就職活動に役立つジョブカードとは?履歴書との違いや書き方・ダウンロード方法を解説

ジョブカードとは、個人の学歴や職歴だけでなく実務能力やこの先やりたい仕事内容など、キャリア形成に関する情報を蓄積できるツールです。

就職活動で自己PRに活用できるほか、企業が在職者の能力開発に役立てることもできます。

ここでは、生涯にわたって利用できるジョブカードの概要から、使うメリット、具体的な作成方法について解説します。

ジョブカードとは?

ジョブカードとは、正社員経験の少ない求職者の支援を目的に、厚生労働省が実施している制度です。

「ジョブカード制度」と呼ばれ、個人のキャリアプランニング、多様な人材の就職の促進を担うツールとして機能しています。ここでは、ジョブカードの概要についてご紹介します。

ジョブカードの概要

ジョブカードとは、厚生労働省が2008年から活用をはじめた就職活動のためのツールです。

個人の有している職歴、資格、キャリアプランを書き込むことにより、過去の経歴をまとめることができます。

当初は職業訓練での活用に限定されていましたが、2015年からは幅広いキャリアの場面で利用できるよう、様式が変更されました。

現在、ジョブカードは主に3種類のシートから構成されています。

  • キャリアプランシート:目標とする仕事や職種、働き方などキャリア設計を記入
  • 職務経歴シート:仕事の経験や得られた知識・技能を記入
  • 職業能力証明:免許・資格/学習歴・訓練歴/訓練成果・実務成果の3パターンについて記入

また、ジョブカードがあることで、求職者の仕事の能力が可視化されます。

企業が選考時、応募書類の追加資料としてジョブカードの情報を活用するのは、基本の使い方です。

それ以外に職業訓練を受ける求職者に対して、ジョブカードの情報を反映したプログラムを実施するなど、キャリアプランニングの幅広い場面で活用されています。

厚生労働省が活用を進めるジョブカード

求職者は、厚生労働省の「ジョブカード制度総合サイト」にて、ジョブカードを作成・登録できます。

作成時には、ジョブカードを熟知したキャリアコンサルタントのアドバイスも受けられます。

ジョブカードのツールが導入された目的は、2つあります。

  • 生涯を通じたキャリア・プランニング

個人の経歴、職業経験、キャリアに関する情報を一か所に蓄積し、職業訓練の受講や就職活動など、様々なキャリア形成の場面で活用する

  • 職業能力証明

資格、免許、学歴や職業訓練の成果、実務の成果などを記入し、求職活動の応募書類や、キャリアコンサルティングを受ける際の資料として活用する

仕事に関連する個人の情報をジョブカードにまとめることで、キャリアの相談を受けたり、就職活動に利用したりできます。

また、1回だけではなく、登録しておけば生涯にわたって情報を活用できるのもジョブカードの特徴です。

転職時にジョブカードでスキルの棚卸しをしたり、職業訓練を受けた評価を追加したり、継続したキャリア形成に生かせるツールといえます。

ジョブカードのメリット

キャリアの情報をまとめることで、様々なキャリアプランのシーンで活用できるのがジョブカードの特徴です。

では、実際の活用時にはどのようなメリットがあるでしょうか。企業・求職者・在職者といった、それぞれの立場で見てみましょう。

企業がジョブカードを活用するメリット

企業はジョブカードを利用することで、以下のメリットを得ることができます。

1.採用で、応募者の職業能力を把握できる

採用活動での利用は、履歴書や職務経歴書ではわかりにくい、応募者の職業能力に関する情報を確認できます。

とくに、応募者が正社員の経歴が少なく、職業訓練を受けたあとなどは、より正確に本人のスキルや能力を把握することが可能になり、合否の判断に役立ちます。

2.従業員のキャリアプランに活用できる

ジョブカードの活用は、採用だけではありません。既存社員のキャリアプランにも生かすことができます。従業員の仕事の成果やスキルについても、ジョブカードに入力できます。

また、雇用した従業員を対象に行う「雇用型訓練」にもジョブカードが活用されています。これは、企業内実習(OJT)と教育訓練機関での座学(Off-JT)を組み合わせた厚生労働省が管理する訓練です。一部の訓練では、助成金の支給を受けられます。

3.離職者の「求職活動支援書」の作成に役立てる

高年齢者雇用安定法では、離職予定の従業員が在職中からスムーズに就職活動が行えるよう、「求職活動支援書」の作成を企業に義務付けています。

対象となるのは離職する予定の45歳以上65歳未満の従業員です。

事業主都合の解雇、または継続雇用制度の対象となる高齢者に該当しなかったことにより、離職する本人が希望したときは、企業は求職活動支援書を作成し、本人に渡さなければいけません。この求職活動支援書の作成で、ジョブカードを活用できます。

在職者がジョブカードを活用するメリット

在職者がジョブカードを使う場合、職務経歴や仕事に関する実務成果をまとめられます。それにより、以下のメリットが考えられます。

1.キャリアプランの見直し

蓄積した実務能力をもとにキャリアの棚卸しが容易になるため、企業内でのキャリア設計に役立ちます。どんなスキルを身に着けてきたのか、それをもとにキャリアをどう形成していきたいのか。定期面談の際に、今後の方向性を検討する材料として使いましょう。

2.専門実践教育訓練での学びを職場で活用する

在職者が雇用中に専門実践教育訓練を受ける場合、ジョブカードを利用したキャリアコンサルティングを受けることができます。訓練で受講した結果がジョブカードに記載されるため、訓練で学んだことを職場で生かすのに役立ちます。

求職者がジョブカードを活用するメリット

求職者がジョブカードを活用するメリットは、履歴書・職務経歴書以外の追加資料を持てること、また、求職中の職業訓練に活用できることです。

1.履歴書など採用応募書類の追加資料として利用する

ジョブカードは、就職活動に履歴書や職務経歴書と合わせて提出できるツールです。とりわけ正社員の経験が少ない求職者は、職業能力証明の情報が記載されたジョブカードを利用することで、履歴書だけではわかりにくい職業能力をアピールできます。

2.キャリアプランを明確にできる

ジョブカードのなかには、自らのキャリアプランを記入するキャリアプランシートがあります。就職して、どんな仕事をしたいのか。これまでの職歴から、生かせる強みはなにか。自己理解を深め答えを出しておくことは、就職活動の面接での受け答えにも役立ちます。キャリアの方向を見つめなおすために、作成してみるといいでしょう。

学生がジョブカードを活用するメリット

職歴のない学生は、将来のやりたいこと、なりたい職業を考える際に、ジョブカードを活用することが勧められています。ジョブカードのなかのキャリアプランシートで、目標とする職業や、理想とする働き方を記入してみましょう。就職活動やインターンシップの前に作成しておくことで、キャリアについて自分の考えを、より一層深めることができます。

ジョブカードと履歴書・職務経歴書の違い

仕事の経歴や能力についてまとめているジョブカードは、通常の履歴書や職務経歴書と何が違うのでしょうか。違いを理解した上で、就職活動や転職の際に上手に活用してみましょう。

ジョブカードと履歴書の違い

履歴書が学歴や職歴を簡潔に説明するものに対して、ジョブカードは履歴書に記載されている情報以外に、キャリアプランシートを使って本人の志向性をまとめています。キャリアプランシートには、以下の質問が含まれています。

  • 価値観や興味
  • 自分の強み
  • 将来的に取り組みたい仕事

つまり、履歴書は経歴を紹介する書類であるのに対して、ジョブカードはより詳しく、「何が強みで、なにをやりたいか」をアピールできるツールといえます。

またキャリアプランシートは、就業経験の有無でフォーマットを分けています。さらに「転職希望」「継続雇用希望」「職歴が長い/短い」「中高年層/若年層」といった参考例も豊富に用意されており、将来のキャリアを見つめなおすのに役立ちます。

ジョブカードと職務経歴書の違い

ジョブカードと職務経歴書の違いは、まず形式の違いがあげられます。ジョブカードはフォーマットが決まっているのに対して、職務経歴書の形式は基本的に自由です。

ジョブカードが求職中の追加資料として有効なのは、正社員の経歴が短かったり、別の業界への転職を考えているケースです。ジョブカードでは、職業訓練の内容や成績が記載されます。求職活動中の学びが明確になるため、面接でのアピールポイントに利用できます。

また、ジョブカードでは今後やりたいこと、強み、価値観といった内容がまとまっています。過去の経歴・スキルだけではなく、チャレンジしたい内容について語れるのがジョブカードの特徴です。仕事への熱意を伝える資料として、ジョブカードを活用してみましょう。

ジョブカードのダウンロード方法・書き方・記入例

最後に、厚生労働省のジョブカード制度総合サイトから、ジョブカードのフォーマットをダウンロードする方法や記入例をご紹介します。

ジョブカードのダウンロード方法

ジョブカードのシートをダウンロードする方法は、2通りあります。

1.ウェブサイトからパソコンにダウンロードする

ジョブカード制度総合サイトのページから、直接シートをダウンロードする方法です。フォーマットはPDFとExcelの2通り用意されています。手書きで記入したい場合はPDFを、パソコン上で入力する場合はExcelをダウンロードしましょう。

2.ジョブカード作成支援WEB/ソフトウェアを利用する

専用のソフトウェアを用いて、より簡単にジョブカードを作成することができます。ジョブカード作成支援WEB/ソフトウェアは、ウェブサイト上か専用のソフトウェア、もしくはアプリをダウンロードして利用します。

作成支援ツールの機能は以下の通りです。

  • 参考質問に回答するだけで、キャリアプランシートのひな形がつくれる
  • ジョブカードの情報をもとに、履歴書・職務経歴書が作成できる
  • 企業は、求職活動支援書に活用可能なフォーマットを作成できる

ジョブカードにまとめた情報をほかの書類に利用したい場合は、作成支援ツールを利用してみるといいでしょう。

ジョブカードの書き方

ジョブカードには、全部で9パターンのシートがあります。それぞれの書き方をご紹介します。

  • キャリアプランシート(就業経験がある方用)

働いた経験がある人が、キャリアプランの作成に活用するシートです。強みや価値観から、将来的に就きたい職業や、これからの仕事についての考えを明確にするために記入します。

  • キャリアプランシート(就業経験がない方、学卒者等)

学生や、就業経験が少ない人向けのキャリアプランシートです。学校での経験や学びの内容について深めることができます。サークルやボランティア、インターンシップ留学、アルバイト等の学校外の活動を記入する欄もあり、これまでの経験の中から自分の強みを発見し、将来の方向性を考えるのに役立ちます。

  • 職務経歴シート

これまで担当した職務内容と、その仕事から得られた知識や技能について書き出すシートです。原則として、職務経歴シートは在籍した会社ごとに作成するのが望ましいとされます。シートに会社からの証明を受けている場合は、就職活動時の職務経歴を証明する書類としても利用可能です。

  • 職業能力証明(免許・資格)シート

過去に取得した免許や資格について記載するシートです。

  • 職業能力証明(学習歴・訓練歴)シート

これまでに学校や教育機関で学んだ内容を記載するシートです。

  • 職業能力証明(訓練成果・実務成果)シート

職業訓練などを受けた際、評価が記載されるシートです。働いている従業員の仕事の能力を評価する際にも利用できます。主に、職業訓練を行う機関や在職者の実務能力を証明する企業が記入します。

  • 参考様式 再就職援助措置関係シート

企業が、離職者のための求職活動支援書を作成する際に使用するシートです

  • 職務経歴書(ジョブカード準拠様式)

ジョブカードに記入した職務経歴シートの情報を転機して利用できる職務経歴書のフォーマットです

  • エントリーシート(ジョブカード準拠様式)

就職活動の際に利用できるシートです。学習歴、活動歴、自己PRなどを記入できます。

ジョブカードの記入例

ジョブカード制度総合サイトのページでは、各シートの記入例が掲載されています。価値観や、学校生活から得られたもの、書く内容に迷ってしまうという方は、これらの記入例を参考にしてみるといいでしょう。

出典元:ジョブカード制度総合サイト 
キャリアプランシート求職者(職歴が長い、若年層の方) (PDF)

ジョブカードで採用活動の強化とともに、人事評価制度の見直しを

求職者はジョブカードを利用することで、履歴書や職務経歴書ではわかりづらい実務スキルや、将来やりたいことをアピールできます。

企業側はジョブカードの情報を参考に、より詳しく応募者について知り、求める人物像に合った人材の採用に活用できるでしょう。

また既存の従業員に対しても、仕事で得たスキルや評価をジョブカードに記入することで、キャリアプランの形成に役立てることができます。

ジョブカードで採用を強化したら、人材のポテンシャルを最大限発揮できるように、適切な人事評価制度を構築しましょう。自社にあった人事評価制度に見直すことで、企業の成長につながります。

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