サイバーエージェント流の目標設定は“現場の巻き込み”が肝!? -執行役員 武田丈宏さん インタビュー前編-

11月の72時間特番が大きな話題となった『AbemaTV』など、常に革新的、挑戦的取り組みを続けているサイバーエージェント。サービスのみならず、職場環境や人事制度も一般的な形に捉われないユニークなものが次々と生まれており、それが事業拡大を後押ししているといっても過言ではないでしょう。人事評価制度をはじめとした同社の制度はどのような考えで運用されているのか、執行役員の武田丈宏さんに伺いました。

【Profile】
武田 丈宏(たけだ たけひろ)
株式会社サイバーエージェント 執行役員 人事本部 本部長
1999年、関西学院大学法学部卒業後、さくら銀行(現 三井住友銀行)を経て2003年にサイバーエージェントに入社。名古屋支社に3年、大阪アカウント局の営業局長を経て、2008年に西日本事業部統括に就任し、広告事業の拡大に貢献。2013年に人事本部へ異動し、2016年10月からは執行役員(CA18)を務めている。

■部署の目標はメンバー全員で合宿をして決める

―サイバーエージェントではどのように個人目標を設定しているのですか。

武田さん:半期ごとにメンバー全員が集まって目標設定のための“合宿”を行っています。この半期で自分たちは何を実現するのかを議論し、組織目標を設定。組織目標に紐づいて、各個人が自分の目標を決めていきますね。

―自分の目標は自分で決めるということでしょうか。

武田さん:そうですね。もちろん、会社として掲げるビジョン・ミッションや、経営目標に沿っていることが前提にはなりますので、事前に役員と組織マネージャー間である程度のコンセンサスは取っています。それを具体的な成果目標や行動目標に落とし込み、自分たち自身の言葉で“言語化”することを重視しているんです。

決めた目標は、組織ごとに冊子やポスターにまとめていきます。これ自体が一種のコンテストになっているので、各組織が写真やデザインにもこだわってかなり完成度の高いアウトプットをしていますね。こうした一連の流れを通して、自分で納得感のある目標を社内のみんなに宣言してもらっているんです。

―納得感と一体感を醸成し、目標を可視化しているんですね。

武田さん:こうしたやり方は、私が人事に異動した2013年頃からはじまったのですが、そもそものきっかけは「もっと現場を経営に巻き込みたかった」からです。メンバー一人ひとりが目標設定に関与しないのでは、自分の役割が会社のビジョンや経営戦略・事業戦略とどう繋がっているのかを感じにくのではないでしょうか。だからこそ、私たちは議論し考えるプロセスを重視していますね。

■原則月1回の中間面談で、細かくPDCAをまわす

―目標管理や運用はどうされているのですか。

武田さん:サイバーエージェントも、昔は一般的なMBOで用いられるようなパフォーマンスシートやコンピテンシーシートを使っていたのですが、現在はシートの運用を廃止しており、基本的には先ほどお話した目標の達成度合いと、行動プロセスのマネジメントで管理・評価しています。

マネージャーは原則月1回の中間面談をメンバーと行うようにしていて、この1ヶ月の進捗を確認しながら達成に向けたフォローをしていますね。対話する機会を多くしているのは、PDCAを沢山まわしてより大きな成果に導いていくことが狙いでもありますし、評価観点でもマネージャー評価とメンバーの自己評価のズレを防ぐことが目的。大きくズレている状態で人事査定が行われると、メンバー個人にとっては納得感が薄くなってしまいます。中間面談を繰り返すことでお互いの目線を合わせていけば、評価が良かったとしても悪かったとしても、前向きに受け入れて次に活かすことができるという考えです。

―素晴らしい取り組みだと思いますが、マネージャーの負荷も高いのではないですか?サイバーエージェントでは“新卒社長”に代表されるような若手マネージャーも多い印象ですが、評価者をどう育成しているのでしょうか。

武田さん:仰る通りで、当社は年齢や経験ではなく素養で抜擢する文化なので、年長者を若手マネージャーが評価するというシーンも珍しくありません。難しさもある反面、“機会を提供することで成長する”ことを重視した抜擢文化こそサイバーエージェントらしさでもあるので、その機会を最大限に活かしてもらうためにも、新任マネージャーに対するフォローは手厚くしています。具体的には、座学研修をあまり設けない方針の当社ですが、新任マネージャーに対しては研修を実施。マネージャーの役割をきちんと定義して伝えたうえで、「難しいときは周囲に相談する」「できないことはできないと言う」など、マネージャーが孤立しないような心得を伝えるようにしています。マネジメントの難しい局面などをケーススタディで教えてもいますね。

こうした支援をしている一方で、そもそもマネージャーに抜擢する際は、業績だけではなく、どちらかというと“人格”を重視しているんです。当社のミッションステートメントの体現者であるかという観点を重視して任用しているので、彼らが持つもともとの素養を高めることが、メンバーの目標管理や運用を担える人材に繋がっていきます。

━━インタビュー後編では、サイバーエージェントのユニークな人事制度のひとつである「ミスマッチ制度」や、独特な企業風土の秘密についてお話いただきました。次回もお楽しみに。

 

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