ホーム > ビジネスマン向け > 業績評価制度「OKR」とは?MBOやKPIとの違いもわかりやすく解説

業績評価制度「OKR」とは?MBOやKPIとの違いもわかりやすく解説

(写真=patpitchaya/Shutterstock.com)

ダイバーシティの浸透もあり、価値観の多様化が進む中、企業は目標達成のために効率的な経済活動を行わなければなりません。インテルが考案し、GoogleやFacebookなどが採用している目標管理手法「OKR」は、 国内ではメルカリが導入していることで注目されています。

組織と従業員の目標を連動させて、組織全体としてベクトルを合わせる方法として必要性が高まっているOKR。今回は、OKRの概要、しばしば混同してしまいがちなMBOやKPIとの違い、運用のポイントなどについて解説いたします。

>【無料ダウンロード】人評価制度の最新情報が詰まったレポート、
適切に人事評価制度を運用するための評価シートサンプル、

OKRも実現できる人事評価のサービスガイドを配信中。

OKRとは

OKRは「 Objectives and Key Results」の略称で、Objectives(目標)とKey Results(主要な成果)によって、高い目標を達成するための目標管理のフレームワークです。

企業の目標を達成するためにそれぞれの役割を明らかにして、組織全体でコミュニケーションを活性化し、一致団結して取り組むことを目的としています。

組織と従業員個人の目標を連動させるため、組織・部署・チームの各目標に細分化した上で個人の目標設定を行います。

OKRとMBO、KPIの違い

OKRはMBO、KPIと混同されがちです。何が、どう違うのかを整理していきましょう。
まず、それぞれの呼称は下記の通りです。

  • OKR…「Objective and Key Result(目標と主要な結果)」
  • MBO…「Management By Objectives(目標による管理)」
  • KPI…「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」

これらは全て業績評価手法のバリエーションですが、 全く異なる意味合いを持っています。 次にそれぞれの考え方の比較を見ていきましょう。

OKR・MBO・KPIの考え方比較

  MBO OKR KPI
レビュー頻度 1年ごと 四半期ごと
もしくは毎月
毎月
(毎週、毎日の場合も)
目標達成度を
測定する際の基準
組織によって変わる SMARTに基づく プロジェクト
によって変わる
目標の共有範囲 狭い
(上司と本人)
広い
(全社)
狭い
(部門ごと)
最終目的 報酬の決定要素
にすること
組織の生産性を
向上させること
プロジェクトの
目標達成
期待される
達成水準
100% 60~70% 100%

KPIは最終目標達成までのプロセスを定量的な目標でチェックし、達成度合いを測るための中間指標です。100%の達成を目指し、現実的な目標設定を行います。

一方、OKRは組織が一丸となって目標達成させるためのものです。そのため、高めの目標設定であることに意義があり、目標の60%〜70%が達成できるように設定します。

OKRが導入される背景

前述のような業績評価手法の中で、OKRは現在最もトレンドとなっている手法の1つです。なぜ、いまOKRがトレンドになっているのか。そこには、日本的な慣習に基づいた評価が通用しなくなっている背景がありました。

日本的な人事評価が通用しない。「公平さ」が 求められるグローバル時代

さまざまな国籍、文化の従業員が在籍するグローバル企業では、 いかにして客観的かつ納得感のある評価を行うかが問題になります。そのため、日本的な主観性の強い人事評価は通用せず、従業員から納得してもらえません。そこで 客観的で公平な業績評価制度が求められるようになりました。

日本企業も、OKRによる公平さを追求する価値はある

業績評価制度を自社に確立するのは難しいのでは、と思う方もいらっしゃることでしょう。確かに、スムーズに業績評価制度を確立するのは至難の技です。
実際、業績評価制度は、従業員が人事評価の主観性を「飲み込める」ようにするための仕組みだとする経営学者もいるほどです。

しかし一方でOKRを導入するGoogleの人事のトップであるラズロ・ボックは著書『ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える』の中で、適切な業績評価制度があれば従業員はのびのびと能力を発揮し伸ばせるという考えに基づいて、業績評価の公平さを追求していると書いています。

業績評価の公平さを「キレイごと」の一言で済ませずに追求しているからこそ、Googleの人材は優秀であると言われるのかもしれません。もしそうだとすれば、今後さらにグローバルに展開していく日本の企業でも、OKRによる公平さの追求を検討する価値は十分にあると言えるでしょう。

それではOKRを実際に導入すると、具体的にどのようなメリットがあるのか。
要点を整理しながら見ていきましょう。

OKRを導入するメリット

OKRは企業にとっても従業員にとっても成長をもたらし、生産性の向上が期待できます。主なメリットとして以下が考えられます。

企業ビジョンの浸透

先述の通り、OKRは企業と個人の目標がリンクしているため、企業のビジョンが従業員にもわかりやすく、組織内により深く浸透していきます。

エンゲージメントの向上

組織内共有している目標に向かって行動し、組織内のコミュニケーションが活発になります。それぞれの貢献度を可視化することにより企業への愛着心や貢献意欲が上がり、日々の業務に対してポジティブな気持ちになりやすいなど、ワークエンゲージメントや従業員エンゲージメントの向上につながります。

タスク優先事項の明確化

OKRは、全ての従業員が目標を共有しているため、「主要な成果」に直接的につながることや影響が大きいことは優先順位が高いことがわかりやすく、そうでないものは低いといったタスクの優先事項が明確化されて効率的な行動ができるようになります。

OKRを理解するポイント

OKRを理解する際のポイントは全部で5つ。
以下ではこれらを1つずつ解説していきます。

1.レビュー頻度の高さ

第一のポイントはレビュー頻度の高さです。
ピーター・ドラッカーによって考案されたMBOが1年に1回しかレビューを行わないのに対しOKRのレビュー頻度は四半期もしくは毎月行うのが一般的になっています。

これによりスピーディーな目標設定と測定ができるようになっているため、めまぐるしく変化するグローバル市場にも対応しやすくなっています。

2.達成度の測定基準の具体性

第二に目標達成度を測定する際の基準の具体性です。
MBOとKPIが組織やプロジェクトによって変動するのに対し、OKRではSMARTを基準にしています。

SMARTとは以下の5つの単語の頭文字をとった目標設定の指標を指します。 

Specific
(具体的に)
誰が読んでも理解できる、明確で具体的な目標にする。
Measurable
(測定可能な)
達成度合いが客観的に判断できるよう、数値で表せる目標にする。
Achievable
(達成可能な)
現実的な目標にする。
Related
(経営目標に関連した)
組織にとって意味のある目標にする。
Time-bound
(期限がある)
締め切りのある目標にする。

日本的な慣習の残る企業では、目標の達成基準があやふやになることも少なくありません。しかしOKRはもともとこうした基準を明確に定めているため、達成度の測定が曖昧になりにくくなっています。

3.共有範囲の広さ

第三に目標の共有範囲が、KPIとMBOに比べて圧倒的に広い点です。
これには最終的な目標の違いが影響しています。MBOの最終的な目標は報酬の決定にあるため、目標の共有範囲を広く設定してしまうと実質的に報酬の情報まで共有してしまうことになります。

KPIは最終的な目標が各部門のプロジェクトの達成にあるため、部門外で共有する必要がありません。これらに対してOKRの最終的な目標は組織全体の生産性向上にあるため、全社で共有するのです。

これにはチーム内もしくはチーム間での相互連携を促し、個人が目標を自分の中だけで抱え込まないようにする効果や、個人が組織への貢献度を実感しやすくする効果も期待できます。

4.目標の達成・未達成と報酬の増減が無関係

また共有範囲が全社に及ぶということは、目標の達成・未達成と報酬の増減を切り離して考えるということでもあります。これが第四のポイントになります。

目標の達成度が報酬に影響する場合、目標を設定する個人はできるだけ達成しやすい目標を選ぶでしょう。しかしOKRでは両者は無関係なので、より大胆で野心的な目標を設定しやすくなります。

5.期待される達成水準の低さ

こうした大胆で野心的な目標を設定しやすくするもうひとつの要素が、期待される達成水準の低さです。達成が大前提となっているMBOやKPIに対し、OKRが期待している達成水準は目標の60~70%です。

これにより目標が「ストレッチ目標(実力より少し高い目標)」になりやすくなるため、OKRによる目標設定は個人の成長にもつながりやすいと考えられます。これがOKRを理解するための最後のポイントです。

>【無料ダウンロード】
適切に人事評価制度を運用するための評価シートサンプル、
OKRも実現できる人事評価のサービスガイドを配信中。

OKRの運用方法

OKRはすぐにでも実行しやすい方法ですが、導入・運用するためにはいくつか必要なポイントがあります。

「目標」の設定

定性的な企業目標と、それに連動して部署・チーム・個人と細分化した目標を設定していきます。多くの企業では人事評価に目標管理を使用しているため、保守的な目標設定になりやすく、結果的に機能しない要因となってしまいます。
企業の成長を加速させるには、高く挑戦的な目標を掲げることが大切です。

「主要な成果」の設定

定性的な企業目標に対し、成果を設定します。
1つの目標に対し3つ程度とし 、定量的で計測可能なものにします。
計測方法はどのような方法でも構いません。

実施期間は1ヶ月や四半期ほどの期間で設定して各チームが独立して実現できるものにします。

OKRの共有

社内でのコミュニケーションの活発化や、全体の動きが把握できるように、OKRの内容をオープンにし、ツール等を使って社内で共有し、誰もが確認できるようにすることが肝心です。

適切なフィードバック

OKRには、組織的なフィードバックの仕組みが必要です。特に1on1でのフィードバックを頻繁に行うことで、目標達成への貢献度をアップさせることができます。

成果の測定と評価

成果の測定を行い、その結果から進捗状況を可視化すると、状況や対策も含めて企業内でのコミュニケーションが活性化されます。
また、四半期の段階で評価のフィードバックを行う際には、目標自体が妥当であるかどうかの見直しも行い、企業目標とのズレが発生している場合には目標の変更を行います。

まず自社の人事評価制度を見直そう

OKRの導入に当たり、自社の人事評価制度を見直すことは大切です。
本当に自社にとって必要か、不必要か。導入にあたって必要なツールなどはあるかどうか。人事評価コンサルタントに相談してみるのも1つの手です。

最初は失敗するのが「あたりまえ」

OKRを導入し、最初からうまくいく企業はごく稀です。
意気込んでいきなり全社で行うのではなく、最初は一部のチームで行うのもいいかもしれません。その上で、成功ケースがあればそれをモデルとして広めるなど、失敗してもそこから学んで継続していけるようにすることが大切です。

人事評価制度の「いまとこれから」

人事評価制度サービスをリードし続けるあしたのチームが考える人評価制度の「いまとこれから」、深い洞察とエビデンスに基づいた最新のレポートをダウンロードいただけます。


人事評価制度の役割とこれから〜基礎編〜
この基礎編では、人事評価制度の本質的な役割と位置づけを考察します。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

人事評価制度の役割とこれから〜基礎編〜


人事評価制度の役割とこれから〜応用編〜
応用編では、人事評価制度を導入するにあたっての問題点とこれからを考察していきます。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

人事評価制度の役割とこれから〜応用編〜


人事評価を制度化する意義
人事評価を制度化する意義やその効果についてあらためて考えます。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

人事評価を制度化する意義

あしたのチームのサービス

導入企業3000社の実績と12年間の運用ノウハウを活かし、他社には真似のできないあらゆる業種の人事評価制度運用における課題にお応えします。


あしたのチームのサービス
人事評価制度の構築・運用支援、クラウド化。 これらをワンストップで提供することにより、企業の成長と従業員の育成を可能に。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

サービスガイド


あした式人事評価シート
あなたの会社の人事評価制度は運用しにくい制度かもしれません。人事評価制度を適切に運用するノウハウと、その理由をお教えます。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

評価シート