アウトソーシングとは?企業が利用しやすい業務やメリット・デメリット、導入手順を紹介

アウトソーシングのイメージ

自社の業務を外部の企業や事業者に委託する「アウトソーシング」。

昨今では、総務や庶務だけでなく、採用業務やヘルプデスクなど、より幅広い業務が委託されるようになっています。自社でアウトソーシングを検討するとき、どのような視点をもって導入を進めればいいのでしょうか。

この記事では、アウトソーシングのメリットや導入の注意点のほか、具体的な導入ステップについても解説します。

アウトソーシングとは

アウトソーシングとは、社内の専門性の高い業務など特定業務を、外部の会社や事業者に委託することをいいます。社内に人材や技術を持たない企業でも新規事業を円滑に進めることができるようになり、人件費などのコストカットにもつながります。

アウトソーシングは、アメリカで誕生した経営手法です。1980年代にアメリカ経済が厳しい状況を迎える中、コア事業に資源を集中させる動きが盛んになりました。その具体的な手法のひとつとして注目されたのがアウトソーシングです。

日本では、1980年代後半から導入を進める企業が増え始め、1990年代ではブームのようにアウトソーシングが推進されるようになりました。近年では、本社事業をグループ会社に委託したり、海外にアウトソーシングしたりするケースも増えています。

アウトソーシングが利用される主な3つの業務

幅広い分野で活用されているアウトソーシングですが、特に以下の3つの業務では積極的に導入されています。

1.人事業務

以前は主に給与計算をはじめとした労務管理関連の業務がアウトソーシングされていましたが、昨今では採用業務全般もアウトソーシングされるケースが増えています。

人事業務は従業員が増えれば増えるほど煩雑になり、人材戦略を練るといったコア業務に時間を割けないという人事担当者は少なくありません。ルーチン業務をアウトソースすることで、社員はより重要な業務に注力できるようになります。

2.経理業務

経理業務は、請求書のやりとりや毎月の記帳、年末調整など特に専門知識の必要な業務です。専門性の高い社員を一から採用・育成することは難しく、課題を感じている企業は多いものです。
専門性の高い分野こそアウトソーシングを活用すると、採用コストを削減することができます。

3.IT関連業務

社内システムやインフラの構築、ヘルプデスクなどを担当する情報システムも専門性の高い分野です。本来のコア業務は自社課題を解決するために、どうITツールを活用するか戦略を練ることですが、問い合わせ対応や復旧作業などに追われて手が回っていないことも。

情報システムは人手不足なこともしばしばですが、優秀なエンジニアを新たに採用することは難しいため、アウトソーシングを活用する企業が多くなっています。

企業がアウトソーシングする理由

厚生労働省が平成29年に行なった「アウトソーシングの活用に関するアンケート調査」では、企業がアウトソーシングを始めた理由について調査されています。

その中で最も多かった回答は「専門的業務への対応」で、39.4%です。次いで「ワーカーを労働力として確保」が28.2%、「繁忙期への対応」が14.5%となっています。専門性の高い業務に対応できる人材を求めていると同時に、単純に人手不足を補う方法として活用している背景もうかがえます。

また、発注している業務の内容については「継続的にワーカーに発注している業務である」との回答が54.4%、「自社内で対応しきれない場合にのみ発注している」が28.2%、「単発の業務である」が16.6%です。アウトソース先も労働力のひとつとして活用している企業が多いようです。

アウトソーシングの3つのメリット

アウトソーシングを活用することで企業が得られる3つのメリットを紹介します。

1.コア事業に注力できる

ノンコア業務をアウトソーシングすることによって、コア業務に経営資源を集中できるようになります。

人事やIT関連業務など、専門性を求められる分野ほど日々のルーチン業務に追われてしまい、戦略の立案といったコア業務に集中できません。アウトソーシングによって社内人材がコア業務に注力できる環境を整えると、生産性の向上や売上アップにつなげることができます。

2.専門性の高い人材を活用できる

自社にはいない、専門性の高い人材を活用できることも大きなメリットです。例えば、新規事業に専門的な知識や技能を持った人材が必要になったとしても、そういった人材を採用することは容易ではありません。

一から自社で育成すると時間がかかってしまい、新規事業のスタートが遅れてしまいます。アウトソーシングを活用すれば、幅広い分野の専門家の知見を取り入れることが可能です。採用や育成にコストをかける必要もないため、事業スピードを加速させることができます。

3.コスト削減につながる

正社員は毎月決まった額の給与を支払わなければいけませんが、アウトソース先には成果物分の報酬のみ支払います。

ほかにも、社会保険料といった人件費や教育コストも削減できるため、コストカットになるケースが多いです。また、その業務を専門的に行っている業者に委託するため、自社で一から環境を整えるより、効率面でもコスパがいいといえます。

アウトソーシングの3つのデメリット

メリットの一方、以下のようなデメリットもあげられます。

1自社内にノウハウが蓄積しない

専門的な業務を効率的に進められる一方で、自社内の専門人材が育たない、ノウハウや知見が蓄積しないという側面もあります。

トラブルがあったときや、緊急対応が必要になったときに社内で対応できる社員がいなくなる可能性も考えられます。アウトソーシング先の企業がどのように業務を進めているのか定期的に共有の機会を作り、業務フローを社内でも把握しておくようにしましょう。

2.情報漏洩の心配がある

アウトソーシング先に業務を委託する場合、業務によっては企業の機密情報や社員の個人情報を提供することになります。

情報システムや労務管理、採用業務などは、特に扱いに注意が必要な情報が含まれている可能性が。もちろん、委託したからといって必ずしも漏洩リスクがあるわけではありませんが、自社と違うルールで運用されることがないよう、ルールを厳密に規定しておくべきです。

3.クオリティの管理が難しい

成果物の品質管理が難しいという点も、よく耳にする課題です。自社内であれば作業過程を直接確認できるため、成果物のクオリティや納期をコントロールすることが可能です。

しかし、委託先がどのように業務を進めているのかずっと監視することはできません。業務フローにブラックボックスが生じると、成果物に問題が生じた際に対応することが難しくなってしまいます。委託先とは常に連携をとれる体制を構築しておきましょう。

アウトソーシングの判断基準となる3つのポイント

デメリットを最小限にとどめるためには、アウトソーシングすべき業務を次の視点で選定することが大切です。

1.コア業務かどうか

最も重要なのは、その業務が自社にとってコア業務かノンコア業務かという点です。コア業務の多くは、自社の複雑な業務スキームや経営背景を理解しておかないと、効果的な運用ができません。ノウハウを社内に蓄積したり、人材を育成したりする必要もあるため、コア業務には社内リソースを割くべきです。

また、社外に業務を任せるということは、ある程度コントロール不可能な部分も出てくることを覚悟する必要があります。それでも問題ない業務かどうか、しっかり見極めましょう。

2.情報漏洩リスクはあるか

例えば、経理業務を委託する場合は会社の経営情報、採用業務を委託する場合は応募者の個人情報など、重要な情報を委託先に預けることになります。

アウトソーシングにあたり、どのような情報を預けなければいけないのか洗い出し、管理可能かどうか判断する必要があります。同時に、情報の取り扱いルールを厳密に策定するようにしましょう。

3.費用対効果はどうか

コストカットを目的として導入されることの多いアウトソーシングですが、業務内容や難易度によっては逆にコストが増してしまうことも。例えば、業務フローを明確にせず委託先に丸投げした結果、かえって混乱を呼んでしまい、大きな修正コストがかかってしまったというのはよくある失敗です。

また、専門性の高い人材ほど依頼料も高騰するため、人件費が高くついてしまうこともあります。求めるような費用対効果が得られるのか、よく分析した上で検討を進めましょう。

アウトソーシングの導入手順

最後に、アウトソーシングを導入する際の具体的なステップを解説します。

ステップ1:企画、計画

自社の経営課題を整理して、自社で行うべきコア業務と、アウトソーシング可能な事業や業務を選別します。同時に、導入のためのプロジェクト編成や全体計画を練っていきます。

ステップ2:委託先の求める条件を定義

次に、アウトソーシングによって達成したい目的に対して、委託先に求める必要条件を洗い出します。具体的には、目的のためにどのような機能が必要か、どのくらいのレベルか、予算はどのくらいかなどです。これらを提案要求書としてまとめておくと、次のステップをスムーズに進めることができます。

ステップ3:委託先の選定

条件が明確になったら、委託先の選定に移ります。契約条件や価格、サービス内容だけでなく、実績や口コミなど幅広く情報収集を行いましょう。

ステップ4:導入、移行

決定した委託業者とともに、業務の移行作業を開始します。実際の業務フローを移管するだけでなく、組織体制の策定やその中での役割、情報の取り扱いルールなども決定する必要があります。業者側には、高度な管理能力が求められます。

ステップ5:業務の管理体制構築

導入が完了したあとは、問題なく業務が遂行されるよう、管理体制やマネジメントフローを確立しなくてはいけません。

委託先を交えて定期的に振り返りを行い、最初に定めた条件や目標に対してアウトソーシングが適正に機能しているか評価します。予想できなかった問題が発生した場合、どのように改善を図るか双方向で話し合います。

アウトソーシングを活用してコア事業の成長をはかろうアウトソーシングとは?企業が利用しやすい業務やメリット・デメリット、導入手順を紹介

アウトソーシングは委託すべき業務をしっかり見極め、経験や実績の豊富な業者を委託先として選定することが重要です。

特に、煩雑なフローが必要な人事業務は委託先との細やかな連携が必要です。近年では、労務管理や採用業務以外にも、人事評価の外部サービスを利用するケースも増えています。

社員の生産性に直結する人事評価については、ノウハウの確かなコンサルティング会社に依頼するようにしましょう。

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