コンプライアンスとは?適用範囲や違反事例、対策をわかりやすく紹介

コンプライアンスのイメージ画像

コンプライアンスという言葉を聞いたことがあっても、あらためてどのような意味があるのか、コンプライアンスに関する正しい情報が気になるのではないでしょうか。

特に人事部の社員にとって、「企業がコンプライアンスに注目する背景」や「コンプライアンスの違反事例」は知っておきたいポイントと言えます。

そこで今回は、コンプライアンスの適用範囲や違反事例、コンプライアンス強化のための対策についてわかりやすく解説していきます。

コンプライアンスとは

コンプライアンスの英語の意味は「要求や命令への服従」です。医療・看護においては「処方された薬を指示どおりに服用する」という意味もありますが、一般的には「法律を守ること=法令遵守」を指す言葉として使われます。

広義のコンプライアンスは、法律以外にも一般常識、モラル、マナー、倫理などが含まれる言葉です。企業、非営利組織、行政組織などによる「利害関係者へのスムーズな対応」といった意味もあります。

特にコンプライアンス遵守の重要性が高いのは企業です。

企業が不祥事を起こせば、その企業は信頼を失い、売上の減少に繋がるだけでなく、損害賠償請求のリスクもあります。社会的・道義的な責任も大きいため、コンプライアンスを意識した企業経営の重要性が増しているのです。

企業によるコンプライアンス遵守の経営は「コンプライアンス経営」と呼ばれています。

企業がコンプライアンスに注目する背景

企業による不正行為が続いた結果、2006年1月に改正独占禁止法が施行、同年4月には公益通報者保護法が制定されました。どちらの法律も「内部告発を促す」という目的があります。

改正独占禁止法では、談合などを自主的に申告した企業に追徴金減免制度を導入。公益通報者保護法では、従業員などが勤務先の法律違反を通報しても解雇は無効、降格や減給といった不利益な処分も禁止となっています。

他にも2006年5月に施行された会社法により、監査役や株主の監視手段が拡充され、コンプライアンスを取り巻く法律整備は強化されていると言えるでしょう。

このような背景によって、企業はコンプライアンスを遵守し、違反しないよう注意が必要となっているのです。

コンプライアンスの範囲

企業のコンプライアンスは法令遵守を基本としながらも、社内規範、倫理規範にまで及んでいます。

法令順守

最も具体的なのは労働基準法、会社法、民法、刑法といった法令です。法令に違反すると刑事罰が科されるでしょう。

法令順守はコンプライアンスの範囲の中でも最も重要視すべき範囲です。
事故や事件に発展する法令を逸脱する行為は、社会的に許されることではなく、企業は内部監査に努めるなど厳しく取り締まる必要があるでしょう。

社内規範

次に具体的なのは社内規範です。社内規範には部署ごとの業務マニュアルや社内規定がありますが、違反しても法令に反しない限り刑事罰は科されません。ただ、直接的には事件には発展しなくとも、そういった社内規定違反が企業にとって致命的な事故や事件につながることもあり注意が必要でしょう。

倫理

倫理については最も抽象的な内容です。専門職団体の倫理綱領やコンプライアンスマニュアルなどが含まれますが、あくまでもその企業の倫理観に則った範囲と言えます。
拘束力がある法令を守ることは当然として、企業の社会的責任が高まる中で倫理の遵守についても求められています。

たとえ企業に法令違反がなくとも、モラルに反した行為には批判が集まるのではないでしょうか。
自社の売上だけを考え、法律ぎりぎりのビジネスを展開している企業に対して、消費者や市民社会の厳しい目が向くことは十分に考えられます。マスメディアの厳しい追究を受けるかもしれません。

パワハラやモラハラといった各種ハラスメントも問題になっています。現代はSNS社会ですから、たとえ在職中に問題が顕在化しなくても、元従業員の告発により、望まない形で企業名が露出することも十分に考えられます。

そのため企業は法令遵守を当然としつつ、社内規範、倫理にまで範囲を広げてコンプライアンスを守る必要があるでしょう。

コンプライアンスの違反事例

実際のコンプライアンス違反事例として、下記2つの企業の事例を見てみましょう。

旧東洋ゴム工業「免震ゴム偽装問題」

まずは、旧東洋ゴム工業による「免震ゴム偽装問題」について解説します。これは2015年に取り沙汰された、東洋ゴム工業による自社製品である免震ゴムの性能の偽装問題です。

免震ゴムとは、建築物の基礎部分に使用される材料で、地震の揺れを吸収する機能があり、国交省の認定が義務づけされています。

しかし東洋ゴム工業の開発担当者は、2006年~2011年に計3回、試作品のデータを改ざんして不正に認定を取得していました。

その背景には納期のプレッシャーがあったようです。結果的に東洋ゴム工業は、代表取締役3人を含む取締役5人が引責辞任しています。

東芝ITサービス「粉飾決算問題」

次に、東芝ITサービスによる「粉飾決算問題」について解説します。これは重電大手である東芝の子会社、東芝ITサービスが架空取引を行っていた問題です。東芝ITサービスは情報システムを手掛ける会社ですが、製品・サービスが介在しない循環取引があったとみなされています。

規模的には2019年4月~9月に計上された売上高約200億円で、同年4月~12月期の決算で取り消す方向性になっています。

親会社の東芝は「特定の取引先の営業担当者が主導しており、子会社の積極的な関与については証拠が検出されていない」と説明。しかし「商品が実在しない架空取引がある」ということは認め、再発防止策を実施するとしました。

ここでは2つの事例を解説しましたが、世間的に注目されたコンプライアンス問題の事例は他にもあり、相次ぐ食品偽装の問題は、未だ記憶に新しいのではないでしょうか。

このような企業のコンプライアンス問題を通して、よりコンプライアンス遵守に対する気運は高まっていると言えるでしょう。

コンプライアンスを強化するための2つの対策

企業のコンプライアンス強化には次の2つの対策があります。

・コンプライアンス体制を整える
・コンプライアンスの啓蒙活動を行う

コンプライアンス体制を整える

コンプライアンス体制を整えるには、まず経営者自身の意識改革が必要です。経営者が率先して方針を示すことで、コンプライアンス違反を引き起こさない体制への足がかりができるでしょう。

具体的には、社内にコンプライアンス委員会・コンプライアンス室を設置したり、推進担当者を決めるなどの対策が考えられます。その後にコンプライアンスに関する各種マニュアルを整備します。

各種マニュアルには、法令遵守以外にも、独占禁止法遵守マニュアル、公益通報者保護規定、個人情報保護マニュアル、暴力団対策マニュアルなど様々です。自社の必要性に応じて準備しましょう。

小規模企業で人的なリソースを割けない場合は、就業規則で対応する方法もあります。機密保持、セクハラ、パワハラなどの規定を就業規則に盛り込むことで、一定の効果が期待できるのではないでしょうか。

コンプライアンスの啓蒙活動を行う

各種マニュアル・就業規則は作成するだけでなく、全社員へ周知することが大切です。

ただ揃えるだけではコンプライアンス体制は整わないので、経営幹部を含めた全社員・全従業員に伝わるよう啓蒙活動を重視してください。

繰り返しになりますが、コンプライアンス遵守は全社的に取り組むことが大切です。そのためにマニュアルや就業規則の徹底だけでなく、社内講師や外部講師による研修、eラーニングなどが必要になるかもしれません。

コンプライアンス教育は早ければ早いほど良いと言われますし、継続的な取り組みが重要です。階層によってもコンプライアンスへの意識は異なるため、新入社員と部門長では伝える内容を変えて考えることになります。

いずれにしても、コンプライアンス遵守は体制を整えるだけでなく、啓蒙活動を行って伝えることが大切と言えるでしょう。

コンプライアンスを遵守して経営リスクを低減しよう

本記事では企業のコンプライアンスを中心に解説しました。一般的にコンプライアンスは法令遵守の意味で使用されますが、社内規範や倫理も含めて考えることが大切です。

その背景には、相次ぐ企業のコンプライアンス問題や、改正独占禁止法や公益通報者保護法といった法律の整備があります。

具体的にコンプライアンスを強化するには、体制の整備と啓蒙活動がポイントになるでしょう。

各種マニュアルや研修などを通し、全社的な取り組みを実現することで、コンプライアンス違反を引き起こさない体制への足がかりが期待できるでしょう。

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