試用期間とは?導入の効果や給料、解雇、労働条件について

試用期間は、企業にとっては従業員の適性などを見極める期間として機能すると同時に、従業員にとっても長期勤続できる環境かを見極める大切な期間です。

試用期間中の給料・残業代をはじめ、企業からの解雇や従業員の退職ルールについて十分に理解した上で、試用期間を有効に活用しましょう。

この記事では試用期間を設けることによる企業・従業員双方のメリットと、適正な運用方法について解説します。

試用期間とは?

試用期間とは、企業が人材を採用した際に一定の期間を設けて、従業員の勤務態度や能力・適性などを判断する期間です。

面接や採用試験だけでなく、実務を通じて自社の従業員としての適性を見極めようという考え方から、試用期間を設ける企業が主流となっています。

仮の契約と考える人もいますが、判例では「解約権が留保された労働契約の締結されている期間」として、正式な雇用契約として取扱うことが確立しています(三菱樹脂事件 、S48.12.12最判)。

労働基準法では、「試の使用期間中の者」を14日以内に解雇する場合には予告が不要というルールがあるだけで、具体的な運用については企業の判断に委ねられているのが現状です。

そのため、試用期間の長さや試用期間中の待遇が企業ごと・採用した従業員ごとに異なる場合があります。

試用期間の適正な長さは?

試用期間について具体的に定めた法令はありませんが、正社員の場合だと3ヶ月~6ヶ月の期間が設けられるのが一般的です。

パートやアルバイトの場合は、勤務時間や勤務回数の累計で試用期間を定める場合もあります(例:初回勤務から10回まで試用期間)。

試用期間中は企業側に本採用を拒否する自由が認められていることから、従業員の身分が不安定な状態です。

従業員の適性を見極めるという理由でも、1年を超えるような不当に長い期間の試用期間を定めたり、正当な理由がないのに何度も試用期間を延長したりすることは社会通念上許されません。

不当に長い試用期間は公序良俗に反して無効という判例も存在します(ブラザー工業事件、S59.3.23名古屋地判)。

ブラザー工業事件は、見習社員から登用試験を経て試用社員に登用された人が、社員(正規従業員)登用試験に3回不合格だったために解雇されたため、解雇が無効だと地位保全等の仮処分を申し立てた事件でした。

最高裁判所では、職員の業務適性は6ヶ月~15ヶ月の見習社員期間に判断できるとして、試用社員に登用後さらに12ヶ月~15ヶ月の試用期間を設けることに合理的な必要性はないと判断しています。

この判例を踏まえると、パート・アルバイトや契約社員から正社員に登用後、さらに試用期間を設けることは社会通念上許されないと判断される可能性が高いので注意が必要です。

試用期間を設ける効果、メリット

試用期間は、企業・従業員双方の相性チェック期間としても機能します。

企業側は複数の目線で従業員をチェックすることで、本採用後のミスマッチを防げます。

また、従業員にとっては面接にはわからなかった職場の人間関係などを直接確認することが可能です。

企業・従業員双方にとっての試用期間のメリットを具体的に確認してみましょう。

企業側の効果、メリット

どの企業でも、従業員を採用する際は書類選考や面接を行います。

企業によっては筆記試験や適性試験・実技試験も取り入れるなど、さまざまな観点から選考・審査を行って内定を出しますが、選考段階で従業員の問題を見抜けない場合があるのが現状です。

応募書類に虚偽の記載が含まれている懸念も拭えません。

その点、試用期間を設定しておけば担当業務の出来栄えや社員間のコミュニケーション、あるいは時間に関する考え方などを長期にわたって観察できます。

直属の上司や他部署の管理職、時には先輩・同僚といった複数の意見を参考にしながら従業員の職務能力や適性判断も可能です。

最終的に社員としてふさわしくないと判断した場合は、本採用を見送って雇用契約を終了できることが企業にとっては試用期間のメリットといえます。

従業員側の効果、メリット

試用期間は、従業員にとっては担当業務が自分の適性に合っているか、あるいは職場の人間関係が良好かどうかを見極める期間として機能します。

医療福祉業界を中心に入社前の職場見学が普及しているとはいえ、具体的な職場環境は入社後でなければわからないのが実情です。

実際に働く中で、所定労働時間や休憩・休日といった雇用契約時に合意した労働条件に誤りがないかも確認できるでしょう。

自分に合わない職場だと判断した場合には本採用を辞退して、次の職場を探しても問題ありません。

長期にわたって働き続けられる職場かどうかを、実体験を通じて見極められるのが、従業員にとっての試用期間のメリットです。

試用期間中の解雇、退職について

試用期間といっても、企業と従業員は雇用契約を締結している状態です。

そのため、企業から従業員を解雇したり、反対に従業員から企業に退職を申し出たりする場合は、法令や就業規則に定められたルールを遵守する必要があります。

試用期間中の、解雇や退職の流れについて解説します。

企業は従業員を解雇できるのか?

試用期間中であっても、正当な理由があれば企業から従業員を解雇できます。

解雇事由は就業規則や労働条件通知書に明記されていますが、企業と従業員との信頼関係の維持が困難な場合や社内の秩序を乱した場合など、客観的な理由に限られます。

懲戒事由に該当した場合には、懲戒解雇も可能です。

試用期間中に解雇を決断した場合も、本採用後の従業員と同様に30日前までに解雇予告を行います。

解雇予告日から解雇日までの日数が30日以内の場合は、30日に足りない日数分の解雇予告手当の支払が必要です。

例えば、即日解雇の場合は30日分、10日後に解雇だと予告した場合は20日分の解雇予告手当を支払うことになります。

例外として、入社日から14日以内に解雇する場合に限り、予告なしで解雇でき、解雇予告手当の支払いも必要ありません。

従業員は退職できるのか?

試用期間の途中でも、従業員の意思での退職が可能です。

退職する場合は、就業規則や労働条件通知書に定められた自己都合退職のルールに沿って手続きを行います。

遅くとも2週間前、できれば1ヶ月前には退職の意思を示しましょう。

なお、労働条件通知書や雇用契約書に記載された内容と実際の労働条件が異なる場合は、即時退職も可能です。

正社員として採用されていても、試用期間中を有期雇用契約としているケースが散見されます。

有期雇用契約の途中終了には、家庭事情など「やむを得ない」理由が必要なので、退職したい場合は理由を具体的に伝えて企業の承諾を取るようにしましょう。

試用期間中の給料、残業代について

試用期間中であっても、企業と従業員が正式な雇用契約を結んで働いているため、本採用された従業員と同じように給料の支払義務が発生します。

残業や休日出勤・深夜労働が発生した場合には、割増賃金の支払も必要です。

「半人前だから」「仕事を覚える身分だから」という理由で給料・残業代を支払わないと、賃金未払いとして違法行為になるため要注意です。

ただ、雇用契約の際に企業・従業員双方が合意した上で、本採用時の給与より低い金額を設定することは認められています。

試用期間中に限り職務手当を支払わない、あるいは減額する事例は少なくありません。

また、最低賃金法第7条では最低賃金の減額の特例として、都道府県労働局長の許可を得た上で試用期間中の従業員の最低賃金を最大20%まで引き下げることを認めています。

最低賃金を減額するには、本採用後の従業員の賃金水準が最低賃金額程度であることの立証が必要となるため、試用期間中の給与を最低賃金以下にする事例は稀なようです。

試用期間中の社会保険と雇用保険について

試用期間中の従業員であっても、社会保険(厚生年金保険・健康保険)と雇用保険の加入条件を満たす場合には入社初日から加入義務が発生します。

社会保険と雇用保険への主な加入条件は次のとおりです。

【社会保険】

  • 1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働時間が常時雇用者の4分の3以上の人
  • 2ヶ月以上の期間を定めて使用される人

【雇用保険】

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上の人(1ヶ月の所定労働時間が86.7時間以上でも可)
  • 31日以上の雇用見込みがある人

上記の条件を満たす限り、従業員が社会保険・雇用保険の加入を辞退することは認められません。

社会保険適用調査や労働保険料算定基礎調査で保険の未加入が発覚した場合には、過去に遡って保険加入を求められ、なおかつ保険料も徴収されるので要注意です。

なお、労災保険については雇用期間や所定労働時間の長短にかかわらず自動的に加入させられます(強制加入)。

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