嘱託とは?契約社員との違い、契約条件、制度事例について紹介

嘱託社員のイメージ画像

嘱託という契約形態について、耳にしたことがあっても、明確にはわかりにくいと思われる方も多いのではないでしょうか。

特に人事部門の方で、今後社員の方と嘱託での契約について交渉する可能性がある方は押さえておきたい用語です。

今回は嘱託の意味、契約社員や派遣社員との違い、契約条件、社会保険の取り扱い、給与相場、制度の事例について紹介します。

嘱託とは

そもそも嘱託とは仕事を任せることや、正式の雇用関係でなく業務を依頼することを意味します。また、依頼された人や身分を指すこともあるでしょう。

「嘱託社員」として使用されることが多く、非正規社員の形態のうちのひとつです。
法律上で明確に定義はされていませんが、一般的には非正規社員のうちでも定年退職した後の社員と有期雇用の契約を結ぶ場合に使用されるのが一般的でしょう。

また、医療業界や弁護士業界など専門性の高い分野で、臨時的に雇用される場合に嘱託と呼ばれることもあります。

嘱託と契約社員の違い

それでは契約社員と嘱託社員との違いは何なのでしょうか。
契約社員とは嘱託社員と同じく非正規社員の一種で、雇用期間の定めのある有期雇用契約の社員を言います。

契約期間は労働基準法14条にて「原則として3年」であるものの、契約上の定めによるでしょう。ただし、3年を超えて契約はできず、3年を超えて契約をしたい場合は契約終了後に再度契約することが必要です。

契約期間内はやむを得ない事由がない限りは退職できないことが労働契約法で定められています。ただし、暫定的には、契約日から1年経過した後は、いつでも退職することができることとなっているでしょう。

一方、嘱託社員についても、雇用期間の定めがある有期雇用契約の社員である点は契約社員と一緒です。
そのため、定める契約期間は基本的には3年である点や、3年を超える場合には再度契約が必要な点、1年経過してからでないと解雇や退職などができない点は契約社員と同じでしょう。

契約社員との違いは、嘱託社員は退職者など特定の専門的スキルを持った人との有期雇用契約を指します。
既に特定のスキルを持ち、会社にも慣れている社員が多いため、嘱託は時短勤務や週4勤務など変則的な労働時間で働いているケースが多いです。

嘱託と派遣の違い

嘱託社員と派遣社員の一番の違いは雇用主が異なる点でしょう。
嘱託社員は勤める会社との労働契約になりますが、派遣社員の場合は派遣元の会社と労働契約を締結することになります。

派遣社員の場合は、嘱託社員と同じく時短など短時間での勤務も一般的で、雇用形態も有期雇用契約となります。
給与形態は嘱託社員が月給や年俸制など社員と同様なのに対して、派遣社員は時給であることが一般的です。

嘱託の契約条件とは

前述の通り、嘱託契約には法的な定めはありませんが、有期雇用契約で締結することになります。
契約上で明記しておく条件には、下記のような内容が必要です。

・雇用期間
・勤務場所
・仕事内容
・勤務時間
・休憩時間、休日、休暇、時間外勤務の有無
・基本給、各種手当
・賃金の締め日・支払日
・賞与の有無、昇給の有無、退職金の有無
・更新の有無、更新する場合の基準、更新の際の取扱い など

賞与の有無や退職金の有無は、その会社の就業規則の定めによります。
実際の運用としては、賞与はありで、退職金は契約変更時に一度支払っているのでない場合が多いようです。

ただし、注意が必要なのが、2020年より法改正により同一労働同一賃金の義務化が進んでいる点です。
嘱託社員であっても正社員と同一の労働をしていると認められる場合には、同等の賃金を支払うことが求められます。この点に配慮しながら、契約内容と報酬とを取り決めるようにしましょう。

嘱託は社会保険に加入できるのか

嘱託社員であっても正社員と同様に、下記要件をすべて満たす場合は社会保険に加入する必要があります。

1)1週間あたりの決まった労働時間が20時間以上であること
2)1ヶ月あたりの決まった賃金が88,000円以上であること
3)雇用期間の見込みが1年以上であること
4)学生でないこと
5)以下のいずれかに該当すること
 ①従業員数が501人以上の会社で働いている
 ②従業員数が500人以下の会社で働いていて、社会保険に加入することについて労使で合意がなされている

1)については、時間外勤務の労働時間は含まれません。労働契約書で定めた所定労働時間により算出されます。
2)の賃金について、賞与・残業代・通勤手当は含めません。契約書上で定められた所定内賃金が該当賃金です。
3)の雇用期間について、1年未満であっても就業規則や雇用契約書において、その契約が更新される場合があると記載されている場合には3)に該当します。
4)について、学生の中でも夜間、通信、定時制の学生は対象内です。

上記と照らし合わせて、対象内である場合は嘱託であっても社会保険に加入できる権利があります。

参考:「平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大)」

厚生労働省

嘱託の給与相場とは

嘱託の給与相場とはどのようなものなのでしょうか。
嘱託契約の場合、従来正社員として退職時までに支払われていた給与よりも低めの給与金額となることが一般的です。

労働時間が少なくなり、管理職が解かれて職務内容が以前と比較して狭まることが給与に影響します。
ただ、専門性の高いスキルなどを保有しており、会社側で辞めてほしくない人材については、交渉により高額となるパターンもあるようです。

同一労働同一賃金が強化されているという背景もありますので、企業は改めて労働内容と給与が社内水準で一致しているか確認しつつ、嘱託社員の給与金額を決めるようにしましょう。

嘱託制度の事例とは

嘱託社員と契約する場合には、きちんとルール決めをして嘱託制度を整えておくことが大切です。
ここでは、大和ハウス工業株式会社の嘱託制度の事例を紹介します。

嘱託制度を導入した背景:
建築業界で人材不足が叫ばれてきましたが、該社の場合も人材不足が深刻で、特に新規事業やグループ会社の経営者不足が顕著でした。また、今後を見据えた時に、海外展開を拡大する際に人材が足りないという問題も。

しかし、従来からある嘱託再雇用制度では、60歳の定年後に退職しない社員はおおよそ半数ほどしかいませんでした。シニア社員にも疎外感を感じることのない制度の構築をすることが必要とのことで新制度の導入が決定します。

導入内容:2013年に「65歳定年制」2015年に「アクティブ・エイジング制度」を導入しています。

「65歳定年制」では、60歳の役職定年前に、活躍の場が明確になるよう3つのコースを選定してもらいます。特例的に引き続き組織の長にとどまる「理事コース」、後進の指導や教育に特化した「メンターコース」、1プレイヤーとして働く「プレイヤー」の3つです。
その他、60歳以降も期間の定めのない契約であることや、基本給に変更がなく役職定年前の7~8割は年収水準が保たれる点が喜ばれ、嘱託社員の増加につながりました。

また、「アクティブ・エイジング制度」では、65歳以降も1年更新で働き続けられます。
例えば年齢が80歳であっても、会社と本人が希望する場合は働き続けられるのです。
勤務形態は、健康を考慮して原則週4日勤務で、給与は一律で月20万円と定められています。

参考:「事例報告④大和ハウス工業のシニア社員活用の実態」

独立行政法人 労働政策研究・研修機構

就業規則などルール整えてから嘱託制度を導入しよう

嘱託社員は定年退職の年齢が変わる中で、今後ますます必要とされる契約形態です。
企業は就業規則などのルールをきちんと整え、嘱託制度を導入することが必要とされます。

人事部門の方は、嘱託についての取り扱いを理解した上で、社内の制度を整えていきましょう!

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