リフレクションとは?人材教育における正しい実践法と効果

(画像=metamorworks/iStock)

人材育成の一つの手法として注目を集めているのが「リフレクション」です。

リフレクションとは、内省により自分の行動を振り返ることを意味します。仕事や業務の進め方を見つめ直し、改善していく目的として使われています。

企業の教育担当や人事担当が人材教育にリフレクションを取り入れる場合、その実践方法などを正しく理解しなければいけません。

そこで、ここではリフレクションの意味や正しい実践法、効果などについて解説していきます。

リフレクションとは?

リフレクションは、英語「reflection」が語源となっています。

一般的には、「反射、反映」という意味合いで使われますが、人事・ビジネス分野では「内省(ないせい)」という意味で用いられます。

内省とは、自分の行動を客観的に振り返ることです。

例えば、仕事のなかで自分が取った具体的な行動を見つめ直し、「自分の行動は最適だったのか」「この現実を、どのように受け止めるべきか」というように自問自答を繰り返します。

これにより、改善点を見つけ出し、今後の業務に役立てていくのです。

リフレクション(内省)と反省の違い

リフレクション(内省)とよく似た言葉に、「反省」があります。

反省とは、自分の起こしてしまったミスに対して悪かった点を振り返り、より良い行動へと変えていく行為です。自分を改善するための行為、そのものを指しています。

これに対して、リフレクション(内省 ) は自分が取った行動に対しての「考え方」や「価値観」に焦点があたっています。改善する行為を指すのではなく、思考や心のあり方の部分に注目するのです。

仕事においてミスをしてしまったとき、直接的な原因を突き止め改善することで、同じミスの繰り返しを防げます。

例えば、パソコンで入力ミスをしたときに、キータッチを間違えたのであれば、以降は入力の見直しを行う、というような流れです。

しかし、物事の良し悪しが明確ではないケースがあります。

例え、仕事が上手く進んでいたとしても、「自分が取った行動は正しかったのか」「あのときの発言は相手のためになっていたのか」というような考え方です。

このように、自分の行動の考え方や捉え方にフォーカスを充てることがリフレクションなのです。

リフレクション教育を取り入れる効果

自分の行動を客観的に振り返ることで、他人からの指摘ではなく自分自身で気付きを得られる点が、リフレクションの大きな特徴です。

そして、このリフレクションを人材育成に取り入れた教育法が、「リフレクション教育」です。

リフレクション教育は、企業と個人の各々の単位においてメリットが期待できます。そこで、ここからはリフレクション教育の効果について解説していきます。

企業がリフレクション教育を取り入れるメリット

まず、企業の単位で考えた場合、リーダーシップを持った人材が育ちやすいという大きなメリットがあります。

リフレクションは、他人から指導を受けるのではなく、自分自身で考え方や捉え方を客観的に振り返り、物事を改善していく方法です。

そのため、客観的な思考が身に付きやすく、チーム全体を冷静に見渡すことができるリーダーシップ能力が高まりやすいのです。

また、リフレクションによって個々の従業員が業務改善を加えていくことで、全体の生産性が向上するといった効果もあります。

企業の目的は、可能な限り生産性を高め、利益をあげることですので、リフレクション教育は大いに役立つのです。

従業員がリフレクション教育を受けるメリット

次に、個人レベルにおける効果を見ていきます。
従業員の単位で考えた場合、まず挙げることができる効果が意識の向上です。

上司や人事担当といった第三者の評価ではなく、リフレクションは自分自身で評価を行うため、仕事に対する意識が高まるケースが多いのです。

また、リフレクションは、仕事に対するモチベーションアップにも大いに役立ちます。第三者による評価ではないため、評価の妥当性や信憑性を疑う必要がありません。そのため、自然と仕事に対する意欲が高まるのです。

さらに、従業員自身の自己成長にも繋がります。リフレクションの場合、スキルアップとしての成長よりも、物事の考え方や仕事に対する意識の向上というようなマインド面での変化が得られます。

個人のリフレクション実践法

まず、個人におけるリフレクションの実践方法です。基本的なリフレクションの進め方は、次の3つのステップに分けることができます。

  • ステップ1:出来事を振り返る
  • ステップ2:状況を振り返る
  • ステップ3:行動を振り返る

それでは、順を追って解説を進めていきます。

ステップ1:出来事を振り返る

最初に、過去における具体的な出来事を振り返ります。実際に起こった事実を忠実に思い返すのです。

例えば、「部のミーティングで会社の経理申請フローの見直しを提案した」というような内容です。ここでは、主観的な良し悪しの判断は必要なく、単純に出来事を思い返すだけに留めます。

ステップ2:状況を振り返る

次に、そのときの「状況」とステップ1の出来事を合わせて振り返ります。
状況というのは、他の従業員の行動や反応、周囲の環境などを指しています。

例えば、「経理申請フローを見直すという私の提案に対して、なぜ部長は反応が悪かったのだろう」「なぜ、メンバーは同調してくれなかったのだろう」というような考え方です。

ステップ3:行動を振り返る

最後に、ステップ1、2を通して、自分自身の行動を振り返ります。このときのポイントは、具体的な行動にフォーカスするのではなく、そのときの意識や考え方に注目することです。

例えば、「自分の主張を通すために、もっと良い考え方はなかったのか」「チームリーダーの立場として、自分がやるべき役割があったのではないか」というような振り返りです。

ここまでの作業が個人におけるリフレクションになります。このリフレクションによって生まれた新たな考え方や意識も持って、具体的な改善に取り組んでいくのです。

KDAのフレームワーク

また、個人でリフレクションを実施するときに活用できるのが「KDA」のフレームワークです。

KDAとは、それぞれ以下の頭文字をとった略称です。

Keep 継続していくこと
Discard 切り捨てること
Add 新たに加えること

KDAは、とてもシンプルなフレームワークで、上記の順を追ってリフレクションと同様に自分を振り返っていきます。先程の事例を使って、活用法の具体例を挙げていきます。

Keep(継続していくこと)

「経理申請フローを改善するべき、という自分の意見をハッキリと主張できたのは良かった。今後も、全体の改善のために言いたいことは発言していこう」

Discard(切り捨てること)

「メンバーの意見を聞かずに、自分の提案を押し通そうとして全体の雰囲気が悪くなってしまった。繰り返さないように強く意識しよう」

Add(新たに加えること)

「チームリーダーという立場なのだから、今後はメンバーに個別に意見を求めたりミーティングの進行役に回ったりしてみよう」

このように、振り返りの際に活用できるのが、KDAのフレームワークです。

リフレクション・ミーティング実践法

個人レベルの次に、組織単位でのリフレクション実践方法について解説していきます。代表的なものに、「リフレクション・ミーティング」があります。

リフレクション・ミーティングとは、各個人が行ったリフレクションの過程や結果を、各部署やメンバー間で共有する方法です。

基本的にリフレクションは、個人で実践するため固定概念や性格、置かれている環境に影響を受けやすいです。そのような、偏見をなくすために、他のメンバーとリフレクションを共有するのです。

他人のリフレクションでの考え方や意識、取り組み方などを聞くことで、新たな気づきを得られるものです。従業員に定期的に実施させれば、大きな意識改革に繋がることもあるでしょう。

また、組織単位の行動をリフレクションによってメンバーで振り返る、という手法もあります。

組織で取り組んだプロジェクトなどを、メンバー全員で振り返るのです。全体の業務改善が図れることはもちろん、メンバー同士の仲間意識が高まる、といった効果も期待できます。

人材育成にリフレクション教育を取り入れよう

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