【人事必見】評価制度の最新事例と注意点

(写真=kathayut kongmanee/Shutterstock.com)

人事担当者が評価制度の構築や再編にあたり、他社の事例を参考にしたいと考えるのは無理もありません。一からオリジナルの制度を作り上げるのは大変ですし、他社で実績ある制度を流用できるならそれに越したことはないからです。

今回は、海外発で日本にも導入されつつある最新の評価制度を3つご紹介します。また、そうした最新事例を取り入れるにあたって注意したい点をお伝えします。

なお、間接部門(バックオフィス)における生産性の指標や具体例については、下記の記事で解説しています。

また、間接部門の役割や代表的な部署、目標設定の例については、下記の記事をご参照ください。

評価制度の最新事例3選

かつての成果主義のように、日本における評価制度のトレンドはアメリカからもたらされるケースが多くなっています。近年では、コンピテンシー評価やMBO、360度評価といった制度がもたらされ、日本でも先進的なベンチャー企業を中心に導入され始めています。いずれも、年功序列や成果主義のメリットやデメリットを踏まえ、より公平で従業員個人と会社全体の双方に利益がもたらされるような形態を目指しています。

コンピテンシー評価とは、職務を効果的に遂行するために必要とされるスキル・行動などを指す「コンピテンシー」(行動特性)を基準とした評価方法です。 観察および測定可能であることが前提となっており、職務ごとに求められるコンピテンシーを分析・抽出します。そして、各従業員がこのコンピテンシーに沿った行動をし、どれくらいの業績をあげているかで評価を行うものです。

次にMBOとは「Management by objectives」の略語であり、「目標管理制度」とも呼ばれます。経営学の神様と呼ばれるピーター・ドラッカー によって提唱された と言われています。あらかじめ目標を設定し、半年や1年に1回レビューを行って達成状況をチェックするものです。目標を達成していれば評価され、未達であれば評価されないというシンプルな方法論と言えます。

最後に360度評価とは、上司が部下を評価するという一方向的な評価方法のみならず、部下が上司を評価したり同僚同士で評価し合ったり、さらには取引先がその担当者を評価したりと、さまざまな関係性で多面的に評価を行う方法です。より公平な評価方法として、日本でも導入する企業が出てきています。

いずれも成果主義の流れを汲みつつ、成果主義を超える評価方法として登場してきたものです。

なお、社員の転職や人材流出を防ぐための「人事評価制度の見直しポイント」については、下記の記事で解説しています。制度改善のヒントとしてぜひご覧ください。

評価制度の最新トレンドは、年功序列や成果主義とどう異なるか

ご紹介したコンピテンシー評価・MBO・360度評価のいずれも、年功序列と異なるという点は理解しやすいのではないでしょうか。

年功序列は、実績やスキルよりも年齢や在籍年数によってポジションや報酬が決められます。3つの評価方法は、年齢や在籍年数ではなく実績やスキル、周囲への影響力などといった評価基準を持っています。年功序列とは全く異なった評価方法であることは明らかです。

一方、成果主義との違いについてはやや分かりにくいかもしれません。特にMBOについては、成果主義に近いものがあります。しかし近年の評価のトレンドは、数字に表れる業績や達成度だけを測るのではなく、むしろ数字に表れにくい定性的な観点を重視するところがあります。

たとえばコンピテンシー評価においてコンピテンシーを抽出する際、そのモデルは定性的にならざるを得ません。「業績目標を必ず守る」ではなく、業績目標を達成するために「既存顧客と週に○回以上コミュニケーションを取る」「新規顧客へアタックする際にはマーケティング部と連携してニーズをあらかじめくみ取る」などと表現できます。目標を提示して達成を求めるだけというのは、コンピテンシー評価になじまないのです。

またMBOや360度評価を採用する場合も、数字的な目標やその進捗度だけを測るわけではありません。決して業績を軽視しているとは言えませんが、部下の育成やチームワークなど定性的な「目標」を考慮するのはコンピテンシー評価と同じことです。

成果主義については、評価基準があいまいだったり現場の実情に馴染まなかったりと、さまざまな弊害が指摘されてきました。最新の評価制度は、成果主義の基本的な考え方を保持しながらも、その弊害を克服するために生み出されたと言えるでしょう。

なお、ジョブ型雇用と成果主義の違いや、それぞれの制度の特徴・メリットについては、下記の記事で紹介しています。評価制度の方向性を検討する際の参考にしてください。

評価制度の最新事例を参考にする際の注意点

年功序列や成果主義などではなく、より公平で従業員のモチベーションを高め、会社全体の生産性にもよい影響を与える制度を探している人事担当者は多いでしょう。

しかし、今回ご紹介した最新の制度を取り入れても生産性の向上につながるとは限りません。会社の風土や文化に合っていないと、逆効果になる可能性もあります。たとえば360度評価を上下関係の厳しい会社で取り入れても、モチベーションを高めるような相互評価には至りにくいでしょう。それでは、従業員個人および会社全体の生産性を高める結果にはつながっていきません。

最新事例を参考にする際は、会社に合うかどうかをまず考える必要があります。会社の理念や文化に沿った評価制度を考えていきましょう。最新事例を模倣するだけではなく、自社で起こっていることをよく観察し評価制度の構築へとつなげていけば、自社オリジナルの制度ができあがるでしょう。

なお、従業員を公正に評価するための「コンピテンシーマネジメント」については、下記の記事で詳しく解説しています。評価基準の整備を進めたい方はぜひご覧ください。

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