第二新卒とは?いつまでか、採用の方法や入社後の育成方法などを紹介

主に社会人経験のある若手を対象にした第二新卒は、中小企業やスタートアップの間で、優秀な人材を獲得する方法として取り入れられています。第二新卒の採用では、若手のポテンシャルを育成できるよう、入社後の育成体勢まで見据え実施することが大切です。

本記事では第二新卒の概要から、採用や研修のポイントについてご紹介します。

第二新卒とは

第二新卒とは、就活市場で使われる用語で、大学卒業間もない若者たちを対象に行う採用活動をいいます。対象となるのは、新卒で就職した会社を数年で退職した層がメインですが、大学卒業後企業には就職せず、フリーランスやアルバイトなどで働いている人々も含まれます。

第二新卒とはいつまで

第二新卒が何歳までかという明確な定義はありません。ただし、大学卒業後3年以内、25歳ぐらいまでの若者を想定するケースが多いです。

第二新卒向けの採用を実施している企業でも、明確な年齢設定を設けず、「就業経験のある若者」のように大まかなイメージで対応するケースもあります。

第二新卒が転職したい理由

第二新卒とは、社会に入り数年経過した人々です。学生時代はイメージのつかなかった「社会人像」を、なんとなく実感できるようになります。仕事の面白さや苦労を経験し、自分なりのキャリア観が、学生時代よりも明確になってくる時期でもあります。

そうした第二新卒の若者の中には、やりがいを求めて転職を希望する人々が増えています。新卒で入社した会社で数年たち、「何かが違う」「もっと別の仕事がしたい」と、自分にとって達成感のある仕事を求めるように転職します。また、「生涯通じるスキルを身に着けたい」と、仕事に求めるキャリアが明確になり、前職とは違う職種・業界を目指す人々も多くいます。

職場に求める点でいえば、良好な人間関係を望む傾向が強く、「仕事内容」「社風」などを重視しています。

参考:20代専門]転職サイトNo.1「Re就活」でアンケート

第二新卒のメリット

このように、第二新卒はキャリアチェンジへの意欲が高く、仕事に求める軸がはっきりとしている特徴があります。そのため、採用で働くモチベーションの高い人材と出会える可能性が高いと考えられます。

また、第二新卒の層はビジネスマナーの基礎を習得しており、採用する企業は初期の教育コストを抑えることが可能です。

仕事に求める軸が明確

第二新卒はすでに社会人として数年経過しているため、仕事への解像度が深まっています。それにより、仕事のどんな部分に満足するのか、自分なりの答えを持っている人が、学生よりも多いといえます。

ワーク・ライフバランスを重視しているのか、スキルアップが一番なのか、給与を重視するのかなど、熟考した上で転職活動を行っており、キャリアのミスマッチが少ない層といえるでしょう。

キャリアへのモチベーションが高い

「楽な仕事」ではなく、「やりがいのある仕事」を求めている割合が高いのも、第二新卒の特徴です。数年の社会人経験を経て、自らの特性を理解した上で転職活動を進めています。

自身の強みを理解している人も多く、特性を生かしたキャリアチェンジに成功する傾向があります。企業としても、前職の経験をもとに自社のポジションへの適性を判断でき、たとえ未経験だったとしても、意欲の高さが成長スピードを後押しします。

基本的なビジネスマナーを習得している

名刺交換や挨拶の仕方、メールの書き方やチャットツールの使い方など、これらは社会人には欠かせないスキルです。こうした基本のビジネスマナーを習得している点も、第二新卒の強みと考えられます。

新卒の社員に対して実施していたビジネスマナー講座は、基本的には第二新卒の若手には必要ありません。仕事で必要なスキルを学ぶ研修を重点的に行い、その分、短期間で即戦力としての働きを期待できます。

新たな物事を学ぶ柔軟な姿勢がある

前職の成功体験に固執する姿勢は、社会人としての成長を阻害します。中途採用で入社した優秀な社員が、なかなか成果を出せないのは、こうした過去の体験にとらわれてしまうことが原因の一つです。

第二新卒の若者は、新たな物事を学ぶ柔軟性に優れています。未経験の分野でも習得スピードが早く、教育体制次第でポテンシャルを開花させるでしょう。

第二新卒のデメリット

キャリアへの意欲が高く、成長スピードも期待できる第二新卒ですが、新卒入社とは違うタイミングで入社することや、第二新卒だからこその経験の浅さを考慮した上で、企業は育成する必要があります。

職場でのつながりを持つのが難しい

新卒入社の若手とは違い、第二新卒は往々にして「同期」がいません。年の途中で入社することになれば、新たな職場で、一人ゼロからのスタートです。教育体制がしっかりしていない職場の場合、「社会人経験があるから大丈夫」と放置され、実力を発揮する前に躓いてしまうケースも考えられます。

第二新卒だからといって安心せず、メンターやバディ制度を活用するなど、若手の成長をサポートする存在を設定する必要があります。

第二新卒向けのキャリアプランを明示する必要がある

新卒入社の社員の多くは、活躍する先輩社員を「ロールモデル」とします。しかし、第二新卒として入社した社員へのキャリア形成支援がおろそかになっていると、若手はキャリアイメージを持つことができず、長期的な就業を阻害することになりかねません。

第二新卒で入社したからこそ、活躍できるチャンスや伸ばせるスキルを、会社側が明確に示す必要があります。「この会社ならキャリアを伸ばせる」というイメージが、第二新卒の働くモチベーションを向上させます。

中途社員入社と比較して経験不足

社会人経験があるといっても、第二新卒の経験年数は長くはありません。そのため、一般的な中途入社社員と比較して、スキルが不足している点に注意しなければいけません。

会社が即戦力としての活躍を期待し、育成をおろそかにしては、アンバランスな状態になってしまいます。第二新卒に対して、会社が期待する働きを明確にした上で、足りない経験を補えるような研修体制を確立しましょう。

第二新卒の採用方法

第二新卒の採用方法は、大きくわけて3つあります。一つは「新卒と同じ枠組みで採用すること」です。次に多いのが、「中途採用と同じ枠組みで採用する」扱いです。そして最後に、第二新卒専用枠を設ける方法があります。

新卒採用を廃止し第二新卒も含める「ポテンシャル採用」

新卒や既卒を区別せず採用する枠組みに、ポテンシャル採用があります。たとえば、新卒一括採用を廃止したYahoo株式会社では、30歳までを上限に、ポテンシャル採用として受け付けています。

通年で採用を実施するため、多くの求職者にチャンスがあります。また、就業経験の有無にこだわらず、若手の持つポテンシャルを最大限活用できる点が特徴です。ポテンシャル採用者向けの社員研修を設けるため、第二新卒を取りこぼしてしまう可能性を防ぐことも可能です。

ただし、通年で採用を行うため、採用の工数が増える点には注意が必要です。

第二新卒を「キャリア採用」として扱う

新卒採用を実施する場合、第二新卒をキャリア採用とし、他の中途採用と同様に扱う企業も少なくありません。職種に対して求職者が応募する方法が一般的であり、求職者の意欲やスキルに合わせたマッチングが可能です。

第二新卒をキャリア採用として扱う場合は、シニア層やミドル層とは別のポジションを設定し、育成体制を整えておく必要があります。ジュニアレベルの求人が多い企業で、適した採用方法といえるでしょう。

第二新卒専用の枠組みを設ける

第二新卒に特化した採用を行う方法です。教育研修コストを抑えつつ、柔軟性のある若手を採用したい企業に適したやり方といえます。

また、第二新卒に特化した人材紹介会社を利用するのも一つの方法です。はじめから採用する人材の実力をイメージしやすいため、教育体制やキャリア支援体制も整えやすく、第二新卒のポテンシャルを最大限引き出せるでしょう。

第二新卒の採用のポイント

第二新卒の採用では、求職者の転職手法やマインドを考慮した上で採用を進める必要があります。

第二新卒の採用で注視したいインターネットの活用

第二新卒と呼ばれる若手層は、「Z世代」「デジタルネイティブ」など、インターネットの活用に抵抗がありません。SNSにアカウントを持つ人も多く、情報取得をSNSで行うのは、もはや一般的といっていいでしょう。

そうした第二新卒の層は、企業のホームページやSNSアカウントも、貴重な情報源として活用しています。また第二新卒の若手にとって、既存の従業員の個人アカウントの発信も、企業イメージを左右するものの一つです。

ひと昔前は、失業手当を受けつつハローワークを経由して転職活動を行う若手層が見られましたが、転職手法の主軸はインターネットの求人広告や人材紹介会社に移っています。マーケティング職やエンジニア職など、売り手市場の職種では、スキルアップのためのスクールを経由した採用手法も登場しています。

自社で第二新卒を対象に採用を行う場合、どの経路であれば求める人材と出会えるのか、正確に見極めなくてはいけません。

第二新卒向けの求人を作成する

第二新卒の若手は、キャリアチェンジに意欲的な一方で、「転職に失敗したくない」という意識も強く持っています。転職市場が活性化しても、転職回数の多さは、まだまだネガティブな要素として企業に捉えられてしまいます。そのため、第二新卒の採用を成功させる第一歩としては、応募段階でのミスマッチをなくすことが重要です。

採用の最初の入り口は「求人」です。求人原稿に詳しい情報を記載し、応募へのハードルを下げたり、必要条件を明確にしたりする工夫を凝らしましょう。「どんな仕事をするのか」「やりがいは何か」「どんなスキルが必要か」と一読してわかる求人原稿が、自社の求める人物像と合致する母集団形成を助けます。

また、求人に明確に「第二新卒歓迎」といった文言を記載すると、求人が埋もれずにターゲットに届く確率が高くなります。

スカウトは誠実に行う

就活のプラットフォームが発達するにつれ、企業が求職者にスカウトを送る採用手法も一般化しています。その際、「スカウトの送信者と面接官が違った」という苦情を耳にすることがあります。

たとえば、スカウトを社長名義で受け取った場合、求職者は「社長が自分を認めてくれた」「経歴に目を留めてくれた」と期待を抱きます。それなのに面接で合うのが別の人では、「なぜスカウトを受けたのかわからない」と失望してしまうのです。

第二新卒採用に限ったことではありませんが、転職はお互いの貴重な時間を使って行います。求職者の期待を裏切るような行為は避け、真摯にお互いの要望をすり合わせる機会を持ちましょう。

第二新卒の成功事例

第二新卒のポテンシャルを尊重し、スキルアップにつなげている採用事例をご紹介します。

未経験からエンジニアとして活躍できる教育体制

エンジニア採用の難易度は、年々高くなっています。一定以上のスキルを求める場合、企業としても教育体制や給与水準など、マーケットの状況に合わせシビアに検討する必要があります。

そんなエンジニア採用を成功させる一つの方法が、未経験の第二新卒を想定した採用です。企業のデジタル化の支援を行う株式会社ディマージシェアでは、未経験の若手がエンジニアとしてスキルアップできる教育体制を整えています。

第二新卒をエンジニア採用のターゲットにできるメリットは、「理系としての下地」「コミュニケーションスキル」の両面を見られる点です。日本では、理系の学士を持ちながら、まったく関係のない職種に新卒で就職するケースは珍しくありません。しかし、「大学で学んだスキルを活かしたい」とキャリアチェンジを考えるのも第二新卒と呼ばれる時期です。

面接で、研修内容やキャリアパスを詳しく伝えることで、未経験の不安を払拭し、採用につなげることが可能です。

前職でのスキルを伸ばしつつ、求める働き方を叶える会社へ

前職での経験を活かしつつ、キャリアアップを目指す第二新卒の若手もいます。

企業の広告運用を行う株式会社a general studioでは、広告運用のキャリアを持つ第二新卒を採用。スタートアップならではの、成長スピードの早さや、裁量権の大きさをアピールポイントに、若手の採用と育成を続けています。

自社の社風や、会社規模ならではの成長の機会を伝えることで、第二新卒の若手にキャリア形成のイメージを持ってもらうことができます。

第二新卒の人材育成方法

ポテンシャルを持ち、意欲も高い第二新卒をより育てるためには、第二新卒ならではのポイントを踏まえ、人材育成を行う必要があります。

入社後のオンボーディング研修をおろそかにしない

オンボーディング研修とは、事業理解や会社のミッションを周知するなど、新入社員が組織に早期に慣れることを目的に行う研修です。第二新卒の場合、新卒社員向けのビジネスマナー研修は必要ありませんが、オンボーディング研修は必須です。

オンボーディング研修では、部署間の役割を確認したり、入社後の戸惑いを解消したりする貴重な機会です。第二新卒で入社した従業員が、気持ちよく職場になじめるよう、体制を整えましょう。

なんでも話せる「バディ」が成長のカギ

ある程度社会人経験のある第二新卒でも、新しい職場では戸惑うことが多いものです。そんなとき、なんでも質問できる先輩や上司は心強い味方になります。特に第二新卒は、社内で自分と比較できる「同期」がおらず、孤独感を強めてしまうこともあります。

入社直後からバディ制度などを活用するなどし、仕事やキャリアについて気軽に相談できる存在を作ってあげることが大切です。

Off-JTとOJTをバランスよく組み入れる

現場で必要なスキルを学ぶOJTは、第二新卒のポテンシャルを早期に伸ばしてくれます。一方で、仕事で求められる知識を体系的に学ぶOff-JTも成長には欠かせません。

第二新卒で入社した従業員が、キャリアプランに戸惑うことのないよう、希望を聞きつつ、自社が実施する研修体制について詳しく説明しましょう。学ぶ機会があるとわかれば、意欲的な人材は自発的に自己研鑽に取り組むでしょう。

成果だけでなくプロセス評価がやる気を引き出す

即戦力としての働きが期待されている第二新卒でも、成果を出すまでに時間がかかるケースは珍しくありません。そんなとき、評価制度が結果重視だと、会社の期待に応えられていないと感じ、入社後にモチベーションが下がってしまう可能性があります。

難易度の高い仕事や、未経験の分野に挑戦できる環境は、若手を大きく成長させます。しかし、失敗する確率も高いため、結果だけでなくプロセスや姿勢を評価する制度も必要です。結果は上手くいかなくても、途中の動き方や工夫を評価されることで、次のアクションにつなげることができます。

第二新卒の社員の能力を引き出すポイント

第二新卒のポテンシャルを開花させるには、研修の期間やレベル設定に気を配る必要があります。また、即戦力だからと放置せず、こまめな入社後のフォローが重要です。

研修は短い期間で設定する

入社後、座学の時間が長いのは第二新卒の人材にとって良い影響を与えません。現場での活躍を期待して入社していることを考え、基本の研修は短期間で設定しましょう。「すでに知っていること」を学ばされると、モチベーションが低下してしまいます。そのため、入社した本人のスキルや経験を確認しつつ、研修内容をカスタマイズする柔軟性も求められます。

研修参加者の習熟度をそろえる

研修参加者が複数人いる場合、レベルに差がありすぎると、適切な研修内容を設定するのが難しく、また参加者のモチベーションにもマイナスの影響を与えてしまいます。中途採用としてひとくくりにするのではなく、第二新卒のみを対象とするなど、研修の参加者を細かく区切る工夫を行いましょう。

会社からの期待値を言語化する

「何を期待されているのかわからない」という状態では、従業員のモチベーションは上がりません。第二新卒の人材を採用したあとは、目標設定面談などで、会社の期待値を言語化することが重要です。

その際、「君は〇〇の強みがあるから、この仕事に活かしてもらいたい」というように、本人の長所に言及するのもいいでしょう。

会社でのキャリアプランを示す

どのようにキャリアアップできるのか、第二新卒の人材は冷静に見極めようとしています。新卒採用とは違い、同じ経歴・社会人年数といった比較対象が少ないからこそ、ロールモデルとなる人物が社内に必要です。

第二新卒の人材が入社したあとは、年齢の近い社員を引き合わせたり、チーム内での交流会を行ったりするなど、社内での接点を増やす取り組みを行いましょう。既存社員の実体験を耳にすることが、本人のキャリアイメージの形成を助けてくれるでしょう。

入社後の不満は早期に解消する

どんな人材でも、入社後にギャップを感じることがあります。しかし、組織になじんでいないと、不満をなかなか口に出せません。研修や面談のほか、朝会などのちょっとした時間を活用し、入社した社員の様子に気を配るようにしましょう。

「想像していた仕事と違った」という不満は、早期対応が解決のカギです。

第二新卒の採用で優秀な社員を獲得しよう

第二新卒の人材は、働くモチベーションが高く、キャリアアップにも積極的です。会社として、第二新卒の人材が活躍できる教育体制やキャリアプランを整えることが、若手のポテンシャルを引き出すことにつながります。

社会人経験を上手く活用しつつ、第二新卒の若手が強みを伸ばせるような採用が、優秀な人材獲得につながります。

人材採用に関連したおすすめセミナーのご案内

あなたにおすすめのお役立ち資料を無料ダウンロード

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

【無料eBookプレゼント】従業員の潜在能力を引き出す、すごい仕組み

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

【無料eBookプレゼント】数字で見る人事評価クラウド

人材採用の課題を解決するサービス紹介

あしたのチームのサービス

導入企業4,000社の実績と12年間の運用ノウハウを活かし、他社には真似のできないあらゆる業種の人事評価制度運用における課題にお応えします。


人事評価制度の構築・運用支援、クラウド化。 これらをワンストップで提供することにより、企業の成長と従業員の育成を可能に。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

サービスガイド


あなたの会社の人事評価制度は運用しにくい制度かもしれません。人事評価制度を適切に運用するノウハウと、その理由をお教えます。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

あした式人事評価シート