サードプレイスとは?特徴や効果、テレワークで注目の「サードプレイスオフィス」を解説

社会生活を送るうえで、仕事とプライベートを両立させる重要性は次第に認知が広がっています。

しかし、本当に豊かな生活を送るには、それら2つとは異なる「サードプレイス」が必要だと言われています。

ところが、サードプレイスがどのようなものか、サードプレイスが人々の生活にどれだけ良い影響があるのかはあまり知られていません。

この記事では、サードプレイスの基本的な情報やメリットを解説しつつ、注目が集まりつつある「サードプレイスオフィス」についても紹介します。

サードプレイスとは

サードプレイスとは、仕事に関わる「職場」やプライベートな「家庭」とは異なる3つ目の居場所を指す言葉です。

ただし、それは単に居場所があればサードプレイスになるわけではありません。サードプレイスの条件はいくつもありますが、重要な要素として「会話」があります。

インフォーマルな公共の空間で、上下関係のない人々が自由に会話を交わすことができるという環境は、人々に自尊心を取り戻させたり精神的なゆとりを与えたりするのです。

サードプレイスの代表例としては、ドイツの居酒屋やイタリアの食堂などであり、人々のコミュニケーション欲を満たす場所として機能しています。

ファーストプレイス、セカンドプレイスとは

サードプレイスが第三の場所であるとすれば、ファーストプレイス(第一の場所)は自宅であり、セカンドプレイス(第二の場所)は職場や学校などです。

ファーストプレイスの特徴はプライベートな時間を過ごせることにあり、自分の事に集中できる場所として機能します。

セカンドプレイスは、多くの人々と関わらなければいけない場所であり、多くの人がもっとも長く時間を過ごす場所です。役職や上下関係を与えられ、何らかの義務を負わされることがほとんどであり、社会の一員として振る舞うことを求められる場所でもあります。

サードプレイスはどちらとも異なる性質を持ち、多くの人の中に身を置ける場所でありつつ、集う人々に何ら義務や上下関係などがない場所なのです。

サードプレイスの例

サードプレイスになりうる場所は、文化的な背景などによって異なり、世界的には「イタリアの食堂」「ドイツの居酒屋」「ウィーンのカフェ」「イギリスのパブ」などが代表的です。

日本の事例としては、「居酒屋」などの特定のお店だけではなく、地域のコミュニティにおける活動などがサードプレイスとして機能しているケースが多いです。

たとえば、ボランティア活動や読書会、地元のお祭りなどが人々の交流の場になっています。

サードプレイスの重要な要素として「会話による交流」があるため、単に「職場や自宅以外に居場所がある」というだけでは、それをサードプレイスと呼ぶことはできません。

サードプレイス 8つの特徴

サードプレイスは、さまざまな効果をもたらす場所です。

しかし、そうした良い影響を受けられる場所には、8つの条件があるとされています。

サードプレイスの8つの条件とは、下記の通りです。

  1. 中立領域
  2. 平等主義
  3. 会話が主たる活動
  4. アクセスのしやすさと設備
  5. 常連や会員が存在する
  6. 控えめな態度と姿勢
  7. 機嫌が良くなる
  8. 第二の家

ここからは、これら8つの条件について詳しく見ていきましょう。

1.中立領域

サードプレイスでは、あらゆるものから解放されていなければなりません。経済的な状況や社会的な立場などから自由になり、誰もが自主的に参加しているという自覚を持っていることが大切です。

自らの意思で気軽に参加しているからこそ、そこで行われる交流は有意義なものとなり、質の高いコミュニケーションとして成立するようになります。

2.平等主義

サードプレイスにおいて、参加者の間に上下関係はありません。すべての人に平等な権利が与えられており、誰でも自由に行動・発言できます。

そのため、サードプレイスでは社会的な肩書きや地位、性別や年齢は意味を持たないのです。相手がどのような人であっても、分け隔てなく関われる場所だからこそ、活発な交流が形成されます。

3.会話が主たる活動

サードプレイスで交わされる言葉は、「会話」です。会議やディスカッションのような目的をもって行われるものではなく、ただ楽しむためだけに話をすることが重要です。

深刻さや真剣さは不要であり、明るい雰囲気のなかでジョークや冗談などを交えた会話が行われてこそ高い効果が得られると言われています。

4.アクセスのしやすさと設備

サードプレイスは、誰もが気軽に立ち寄れることが重要です。そのため、主要道路に面していたり、電車やバスなど公共交通機関が利用しやすかったりする場所に設置されている必要があります。

また、建物内などに設置されている場合には、開放的な雰囲気を持つことも大切です。外から中の様子が覗けるような構造であれば、開かれたイメージを作ることができ、参加者も自然と増えるからです。

5.常連や会員が存在する

サードプレイスには常連者や会員のような、頻繁に訪れる人々の存在が欠かせません。そうした常連者たちによって、そのサードプレイスの雰囲気が形成され、個性的な空間に変わっていくからです。

ただし、そうした常連者たちばかりが優遇されるような場所は好ましくありません。むしろ、いつも身を置いている人々が積極的に新規参入者を歓迎してこそ、魅力的な空間・環境を形成していきます。

6.控えめな態度と姿勢

サードプレイスでは、否定的な態度や排他的な言動は慎まなければいけません。誰もが自由に参加でき、気軽に会話ができるようにするには、他人の意見を排除するような行動は許されないからです。

自己主張ばかりではなく、相手の話に耳を傾け、包容的に接することが大切になります。

7.機嫌が良くなる

サードプレイスでは、緊張感やネガティブな感情は歓迎されません。

お互いが心地良く過ごせるように明るく楽しい会話を交わし、多くの笑顔で満たされた空間こそ、サードプレイスにふさわしいのです。

8.第二の家

サードプレイスは多くの人が集うという意味で公共の場ですが、同時に「第二の家」と呼べるような温もりも必要です。

共に過ごす人々がまるで家族のようなつながりを持つように感じられ、喜びを分かち合える相手になります。

だからこそ、居心地の良さを感じ、「また訪れよう」と思える場所になるのです。

サードプレイスのメリット

サードプレイスを持つことができるかどうかで、その人の生活に大きな違いが現れます。ここからは、サードプレイスがあることで得られるメリットについて、1つずつ解説します。

1.新たな学びや刺激

仕事や家庭における人間関係は固定化されやすく、そこから新しい刺激を受けるのは難しいです。

サードプレイスはさまざまな人が集う場所であり、職業や性別、出身地などが異なる人と関わる機会が得られます。

また、そこで交わされる会話の内容も多種多様であり、職場と自宅の往復だけでは得られない新しい刺激や学びがあるのです。

2.リラックス、リフレッシュ効果

サードプレイスでは、すべての人が陽気に振る舞います。それは、お互いを「あまり知らない仲」だからです。

相手が何ものなのかを知らず、お互いがどのような立場なのかを知らないからこそ、前提とする知識や常識を抜きに話ができます。

相手がどのような人かが分からないからこそ、過剰に遠慮したり謙遜したりせず、ただ会話を楽しむことができるのです。

そうした経験は、社会生活のなかで肩書きや立場に縛られる緊張感を解し、硬直しがちな考え方を柔らかくしてくれるきっかけになります。

3.新しい出会い

サードプレイスに訪れる人は、職業などに縛りがないため、仕事上では決して出会うことがないだろう人々と出会うきっかけを与えてくれます。

しかも、サードプレイスで出会う人々は「その場所がなければ友人になれない」という相手も少なくありません。

それは、仕事やプライベートとは違い、サードプレイスには「時間的制約」があるからです。

その場所にいる間だけ交流を持つ相手だからこそ、お互いの立場に縛られない交友を育むことができます。

テレワークで注目される「サードプレイスオフィス」とは

サードプレイスオフィスとは、会社のオフィスではなく自宅でもない「サテライトオフィス」「レンタルオフィス」「シェアオフィス」などを含むものです。主に事業者がサービスとして提供するオフィススペースを指します。

働き改革によって、これまで画一化されてきた「働く場所」と「働く時間」が変化するなかで、こうしたサードプレイスオフィスの活用が注目を集め始めているのです。

テクノロジーの進歩によって、たとえ同じオフィスにいなかったとしても、仕事を進行できる可能性が高まっています。

そうしたなかで、新しい「働く場所」として、サードプレイスオフィスを活用しようという動きが現れるようになっているのです。

テレワークにおける「サードプレイスオフィス」の効果

一般的なオフィスによる業務遂行と比較して、サードオフィスプレイスを活用した働き方にはメリットがあります。

ここからは、サードプレイスオフィスを利用する効果について解説します。

1.時間効率化

サードプレイスオフィスの活用は、業務の効率を向上させる効果が期待されています。

これまでのオフィス勤務では、すべての社員が自宅とオフィスを通勤しなければなりませんでした。また、取引先に移動する場合も、会社のオフィスとの往復が必要でした。

しかし、サードプレイスオフィスを活用すれば、取引先から別の取引先に移動するまでの時間に立ち寄り、細かい事務作業を終わらせるといった働き方が可能になります。

移動時間を減らし、臨機応変に業務を遂行できるため、仕事の効率が上がるのです。

2.オフィスコスト効率化

自社でオフィスを所有する従来の形式では、オフィスにかかるコストが高くなりがちでした。

取得する段階で多額の費用がかかるのはもちろん、所有者としての維持管理コストも支払わなければなりません。

しかし、サードプレイスオフィスであれば、そうしたコストを考える必要がなくなります。利用する場所と時間に応じた費用を支払うだけですから、不必要なコストがかさむという心配はありません。

3.雇用維持・採用強化

1つのオフィスに従業員が集まって業務を行う従来の働き方では、オフィスから離れた場所に住居を持つ人に大きな負担がかかっていました。

また、あまりにも遠い場所に住んでいる人は、採用そのものが控えられてきたという部分もあります。

しかし、サードプレイスオフィスは日ごとに数を増やしており、自宅に近い場所を選んで利用することができます。

そのため、住んでいる地域による負担を減らすことができ、雇用の維持につながるのです。

そして、これまではなかなか採用できなかった地域に住む人も採用の対象になるため、人材の確保がしやすくなります。

4.子育て・介護支援

住居を構える地域に囚われずに採用・雇用ができるということは、「あまり自宅を離れられない」という従業員のニーズにも応えることができます。

たとえば、小さな子どもがいたり介護が必要な親と同居していたりする従業員は、遠くのオフィスまで通勤することが大きな負担になります。

サードプレイスオフィスの活用は、そうした従業員の負担を減らしつつ、仕事の効率を上げられる可能性があるのです。

5.BCP対策

BCPとは「事業継続計画」の略称であり、自然災害やテロ攻撃などの緊迫した事態に遭遇した場合において、事業資産の被害を最小限にとどめることで事業の継続・早期復帰を可能にするためのものです。

サードプレイスオフィスの活用は、従業員の働く場所を分散することにつながるため、災害時に事業のすべてが止まってしまうリスクを低くするというメリットがあります。

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