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高度プロフェッショナル制度をわかりやすく解説。対象職種や年収、メリット・デメリット

働き方改革が推し進められる中、特定業務の効率化を目的とした制度である「高度プロフェッショナル制度」に注目が集まっています。

専門的かつ高度な技能を持った従業員が自己裁量で働けるようになるとされる一方で、長時間労働や残業代の不払いなどが懸念されており、導入には様々な要件が設定されています。

企業は、高度プロフェッショナル制度をどのように活用していくべきなのでしょうか。

この記事では、高度プロフェッショナル制度について、厚生労働省が定めた内容、対象業務や年収といった導入の要件の他にも、導入における注意点なども解説していきます。

高度プロフェッショナル制度とは

高度プロフェッショナル制度は、2019年5月25日に「働き方改革法案」の中で可決され、すでに導入が開始されている制度です。高度プロフェッショナル制度の概要や特徴、類似制度との違いを解説します。

高度プロフェッショナル制度の概要

高度プロフェッショナル制度とは、高度な専門知識や技能を必要とする特定の業務を対象に、労働基準法の定める労働時間や休憩、割増賃金、残業代に関する規定の適用を除外する制度です。

労働時間によって単一に賃金を払うのではなく、成果によって評価することを目的とした制度ですが、一方で、報酬に見合わない不当な長時間労働の横行が懸念されています。

そのため、本制度の導入においては、従業員の年収や委員会の設置といったいくつかの要件を満たす必要があります。

裁量労働制との違い

高度プロフェッショナル制度と同様に、出退勤の時間を企業が管理せず、残業代を時間単位で支払わないものとする制度で「裁量労働制」というものがあります。

裁量労働制も、対象となる業務が特定されており、労働時間ではなく成果を評価することを目的とした制度です。高度プロフェッショナル制度とはどこに違いがあるのでしょうか。

大きな違いは2点です。

1つ目は、高度プロフェッショナル制度は、対象となる業務だけでなく、従業員の年収も導入の要件となります。

2つ目は、報酬を成果によって決定する点です。

裁量労働制は、あらかじめ一定の残業時間を想定し、その分の「見なし残業代」を含めた報酬を支払う制度です。

そのため、想定時間を超えた一定の残業が発生すれば、追加でその分の報酬を支払わなければなりません。

一方、高度プロフェッショナル制度は、要件を満たした従業員について、労働基準法の労働時間に関する規定を適用除外とする制度です。

企業の労働時間管理義務を免除するものですので、「残業代」という報酬は発生しません。

高度プロフェッショナル制度の年収要件・対象職種

それでは、高度プロフェッショナル制度を導入するための要件を解説します。要件には、最低年収と対象業務が設定されています。

年収要件

高度プロフェッショナル制度では、対象者の年収が、「基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準」である1075万円以上である必要があります。

また、この年収額は、労働契約や就労規則によって、支払われることが確実である金額でなければいけません。

つまり、会社の業績や業務の成果に応じて支払われるボーナスなど、金額が確定していない賃金は、名称に関わらず含んではいけないことになっているのです。

ただし、ボーナスの中でも支払いが確実である最低保証額がある場合には、計上することが可能です。

手当についても同様に、支払いが確定している一定額については計上することができます。

例えば、経路によって支給額が変わる通勤手当は年収に含まれませんが、経路に関わらず一律で交通費が支給される場合は、含むことができます。

対象職種

高度プロフェッショナル制度の対象となるには、以下の2つの条件を満たしている業務であることが必要です。

  • 出退勤や時間配分について具体的な指示を受けないこと
  • 部署が所掌する業務全体ではなく、対象となる労働者に従事させること

この条件を満たし、かつ高度で専門的な知識や技術を必要とする業務として、以下の5つが対象業務として指定されています。

  1. 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務(金融商品の開発業務)
  2. 資産運用の業務または有価証券の売買その他の取引の業務(ファンドマネージャー、トレーダー、ディーラー)
  3. 有価証券市場における相場等の動向や価値分析、投資に関する助言の業務(アナリスト業務)
  4. 顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査、分析、助言の業務(コンサルタント業務)
  5. 新たな技術、商品または役務の研究開発の業務(メーカーや製薬の研究開発職)

高度プロフェッショナル制度を導入するメリット・デメリット

企業が高度プロフェッショナル制度を導入することで、どのような利点があるのでしょうか。メリットとデメリットをそれぞれ紹介します。

メリット

高度プロフェッショナル制度の最大の特徴は、時間によって報酬が決定するのではなく、業務の成果が評価されるという点です。

日本の一般的な制度のもとでは、残業をすればするほど給与が多くなってしまうため、仕事の遅い人の方が高収入になってしまうという問題点があります。

働いた時間の長さではなく、成果によって報酬が決定することで、評価の不公平感を抑止し、従業員のモチベーション向上にもつながります。

また、自己裁量で就労時間をコントロールできる環境では、従業員は無駄な残業をしないよう、業務の効率化をはかります。

育児や介護といった私生活との両立もしやすいだけでなく、企業にとっても、無駄な残業代を削減できるといったメリットがあります。

デメリット

フレキシブルな働き方が実現する一方で、本制度は「残業代ゼロ法案」ともいわれており、長時間労働の横行が懸念されています。

労働基準法の労働時間に関する規定が適用外となるため、1日当たりの労働時間の規制や、時間外労働・休日労働における時間外手当の支給義務が撤廃されます。

後述で説明する「健康確保措置」によって24時間労働は禁止されていますが、長時間労働が発生しやすく、報酬以上の労働が発生しても手当が支給されないことは問題点のひとつといえます。

また、成果の評価基準の設定が難しいという点も検討事項です。例えば、研究職の場合には、実験によって期待した結果が得られるか、結果が出るまでにどのくらい時間がかかるか、やってみるまで未確定です。

対象業務の専門性が高いからこそ、「何を成果とするか」の基準と、それに見合う報酬の設定には、十分な検討が必要になります。

高度プロフェッショナル制度を導入する場合の条件と必要な手続き

高度プロフェッショナル制度を導入するには、一定の条件をクリアし、定められた手順をこなす必要があります。条件と手続きについて解説します。

導入条件

高度プロフェッショナル制度は労働時間の規制がないため、導入においては「健康確保措置」の実施が条件となります。無理な長時間労働を是正し、従業員の健康を確保するための施策として、次の①~④を実施します。

①健康管理時間の把握
使用者は、タイムカードなどの客観的な方法で従業員の健康管理時間を把握する。

②休日の確保
年間104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日を確保する。

③選択的健康確保の措置
以下のいずれかを決議で選択し、実施する。

  • 省令で定められた一定時間以上のインターバル確保+深夜業務の制限
  • 健康管理時間の上限措置1年間に1回以上、2週間連続の休日を与える(本人の請求によって1週間連続×2回以上)
  • 省令で定められた臨時の健康診断

④健康管理時間の状況に応じた措置
③で決定した措置に加え、以下の措置から決議で選択して実施する

  • ③で選択した以外の選択肢から実施
  • 代休又は特別休暇の付与
  • 相談窓口の設置
  • 配置転換
  • 産業医の助言に基づく保険指導
  • 医師による面接指導

①~③は実施しないと労働基準法適用外の効果が生じず、労働時間規制や残業代の支払い義務が課せられます。④は未措置の場合、行政指導の対象となります。

必要な手続き

手続きとして、まずは労使委員会を設置し、必要事項を決議の上、対象となる労働者の署名を得る必要があります。具体的には、以下の5つのステップが必要です。

ステップ1:労使委員会の設置
高度プロフェッショナル制度の導入には、労使委員会の5分の4の決議によって必要事項を決定する必要があります。そのため、労使委員会の設置が必須となります。労使委員会の設置手続きは以下の通りです。

  1. 必要事項を労使で話し合う
  2. 使用者側・労働者側それぞれを代表する委員を選出する
  3. 運営ルールを決める

ステップ2:労使委員会による決議
対象者の職務範囲や健康確保措置など、定められた10の事項について、委員の5分4以上の賛成によって決議をとります。

ステップ3:決議内容を労働基準監督署長に届出
決議事項をまとめ、所轄の労働基準監督署に提出します。

ステップ4:対象労働者の書面による同意
職務範囲や期間、報酬について明らかにし、対象労働者の同意の上、書面に署名を受けます。

ステップ5:対象労働者の勤務
決議事項に従って職務に就かせます。また、職務の状況を6カ月ごとに所轄の労働基準監督署に報告する必要があります。

高度プロフェッショナル制度の導入を検討する際は人事評価制度の見直しを

高度プロフェッショナル制度によって専門性の高い従業員が自己裁量で業務の効率化をはかれる一方、企業は過重な労働になってしまわないよう、十分に監督責任を果たさなければなりません。

企業と従業員双方のメリット・デメリットを十分理解し、慎重に導入を検討するようにしてください。

また、導入において重要な検討事項となるのが、専門性の高い高度な業務をどう評価していくのかということです。

従業員ともよく話し合って業務内容を深く理解した上で、人事評価制度を抜本的に見直す姿勢が必要です。まずは、現在の評価制度を見直してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。

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