イクメンとは?仕事のハードルを越えてイクメンがイキイキできる企業の取り組みとは

近年急増している「イクメン」。あなたの周りにもいらっしゃいますか?

今の時代、女性だけが育児に参加し、仕事と育児の負担を負う世の中ではなくなってきています。しかし、そんな世の中の流れがあるにもかかわらず、職場で肩身の狭い思いをしているイクメンも少なくないようです。

そんなイクメンたちが仕事や育児の両立ができる環境づくりを積極的に行う企業も増えてきています。今回は、男性の育児制度の充実を図りたい企業様向けに、他の企業の前向きな取り組みを含め、イクメンについて解説していきます。

イクメンとは

イクメンとは、子育てをする男性(メンズ)の略称です。

「育児休暇を申請する」など積極的に子育てに関る男性や、将来そうありたいと願う男性も含まれるようです。

日本は世界の中でも、長年男性が育児休暇を取得する割合が低く、2010年ごろの時点で約1%と極めて低い数値で推移してきました。

そこで、厚生労働省は現状を打破しようと、同年2010年6月「イクメンプロジェクト」を始動させます。

このイクメンプロジェクトの始動とともに、当時の労働大臣が「イクメンという言葉を流行らせたい」と国会で発言したことから、世間に広くイクメンという言葉が知られるようになりました。

現在では、イクメンという言葉は、非常にカジュアルに使用されるようになり、育児へ積極的に参加する男性に対して広くかつ気軽に使用されるようになりました。

厚生労働省のイクメンプロジェクトとは

厚生労働省が推進する「イクメンプロジェクト」とは、子供がいる働く男性が、育児へより積極的に参加できるように促し、育児休業を取得しやすくなるよう環境づくりをし、結果的に社会全体がより豊かに成長するようにとビジョンを掲げたプロジェクトです。

実際に「イクメンプロジェクト」とはどのような施策なのでしょうか。

厚生労働省によると、日本の男性が家事・育児をする時間は、他の先進国に比べ低い水準とされており、そのことが少子化にも拍車をかけ女性の社会進出の妨げにもなっているといいます。

しかし、実際に育児に対して意欲的な男性は少なくはなく、育児休暇の取得を希望したにも関わらず、育児休暇を取得できなかったとする人が約3割にのぼっているようです。

こうした背景から、厚生労働省は、ワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭の調和)の実現に取り組むこととなります。

プロジェクトの具体的な数値としての目標は、男性の育児休業取得率を2017年度約5%にとどまっていたところを、2020年度には13%に上げることです。

このような数値目標を達成するため、イクメンプロジェクトと併せて、同年2010年には「パパ・ママ育休プラス」制度の導入、さらに、イクメンに一大ブームを引き起こすべく、企業や地方自治体などを巻き込んだ様々な取り組みや情報発信もされています。

具体的なイクメンプロジェクトの内容としては、Webでイクメン&サポーター登録ができ、育児体験談や企業の取り組みなど最近情報を常に発信しています。

また、セミナーやシンポジウムなどのイベントも積極的に開催しており、「イクメン」をサポートする環境もどんどん整えられています。

イクメンの特徴とは

イクメンとはどういった人を指すのでしょうか。ここでは、イクメンと呼ばれる人の特徴を見ていきましょう。

1:一人で子供の面倒が見られる人

妻がいなくても1日子供の面倒が見られることはイクメンの特徴のひとつでしょう。

1日子供の面倒を見るということは、食事やおむつ、入浴の基本的なお世話から、泣いた子供をあやしたり、寝かしつけたり、一緒に遊んだりすることも付いてきます。

もちろん、これらの子供のお世話を嫌々こなすのではなく、自分も子供の成長を実感できると楽しんでできる人がイクメンと言えるでしょう。

2:育児に積極的な人

育児に対して、関わりを持って手伝いをしている立ち位置では、まだまだイクメンとは言えないようです。育児をポジティブに捉え、積極的に参加する姿勢の人がイクメンでは多いのです。

例えば、妻に言われてやるのではなく、自ら積極的に行動する、妻と育児が半々で出来ている人などがイクメンの特徴となります。

3:育児を優先できる人

仕事好きで仕事優先の考えの人もいる中、イクメンは家庭を第一に考えます。育児のために有給を取得したり、育児休暇を取得したりするなどもイクメンの特徴です。

もちろん、仕事のことは疎かにはしていませんが、子供の育児に関しても自分の大事な役割だと考えているため、躊躇なく有給を取得できるのです。自分の時間を顧みず、家に帰ってからも自分の役割だと考えられる人はイクメンと言えるでしょう。

4:妻をサポートできる人

育児だけでなく、妻を気遣えるのもイクメンの特徴です。

例えば、妻が子供の送り迎えができないときは、積極的に子供の迎えにいったり、食事の支度を手伝ったりなど育児の延長で妻のサポートができる人がイクメンには多いのです。

週末は、妻をねぎらって自分が子供と遊ぶなどする人も多くなってきています。

イクメンになるための仕事のハードルとは

イクメンを目指してはいるものの、なかなか妻と育児を半々にできるほど余裕をもって育児に取り組めないと悩んでいる男性もいるようです。それでは、イクメンになるための仕事のハードルには、どのようなものがあるのでしょうか。

1:実際の仕事現場でイクメンに対して理解がない

最近では、時短制度や育児休暇、有給休暇などが比較的取りやすくなり、企業側でも男性の育児に対しての制度整備に力を入れています。

しかしながらその中で、まだまだイクメンに理解がない人も多いのが現実にあります。そのため、なかなか仕事が終わらず早く帰れないという悩みを抱える男性も少なくありません。「効率よく仕事を終える人」「子育てをしている人」が評価されるような環境づくりも企業側では必要になってきます。

2:長時間労働などにより仕事と育児のバランスが取れない

「パタニティブルー」という言葉をご存知でしょうか?女性が妊娠・出産、育児への不安などから鬱やネガティブになってしまうことをマタニティブルーと言いますが、その父親バージョンが「パタニティブルー」と言います。

長時間労働により疲労困憊しているにもかかわらず、妻を気遣い育児にも参加するものの不慣れなため上手くできない中で、心身に支障をきたしてしまうのです。じっくりと余裕を持って育児に取り組めない、仕事の実情が影響した結果とも言えます。

3:イクメンの社会的風潮と反してフォロー体制の不備

イクメンブームにより「イクメン」に憧れがある男性が増えているのとは裏腹に、その理想は高い割にライフワークバランスを取るための体制が十分でないことも問題となっています。仕事をしながら、家事と育児をこなすのは時間的にも体力的にも非常に負担となってしまいます。

仕事と育児の両立に悩む女性が多かったのですが、いまでは、男性もこの悩みに頭を抱えているようです。無理が続く状態で仕事と育児を担っていくと、仕事と育児両方に悪影響を及ぼしてしまう可能性が出てしまいます。

イクメンのための育休取得を促す企業の取り組み

このような仕事上でのハードルを打開するために、イクメンが育児休暇を取得しやすくする取り組みを実施する企業も実際にあります。

また、男性が育児休暇を取得することは企業にとって大きなメリットをもたらすとして、積極的に整備を整えている企業も増えてきています。

大きなメリットとして、従業員のモチベーションの向上、社員同士で協力しあえる風土が定着する、属人化していた業務が見える化出来るなどがあります。

実際、男性の育児休暇を促している企業はどのような取り組みをしているのでしょうか。

1:丸井グループ

丸井グループでは、子供が1歳になるまでの間、最大7日間有給を取得できる「短期育児休暇制度」を2013年度から導入を開始

本人に加え、直属の上司に育児休暇を取得するよう声かけすることを必須化しました。さらに、「多様性推進プロジェクト」を設立。先進的な取り組みをしている企業のトップを招いてセミナーを開催や、管理職同士で多様性が活きるマネジメントを話し合うワークショップなどを実施しています。

さらに、全従業員には「ダイバーシティブック」を配布し、制度やロールモデルを紹介することで理解を深める取り組みを実施しています。

管理職を含めた全社で意識改革も行われ、2013年には13.8%だった男性社員の育児休暇取得率が、2015年には65.5%に急上昇しました。

2:リコーリース

リコーリースでは、子供が生まれた男性社員は最低5営業日以上の育児休暇を取得し、育児や家事に主体的に取り組むことができるよう「育メン・チャレンジ休暇制度」を設立しました。

この制度は、促進を促すよう本人だけでなく直属の上司や役員を含め、案内を行うようにしています。さらに、休暇を取得するだけでなく、育児や家事について配偶者のコメント付きの「育児参加報告書」の提出も求めているのです。

育児や家事を通じて、男性の意識改革を促進させることを目的としています。その結果、2013年には20%だった男性社員の育児休暇取得率が、2015年には76.5%に急上昇しました。

3:大成建設

大成建設では、男性が休暇の取得や帰宅時間を早くするような取り組みを主に取り入れています。

5日間の育児休暇の取得のほか、子供が小学校3学年終了まで4・5・6・7時間から選択できる短時間勤務制度を導入しました。取得回数に制限がなく、男性でも積極的に育児に取り組める仕組みです。

また、全社社員を対象に勤務時間の繰上げ繰り下げができる制度も活用できます。イクメンに対して、定期的に「パパ座談会」や「仕事と生活の両立セミナー」を実施し、サポート体制も充実させています。

その結果、2012年には1人だった男性の育児休暇取得率が、2015年には10人も取得実績ができるほど改善されました。

このケースでは、男性の育児休暇取得の多さよりも、取得しなくとも男性が働きながら育児に参加できる仕組みが多いことに注目すべきでしょう。

4:大和証券

大和証券では、「キッズセレモニー休暇制度」を導入。子供の入園式・卒園式、入学式・卒業式などに合わせ、休暇を取れる制度になっています。

社員が年休を躊躇なく取れるような制度を推奨しています。また、年休や長期休暇を利用している人が一目でわかるよう制度利用カレンダーを導入して、全社員の情報が共有されています。

自分だけが有給を取得しているわけではないことがわかり、有給などの取得がしやすい環境を作っています。2013年には2%だった男性社員の育児休暇取得率が、2015年には73%まで大幅に改善されました。

イクメンは企業がつくる。イクメンが当たり前な企業文化へ

イクメンが育児をしやすい体制を整えることは、子どもを持つ男性社員のワークライフバランスに配慮しイキイキと働いてもらえることはもちろんのこと、会社の事業そのものへもプラスとなります。

少子化問題も深刻化する昨今、社員1人1人のパフォーマンスの向上、効率化が必要不可欠となってきています。

社員のモチベーション向上をはかりつつ、業務効率化に一役買うのがイクメンたちです。イクメンに対する理解を深め、イクメンが活躍できるイクメンがいて当たり前な環境づくりを促進させていきましょう。

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