従業員エンゲージメントを測るサーベイ(調査)の秘訣とは?

(写真=garagestock/Shutterstock.com)

人事分野で「エンゲージメント(従業員エンゲージメント)」という言葉が頻繁に用いられるようになりました。アメリカから輸入する形で、エンゲージメントを測定するためのサーベイ(調査)もさまざまな企業で実施されています。

しかし、エンゲージメントをうまく測定できるサーベイとはどうあるべきなのでしょうか。アメリカの調査会社ギャラップ社 の質問項目をご紹介したうえで、エンゲージメントに対する考え方と質問項目を立てる際の方針についてお伝えします。

エンゲージメントは従業員満足度ではない

エンゲージメント(Engagement)は、もともと婚約・約束・関与などの意味を持っています。しかし人事分野で「エンゲージメント(従業員エンゲージメント)」と言った場合、従業員の会社に対する帰属意識の強さを意味することが多いのです。

そのため、エンゲージメントサーベイ(調査)と言うと、いわゆる「従業員満足度調査」のことと誤解されるかもしれません。

しかし、エンゲージメントという言葉は、従業員の仕事や会社に対する思いが会社全体の生産性と相関していることを含意しています。従業員満足度では従業員個人の満足度に焦点が当たっており、会社全体の生産性につながるという視点が欠けているのです。

したがって、エンゲージメントサーベイを実施するときには従業員個人の生産性と会社全体の生産性とのつながりを深く意識して、質問項目を検討する必要があります。例えば「今の仕事に満足しているか(好きか)」「今の仕事にストレスを感じるか」などといった質問だけでは、エンゲージメントを測るのに十分ではないと思われます。

エンゲージメントサーベイの代表的な質問12点

アメリカの大手調査会社であるギャラップ社 は、30年以上にわたって1,700万人を超える従業員に対する調査を実施してきた経験に基づき、従業員個人とチームのパフォーマンスを測定するのに最適と考えられる質問を12個抽出しています。

  1. 仕事において何を期待されているか知っているか
  2. 仕事を適切に行うための設備やツールを持っているか
  3. 仕事において、毎日最も得意なことをするための機会を与えられているか
  4. 過去の7日間において、よい仕事をしたことについて認められたり褒められたりしたことがあったか
  5. 職場の上司や同僚など、誰かに一人の人間として気にかけてもらっていると感じるか
  6. 職場で自分の成長を促してくれる人は誰かいるか
  7. 職場で自分の意見を尊重してもらっていると感じるか
  8. 会社のミッションや目的を読むと、自分の仕事が意義あるものと感じられるか
  9. 職場の同僚は質の高い仕事をすることにコミットしているか
  10. 職場に親友はいるか
  11. 直近の6ヵ月間において、職場の誰かが自分の進歩について伝えてくれたか
  12. 直近1年間において、学びや成長の機会を得られたか

これら12個の質問項目をよく読むと、ギャラップ社が自分(従業員個人)と同僚、上司、会社そのものとの関係性に着目していることが理解できます。

従業員の生産性を高めるには同僚や上司などの働きかけ、会社の環境整備と機会の提供が不可欠であり、そして従業員の生産性の向上が会社の生産性の向上につながるという考え方が如実に表れていると言えるでしょう。

サーベイ前にやるべきエンゲージメントの定義

従業員エンゲージメントを測定する調査を社内で実施したいと考えたときに、最も大変なのは質問項目の策定です。その意味で、上記の12個の項目を利用して自社に合う質問項目に仕立てるのは一つの手ではあります。

しかし、質問項目以前に「そもそも自社にとってエンゲージメントとはどうあるべきか」を検討するべきでしょう。前述の通り、エンゲージメントとは個人の生産性と職場、あるいは会社全体の生産性双方を含んでいます。単に個人の満足度が上がっても会社全体の生産性が下がったり、逆に、会社全体の生産性が上がっても従業員が不満を持っているようでは意味がありません。

ギャラップ社の12個の質問項目を基盤として、自社にとってエンゲージメントとは何を指すのか、個人の生産性を高めるにはどうすればいいのか、個人の生産性を職場全体の生産性と結びつけるには何が必要なのか、人事担当者のみならず経営者ないし経営企画が考える場を設けるとよいでしょう。

従業員エンゲージメントに対する経営者の考え方は、会社のミッションや理念を反映させることが重要です。

エンゲージメントのサーベイはシンプルに

エンゲージメントの定義を明確にするとともに、質問項目の文章内容をシンプルにし、項目数を少なく抑えることが重要です。これによって後でエンゲージメントの測定と結果の分析がしやすくなり、現場や経営陣へのフィードバックも容易になります。

従業員エンゲージメントのサーベイは、エンゲージメントを高めるための「PDCAサイクル」のC(Check)プロセスに当たるとも考えられます。ただサーベイを実施して終わるのではなく、その後の改善と再調査へつなげることが重要です。

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