所得とは?収入との違いや種類、計算方法について解説

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人事・総務の業務では「所得」という言葉が使われます。税金や社会保険など、さまざまな手続きで関係してくる用語です。そもそも所得とは何を意味するのでしょうか。

「収入」との違いは何でしょうか。本記事では、所得の定義と、所得税の計算方法について詳しく解説しています。

所得とは

所得とは給与などの「報酬」を指す言葉で、「収入」とほぼ同じ意味ですが、税金などの手続きにおいてはそれぞれ異なる意味があります。

税制上の「所得」とは、「収入 – 収入から差し引く金額」のことです。所得の意味を把握するために、「所得と収入の違い」を確認しておきましょう。

収入との違いとは

税金などの手続きにおける「収入」とは、1年間に受け取った給与などの総額です。例えば給与の場合、収入とは源泉徴収額や社会保険料の金額を差し引く前の、「支払金額」の総額を指しています。

そして、そこに「収入から差し引く金額」を加味すると所得になります。所得の種類ごとに収入から差し引く金額が異なりますが、例えば給与の場合、収入から「給与所得控除」を差し引いた金額が所得です。

次の項目で解説する通り、給与以外にもさまざまな種類の所得がありますが、基本的に所得とは「収入 – 収入から差し引く金額」で求められます。

所得の種類

所得には、以下に挙げる10種類があります。それぞれの計算方法を確認しておきましょう。

また、課税方法で分類すると「総合課税」「申告分離課税」「源泉分離課税」の3種類があり、それぞれ手続きの方法が異なることに注意が必要です。
「総合課税」に該当する所得は、全て合算してから税金を計算しますが、「申告分離課税」の所得は個別に計算します。
「源泉分離課税」の所得については、所得税が差し引かれた状態で受け取るため、納税や確定申告などの手続きは不要です。

所得の種類と課税方法

国税庁

事業所得

計算方法 事業所得 = 事業収入 – 必要経費
課税方法 総合・申告分離

事業所得とは、農業や漁業、サービス業などの自営業によって得た売上や、フリーランス収入、株式売買などによる所得です。

基本的に「総合課税」に分類されますが、事業規模で行う株式譲渡による利益など、一部の所得は「申告分離課税」です。

No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)

国税庁

不動産所得

計算方法 不動産所得 = 不動産収入 – 必要経費
課税方法 総合

土地や建物など、不動産から得られる家賃収入などによる所得は、不動産所得に分類されます。必要経費に該当するのは、減価償却費や修繕費、固定資産税などです。

No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)

国税庁

利子所得

計算方法 利子所得 = 利子収入
課税方法 源泉分離・総合

預貯金や公社債などの利子を得た場合は「利子所得」に該当します。基本的に確定申告が不要な「源泉分離課税」ですが、国外で支払われる預金などの利子については「総合課税」です。

利子所得については必要経費などの差し引かれる金額がなく、利子の金額がそのまま利子所得となります。

No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)

国税庁

配当所得

計算方法 配当所得 = 配当収入 – 負債の利子
課税方法 総合・申告分離・源泉分離

配当所得とは、株主として受け取る配当金や剰余金の分配などです。配当の種類によって「総合課税」「申告分離課税」「源泉分離課税」のいずれかに該当します。

利子所得の計算に使われる「負債の利子」とは、株式などを購入するために借入をした場合で、その借入のために支払った利子のことです。

No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)

国税庁

給与所得

計算方法 給与所得 = 給与収入 – 給与所得控除
課税方法 総合

給与所得とは、正社員やパート・アルバイトとして受け取る給与や賞与、手当などです。後述の「所得の計算方法」で解説する通り、給与収入が大きいほど給与所得控除の金額が段階的に大きくなります。

No.1400 給与所得

国税庁

雑所得

計算方法 雑所得 = 雑収入 – 必要経費
課税方法 総合・申告分離・源泉分離

雑所得とは、公的年金や原稿料など、他の所得に分類されないさまざまな所得のことです。公的年金などは「総合課税」に該当しますが、所得の種類によっては「申告分離課税」や「源泉分離課税」の場合もあります。

収入から「必要経費」を差し引いて所得を計算しますが、公的年金などの場合は「公的年金等控除」を差し引きます。

No.1500 雑所得

国税庁

譲渡所得

計算方法(土地や建物を譲渡した場合) 譲渡所得 = 譲渡収入 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除
課税方法 総合・申告分離

譲渡所得とは、ゴルフ会員権や土地などの資産を譲渡した対価としての所得です。
土地や建物などを譲渡したときには「総合課税」で、ゴルフ会員権などその他の資産を譲渡したときには「申告分離課税」に該当します。

上記は土地や建物などを譲渡した場合の計算式ですが、その他の資産を譲渡した場合でも、「取得費 + 譲渡費用」と「特別控除」を差し引くという基本は同じです。

No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)

国税庁

No.1460 譲渡所得(土地、建物及び株式等以外の資産を譲渡したとき)

国税庁

一時所得

計算方法 一時所得 = 一時収入 – 必要経費 – 特別控除
課税方法 総合・源泉分離

一時所得に該当するのは、生命保険の一時金や、賞金、当選金などです。
基本的には「総合課税」ですが、「源泉分離課税」で、あらかじめ税金が差し引かれた状態で受け取る場合もあります。

No.1490 一時所得

国税庁

山林所得

計算方法 山林所得 = 山林収入 – 必要経費 – 特別控除
課税方法 申告分離

山林所得に該当するのは、山林(山の樹木)を伐採、または立木のまま譲渡して収入を得た場合です。山ごと売却する場合の、土地部分についての所得は「譲渡所得」にあたるため、山林所得ではありません。

No.1480 山林所得

国税庁

退職所得

計算方法 退職所得 = (退職収入 – 退職所得控除)× 1/2
課税方法 申告分離

退職所得に分類されるのは、退職金や一時恩給などです。
従業員が退職金の掛金などを負担した場合には、その負担分を退職収入から差し引くことができます。
また「役員等勤続年数に対応する退職金」については、一部「1/2」が適用されないケースがあります。

No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)

国税庁

所得控除とは

所得の意味を把握するには、「所得控除」についても知っておく必要があります。所得控除とは、税金の負担を軽減するために「所得から差し引く金額」のこと。例えば配偶者控除や医療費控除など、所得の種類とは関係なく家族構成や1年間に支払った項目などによって決まる金額です。

所得控除の意味を把握しておくと、所得とは異なる「課税所得」の意味を把握しやすくなります。課税所得とは「所得 – 所得控除」で計算される金額です。この金額を基準として、後述する「所得税」が計算されます。

所得控除の種類

所得控除には、以下の15種類があります。

• 雑損控除
• 医療費控除
• 社会保険料控除
• 小規模企業共済等掛金控除
• 生命保険料控除
• 地震保険料控除
• 寄附金控除
• 障害者控除
• 寡婦控除
• ひとり親控除
• 勤労学生控除
• 配偶者控除
• 配偶者特別控除
• 扶養控除
• 基礎控除

引用元:No.1100 所得控除のあらまし|国税庁

所得控除は条件を満たせば自動的に適用されるものではなく、基本的には自己申告制です。年末調整や確定申告で、必要な書類を提出しなければ適用されません。

所得控除に必要な手続き・書類

所得控除を受けるために必要な手続きは「年末調整」もしくは「確定申告」です。

年末調整の手続きをするだけで適用される所得控除もありますが、以下については確定申告をしなければ適用されません。

  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 寄附金控除

年末調整・確定申告いずれの場合でも、証明書などの提出書類を用意する必要があります。

例えば生命保険料控除の適用を受けるには、保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」などが必要です。

所得税とは

所得税とは、前述の「課税所得」を基準に計算される税金のことです。税率は5~45%の範囲で、課税所得が高い人ほど段階的に高くなるよう設定されています。詳しくはこの記事内の「所得税の計算方法」を参照してください。

平成25年から令和19年までは、所得税に加えて「復興特別所得税」が課税されます。復興特別所得税の税率は2.1%で、所得税を納める義務のある全ての人に対して一律です。会社員の場合、所得税の納税手続きは不要で、年末調整だけで済みます。ただし会社員でも副業で20万円を超える収入があるケースや、前述の確定申告が必要な所得控除を受けたい場合には、年末調整と確定申告の両方が必要です。

所得税の手続きについてのサポートを受けたい場合には、税理士や管轄の税務署などが利用できます。

所得税のしくみ

国税庁

所得の計算方法

所得の具体的な計算方法を確認しておきましょう。計算方法は所得の種類によって異なりますが、例えば給与所得の場合は以下の計算で求められます。

「給与所得 = 給与収入 – 給与所得控除額」

この計算式で使われる「給与収入」と「給与所得控除額」について、以下に詳しく解説します。

給与収入の合計を計算する

「給与収入」とは、1年間の給与の合計です。いわゆる「手取り」ではなく、源泉徴収額や社会保険料が天引きされる前の金額のこと。

例えば源泉徴収票では「支払金額」に該当する金額です。交通費など「非課税」に該当する手当は含まれません。

給与収入から給与所得控除を差し引く

「給与所得控除」とは、給与収入から差し引くことができる金額のことです。名称が似ていますが、前述の「所得控除」とは種類が異なります。
給与所得控除は、その名の通り会社員やパートなどが受け取る給与所得にのみ当てはまる所得控除です。

給与所得控除の額は、給与収入の額によって異なります。具体的な金額は以下の通りです。

給与収入 給与所得控除額
1,625,000円まで 550,000円
1,625,001円から1,800,000円まで 収入金額×40%-100,000円
1,800,001円から3,600,000円まで 収入金額×30%+80,000円
3,600,001円から6,600,000円まで 収入金額×20%+440,000円
6,600,001円から8,500,000円まで 収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上 1,950,000円(上限)

No.1410 給与所得控除

国税庁

所得税の計算方法

所得の金額が分かっただけでは、所得税の金額はまだ分かりません。所得とは異なる「課税所得」を計算する必要があるからです。所得税の計算方法を以下に解説します。

課税所得を計算する

前述の通り、課税所得は「所得 – 所得控除」で計算できます。
ここでいう「所得」とは、前述の10種類のうち「総合課税」に分類される所得の合計です。そして該当する「所得控除」の合計金額を計算し、所得から差し引くことで、課税所得が求められます。

該当する税率をかける

課税所得の計算ができたら、次に「税率」を確認します。所得税率は以下の表の通り、課税所得が大きいほど高くなる仕組みです。

課税所得 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

No.2260 所得税の税率

国税庁

表の右側にある通り、課税所得からも差し引くことができる「控除額」があることにも注意しましょう。 税率が分かったら、「課税所得 × 税率 – 控除額」で、所得税の金額を計算します。

税額控除の合計を計算する

実際に収める所得税額を計算するには、上記で求めた所得税の金額に対して、最後に「税額控除」を差し引く必要があります。「税額控除」とは、所得税額から差し引くことができる金額のことです。

さまざまな種類の税額控除があり、例えば住宅の新築をした場合などに受けられる「住宅借入金等特別控除」があります。

No.1200 税額控除

国税庁

申告分離課税の計算をする

上記で計算した金額は「総合課税」に分類される所得税です。「申告分離課税」に該当する所得については、それぞれ個別に計算します。

計算方法は所得の種類によって異なりますが、いずれも確定申告によって納税手続きが可能です。所得の種類ごとに所得税を計算し、専用の確定申告書類(第三表)に記入して、税務署に提出します。

申告分離課税の所得は年末調整の対象外であり、企業として対応する必要はありません。

担当者は所得を正しく計算しよう

所得とは、「収入 – 収入から差し引く金額」で計算される金額です。給与や年末調整の処理をする担当者は、従業員の所得と税金を正しく計算する必要があります。そのためには所得税についての基本知識を身につけておくことが重要です。

給与の支払いをする企業側として実際に処理するのは、「給与所得の所得税」のみですが、所得税の知識全般をつけておくことは役立ちます。従業員から年末調整や確定申告についての問い合わせを受けた際に、的確なサポートをするためにも重要な知識です。

所得についての基礎知識を身につけ、正確な事務処理をしていきましょう。

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