離職率の平均とは?業種別・新卒に分けて紹介。離職を防ぐ方法とは

「うちの会社の離職率は高いのだろうか……」

新卒採用の説明会や中途採用の面接で自社の離職率を伝える際、それが平均値より高いか低いか気になりますよね。離職率は、働く人にとって企業の就業環境の良し悪しを判断する材料の一つです。

しかしながら、離職率の平均値や計算方法は意外と知られていません。ここでは、離職率の平均やその定義を紹介しつつ、従業員の離職を防ぎ定着率を上げる方法を紹介します。

離職率の平均とは

全国の離職率の平均は、厚生労働省が毎年発表する『雇用動向調査』から確認できます。平成30年雇用動向調査結果によると、平成30年1年間の離職率平均は14.6%で、前年よりも0.3%減っています。

この厚生労働省が発表する離職率は、次のように定義されます。

離職率=「常用労働数に対する離職者の割合」

常用労働者とは、期間を定めずに雇われている人か、1か月以上の期間を決めて雇われている人が該当します。ここでいう離職者とは、常用労働者のうち下記の人が当てはまります。

  • 退職した
  • 解雇された
  • 他企業への出向・出向復帰者

なお、同一企業内のほかの事業所へ転出した人の数は離職者には含まれません。

そもそも離職率とは

国の発表している離職率の定義から、離職率とは一定期間の間、就業している労働者のうち退職や解雇により職場を離れた人の割合だということがわかります。

これを企業内の離職率の計算に当てはめると、以下のように考えられます。

  • 自社で働いている人数(分母)
  • 退職・解雇した人数(分子)

離職率を計算する際、分母と分子の対象になにが含まれるのか、明確に規定する法律はありません。そのため、使用方法に応じて様々な離職率を計算することが可能です。たとえば、新卒入社の社員に絞って3年目の離職率を計算したり、中途入社社員の1年目での離職率を追ったりすることができます。

一般的な企業の離職率では、期初に在籍する従業員の人数を分母とし、1年間に退職した社員を分子として計算します。対象を変えて離職率を計算することで、従業員の満足度や職場の働きやすさを可視化する指標の一つとなります。

業界別の離職率の平均

離職率の平均は、業界別でも算出されています。『平成30年度雇用動向調査』をもとに、離職率の高い業界・低い業界をご紹介します。

離職率が高い業界は、「宿泊」「飲食サービス」「生活関連サービス」

離職率が高いのは、宿泊業・飲食サービス業の26.9%です。

新しく入ってくる人の割合をしめす入職率も高いため、人の移動が多い業界だと考えられます。次に続くのが生活関連サービス業・娯楽業の23.9%です。

ほかには、サービス業(ほかに分類されないもの)、教育・学習支援業、医療・福祉が離職率の平均値を上回る数値となっています。

離職率が低い業界は、「建設業」「製造業」「複合サービス業」

離職率が一番低いのは、建設業の9.2%です。続いて、複合サービス事業の9.3%となっています。そのあとは、製造業の9.4%や学術研究・専門・技術サービス業の10.1%が当てはまります。

引用元:厚生労働省『平成30年度雇用動向調査』P11

新入社員の離職率平均の推移

次に、新入社員などの若い世代での離職率の平均を見てみましょう。同じく『平成30年度雇用動向調査』によると、新卒の学生が企業に入社する年齢層の「20~24歳」での離職率は、以下のようになっています。

  • 男性 26%
  • 女性 27.7%

これは、19歳以下の離職率(男:32.5%、女:39.2%)に次いで高い年齢別の離職率です。

年齢が上がるにつれ、男女ともに離職率は下がります。女性のほうが男性にくらべ25歳以降の離職率が高いのは、結婚・出産で職場を離れる選択の存在を表しているでしょう。

若者の離職率が高い理由

新入社員は3年で3割辞めるといわれます。年齢別のグラフからもわかるように、若い世代のほうが離職率は高いです。

これには、「若いうちのほうが、仕事がある」という環境要因と、「もっといい仕事があるに違いない」という若者の思考が影響していると考えられます。

年齢別の離職理由では、20歳~24歳で多い退職理由は以下のようになっています。

【20歳~24歳男性】

  1. 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 14.1%
  2. 給与等収入が少なかった 10.7%
  3. 職場の人間関係が好ましくなかった 10.6%

【20歳~24歳女性】

  1. 職場の人間関係が好ましくなかった 15.6%
  2. 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 10.7%
  3. 仕事の内容に興味を持てなかった 8.3%

労働条件がより良い職場や仕事を求めて、理想のライフスタイルを実現させたいと転職する若者や、職場での人間関係に悩んで退職する若者像が映し出されます。しかしながら、この4点の退職理由は、どの年代でみても上位に食い込むものです。

新入社員のほうが、学生から社会人という大きな変化を体験すること、その中で人間関係や働き方などの悩みを克服するのが難しいこと。加えて、採用市場が流動的になっている現代では、転職へのハードルが低いことが、新入社員の離職率が高い原因として考えられるでしょう。

離職率が高くなりやすい職場の3つの共通点

平均で約14%の社員が離職するにしても、離職率の高さは企業の経営を不安定にさせます。採用コストを費やし、せっかく育成した社員が退職してしまうのは、企業にとって人材の損失です。

離職する人に多い理由が、特に「労働条件」「人間関係」「給与」です。ここから、離職率が高くなりやすい職場に共通するポイントをみてみましょう。

法令を守らずブラックな働き方が続いている

離職理由で不満を感じる割合がもっとも高いのは「労働条件が悪かった」というものです。これには、長時間労働が常態化していたり、休日出勤・サービス残業が当たり前となっていたりする職場が該当します。

行き過ぎた長時間労働は法律に反する行いです。2019年に施行された働き方改革関連法により、時間外労働の上限が明記されました。

所定労働時間が週40時間を超える場合、事業主は36協定を結ばなければなりません。その場合、週40時間以上の労働が許されていても、臨時的な特別な事情がない限り、残業時間の上限は月45時間・年360時間で抑えなければなりません。

繁忙期の業務量の増加など特別な事情があって労使が合意する場合でも、年720時間、複数月の平均で80時間以内、100時間未満を超える時間外労働は違法になります。

また、残業時間や休日出勤・深夜労働には割増賃金率が設定されています。

こうした法令を企業が無視し、働かせるだけ従業員を労働させ、適切な残業代を支払わない職場は、社員の働く意欲を削ぐ結果になってしまいます。

参照元:厚生労働省 働き方改革特設サイト 時間外労働の上限規制

パワハラ・セクハラの対応策を設定していない

職場の人間関係でよくある悩みのひとつに、パワーハラスメント(パワハラ)やセクシャルハラスメント(セクハラ)があります。

職場での力関係を利用して発生するハラスメントは、被害を受けた社員が相談するのも難しく、問題が表にでることがなく社員が退職してしまうケースもあります。

パワハラ防止法では、企業は職場でのパワハラ・セクハラを阻止するために、できる措置を講じなければならないとしています。

措置の内容とは、被害を受けた者が相談できるような体制を整備し、相談を行った社員に不利益な扱いをしてはならないというものです。

そのほか、パワハラ防止のための研修を設定したり、国の講ずる措置に協力するよう努力したりしなければいけないとしています。

企業がパワハラ・セクハラを阻止するという明確なメッセージを出さず、体制を整備しないまま職場でハラスメントが横行すると、入社した社員が定着せずに離職する一因になります。

成果と評価が一致しない

離職する人が感じる不満の一つが、給与です。給与の低さ自体も問題ですが、「自分の成果が給与に反映されていない」と感じてしまうことも、給与に対する不満の一つになります。

「人事の評価制度が不透明で分かりづらい」「上司が自分の何を評価してくれたのかわからない」「与えられる営業目標が非現実的すぎて不公平だ」など。

このような評価に対する不満は、職場への不満に変わり、離職へとつながってしまいます。適切な目標を設定し、定期的に面談を行いながら、成果を評価へとつなげる公平な仕組みが必要です。

離職率を下げるための3つの防止策

では、離職率を下げるためにはどのような取り組みが必要でしょうか。離職率が高い企業が実施するべき以下の3つのポイントについて解説します。

職場のワークライフ・バランスの改善に取り組む

労働条件の不満は、そのまま会社への不満につながります。より多くの社員が「働きやすい」と実感できる職場づくりが、社員の定着率を向上させます。

  • 長時間労働を削減するために、業務フローを改善する
  • ノー残業デーを設定し上司から帰宅して帰りやすい雰囲気を作る
  • フレックスタイムや時短シフトの導入など生活に合わせた柔軟な働き方をつくる など

こうした一連の取り組みが、ワークライフ・バランスの整った職場づくりにつながります。

人間関係の悩みを相談できる窓口を設置する

パワハラやセクハラを相談できる専門窓口が社内にあれば、問題が発覚したときに管理部がいち早く気づくことができます。相談できるだけではなく、相談した内容の守秘義務が守られるといった安心感も重要です。

人間関係の不満を解消するには、定期的な面談とフィードバックも役に立ちます。

公平でオープンな人事評価制度を構築する

会社から受け取る給与に納得感を覚えるには、自らの行動が適正に評価されているという実感が必要です。

そのためには、それぞれの職種や部門、社員一人一人の業務を公平に評価できるような、目標数値の設定や面談の実施、フィードバックの活かし方など、適切な人事評価制度の構築・運用が必要です。

自分の頑張りを見てもらえるという実感は、働く満足度の向上につながります。

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社員の離職率が下がる魅力ある企業を目指そう

離職率を下げるには、働きやすい職場づくりが大切です。

それには、給与を上げるといった表面的な制度を整えるだけではなく、労働環境の改善から、人間関係の悩みを早期発見できる体制づくり、そして社員ひとり一人が働く意欲を感じられる人事評価制度の仕組みづくりが重要になります。

どれも、すぐに解決できることではありません。離職率の低下から自社の問題点を探り、地道な改革を続けることで、社員の定着率があがっていくでしょう。

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