サービス業とは?種類や職種、向いている人の特徴、採用・人材育成の方法を解説

サービス業には、さまざまな業種・職種が含まれます。人材の採用と育成にあたっては、サービス業に求められるスキルを踏まえた上で、職種に必要なスキル・経験を見極めることが重要です。

本記事では、サービス業の説明から、向いている人の特徴や採用手法について解説します。

なお、営業職の仕事内容や求められるスキル、効果的な育成方法については、下記の記事で解説しています。人材育成の参考にしてください。

サービス業とは

サービス業とは、広義には「物品ではなくサービスを提供する業務」を指します。自動車や食品など、物の生産を主とする業務に対し、消費の対象となる役務を提供します。

サービス業には、商業や金融、宿泊、医療、教育、運輸、小売りなど、幅広い業界が含まれます。

接客業との違い

「サービス業」という大枠のくくりで仕事の話をする場合、一般的なイメージは「接客業」と重なりがちです。接客業とは、主にお客さんの相手をする職業を指します。接客業も、サービス業の一種に含まれ、飲食店やホテル、旅館などでお客さんをもてなす業務を行います。

サービス業の種類

経済産業省は、以下の業種をサービス業として分類しています。

1.情報通信業
通信業、放送業、インターネット付属サービス業のほか、映像・音声・文字情報政策業が含まれます。

2.運輸業・郵便業
鉄道、水運、航空運輸、倉庫業、郵便業やそれに付帯するサービス業が含まれます。

3.卸売業・小売業
繊維・衣服、化粧品、機械器具などさまざまな卸売・小売業が含まれます。

4.金融業・保険業
銀行、保険業、補助的金融業などが含まれます。

5.不動産業・物品賃貸業
不動産取引、不動産賃貸、不動産管理、物品賃貸が含まれます。

6.学術研究、専門・技術サービス業
学術や開発研究機関、専門サービス業が含まれます。

7.宿泊業・飲食サービス業
宿泊、飲食店、持ち帰り・配達飲食サービス業が含まれます。

8.生活関連サービス業・娯楽業
洗濯、理容、美容、娯楽業、その他サービス関連業が含まれます。

9.教育・学習支援業
学校教育やその他教育、学習支援業が含まれます。

10.医療・福祉
医療、保健衛生、社会保険、社会福祉、介護事業が含まれます。

11.複合サービス業
郵便局、協働組合が含まれます。

12.その他サービス業
自動車整備、廃棄物処理、職業紹介・労働派遣、その他サービス業が含まれます。

13.公務
地方公務員、国家公務員が含まれます。

なお、ブルーカラー(現場職の働き方)については、こちらの記事で解説しています。ホワイトカラーとの違いや年収差についても紹介しています。

代表的なサービス業職種の一覧

サービス業で良く知られる職種を見てみましょう。

多様な情報通信業関連の職種

情報通信業には、放送業や情報サービス業、インターネット付随サービスなどさまざまな業種が含まれます。その中で代表的な職種といえば、ウェブサイトなどを作成するシステムエンジニアや、広告プランナー、編集者、新聞記者などがあります。

人や物を運ぶ仕事の職種

運輸業は、人や物を運ぶサービス業です。電車の運転士、トラックの運転手、郵便配達員、パイロットなどが代表的な職種といえます。

お金を扱う職種

金融や保険など、お金に関連した職種にも、さまざまな種類があります。銀行の窓口勤務、法人営業、個人営業、保険セールスなどが当てはまります。

宿泊や飲食でサービスを届ける

宿泊業・飲食サービス業も、サービス業の代表的な職種です。フロント業務、接客業務などが当てはまります。

教育に関連した職種

教育もサービス業として代表的な職種です。学校の教師、塾の先生など勉強を教える職種のほか、保育士や幼稚園教諭のように早期教育・幼児の養育に関わる仕事や、塾の営業職なども当てはまります。

医療や福祉の職種

医師、看護師、介護士などもサービス業に該当します。

その他様々な業界の職種

経営コンサルタント、デザイナー、キャリアコンサルタント、トラベルプランナー、弁護士、税理士、など、さまざまなサービスを届ける職種があります。

サービス業に向いている人の特徴

サービス業は、無形の商材を人に届ける仕事です。そのため、人への興味のほか、社会貢献性が強い人、また状況にあわせ臨機応変に対応できる人に向いている仕事といえます。以下に、サービス業に向いている人の特徴を解説します。

人が好き、人への興味がある

人と接するサービス業の代表的なものは、接客業です。決められた業務のほか、目の前にいるお客さんが何を望むのか考えながら仕事をしたり、人に心地よいと思ってもらえるような接客態度が求められたりします。また、医師や看護師、保育士なども人と接する仕事です。

こうした職種では、他者への関心が重要です。「どうしたら人に喜んでもらえるのか」「どうしたら気持ちよくサービスを受けてもらえるのか」といった姿勢が、サービスを受ける側の満足度を左右します。

役に立ちたいという社会貢献性

サービス業は、無形商材で社会を支える仕事でもあります。物や人を安全に遠くまで届けたり、日々の生活がより便利になるサービスを開発したり、さまざまな面で社会と関わることができます。「なにか人の役に経ちたい」という想いは、サービス業に就く上でやりがいにつながるでしょう。

臨機応変に対応できる

無形商材を届ける仕事は、ときには決まったマニュアルが適さない場合があります。仕事で関わる人に合わせてサービス内容を適切に選択するほか、状況に合わせた対応ができなくてはいけません。マニュアルにとらわれず、自分で物事を考え臨機応変に対応できる人は、サービス業に適しているといえます。

サービス業に向いていない人の特徴

サービス業の内容自体が多様なため、一概に「向いていない」と判断するのは難しいものですが、対人コミュニケーションに苦手意識がある人や、言われたことを長く引きずる傾向が強い人は、向ていないと感じるかもしれません。

対人コミュニケーションに苦手意識がある

接客業や介護福祉サービス、塾の講師など、サービス業ではさまざまな対人コミュニケーションが求められます。人と話すことに強い不安感を覚える、もしくは、黙々と作業するほうが好きという方は、こうした対人コミュニケーションが多い職種に就くと、強いストレスを感じるかもしれません。

人から言われたことを引きずってしまう

サービス業には、感情労働と呼ばれるような、目の前のお客さんの感情に合わせた対応を取る仕事が多く含まれています。たとえば、看護師は目の前の患者の痛みや苦しみ、不安や怒りなどに寄り添うスキルが求められます。こうしたスキルは看護師に限ったことではなく、対人で仕事を行うあらゆる職種で必要とされるものです。

傾聴スキルや気持ちの切り替え方、相手に伝わる声掛けなど、仕事で求められるさまざまなスキルがありますが、人の言葉を長く引きずる傾向が強い人は、ストレスやモヤモヤを抱え込んでしまうかもしれません。

サービス業に必要なスキル

サービス業に求められる、一般的なスキルについてみてみましょう。

コミュニケーションスキル

第一に、コミュニケーションスキルがあげられます。ここでいうコミュニケーションスキルとは、相手に心地よくサービスを受けてもらうような受け答えのほか、相手の要望をくみ取る力も当てはまります。たとえば、経営コンサルタントのような仕事では、複雑に絡まり合った現状から課題を整理し、最終的に関係者が納得いく解決策を掲示する折衝力が必要です。

スムーズなやり取りだけではなく、現実と理想のギャップを理解した上で、最終的に満足度の高い着地に導けるのが、コミュニケーションスキルの高い人といえるでしょう。

マルチタスク

複数のタスクに優先順位をつけ、同時並行で取り組む能力もサービス業に求められます。たとえば、飲食店の接客業では、「入店したお客さんへの席案内」「オーダーが決まったお客さんへ注文をとる」「食べ終わった食器を片付ける」「出来上がった料理を運ぶ」という仕事がリアルタイムで進みます。

複数業務が平行するなかで、現状にあわせ優先順位をつけ、スムーズに業務を遂行するために、マルチタスクの能力は欠かせないものといえます。

専門性

その業種に求められる専門性を身に着けるのも、サービス業に従事する上で必要なことです。医学や法律、幼児教育、介護、デザインなど、サービス業の専門性は多岐に渡ります。もとからその領域に精通している人は、その分野でのキャリアを広げやすいと考えられます。

キャリアデザイン(人生設計とキャリア構築)については、こちらの記事で解説しています。社員のキャリア支援制度を整える際に役立ちます。

サービス業の課題とは

社会や生活に深く密着するサービス業には、離職率の高さや長時間労働といった課題が指摘されています。

離職率の高さ

厚生労働省の雇用動向調査によれば、離職率の高い業種は「宿泊・飲食業」がトップで、続いて「教育・学習支援業」、「その他サービス業」となります。求人数が多く出ている業種であっても、人の入れ替わりの激しさがあることが伺え、労働環境や福利厚生など、長く働き続ける土台に不安が残ります。

長時間労働

経団連が実施した労働時間の調査によれば、非製造業(サービス業)の年間平均労働時間は2,014時間と、製造業の1,987時間よりも多くなっています。

サービス業のなかには、リモートワークのように在宅でできる仕事が多くあります。こうした新しい働き方には、労働時間の管理行き届かず、長時間労働を引き起こす要因が潜んでいます。

また、慢性的な人手不足も長時間労働を引き起こす要因になります。年次有給休暇の取得率も、製造業が74%なのに対して非製造業は64%と低く、働きやすい環境作りが業種全体の課題になっているといえます。

低賃金

賃金の問題は、サービス業に含まれる職種が多いことから、職種によって傾向は異なります。DODAが実施した調査によれば、「金融」「IT/通信」業界は比較的高収入に分類されるのに対して、「宿泊・飲食」「その他サービス業」はトップの金融業界と比較し、全体の平均年収が100万円近く落ち込んでいます。

サービス業への需要

技術革新と共に、サービス業の将来性も変化しています。ここでは、以下に今後需要が伸びると予測されるサービス業についてみてみましょう。

IT通信技術を活用した新サービス

DX化(デジタルトランスフォーメーション)の言葉に代表されるように、近年は従来のサービスにIT技術を活用したものが登場しています。たとえば、コロナ禍で実店舗の売上が落ち込んだ小売店では、ECショップとオンラインチャットを活用したオンラインサービスを展開。さらに世界的に旅行需要が落ち込んだ旅行業界も、バーチャルツアーなどを生み出し、新しいサービスの形を切り開きました。

デジタルの融合は、「体験」だけには留まりません。一部の飲食店で導入されている配膳をするロボットは、接客サービスの新しい形です。今後、介護や医療など、ロボットの出番は広がっていくでしょう。一見すると「人の仕事を奪われる」ように見える技術革新でも、一概に就業機会を奪うものとは言い切れません。

人材不足が課題となる状況で、ロボットや新しい技術を活用できれば、新たな労働力として活用できるだけではなく、人がより注力するべき重点課題に取り組むことができるからです。情報通信技術との融合は、この先、サービス業においてどんどん新しい風をもたらすでしょう。

社会の変化に伴う需要の変動

現在、日本社会は少子高齢化に直面しています。一人の高齢者を支える生産年齢人口は、2045年には1.4人まで減少する見込みです。こうした社会の構造変化は、サービス業の需要の変化ともつながります。

後期高齢者向けの医療サービスや介護サービスはこの先拡大しつづけるでしょう。一方で、ライフスタイルの変化や価値観の変容に合わせた、フィンテック、フェムテック、ベビテックといった新たなサービスも生まれています。

テレビ番組の視聴率が低下した一方で、動画やSNSといったコンテンツの登場。レンタルビデオ店が縮小される一方で、動画のサブスクリプションサービスの台頭など、サービスの形は時代と共に変わります。時代の需要に合わせた形でサービスを展開できる企業は、この先も人々に支持されるといえるでしょう。

サービス業の人材採用方法

では、こうしたサービス業で優秀な人材を獲得するにはどうしたらいいでしょうか。売り手市場ともいわれる昨今では、ターゲット層に合わせた採用ツールや手法の活用が鍵となります。

業界特化型の人材紹介業

サービス業はいくつもの業界が含まれているため、特定の業界に特化した人材紹介会社に依頼するのは有効な手段です。指定したスキルや経歴にマッチする人材と出会う可能性が高くなります。また、エントリーポジションなど未経験や異業種からの転職を歓迎するようであれば、そうした基準を明確にした上で求人広告をだしてみるのもいいでしょう。

専門性をスクールで学んだ卒業生

近年では、さまざまなスクールが登場しています。プログラミングや士業など、一定の社会人経験を経てから学びなおす人も少なくありません。そうしたスクールの卒業生は、ある程度の知識を持ち、意欲も高く、入社後に活躍する人材として期待できます。

SNSを活用した求人

飲食店や小売店など、お客さんと直接接する職種ではSNSの介した募集も効果的です。日頃からその店舗のファンである人が応募してくれる可能性が高いため、モチベーションがあり、ビジョンに共感する人材との出会いが期待できます。若年層の採用を検討しているのであれば、想定しているターゲット層が頻繁に利用するSNSに絞って採用活動を行ってみるのもいいでしょう。

サービス業の人材育成方法のコツ

サービス業界のなかには、人の出入りが激しい業種もあります。せっかく採用した人材がすぐにやめてしまっては、企業としては痛手です。基本的スキルの教育からキャリアアップまで支援することが、長期的に活躍する人材を育成することにつながります。

サービスを支えるスタッフに対して教育・研修制度を整える

どの業種にも、そのサービスを支える基幹的職種が存在します。サービスの提供において中心的な役割を担い、もっとも人員が多い職種を指します。たとえば、美容院であれば美容師、介護福祉施設であれば介護福祉士、飲食店であればフロアスタッフというように、それぞれの業種ごとに基幹的職種があります。

この基幹的職種には、新人・ベテランとさまざまな経歴の人材が混在します。教育・研修を経て新人をベテランに育てられる土壌のある企業は、より豊かなサービスをお客さんに提供することができます。「未経験歓迎」「異業種からのチャレンジOK」とアピールし、人材を募集する企業では、この教育・研修の部分に力をいれる必要があるでしょう。

キャリアのロールモデルを掲示する

長く働き続けた後の姿を、従業員にみせることも大切です。そのため、組織のなかに様々な立場の人がいることは、多様なロールモデルを掲示することにつながります。

出産・育児を経て働き続けている社員、育児や介護と両立しながら働いている社員など、「働き続ける」社員の姿を定期的に発信しましょう。また、個人の事情に合わせ、長期的な就業をサポートする柔軟な就業体制や福利厚生の充実も、人材育成には欠かせません。

スキルアップを支援する

その職種ですぐに求められるスキルに限らず、業界に関連するスキルなど、さまざまな場でのスキルアップを支援しましょう。書籍の購入費補助は、資格検定費の補助、セミナー参加への奨励など、さまざまなスキルアップを支援する姿勢が、個人の学びの意欲を育てます。

目標と成果に応じた人事評価制度を整える

やったことを正当に評価されているという実感も、人材を育てるシーンでは欠かせません。どれだけ努力をしても成果を公正に判断してもらえなかったり、結果だけみて挑戦の姿勢や努力の過程を無視されたりしてしまうと、人は新しいことへの挑戦意欲をどんどん失っていきます。

職種や階級に合った、スキルを伸ばし意欲を高める人事評価制度が整っているのか、今一度みなおしてみるといいでしょう。

サービス業界での人材定着は育成がカギ

サービス業に含まれる業種は多様なため、人材の定着率にばらつきがあります。自社の離職率が同じ業種と比較して高いと感じる場合は、その原因把握に努めるとともに、人材育成の内容を見直してみましょう。

従業員の経験に見合った研修制度が整っているかどうか。とくに、新人研修のみ重点を置いている職場では、ミドルクラス、シニアクラスとキャリアを積む形での研修制度を整備すると、研修を通じて従業員のスキルアップを支援することができます。また、正社員だけでなく、アルバイト、パート、契約社員といったさまざまな雇用形態の従業員を雇用する企業では、正社員登用への制度を整えることも、自社内で業務に精通した人材を育成する有効な手法となります。

人材がそもそも足りないという悩みを抱えている場合は、採用ターゲットと採用手法の見直しを行いましょう。自社の職種に求められるスキルを洗い出すことで、採用対象を明確にすることができます。これまでの採用手法にとらわれず、新たな媒体や採用ツールを試みることで、採用市場で出会う人材層が広がるかもしれません。

労働生産性(業務効率を高める指標)については、こちらの記事で解説しています。生産性向上のメリットと改善方法を確認しておきましょう。

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