休業手当に雇用保険料はかかる?支払う条件や計算方法を解説

休業手当の支給について、経営者や人事・経理の担当者は正しく理解しておく必要があります。特に、支払う条件や、支給額の計算方法、雇用保険料や社会保険料の計算方法は実務で必要なポイントです。

本記事では、休業手当の概要や、休業手当を支払う義務があるケースなどについて、新型コロナウイルスの影響にも触れながら紹介。休業手当の計算方法や、雇用保険料の算出方法についても具体例を挙げながら解説します。

休業手当は雇用保険料の対象に

休業手当とは、使用者(会社側・事業主側)の責任で労働者を休業させた場合に、該当の労働者に対して支給する手当です。

例えば、経営難に陥って経済活動を縮小せざるをえなくなった事業主が一時的に労働者を休ませる場合などは、事業主側の都合のため労使間の取り決めに基づいて休業手当を支払う義務があります。

休業手当は、休業によって所得が減少することで労働者が経済的に困窮することを防ぐための補償に近い仕組みなので、休業手当から各種控除をすべきなのかどうか判断に迷う担当者もいるでしょう。

しかし、休業手当は通常の基本給と同様に「給与所得」という扱いとなり、雇用保険料の他にも年金や健康保険といった社会保険料、所得税の対象にもなります。

休業手当を支払うべき条件

休業手当は、休業にいたった責任と、労働者の状態という2つのポイントについて、いくつかの条件を満たす場合に事業主が支払う義務があります。

まず事業主が自らの都合で休業させる場合には、休業手当を支払わなければなりません。労働基準法第26条によると、「使用者の責に帰すべき事由」による休業の場合に、使用者は該当の労働者に対して休業期間中の手当を支払わなければならないと定められています。

「使用者の責に帰すべき事由」とは、使用者の都合によって労働者を働かせない、あるいは働かせられなかったケースです。

一般的には、経営状態が悪化して事業を縮小せざるをえなくなったために労働者を休ませるといったケースが該当します。

一方、労働者の健康を守るために休業させた場合や、自然災害などやむをえない事情によって休みになる場合は、休業手当を支払う必要はありません。

もう1つの前提として、休業日がもともとその労働者が働く義務があった日であり、労働する意思があったということも条件です。

例えば、土日祝日や会社独自の休日などについて、もともと勤務予定でなければ休業手当を支払う必要はありません。また、労働者が有給休暇やストライキを予定していた場合や、労働者側が体調不良などによって働けない場合は、使用者の責任にはあたらないため、休業手当を支払う義務は生じないということになります。

2020年は新型コロナウイルスの感染が拡大し、それに伴って緊急事態宣言も発令されました。こういった影響により、休業や事業活動を縮小せざるをえなくなった事業者も多かったようです。

ここで確認しておきたいのが、新型コロナ関連の休業について休業手当を支払う必要があるかどうかという点でしょう。以下では、2つのケースに分けて解説します。

1.新型コロナウイルスによる休業手当は?

新型コロナウイルスの影響によって休業する場合について、ここでは2つのケースについて考えます。

1つ目は、感染の疑いによって会社都合で休業をさせた場合です。

この時、休業手当を支払うべきかどうかの判断には、さまざまな選択肢を検討した結果、休業する選択肢しかなかったという状況であれば、休業手当を支払う必要はありません。

厚生労働省のホームページでは、海外の取引先が新型コロナを受けて事業を休止したケースを例に挙げた上で、取引先への依存度、他の代替手段、事業休止からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に考慮した上で判断すべきだとしています。

2つ目は、労働者が自主的に休んだ場合です。

新型コロナウイルスへの感染かどうか分からないものの、発熱やせきといった症状がある労働者が自主的に休む場合は、休業手当の対象にはなりません。厚生労働省のホームページによると、通常の病欠扱いとすることが1つの方法のようです。

ただし、使用者の自主的な判断で休業させる場合には休業手当の対象になるとしています。

(参照リンク)厚生労働省

2.緊急事態宣言で休業にした場合は?

2020年には新型コロナウイルスの感染拡大を受けて国や地方自治体が緊急事態宣言を発出し、地域や特定業種によっては休業要請などを受けることで事業活動を控えざるをえない状況が生まれました。

こういった公的な要請によって休業した場合でも、休業手当を支払う義務があるかどうかはケースによって異なります。

例えば、労働者が新型コロナに感染しており、都道府県知事が行う就業制限によって労働者が休業する場合は、事業主の都合による休業には該当しないため、休業手当を支払う必要はないと考えられます。

ただし、国や地方自治体などから協力依頼や要請などを受けて営業を自粛して労働者を休業させる場合であっても、一律に休業手当の支払義務がなくなるわけではありません。

休業手当を支払う義務が免除されるのは、休業の原因が事業の外部より発生した事故であることと、事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であることの両方を満たす必要があるからです。

つまり、緊急事態宣言による休業で休業手当の支給義務があるかどうかを判断する基準としては、休業が営業自粛の協力依頼や要請を受けるなど事業の外部において発生したものであり、なおかつ休業を回避するために具体的な努力を最大限尽くしたといえなければなりません。

休業手当、雇用保険料の計算方法

休業手当を支払う際に、事業主の人事経理担当者が気になるのが休業手当の計算方法です。ここでは休業手当の計算方法と、雇用保険料の計算方法を紹介します。

1.休業手当の計算方法

休業手当の基本的な計算方法は、まず休業手当の元の数字となる平均賃金を計算してから、休業手当の金額を計算します。

ここでは、具体例として数字を挙げながら考えましょう。例えば、直近3カ月間の総支給額が90万円で、該当期間の総歴日数が90日、休業期間が10日間だとします。

まずは平均賃金です。月給制の労働者の場合は「休業日以前3カ月間の賃金総額」を「3カ月の総歴日数」で割って計算します。今回のケースでは、3カ月間の賃金総額が90万円、総歴日数は90日です。そのため、平均賃金は1日あたり1万円という計算になります。

次は、休業手当の計算です。休業手当の1日あたり金額は、平均賃金の60%以上と定められています。今回の平均賃金は1万円なので、休業手当は最低でも1日あたり6000円以上を支払わなければなりません。支給率を60%とすると、休業期間は10日間としているため、休業手当の総支給額は6万円という計算になります。

2.雇用保険料の計算方法

雇用保険料は、賃金総額に雇用保険料率を乗じて計算します。

賃金総額とは、労働者に毎月支給する基本給や通勤手当、深夜手当といった各種手当や賞与などの総額です。先述の労働者のケースで、1カ月あたりの賃金総額を30万円と計算すると、これに保険料率をかければ良いということになります。

令和2年度時点において、雇用保険料率は0.9%です。内訳では、労働者が0.3%、事業主が0.6%を負担することになっています。事業主負担のうち、半分が「失業等給付・育児休業給付の保険料率」で、残りは「雇用保険二事業の保険料率」です。

今回のケースでは休業があった月の休業手当が6万円となっており、その分の雇用保険料は、6万円に0.9%を乗じた540円となります。

ただし、雇用保険料は支給する項目ごとではなく賃金総額を元に計算するため、実際にはまず当月の基本給や通勤手当といった賃金から休業分を控除した上で休業手当を加算した賃金総額を求め、その次にまとめて賃金総額に雇用保険料率を乗じるのが通常の計算方法です。

なお、雇用保険料だけでなく、社会保険料や所得税、住民税を計算する際も、休業手当は通常の給与所得の一部として計算します。

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