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ピグマリオン効果とは?誤った認識で逆効果にならないよう正しく仕事に活用しよう

(画像=AntonioGuillem/iStock)

「ピグマリオン効果」は、教育者を育成する現場においてはよく使われている言葉です。

このピグマリオン効果をビジネスの現場で活用していこうという動きもあり、主に人材育成の面での効果が期待されています。

ただし、誤った活用方法だと逆効果を招いてしまう恐れもあるので、注意が必要です。

今回は、「ピグマリオン効果」の意味や、期待できる効果、客観的に本当に効果があるのか、その視点を踏まえたビジネスの現場における活用方法を紹介していきます。

ピグマリオン効果とは?

ピグマリオン効果は、アメリカの教育心理学者ローゼンタールが発表した心理学の用語です。

ローゼンタールの行った実験で、教師が期待をかけた生徒とそうではない生徒の成績には、明らかな違いが見られました。

教師が期待をかけた生徒の方が、学力的な成長が大きいという傾向が表れたのです。

この実験結果から「他者から期待されることによって成長が高まる」という結論が導かれ、この効果をピグマリオン効果あるいはローゼンタール効果と呼ぶようになりました。

正反対の考えは「ゴーレム効果」

ピグマリオン効果が、期待によって人が良い方向に変化する効果を指すものなら、その逆にあたる考えが「ゴーレム効果」です。

つまり、他人に対して悪い印象を以て接することによって、その人が実際に悪い成果の方へ向かう現象を指します。

例えば、教師が生徒に接する際に「この生徒は成績が良くない生徒だ」と思って接すると、その対応が影響して、成績が下がってしまう現象を、ゴーレム効果によるものと考えられています。

ピグマリオン効果の「ピグマリオン」とは?

そもそもピグマリオン効果の「ピグマリオン」とは、何から由来するのでしょうか?

ピグマリオンとは、ギリシャ神話に登場する王様の名前であり、自らが彫った女性像に恋をした人物として描かれています。

その愛が報われるように祈りつづけていると、女神がその祈りを聞き届けてくれ、女性像に命が吹き込まれ、2人は幸せに暮らしたという神話です。

「期待を持ち続けることでよい結果が訪れる」という神話と、「期待が相手に良いように影響する」という実験結果を結びつけ、ピグマリオン効果と名づけられました。

ローゼンタールが実施したピグマリオン効果の実験内容

ローゼンタールが実施した実験は、サンフランシスコの幼稚園年長児と小学生を対象に、あるテストを実施し、その際に、対象者の先生へ「あるウソ」を伝えることで成績に差が出るのか試したものです。

1度目のテストでは、ただの知能テストにも関わらず、「児童の成績が将来伸びるかわかるテスト」と先生にウソを伝えました。

その後、「成長が期待できる児童とできない児童」に分けたテスト結果を先生に見せました。

ただ、その結果は全くのデタラメで、20%ほどの生徒をランダムに「成長できる生徒」として選んだリストでした。

そして、8ヶ月後にもう一度、知能テストを同じ児童に実施したところ、まったくランダムに選ばれたはずの20%の高期待児童の知能が大きく伸びる結果となり、学習への興味や自主性などにも向上が認められたのです。

実験結果からわかるピグマリオン効果とは

このようなローゼンタールの実験結果から、ランダムに選ばれた児童に対して、他者である先生が「成長が予測される児童」として期待をかけたことによって、実際の児童の成長が促されたとの仮説を立てられます。

また、この結果から、ピグマリオン効果は、知能のように数値で表されるものだけではなく、勉強に対する自主性などの内面に関わる部分についても、成長を促すことができる可能性があることがわかりました。
それが、知能向上に寄与したのではないかとも考えられます。

もし、ピグマリオン効果を、企業における人材育成に上手く活用することができれば、意欲的かつ積極的に業務を遂行する社員を増やすことにつなげられるでしょう。

期待は逆効果?ピグマリオン効果が発揮されない理由とは

ただ、ピグマリオン効果には、「効果がある」と考えている学者ばかりではなく、のちに再実験したものから「再現性がない」として、各所から批判を浴びている面もあります。

再実験で失敗した理由の1つとして、「期待とは何か」が明らかにされていなかった点が挙げられるでしょう。

そもそも、期待とは、期待する側の主体が大いに関与するため、期待する側の考え方によって変化するものです。

例えば、「相手の主体性を下に得意なところが伸びるように」と促すのも期待ですし、「大手の企業に就職してほしい」など、一方的に理想とする理想像を押しつけることも一種の「期待」です。

もし、後者のような期待を相手に向けた場合、本人が望んでいないことであれば、無理やり押しつけることになり、「同じ期待」であっても、ピグマリオン効果とは逆の結果を生み出してしまう可能性があります。

ピグマリオン効果を本当に発揮させるための”期待”とは

それでは、ピグマリオン効果を最大限に生かしていくためには、どのような期待をかけることが正解なのでしょうか?

先ほどのような一方的な理想像を押し付ける期待ではなく、「本人の自主的なやる気を引き出す期待」「期待を表す行動」について、人材を育成する側はきちんと意識・把握する必要があります。

ピグマリオン効果の出やすい期待と、出にくい期待による実際の行動の特徴には下記が挙げられます。

 

期待する側の特徴

ピグマリオン効果の
出やすい期待
  • 相手が自主性を持って行動することに対して、肯定的な関心を持つ

  • 結果をあせらずに答えが出るまで見守る

  • 答えが出ないことに対してイラつくのではなく、内容がよく伝わっていない可能性などを考え、わかりやすく伝えるようにする

  • 答えを出すプロセスでヒントを出し、うまく行かなかったときは、正確なフィードバックを与える

  • 要所要所で褒める
ピグマリオン効果の
出にくい期待
  • 相手が行っていることに対して細々と指示や要求、命令などの口出しをする
  • 自分の期待通りの結果にならない場合に、ひどく怒ったり、イラついたりする

  • 「必ず伸びる」など過度な期待をかけ、褒める

  • あなたのためと言いながら、期待をかける側の利益が見え隠れする

  • 相手が行っていることに対して細々と指示や要求、命令などの口出しをする

  • 自分の期待通りの結果にならない場合に、ひどく怒ったり、イラついたりする

  • 「必ず伸びる」など過度な期待をかけ、褒める

  • あなたのためと言いながら、期待をかける側の利益が見え隠れする

人材育成をする側は、ピグマリオン効果の出ない、むしろ逆効果である期待をかけないよう注意しながら、人材の育成を促す期待の方を行動で示すように心がけましょう。

ピグマリオン効果で仕事のやる気を引き出す!人材育成の具体的な4つの手順

ピグマリオン効果は、ビジネスの現場においても部下の人材育成に生かすことができます。

人材育成に生かすための具体的な4つの手順について見ていきましょう。

キャリア・目標を立てる

ピグマリオン効果を人材育成に生かすためには、まずは対象者自身に今後のキャリアプランや目標を立ててもらうことが肝心です。

この際に気をつけておきたい点は、対象者が本当に感じていないことを人材育成側の都合で、無理やり引き出そうとするのを避けることです。

あくまでも、本人の自主的な取り組みを見守り、人生の目標と結びつける視点で考えてもらうようにしましょう。

目標達成に向けた現状の立ち位置を明示

目標を立てた後には、定期的に、対象者となる人物の業務範囲や期待されていることが何かを具体的に明示していきます。

キャリアプランのなかにおいて、対象者が今、どの立ち位置にいるのかを説明してあげましょう。

特に、長期のジョブローテーションでほかの部署を回っている場合などには、「なぜこの業務が必要なのか」「どのようなプランであるのか」といった点を伝えることが大切です。

目標達成までの過程にあたる仕事を褒める

対象者自身が定めた目標を達成してもらうためには、どの部分の仕事を担っているのかをクリアにしたうえで、本人が努力している部分や達成できた部分を褒めることが大切です。

そして、今後に期待していることもあわせて伝えましょう。

ただし、自分にとって価値がないと思っていることを他人から褒められても、素直に受け止められなかったり喜びを感じられなかったりする人もいるので、その点は注意しながら「認めている」ということを表現するとより効果的です。

公平な人事評価制度を構築する

部下に対して単に期待するだけでなく、公正・公平な人事評価制度にもとづいて対象者を評価することも大切です。

きちんと公平な制度の下に、評価を受けて、良い点や改善点の指摘を受けているといった環境を育んでいくことが望ましいといえます。

公平な人事評価制度の仕組みが社員に周知されていない場合には、「頑張っても評価にはつながらない」といった誤った認識を与えてしまう恐れもあるので注意が必要です。

直属の上司や教育担当者だけが意識を変えて対象者の評価を下すのではなく、人事評価制度のクラウドシステムなどを導入することで評価の仕組みそのものを可視化することも重要でしょう。

評価の公平性を担保しつつ、業務負担の軽減にもつながるはずです。

「正しい期待」で、ピグマリオン効果を最大限に発揮しよう!

ピグマリオン効果は正しい認識のもとで活用すれば、ビジネスの現場において人材育成に役立てられます。

しかし、誤った使い方をしてしまうと社員の意欲を低下させてしまうことにもなるので注意が必要です。

公平な人事評価制度の仕組みを整えたうえで、社員それぞれに目標を持ってもらい、正しい期待を寄せていくようにしましょう。

人材育成・人事評価を効果的に行っていくためには、評価者・被評価者のコミュニケーションが大切となります。きめ細かなやりとりが行えるよう、クラウドシステムを導入してみることも一つの手段です。

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