社会保険とは?4つの種類、加入条件、計算・手続き方法について解説

社会保険のイメージ画像

社会保険は国の社会保障制度の一つで、病気・ケガや失業などのリスクから従業員を守る仕組みです。

事業所の規模や従業員の所定労働時間によって加入できる保険が変わるため、加入条件を確認した上で正しい手続きを行うことが大切です。

この記事では、社会保険の種類や加入手続きの流れ、社会保険料の計算方法について解説します。

社会保険とは

社会保険とは、国民の健康や暮らしを守るために国が運営する保険制度で、日本では健康保険(医療保険)・介護保険・年金保険・雇用保険・労災保険のことをいいます。

病気やケガ・失業に関するリスクに備えるだけでなく、出産・育児や介護に関連する給付制度が用意されているのが特徴です。

労災保険を除いて保険料は会社と従業員の双方が支払い、国も保険制度を運営するための資金を支出しています。そのため、社会保険は「相互扶助」の考え方で運営されている保険制度なのです。

社会保険の4つの種類

社会保険の種類ごとに、特徴や保障内容を紹介します。

1.医療保険(健康保険)

医療保険は病気やけがなどで医療機関を受診した場合に、一定額の負担で済む制度です。

全国健康保険協会(協会けんぽ)や健康保険組合といった被用者保険、公務員・私立学校職員の共済組合では、病気やけがで4日以上休んだ場合の傷病手当金や産前・産後休業を取った際の出産手当金などの給付も用意されています。

被用者保険の加入対象にならない人は、市町村や国民健康保険組合が運営する国民健康保険に加入することになります。

日本では「国民皆保険制度」が取られており、国民全員が何らかの形で医療保険に加入するシステムだからです。また、満75歳になった人や一定の障害のある65歳以上の人は、後期高齢者医療制度へ加入することになります。

2.介護保険

介護保険は、満65歳以上になって市区町村から要介護認定を受けた場合に、自宅や施設での介護サービスや福祉用具の貸与・住宅改修費用の補助を受けられる制度です。介護に伴う家族の負担を減らすだけでなく、介護を受ける側が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるための支援を主軸としています。

在宅でサービスを受ける場合は介護度に応じて月々の支給限度額が変わる他、介護保険施設でサービスを受ける場合には本人や世帯の所得に応じて負担額が設定されます。

また、がんや脳血管疾患などの特定疾病にかかっている人は、満40歳から介護保険のサービスを受けることが可能です。

3.年金保険

年金保険は、満20歳以上のすべての国民が加入する国民年金(基礎年金)と、被用者保険や共済組合の被保険者が加入する厚生年金の2種類に分けられます。

厚生年金に加入すると自動的に国民年金に加入した扱いとなり、基礎年金に加えて厚生年金に加入していた期間や給与額に応じた額の年金が加算されます。

年金の種類は、原則として満65歳以上の人が対象の老齢年金や一定の障害がある人が対象の障害年金、基礎年金または厚生年金の被保険者の遺族(子のいる配偶者や子)が対象の遺族年金の3種類です。

4.労働保険

労働保険は失業した場合の再就職を支援する雇用保険と、業務中・通勤中のケガや病気に対する治療費の負担(療養給付)や休業補償を行う労災保険の2種類に分けられます。

雇用保険では失業後の給付だけでなく、育児休業給付金・介護休業給付金やなど在職中の人が働き続けるための給付も用意されており、在職中の福利厚生の一面もあるのが特徴です。

また、労災保険では業務中・通勤中のケガや病気で亡くなったり後遺障害が残ったりした場合の、年金や一時金の給付制度も設けられています。

社会保険の加入条件とは

社会保険には、企業・従業員それぞれに加入条件が設けられています。公的な保険制度のため、加入条件を満たしている限り加入が義務づけられています。

したがって、従業員の意思で社会保険に加入しないという選択は認められていません。

1.健康保険・介護保険・厚生年金保険

法人経営の事業所や一定の業種を営む従業員数5名以上の個人経営の事業所は、健康保険・介護保険・厚生年金保険の強制加入事業所です。正社員(常勤の労働者)はもちろん、所定労働時間が正社員の4分の3以上であれば加入資格が生じます。

2021年10月現在、健康保険・厚生年金保険の被保険者が501名以上の事業所の場合は特定適用事業所として、短時間労働者にも加入資格が生じます。被保険者数が500名以下の事業所でも、短時間労働者の過半数の同意を得られれば特定適用事業所として認定を受けることが可能です。

今後、2024年10月にかけて短時間労働者を健康保険・厚生年金保険に加入させる義務のある事業所が以下のように拡大されます。ただし、昼間の学生の場合は引き続き健康保険・厚生年金保険の加入対象外です。

2021年10月現在2022年10月から2024年10月から
事業所の規模501名以上101名以上51名以上
労働時間 週の所定労働時間が20時間以上 週の所定労働時間が20時間以上 週の所定労働時間が20時間以上
賃金 月額88,000円以上月額88,000円以上月額88,000円以上
見込まれる雇用期間 1年以上2ヶ月以上2ヶ月以上

2.雇用保険・労災保険

所定労働時間や勤務日数の多少にかかわらず、1名でも従業員を雇っている事業所は雇用保険・労働保険にセットで加入する義務があります。

雇用保険の被保険者がいない場合でも、加入手続きを取っていなければ厚生労働省の雇用関係助成金の申請対象外になるのでご注意ください。

前述したように、労災保険は業務中・通勤中のケガや病気に対する療養給付や休業補償を行う制度なので、従業員が入社後に加入手続きを取らなくても自動的に労災保険の被保険者になります。また、雇用保険は週の所定労働時間が20時間、または月の所定労働時間が87時間以上の従業員が加入対象です。

社会保険に加入するメリット

社会保険に加入することで、支払った保険料に応じた各種給付を受けられるだけでなく、労災保険では事業主に代わって各種補償・給付を行ってくれるのがメリットです。

例えば従業員が仕事中にケガをした場合、労災保険に入っていなければ治療費や休業補償は全額事業主が負担することになります。

特に、重い後遺症が残ったり死亡事故に至ったりした場合は損害賠償額が非常に高くなり、企業の存続を揺るがすかもしれません。一方、労災保険に入っていれば、わずかな保険料の負担で被災した従業員に国から各種補償を行ってくれるため、企業のリスク管理にもつながるのです。

健康保険の例では、従業員が無保険の状態だと万一の病気やケガの際に治療費が高額になり、治療をためらって生命が危機にさらされる恐れがあります。

しかし、健康保険に加入していれば治療費の負担が少なくてすみ、しかも高額な治療を受けた場合は高額療養費制度によって自己負担額が大幅に軽減されます。社会保険料が高いという声もありますが、納めた保険料に対する見返りは必ず受けられるのが社会保険制度の特徴です。

社会保険料の計算と支払方法

社会保険料は、社員の給与・賞与の総支給額をもとに計算します。給与の中には、基本給や職務手当・通勤交通費・残業手当など「労働の対価」として支払われるすべての賃金が含まれます。

ただし、慶弔見舞金や退職金は社会保険料の計算の対象外です。給与にかかる健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料は、月々の給与額に対応した「標準報酬月額」に都道府県ごとの保険料率を掛けて計算します。標準報酬月額は最低等級が5万8千円、最高等級は健康保険139万円・厚生年金保険65万円です。

標準報酬月額は、毎年4月・5月・6月の給与を算定基礎届で届け出た上で9月以降の保険料に反映されるのが一般的な流れです。しかし、年度途中の給与改定などによって標準報酬月額の等級が2段階以上アップダウンした場合は、直近3ヶ月の平均給与額をもとに新たな標準報酬月額を決めるルールも設けられています。

賞与にかかる健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料は、支給額から1,000円未満の端数を切り捨てた後の金額(標準賞与額)に保険料率を掛けて計算します。標準賞与額の上限は健康保険が年間573万円、厚生年金保険料は月間150万円です。

健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料は会社と従業員が半額ずつ支払う仕組みですが、支払そのものは会社が行います。日本年金機構から毎月届く納入告知書に基づいて、納付書または口座振替で支払います。

労働保険料は、毎年6月1日~7月10日の間の年度更新で1年分の保険料を確定した上で支払います。労働保険だけに加入している人・雇用保険にも加入している人の給料や賞与を1ヶ月分ずつ集計し、年間の合計額に業種ごとの保険料率を掛けて計算します。

労働保険料は一括払いが原則ですが、労働保険料の総額が40万円を超える場合は3回の分割払いも可能です。

社会保険の手続き方法

社会保険では、入社時の資格取得手続きや離職時の資格喪失手続きが必要です。窓口への書類提出だけでなく、2020年からはGビズアカウントを使った電子申請も可能になりました。資格取得・資格喪失の手続きには社員や扶養家族のマイナンバーが必要になるので、忘れずに提供を受けるようにしましょう。

1.健康保険・介護保険・厚生年金保険の手続き

社員が入社後5日以内に、会社を管轄する年金事務所に「健康保険・厚生年金保険資格取得届」を提出します。

家族を健康保険の被扶養者にしたい場合は「被扶養者(異動)届」の提出が、配偶者を被扶養者にする場合は「国民年金第3号被保険者関係届」の提出がそれぞれ必要です。

満40歳以上の人は、健康保険に加入すると介護保険にも同時加入されます。家族を被扶養者にする場合は、住民票または戸籍謄本での続柄確認と収入証明書による収入確認も必須です。なお、被扶養者(異動)届と国民年金第3号被保険者関係届は1枚の書式になっています。

社員が退職した場合は退職日の翌日が資格喪失日となり、5日以内に「健康保険・厚生年金保険資格喪失届」を提出した上で、社員本人・扶養家族の健康保険証を年金事務所に返却します。

電子申請で手続きする場合は、郵送で保険証を返却することになります。資格喪失と同時に被扶養者の登録も削除されるため、被扶養者(異動)届の提出は必要ありません。

2.雇用保険・労災保険の手続き

労災保険は雇用形態や労働時間にかかわらず強制加入なので、資格取得・喪失の手続きは必要ありません。

雇用保険の場合は、社員が入社した翌月の10日までに、会社を管轄するハローワーク(公共職業安定所)に「雇用保険資格取得届」を提出します。社員が退職した場合は退職日当日が資格喪失日となり、翌日から10日以内に「雇用保険資格喪失届」の提出が必要です。

退職者の離職票となる「雇用保険被保険者離職証明書」もあわせて提出します。

人事担当者は社会保険の正しい知識を覚えよう

社会保険は正社員だけでなく、勤務時間などの条件を満たす人は加入が義務づけられている公的な保険制度です。

入社・退社時の手続きはもちろん、労働保険の年度更新や健康保険・厚生年金の算定基礎届の提出など、折々での手続きが発生します。

特に健康保険・厚生年金保険は、2022年~2024年にかけて加入対象者が広がります。社会保険には社員の暮らしや安全を守る一面もあるため、最新の情報を十分に確認した上で正確に手続きを進めるようにしましょう。

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