人事評価が高い人=優秀とは限らない?本当に評価すべき人の特徴

人事評価とは、能力や実績などをもとに従業員を評価する仕組みです。管理職のなかには、仕事の成果のみを見て評価を高くしている方もいるのではないでしょうか。

実は、人事評価が高い人の特徴は「成果を上げている」以外にもいくつか存在します。もし、理解していない状態で人事評価をつけると、客観的で公平な判断ができなくなるでしょう。

本記事では、人事評価が高い人の特徴や評価するうえで気をつけるべき注意点を解説します。部下に対して、適切な人事評価をつけたいと考えている方は、ぜひご覧ください。

人事評価が高い人の5つの特徴

人事評価が高い人には、以下の共通点があります。

  1. 仕事が早い
  2. 成果を出している
  3. コミュニケーション能力が高い
  4. 自分で改善を繰り返している
  5. 人間性が評価されている

上記の特徴に当てはまる従業員は、総じて人事評価が高くなる傾向があります。

ただし、評価基準が曖昧なままだと、判断軸がブレる可能性もあるため注意が必要です。

ここでは、人事評価が高い人の特徴と、評価者が押さえておくべき具体的な判断ポイントを解説します。

1.仕事が早い

仕事が早い従業員は、人事評価で高く評価される傾向があります。

ただし、ここで言う「早さ」は、単に作業スピードが速いという意味ではありません。評価すべきは業務の進め方や判断力、柔軟性を含めた「仕事の質と効率」です

仕事が早い従業員には、以下のような特徴があります。

  • 緊急度と重要度を踏まえた的確な優先順位の判断ができる
  • 期限に余裕を持って完了できるよう、計画的に仕事を進めている
  • 想定外のトラブルにも、柔軟かつ冷静に対応できる余力がある

上記の特徴にあてはまる従業員は、ただ早くこなすのではなく、重要な業務から着実に処理し、安定して成果を上げている点が高く評価されます。

評価を行う際には「早い=優秀」と短絡的に判断するのではなく、背景にある取り組み姿勢や業務遂行能力にも目を向けましょう。

2.成果を出している

ノルマや目標が設定されている場合、成果を上げている社員は人事評価でも高く評価される傾向があります。

特に、事業の利益に直接貢献し、目標達成に向けて粘り強く取り組む姿勢を持つ人材は、評価の対象として重要です。

例えば、売上目標の達成率や新規顧客の獲得数など、成果が数値で示される営業職では、毎月継続して成果を出し続けることは容易ではありません。そのため、安定して目標を達成している社員は、自然と高い評価を得やすくなります。

成果が数値で可視化される業務は、人事評価の指標として活用しやすく、評価の公平性や納得感を高めるためにも有効です。結果を出している社員の貢献度を正しく評価するために、定量的な指標をうまく取り入れましょう

3.コミュニケーション能力が高い

コミュニケーション能力の高さは、人事評価の判断に重要な要素です。職場内や取引先とのやり取りを円滑に進められる社員は、業務をスムーズに推進できる力があると評価されやすくなります。

コミュニケーション能力が高い従業員には、以下の共通点があります。

  • 報告・連絡・相談を、適切なタイミングで実施できる
  • メールや電話などの対応が迅速かつ的確である
  • 問題発生時に、関係者への情報共有と初動対応が的確に行える
  • 会議や打ち合わせで、建設的な発言や提案ができる

例えば、上司に対して早めに報連相ができる社員は、問題発生時も被害を最小限に抑えられます。また、メールやチャットへの迅速な返信は、業務全体のスピード感を高めるため、結果的に人事評価にも好影響を与えるでしょう。

コミュニケーション能力は個人の業績にとどまらず、チームや組織全体の生産性にも直結するため、評価項目として重視するべき要素です

4.自分で改善を繰り返している

日々の業務に対して主体的に改善を重ねる社員は、高く評価される傾向があります。失敗を恐れず、経験から学びを得る姿勢があるため、能動的に業務へ取り組む姿が評価のポイントです。

また、自分で改善を繰り返している従業員は、次のような特徴があります。

  • 失敗を振り返り、次回以降に活かす行動ができている
  • 新しい知識やスキルの習得に積極的
  • 自主的に業務プロセスを見直し、効率化に取り組んでいる

特に、失敗を放置せずに改善へつなげる姿勢は、今後の成長や組織への貢献が期待できる要素として評価の材料になります。

「自ら気づき、行動し、変えていく力」は、長期的な人材育成の観点からも重要です。評価の際は結果だけでなく、過程や改善への取り組み姿勢にも目を向けましょう。

5.人間性が評価されている

仕事の成果やスキルだけでなく、人間性の高さも人事評価では重要な判断要素です。

どれだけ優れた業績を残していても、職場の雰囲気を悪化させたり社内外でトラブルを招くような言動は、長期的に見て企業の成長を妨げるためです。

人間性が高く評価される社員には、以下の共通点があります。

  • 誰に対しても礼儀正しく、丁寧な対応ができる
  • 周囲への気配りがあり、チームワークを重視している
  • 困っている同僚に対して、自発的にサポートできる
  • 素直に人の意見を受け入れ、建設的なコミュニケーションができる

上記に当てはまる従業員は、組織全体に良い影響を与える存在として、上司や同僚からの信頼を得やすくなります。

定量的な成果だけでなく、周囲との関係構築や職場環境への貢献などの「人間力」にも目を向けると、よりバランスの取れた評価が可能になります。

人事評価が高い人を評価する時の3つの注意点

ここでは、人事評価が高い人を評価する際の注意点を3つ紹介します。

  • 「仕事がデキる人」=「評価の高い人」ではない理由
  • 客観的な理由で評価する
  • 次の目標もあわせて伝える

注意点を理解しておくことで、部下に対して適切な評価をつけられるでしょう。

1.「仕事がデキる人」=「評価の高い人」ではない理由

「仕事がデキる人」が必ずしも「評価の高い人」になるとは限りません。「仕事ができる」判断材料は、人事評価のひとつの要素でしかないためです。

人事評価が高い人は、将来的に会社の中心を担う人材として期待される存在です。たとえば、仕事の成果が優れていても人間性に問題がある場合、組織全体に悪影響を及ぼす可能性があります。  

組織を持続的に成長させるためには、単に成果を上げているかどうかではなく、能力・姿勢・人間性を総合的に評価することが重要です。

2.客観的な理由で評価する

人事評価を行う際は「なぜその評価をつけたのか」を明確にし、客観的な事実にもとづいて判断しましょう。

特に、仲の良い部下や頻繁にコミュニケーションを取る社員の場合、無意識で好意的な評価をしてしたり、私的な感情が入り込んだりするケースも珍しくありません。

しかし、主観的な印象や好みで評価を行うと評価基準が曖昧になり、公平性を損なうリスクがあります。基準が不明確なままでは評価を受ける側が納得できず、モチベーションの低下や不満の要因になりかねません。

公平で納得感のある評価を行うためにも、明確な基準と客観的な理由の提示が不可欠です。

3.次の目標も合わせて伝える

人事評価を伝える際は、今回の結果だけでなく次の目標もあわせて伝えましょう。次のステップを提示することで、部下のモチベーション向上やさらなる成長につながります。

すでに高評価を得ている社員には、次のスキルアップ計画や将来的な期待を伝えることで、さらなる成長を促せます。

また、目標は一方的に押し付けるのではなく、部下と対話しながら設定することが重要です。本人のキャリアプランと組織のニーズをすりあわせて、お互いが納得できる目標を設定することで、意欲的に取り組める環境を整えましょう。

人事評価が低い人への対応で気をつけるべき3つの注意点

一方で、人事評価を行うなかで、どうしても評価が低くなる社員も出てきます。

評価が低い従業員に対しては、今後の成長を促すためにも評価者として以下の3点に注意して対応しましょう。

  1. 要因を考える
  2. 従業員の目標が無理のない範囲だったか確認する
  3. 評価内容の伝え方に気をつける

順番に解説します。

1.要因を考える

成果が低い場合、その要因が本人の問題なのか、外部環境の影響なのかを慎重に判断することが重要です。  

結果が振るわなかったからといって、すべてを本人の責任と決めつけるのは適切ではありません。たとえば、業務目標を達成できなかった場合でも、顧客都合や市場環境の変化が影響している可能性があります。  

もちろん、本人の努力や改善も必要ですが、短絡的に結論を出すのではなく背景を丁寧に分析することが大切です。  

管理職として部下の行動や成果を細かく観察し、総合的に判断することで、公平で納得感のある評価ができます。

2.従業員の目標が無理のない範囲だったか確認する

低評価の原因を振り返る際は、そもそも設定した目標が無理のない範囲だったかを確認しましょう。成果が上がらなかった理由の1つに、目標設定の段階で無理があった可能性も考えられます。  

目標を設定する際は、部下の能力レベルを慎重に見極めることが不可欠です。具体的には、以下のポイントをチェックしましょう。  

  • 本人の経験年数や専門性に対して適切か
  • 必要なリソースや支援体制は整っているか
  • 具体的で測定可能な目標になっているか

個人の状況や能力によって適切か異なるため、「他の人ができているから大丈夫」と判断しないように気をつけましょう。

3.評価内容の伝え方に気をつける

評価は伝え方次第で相手のモチベーションを左右するため、慎重に言葉を選びましょう。伝え方が不適切だと、必要以上にネガティブな印象を与え、成長の機会を損なうおそれがあります。  

評価面談では「今後の成長につながるフィードバック」を意識し、建設的な言葉を用いることを心がけてください。

避けるべき表現建設的な表現
できていない今後こうすれば改善できる
努力が足りない具体的にどう行動すればいいか
他の人と比べて劣っているあなたの強みをどう活かせるか

評価を伝える際はネガティブな言葉を避け、具体的な改善策や強みを活かす方向で対話を進めることで、前向きな成長を促せます。

人事評価をする時に意識するべき4つのポイント

最後に、人事評価する際に意識するべき4つのポイントを紹介します。

  • 公平に評価する
  • 個人的な感情を持ち込まない
  • 次に向けたフィードバックをする
  • 成果以外も評価する

順番に解説します。

1.公平に評価する

人事評価は感情や思い込みではなく、客観的な事実に基づいて公平に行うことが重要です。評価が公平であれば部下も納得感を持ちやすく、評価制度への信頼が高まります。  

公平な評価を行うために、事前に明確な評価基準を設定しましょう。基準を設けることで主観的な判断を減らし、一貫性のある評価が可能になります。  

また、評価基準は経営理念や事業戦略と整合性を持たせることが不可欠です。会社の方向性と評価基準が一致していないと、従業員の行動が企業目標とズレてしまい、組織の成長につながらなくなるおそれがあります。  

適切な評価基準を設定することで、公平で納得感のある人事評価を実現しましょう。

2.個人的な感情を持ち込まない

人事評価では、個人的な好き嫌いや相性を排除し、客観的な基準で判断しましょう。感情が評価に影響すると、同じ成果や行動に対する評価がぶれ、公平性が損なわれるためです。  

以下のような評価は、避けるべき典型例です。  

  • 普段から話しやすいため、評価を高めにする
  • 個人的に相性が悪いため、厳しめに評価する
  • 飲み会によく参加してくれるため、評価を上げる

評価は目標の達成率や貢献度など、従業員としての働き方を基準にし、公正に行うことが求められます。適切な評価を徹底することで、部下の納得感やモチベーションの向上につながるでしょう。

3.次に向けたフィードバックをする

評価面談では結果を伝えて終わるのではなく、「次にどう改善していくか」を具体的に話し合いましょう。人事評価は単なる成績付けではなく、従業員の成長を支援する役割も担っています。

例えば「コミュニケーションが不足している」という評価があった場合。単に指摘するのではなく「毎週木曜日に進捗報告を行う」など、具体的な改善策を一緒に考えるのが効果的です。  

評価結果を伝えるだけでは、部下が次に何をすべきか分からず、モチベーション低下につながる可能性があります。成長につながる明確なアクションプランを示すことで、前向きな姿勢を引き出し、企業全体の生産性向上にも貢献できます。

4.成果以外も評価する

人事評価では「成果の達成度」も重要な指標ですが、数値で測れる成果だけでなく、総合的に判断することが求められます。  

直接的な成果には表れないものの、組織の成功を支えている貢献が多く存在します。たとえば、締め切りを厳守する姿勢や適切な報連相の実施などは、数値化が難しいものの、組織の円滑な運営に不可欠です。  

評価期間中の行動や態度を日常的に観察し、働き方やチームへの貢献度も含めて総合的に判断することで、より公平で納得感のある人事評価を実現できます。

正しい基準で人事評価することが部下の育成・能力開発につながる

人事評価が高い社員には「仕事が早い」「コミュニケーション能力が高い」などの特徴が見られます。成果を出すことは重要ですが、数値だけに頼らず、総合的かつ公平に判断することが大切です。  

また、評価面談では結果を伝えるだけでなく、次の成長につながるフィードバックを行うなど、部下と一緒に改善点を見つけていくことが求められます。評価を成長の機会として活用することで、社員のモチベーション向上にもつながります。

人事評価は、昇給や昇進に直結する重要な指標です。客観的な基準を設定し、公平性を保った評価を行うことで組織全体の信頼性が高まるでしょう。

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