターを作成した。作成にあたり、3回ラフ案のやりとりをおこなったが、先方の担当者は大変気に入っておりデザインに問題はなかった。 それから1週間後、担当者から連絡があり、団子祭りの開催場所について誤った記載があったとのこと。 〇日、ポスターの完成データをメール添付にて送ったときには問題がなかったとのことだった。すでにデータは送付し、印刷所での印刷がはじまっている。
原因:確認ミス
対応:修正後のデータの送付
対策:確認回数を増やすようにすること

たしかに必要項目は網羅されていますが、あいまいな書き方や時系列の混在などにより、わかりやすい顛末書とは言えません。わかりやすい顛末書を作成するには、ポイントを整理することが重要です。

以下に、ポイントに沿ってどのようにすればこの顛末書が整理されるのかを説明します。

5W1Hを明確にすること

事実関係を正確に伝えるためには、5W1Hを省略せず記載することが重要です。5W1Hには「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「なぜ」という箇所が当てはまります。

例文の顛末書では、発生日時は「月」までしか記載されていません。「〇月〇日〇時ごろ」と、わかる限り詳細に記載するべきです。また発生場所も「作業場(自宅)」ではあいまいなため、作業場となる住所などを記載します。

客観的事実を記載する

客観的事実とは、「問題の状況」「作業の内容」「対処したやり方」など、誰が見ても「同じように理解できる」ものを指します。たとえば、「3回やり取りした」は客観的事実ですが、「担当者が気に入った」は主観が入っています。さらに、こうした記載は「場所の誤表記」というミスには直接関係がありません。

発生経緯の簡潔さが、顛末書のわかりやすさを左右します。時系列・必要な要素・客観的事実に注意して記載しましょう。

発生から収束まで一連の顛末を述べる

顛末書は事態が収束したあとにまとめるものです。例文の顛末書は、対処の部分でどのようにトラブルに対応したかを述べているものの、発生経緯は中途半端な記載で終わっています。何がおこり、どのように対応し、その結果自体がどうなったかまでを述べましょう。

効果的な対策を講じる

原因に対して、効果的な対策でなければ再発防止には役立ちません。「確認ミス」が原因であれば、どのような確認プロセスに変えればミスがなくなるのかを記載したほうがよいでしょう。

顛末書の例文

ケース別の例文に目を通してから顛末書を作成すると、より事実関係の整理がしやすくなり、かつ要素の記載漏れを防ぐことができます。

例文1:顧客情報流出の不祥事での顛末書の発生経緯の書き方

何が起こったのか、時系列に沿って書くことで、不祥事の発生経緯を整理しています。

発生経緯:
〇月〇日〇時ごろ、システムの新バージョンの見積を送付するため、貸与されているパソコンのメーラーを立ち上げ、送付予定の顧客名を「CC」に入力した。「YAMA」と名字の冒頭を入力したところ、予測変換で「山本」とすでに登録済みのアドレスが呼び出されたため、A社の担当者と思い選択。

そのまま本文を作成し、見積を添付して送信した。送信から15分後、B社の担当者(山本〇×さま)からメール受信し、誤送信が発覚。見積にA社向けの重要情報が記載されていたため、B社の担当者に即削除を依頼した。〇月〇日△時、B社からの返信にて添付書類削除の旨を確認した。

例文2:メールサーバーのダウンによるメール送信不具合の顛末書

発生から復旧までの日時を詳しく記載すること。また、トラブル状況、原因と簡潔に分けることでわかりやすい顛末書となっています。

発生期間:2022年〇月〇日△時~同日×時
■トラブル状況:社内のメールサーバーダウンにより、メール送受信を行おうとすると「サーバー接続エラー」のメッセージが表示され、社内・社外ともにメールの送受信ができなくなった。

原因:メールサーバーの電源消失によるサーバーダウン
■現況:予備電源を起動させサーバーを復旧させ、メール送受信の不具合を解消した
■対策:電源消失から予備電源の自動切換えシステムを検討する。また、予備サーバーを1台導入する。

例文3:商品納品遅延の顛末書の「原因」と「対策」

納品遅延の原因が社外にある場合でも、遅延自体を解消させるための対策を検討することで、再発防止策の説得力が増します。

■原因:〇月〇日〇時に発生したA国の地震により、商品の原料出荷が停止となった。それにより、A社から受注していた納品分の生産がストップし、千個の納品遅延が発生した。

■対策:原料価格を検討し、多少割高ではあるが、自然災害の発生例の少ないB国にも原料確保のラインを確率すること。A国とB国の二拠点体制で原料の調達を行い、より持続可能な生産体制を確立する。

顛末書を上手に使いこなして報告体制を整えよう

顛末書は、謝罪だけではなく、トラブルの再発を防止する意味で重要な書類です。作成する際は、事実関係を整理し、かつ原因を分析した上で有効な対策を講じましょう。

テンプレートなどを活用し、事態の収束後すみやかに顛末書を提出することで、信頼関係の回復にもつながるでしょう。

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