組織を活性化させるワークエンゲージメント向上の方法とは

(写真=alphaspirit/Shutterstock.com)

少子高齢化によって労働人口の減少が深刻さを増す中、企業としては、従業員一人一人のパフォーマンスを上げていく必要性があります。そのために働き方改革を始め様々な取り組みがありますが、それらの施策の効果を出すためには、従業員がポジティブな状態になければなりません。今回は仕事に対するポジティブさを表すワーク・エンゲージメントを向上させる方法をご紹介します。

ワークエンゲージメントとは

ワーク・エンゲージメント(Work Engagement)とは、ウィルマー・B・シャウフェリ教授(オランダのユトレヒト大学)が提唱した言葉で、従業員が絆や愛着心、思い入れによって仕事に対してポジティブで充実している心理状態のことを指しています。

ワークエンゲージメントは、「仕事から活力を得てイキイキとしている(活力)・仕事にやりがいを感じている(熱意)・仕事に熱心に取り組んでいる(没頭)」の3つの要素で構成されており、バーンアウト(燃え尽き症候群)の対概念として位置付けられています。

また、ワークエンゲージメントは同教授らによって開発されたUWES(ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度) で測定することができます。

ワークエンゲージメントと関連がある概念

シャウフェリ教授が定義した労働者の心理状態は、活動水準と仕事への態度・認知を2本の軸として、4つに分類されます。その1つであるワークエンゲージメントは活動水準・仕事への態度・認知がともに高い状態です。他の3つには「リラックス」「ワーカホリズム」「バーンアウト」があります。

リラックスは「職務満足感」とも呼ばれ、活動水準はそれほど高くないものの、仕事への態度・認知が高い心理状態です。ワークエンゲージメントが業務中の感情や認知であることに対し、リラックスは仕事自体に対する感情・認知といえます。

ワーカホリズムは活動水準が高く、仕事への態度・認知が低い心理状態です。すなわち、仕事をする動機が「仕事をしない罪悪感」や「失業への不安」などを回避するためといったネガティブな感情であることがワークエンゲージメントとの違いといえます。

バーンアウトは「燃え尽き症候群」とも呼ばれる心理状態で、活動水準が低く仕事への態度・認知が低いことが特徴です。バーンアウトに陥った従業員は仕事へのモチベーションや関心が低下しています。バーンアウトの主な原因は、費やしたエネルギーと釣り合うような結果を得られなかったことといわれています。

ワークエンゲージメントの3つの測定方法

ワークエンゲージメントの主な測定方法には「UWES」「MBI-GS」「OLBI」の3つがあります。

UWES(Utrecht Work Engagement Scales)は、ワークエンゲージメントの測定で最もよく用いられる方法です。ワークエンゲージメントの高さを直接、測定する点が、次で述べるMBI-GSやOLBIと異なります。測定方法は活力・熱意・没頭の3つを尺度とし、17の設問に回答させるというものです。

MBI-GS(Maslach Burnout Inventory-General Survey)は、バーンアウトを測定することによって対極のワークエンゲージメントを測定する方法です。すなわち、MBI-GSの数値が低ければワークエンゲージメントが高いと判断されます。測定方法は消耗感(疲労感)・冷笑的態度(シニシズム)・職務効力感の3つを尺度とし、16の設問に回答させるというものです。

OLBI(Oldenburg Burnout Inventory)もバーンアウトの測定からワークエンゲージメントを判断する方法です。OLBIでは、消耗感・冷笑的態度の2つを尺度として、ポジティブ項目とネガティブ項目から成る設問に回答させることで測定を行います。

ワークエンゲージメントの必要性

「活力・熱意・没頭」の3要素で成り立っているワークエンゲージメントを高めることで、企業や従業員は以下のようなメリットを享受することができます。

従業員の心身の健康(メンタルヘルス)

ワークエンゲージメントが高い従業員は、業務において心理的苦痛が少なくなり、予防的な効果を得ることができます。そのため、ワークエンゲージメントを向上させることで、ストレスに強い組織を構築することができるのです。

パフォーマンスの最大化

ワークエンゲージメントが高い従業員は、さらなる知識やスキルを獲得しようと思うなど学習意欲が高く、また、自身の全てのスキルを活用して、前向きに業務に取り組めるようになるなど、従業員のパフォーマンスを最大化することができます。

組織の活性化

従業員のパフォーマンスが最大化され組織全体がストレスに強くなれば、組織力がぐっと底上げされます。また、従業員が活き活きと行動することで顧客に与える印象も変わリ、間接的に売り上げにも影響を及ぼすでしょう。さらには好結果がまたさらに自信につながって最終的には組織全体が活性化していきます。

ワークエンゲージメント向上の方法

ワークエンゲイジメントの向上は、「仕事の資源」と「個人の資源」の2つの資源が関係します。

仕事の資源

仕事の負担調整や悪影響の緩和、モチベーションを高める有形・無形の要因のことで、パフォーマンスに対するフィードバック、上司や同僚のサポートや仕事の裁量権、及びトレーニングの機会などがこれに含まれます。

個人の資源

ストレスの軽減や、モチベーションアップの原動力となる個人の内的要因など、従業員自身がストレスに立ち向かえる資源のことで、楽観性や自尊心、やればできるという自信(自己効力感)がこれに含まれます。

ワークエンゲージメントを高めるにはこの2つの資源を向上させる必要がありますが、企業が「個人の資源」に何もできないというわけではありません。

実は、この2つの資源には密接な関係があり、基本的に「仕事の資源」が充実すると個人の資源も向上します。 特に大きな要因になるのがパフォーマンスに対するフィードバックです。

上司から部下へのフィードバックには、ネガティブなものとポジティブなものの2種類がありますが、主に従業員の良い点を中心にポジティブなフィードバックを行うことで、成功体験を得ることができ、自己効力感などの「個人の資源」を高められます。

そのため、失敗があったとしても、上司や同僚がサポートすることで成功へとつなげていくことも重要となってきます。

ただし、むやみやたらに褒めればいいわけでもありません。それぞれの企業が掲げる戦略や方向性を明確にし、どの行動が良かったのか具体的に褒めるとよいでしょう。

企業のパフォーマンスに直結しているワークエンゲージメント

ワークエンゲージメントが高まると、従業員は心身ともに健康で、前向きで自発的な行動によって生産性を高め、組織の活性化にもつながるなど、企業のパフォーマンスや業績に直結しています。

また、企業内にある課題や弱みも、ワークエンゲージメントによって解決し、さらに組織の強みを伸ばすことも可能です。
そのためにも、ワークエンゲージメントを取り入れたマネージメンを日常業務の中で行うことが大切です。

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