年功序列と成果主義!それぞれのメリットとデメリットとは?

(写真=Pressmaster/Shutterstock.com)

人事評価制度には、高度経済成長期以降に導入した日本型経営のスタンダードであった年功序列型と、バブル崩壊以降導入する企業が増えてきた成果主義型があります。

ここではそれぞれのメリットとデメリットを比べて、これからの日本企業に求められている人事評価制度のあり方について考えます。

年功序列型は「安心できるが、やる気がでない」

年功序列型の人事評価制度は「年功序列型賃金制度」とも呼ばれ、勤続年数が長いほど賃金水準が高くなるというシンプルな制度です。高度経済成長期以降の日本の経済発展を支えてきた伝統的な賃金体系です。

また、対比する言葉として「成果主義」や「ジョブ型雇用」などがあげられます。

年功序列型のメリット

会社に対する帰属意識が高まり、定着率向上につながる

年功序列型は、基本的に長く務めれば昇給できるシステムです。そのため、長期勤務を前提として働く人が多く定着率の向上につながります。また、長い間一緒に働く社員同士の理解や絆が深まり連帯感が強くなることで会社に対する帰属意識が高まります。

若手社員の育成をスムーズに行える

年功序列型は、経験豊富な社員が多数在籍するケースが多いです。そのため、ベテラン社員が若手社員の育成をスムーズに行うことができます。また、勤続年数が長く経験豊富な社員が増えていくことで、若手社員の育成システムも確立しやすくなります。

人材評価コストの削減が期待できる

年功序列型は、主に年齢や勤続年数などによって賃金や役職が上がります。したがって、人事評価しやすいこともメリットです。また、勤務年数が長い社員が多いことで個人の適正を判断しやすく、時間的にも金額的にも人材評価にかけるコストの削減が期待できます。

年功序列型のデメリット

チャレンジ精神やモチベーションの低下

成果に見合った十分な評価が与えられない年功序列型は、社員のモチベーション低下につながる可能性があります。「評価を高めるためにチャレンジする」「成果を出して給料を増やしたい」などのチャレンジ精神や目的意識を持ちにくい傾向です。また、年齢や経験によって昇給していくため生産性の向上に影響が出る可能性があります。

 社員の高年齢化による人件費の高騰

年功序列型は、社員の年齢や勤続年数に伴って賃金が上昇するため社員の高齢化による人件費の負担が大きくなると考えられます。たとえ、社員数に変化がなくても年功序列によって支払う賃金が上昇していけば、業績を伸ばし続けない限り人件費を払い続けることが難しくなる恐れがあります。

有能な社員が育ちにくく離職しやすい

年功序列型の特徴として、若い社員が成果を出しても評価されにくいことがあります。したがって、意欲があり目的意識が高い若手社員ほど自分の評価に不公平さを感じることも少なくありません。結果的に、有能な社員が入社しても成長することなく離職する可能性があります。

年功序列型の課題

年功序列型の人事評価では、若手で非常に優秀な社員がいたとしても、勤続年数の長い社員よりも高い賃金にはなりません。日本が右肩上がりの成長を続けていた頃は、「我慢して長く勤めれば、出世して賃金も上がる」という希望を持つことができました。

しかし年功序列型の前提である、終身雇用制度が崩壊している近年の日本においては、賃金が上がるどころか、賃金が下がったり会社そのものがなくなったりしてしまう可能性さえあるのです。その結果、自分よりも仕事のできない先輩や上司が、自分より高い賃金をもらっている場合に、不満や疑問を感じてチャレンジ精神やモチベーションを下げてしまうのです。

このことから年功序列型は、業績が安定している会社においては経済や心理の面から安心感があるものの、ひとたび業績の安定という前提が崩れれば、デメリットのほうが目立ってしまう人事評価制度と言えます。

成果主義型は「やる気は出るが、殺伐とする」

終身雇用制度の崩壊が始まった1990年代以降、日本の企業がこぞって導入した人事評価制度が、欧米発の成果主義型でした。この人事評価制度の目的は個人が出した成果を評価し、それを賃金に反映させることで、より大きな成果を生ませ、それを企業全体の業績改善につなげるというものです。

成果主義型のメリット

チャレンジ精神やモチベーションの向上

成果主義型では、成果が昇給昇進につながるため、チャレンジ精神やモチベーションを上げて努力する社員が増えていく傾向があります。成果主義を上手に利用して社員同士が切磋琢磨するような競争意識を持てば、理想的な職場環境を目指すこともできます。

優秀な人材を確保しやすい

仕事に対する向上心や能力が高い社員ほど、自分の能力や成果が正しく評価される職場環境を選ぶ傾向があります。したがって、成果を正当に評価する成果主義型は、優秀な人材へのアピールポイントとなります。また、優秀な人材を確保し続けることが期待できます。

人件費の無駄を削減できる

成果主義型は、成果が出せなくても勤続年数に応じて賃金が上がる年功序列型とは異なり成果に伴う評価システムです。したがって、成果を出せない社員にはコストをかけず、成果を出す社員を高く評価します。必要な部分に必要なコストをかけるため人件費の無駄を削減できます。

成果主義型のデメリット

ノルマ達成を重視するあまり職場の人間関係が悪化しやすくなる

個人の成果を評価する成果主義型では、ノルマ達成を重視するあまり個人プレーに走る人が増えて人間関係が悪化する可能性があります。その結果、社員同士が成果を上げるための協力を拒否したり、情報を共有しなかったりという問題が起こりやすくなります。

賃金格差によるモチベーションの低下を招くことがある

成果主義型は、社内で賃金格差が生まれやすい傾向があります。その結果、同じ年数でキャリアを積んできた社員同士でも「勝ち組」「負け組」に分かれてしまうことも少なくありません。

賃金格差は一部社員のモチベーションを低下させる可能性があるため、適切なフォローが大切です。また、評価基準が正しくなかったり、不明瞭だったりすると成果主義のメリットを失う可能性があります。自社に合った正しい評価制度の整備が必要です。

中小企業庁が行った「人材マネジメントに関する実態調査(2008年11月)」によると、年功序列型の人事評価を重視する理由として多い順に「長期間の勤務を促し、知識・技能の蓄積を図るため」「成果主義の場合、個々の従業員の成果を評価する必要があるが、そのような評価を公平に行うことが困難なため」「個々の従業員の成果よりも、従業員の調和やチームワークの尊重が重要であるため」と、回答しています。

このことから成果主義型は、正当な評価により仕事へのモチベーションは上がるものの、それによって会社内が殺伐とした雰囲気になってしまう人事評価制度と言えます。

部署によって評価基準の設定が難しい

成果主義は、「企業にどのくらい貢献できたか」など、成果に応じて評価するシステムです。多くの企業にはさまざまな部署があり、部署によっては評価基準の設定が難しいケースもあります。

たとえば、営業部門は数字による成果があるため評価しやすいですが、事務職や研究部門など成果を評価しにくい部門もあります。正しい評価方法が定まらず結果的に人事評価コストの拡大を招くことも少なくありません。

成果主義型の課題

中小企業庁が行った「人材マネジメントに関する実態調査(2008年11月)」によると、年功序列型の人事評価を重視する理由として多い順に「長期間の勤務を促し、知識・技能の蓄積を図るため」「成果主義の場合、個々の従業員の成果を評価する必要があるが、そのような評価を公平に行うことが困難なため」「個々の従業員の成果よりも、従業員の調和やチームワークの尊重が重要であるため」と、回答しています。

このことから成果主義型は、正当な評価により仕事へのモチベーションは上がるものの、それによって会社内が殺伐とした雰囲気になってしまう人事評価制度と言えます。

今の時代にあった「真の成果主義型」の導入が必要

年功序列型から成果主義型に変更して失敗している企業もあります。それは、これまで日本の企業で導入されてきた成果主義が名ばかりのもので、真の成果主義ではなかったからです。

真の成果主義型は、企業の経営理念や経営戦略に基づいて評価基準が決まるため、人間関係の悪化やノウハウの囲い込みなどは起きにくいのです。むしろそうした行動は業績を悪化させる原因を作る行為としてマイナスに評価されます。真の成果主義型は「会社が求める成果」「会社が求める努力」「会社が求める人材」を社員に対して明確に提示することで社員を育成し、社員の能力を開発する人事評価制度なのです。

終身雇用制度が崩壊した現代の日本において、もはや年功序列型を維持できるのは一部の限られた企業だけです。これからの日本企業に求められるのは、真の成果主義型の導入だと言えるでしょう。

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