【ビジネス】バーターとは?4つの類語や使い方、業界別での事例を解説

ビジネスシーンや広告業界、不動産業界などで耳にすることが増えている「バーター」という言葉。金銭を介さず、商品やサービスを等価交換する取引方法は、資金を抑えて効果的にビジネスを進めたい企業にとって、有力な選択肢となります。

本記事では、バーターの意味や使い方、よく似た類語との違い、実際の業界別事例やメリット・デメリットまで徹底解説します。ぜひ参考にしてください。

なお、自己顕示欲の意味や承認欲求との違い、強くなる原因については、下記の記事で解説しています。職場での人間関係に悩む方にも役立つ内容です。

バーターとは?

バーターは「交換する」「物々交換」「交換条件」を意味する言葉で、英語の「barter」が語源とされています。ビジネスシーンでは、金銭のやりとりではなく、互いの商品やサービスを交換することで行なう取引を「バーター取引」といいます

なお、芸能界におけるバーターとは「知名度の高い人物と、そうでない人物をセットで売り出すこと」をいい、ビジネスシーンにおける意味合いとはニュアンスが異なります。

ビジネスにおけるバーターとは?

バーターは顧客に対しても、社内の人物に対しても使用できる単語です。例えば、下記の通り使用します。

 <顧客や取引先などに対して使用する場合>

  • 弊社の商品と、御社の商品をバーターしてください。
  • バーター取引の条件を再度検討していただけないでしょうか?

 <同僚や部下をはじめ、社内で使用する場合>

  • あなたと私の仕事をバーターしませんか?
  • A社とのバーターによる取引が成立しました。

なお、バーターという単語を用いなくても、「うちのサービスを提供するので、御社の商品をいただけませんか?」「あなたの代わりに書類作成を行なうので、午後の会議の進行役を代わって欲しい」といった、物々交換や交換条件の交渉を行なう取引は、バーターによる取引と言えます。

バーターの類語4選とそれぞれの違い

バーターに似た言葉には、次のようなものがあります。

  • 抱き合わせ
  • トレード
  • チェンジ
  • 代物替

バーターに似た言葉は複数ありますが、それぞれ少し意味合いが異なります。

抱き合わせ

「抱き合わせ」とは、売れ筋の商品やサービスと、単体では売れにくいものをセットにして販売する販売手法です。

バーター取引との違いは「金銭の授受の有無」にあります。バーターが現金を使わず物やサービスを等価交換するのに対し、抱き合わせは通常の金銭取引に付加価値として商品を組み合わせるスタイルです。

トレード

「トレード」とは、英語のtradeを語源とする言葉で、商品やサービス、人材などを交換する行為を指します。ビジネスの場面では、企業同士が商品を交換する「商取引」として使われています。

バーター取引との共通点は、どちらも「物やサービスの交換」である点ですが、トレードの方がより広義であり、必ずしも金銭を排除しているわけではありません

トレードは現金の支払いを含んだ売買も対象にするのに対し、バーターは金銭を用いないことが前提です。

なお、トレードオフ(二律背反)の考え方については、こちらの記事で解説しています。両立しにくい選択肢の中で最適解を導くヒントになります。

チェンジ

「チェンジ」とは、英語のchangeを語源とし、「変更する」「交換する」「変える」といった幅広い意味を持つ言葉です。ビジネスシーンでは「担当者をチェンジする」「計画をチェンジする」など、状況や人、方針の切り替えを示す場面で使われます。

バーターとの違いは、チェンジが必ずしも物やサービスを対等に交換することを意味しない点にあります。

バーターは「等価な価値を交換する」ことに重きが置かれているのに対し、チェンジは単純な「差し替え」や「交代」を表すにとどまる場合が多く、取引や交渉といった経済的文脈で使われることは少なめです

代物替

「代物替(しろものがえ)」とは、江戸時代の長崎を中心に行われていた貿易における物々交換の一形態です。

代物替の大きな特徴は、交換される商品の「金額」が一致するように数量を調整して取引を行っていた点です。

貨幣経済が十分に発展していなかった時代背景や、国際的な通貨の信頼性が低かった状況の中で、公平な貿易を実現するための実務的な知恵といえるでしょう。

バーターとの違いとしては、現代のバーター取引が多様な業種・業界で広く行われているのに対し、代物替は歴史的かつ限定的な文脈に基づく用語である点が挙げられます

バーター取引の3つのメリット

次に、ビジネスにおけるバーター取引の3つのメリットをそれぞれ解説します。

  • 資金不足に対応できる
  • 双方にメリットがある
  • 関係性を強められる

基本的には、資金不足の中でも実施できる点がメリットになりますが、その他にもさまざまなメリットがあります。

資金不足に対応できる

バーター取引の大きなメリットのひとつは、資金が不足している状況でも取引が成立する点です。

また、設備投資や原材料の確保など、まとまった支出が求められるタイミングでも、保有在庫や自社の技術力を対価とすることで、資金の流出を抑えられるかもしれません

資金繰りに悩む中小企業にとっても、キャッシュレスでの交渉の幅を広げる有効な手段になり得るのがバーター取引の特徴です。

双方にメリットがある

バーター取引は、売り手と買い手の両方にとってメリットがある、いわば対等な価値交換の仕組みです。現金取引では難しい調整や交渉も、互いのニーズや資産状況をすり合わせることで、柔軟かつ実質的な合意が可能になります。

たとえば、一方が在庫を持て余している製品を、他方が必要としている場合、双方の課題を同時に解決する手段になります

さらに、現金を使わずに済むため、キャッシュフローへの影響を抑えつつ、取引を通じて新たなビジネス関係や継続的な取引のきっかけにもなるでしょう。

関係性を強められる

バーター取引は、単なる取引手段にとどまらず、取引先との関係性を強化する機会にもなります。現金を介さないぶん、相互の信頼やニーズの理解が重要になり、結果として丁寧なコミュニケーションや密な調整が求められるためです。

特に継続的な取引が見込まれる業種や業界では、「自社の強みを相手の利益につなげる」意識が双方に生まれやすくなり、単発で終わらない関係性の構築につながりになるケースもあります。

リソース(資源)の意味と使い方についても、こちらの記事で解説しています。バーター取引における価値交換の理解を深めたい方におすすめです。

バーター取引の3つのデメリット

次に、バーター取引の3つのデメリットを紹介します。

  • 価値に不均等が起こる可能性がある
  • 代替手段が制約される
  • 時間と手間がかかる

それでは、詳しく見ていきましょう。

価値に不均等が起こる可能性がある

バーター取引の大きな課題のひとつが、交換するモノやサービスの価値に不均等が生じやすい点です。通貨を用いないため、価格という明確な基準がなく、双方が提供するものの「等価性」を判断するには主観的な評価に頼ることになります。

また、後になって「実は相手の提供物の方が有利だった」と感じることが信頼関係に影響を及ぼすこともあります

バーター取引では、事前に公正な評価基準を設けることや第三者を交えた査定・契約内容の明文化が、こうした価値の不均衡を防ぐために重要です。

代替手段が制約される

バーター取引では、現金のように汎用性があるわけではないため、代替手段が限られるという制約が発生します。たとえば、相手企業が求める物やサービスを自社が提供できない場合、そもそも取引が成立しません

仮に成立したとしても、交換した物資が現時点で自社にとって必ずしも最優先で必要なものでない場合、流動性が乏しく経営判断に柔軟性を欠く結果となることもあります。

時間と手間がかかる

バーター取引は、通常の現金取引に比べて時間と手間がかかる傾向があります。まず、双方が求めるモノやサービスのマッチングが必要で、何を・どのくらい・どんな条件で交換するのかをすり合わせる作業に時間を要します。

さらに、等価性の確認や品質基準の調整、納品スケジュールのすり合わせなど、交渉事項が多岐にわたるため、契約締結までに工数が膨らみやすいのが実情です。

特に初めてバーター取引を行う企業にとっては、想定以上に負担が大きく、取引の準備段階で頓挫してしまうケースも見られます。

業種別のバーター取引とは?

ここでは業種別のバーター取引をいくつか紹介します。

  • 石油業界
  • 不動産業界
  • 広告業界

それでは、詳しく見ていきましょう。

石油業界

様々な業界や企業で行なわれているバーター取引ですが、特に石油業界では活発にバーター取引が行われています。

具体的な取引内容としては、石油会社間で互いに同量・同価格の石油製品(ガソリン、灯油、軽油など)を融通しあうというものです。

もともと石油製品は、下記のような流れで利用者の手元に届きます。

 製油所(石油製品を製造する施設)

油槽所(一時的に石油製品を貯蔵する施設)

各地のサービスステーション

利用者

ただこの流れでは、各地のサービスステーションに石油製品を届けるために、多くの地域に油槽所を保有する必要があります。

そこでバーター取引をすることで、互いの製油所から直接各地のサービスステーションへと石油製品を輸送できるようにしたのです。

それにより物流コストを削減できたり、エネルギーを安定的に供給しやすくなったりと、互いにとって良い効果が得られるようになりました

不動産業界

不動産のバーターには、デベロッパーやゼネコンが再開発をするための用地を取得するために、不動産の所有者との間でバーターが行われる取引形態があります。

修繕などが必要でポテンシャルを活かしきれていない不動産所有者の物件とデベロッパーが保有する収益物件とをバーターする取引です。

これにより、デベロッパー側は取得困難な開発用地を入手することができ、不動産所有者は不動産の売却や購入に伴う現金の出入りを必要とせず収益見込みの物件を得られるメリットがあります

また、不動産所有者が一定期間賃料を無料とする代わりに、契約を取り付ける方法についても不動産業界のバーターと言えるでしょう。

広告業界

広告業界では、CMなどの広告やメディアの利用料などの費用が発生します。バーターは、費用を現金で支払わずに商品やサービスの提供と引き換えに広告スペースやメディアを利用する取引方法です。

現金を使わずに商品やサービスを提供するため、広告費用を抑えつつ広告により潜在的な顧客層へアプローチできます。

また、複数のパートナーとバーターを行うことで、リスクを分散し、互いのビジネスを支援することができます。バーター取引は広告業界で一般的な取引形態ですが、価値の評価や取引条件の合意などには注意が必要です。

相互のニーズやリソースのバランスを考慮し、相互利益を追求することが重要です。 

バーター取引の成功事例|資生堂の返品削減

ここでは資生堂の返品削減の取組みにおいて、バーター取引が活用された成功事例を紹介します。資生堂は返品商品を削減するため、社員への啓発活動や店頭在庫縮減など積極的に取り組んできました。

その一環として、終売予定の商品について取引先企業との協業を図ることにより返品削減につなげました。具体的には、改廃予定商品の案内を早めるなどの他に、得意先企業内における在庫のバーター取引を実施。

バーター取引により必要とされる店舗で終売前に在庫を適切に配分することが可能となり、結果として、終売商品の店頭在庫の最適化を実現しました。

資生堂ジャパン株式会社「メーカー(製)における返品削減の取組み事例」https://www.gs1jp.org/forum/pdf/2017_shiseido.pdf

バーター取引に関するよくある質問とは?

最後に、バーター取引に関するよくある質問を紹介します。

  • 国際規模のバーター取引とは?
  • バーター取引を成功させるためのポイントとは?
  • バーターの歴史的背景とは?

それでは、詳しく見ていきましょう。

国際規模のバーター取引とは?

国際規模のバーター取引とは、通貨を介さずに国や企業同士が物資やサービスを等価交換する貿易形態のことです。たとえば、ある国がエネルギー資源を提供し、代わりに他国から食料品や技術サービスを受け取るといった取引が該当します

貨幣を使わないため、為替変動リスクや通貨不足の影響を受けにくい点がメリットです。一方で、交換する品やサービスの価値を公平に見積もる必要があり、交渉に時間がかかる、物流や品質管理の調整が難しいといった課題もあります。

特に経済制裁を受けている国や外貨不足に陥っている国では、貿易を維持する手段としてバーター取引が選択されるケースが増えています

バーター取引を成功させるためのポイントとは?

バーター取引を成功させるには、単に物やサービスを交換するだけではなく、取引先との信頼関係や価値のバランスをいかに保てるかが重要になります。

まず、互いに必要とするものを正確に把握し、等価性のあるアイテムやサービスを選定することが基本です。また、品質・数量・納期などの細かい条件について明確な合意を交わすことで、取引後のトラブルを防げます。

双方にとって公平な交換であることを可視化できれば、継続的な関係構築にもつながります

バーターの歴史的背景とは?

バーターは、人類が通貨を持つ以前から行っていた最も原始的な取引形態です。農産物や家畜、道具などを必要に応じて交換し合うことで、集団内外の生活を支えてきました。

その後、交換の公平性や保存・運搬の利便性を求めて通貨が発明され、貨幣経済が拡大しましたが、戦争や経済危機、インフレなどによって通貨が機能しなくなった時代には、再びバーターが活用される場面もありました。

現代では国際的な通貨決済が主流ですが、経済制裁下の国家や外貨準備の乏しい地域では、依然としてバーターが有効な貿易手段となることがあります

まとめ|バーター取引を上手に活用しよう

バーター取引を上手に活用することは、効果的なビジネス戦略の一環となります。バーター取引は、現金を使わずに商品やサービスの提供と引き換えに取引を行う方法です。バーター取引を上手に活用するためには、相手とのニーズを理解し、相互の利益を追求し取引条件を明確にする点に注意しましょう。

バーター取引の上手な活用は、コスト削減や新たなビジネスチャンスの創出などをもたらし、企業の成長に貢献することが期待できます。

ランチェスター戦略についても、こちらの記事で解説しています。企業間の力関係や取引戦略の考え方を学びたい方はぜひご覧ください。

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