扶養控除とは?要件、収入基準、金額、配偶者控除との違いについて解説

扶養控除のイメージ画像

扶養控除は、扶養親族の人数に応じて所得額から一定額の控除を受けられる、所得税の制度です。

社会保険にも扶養という考え方があり、健康保険の加入可否や配偶者の国民年金第3号被保険者の認定可否にも影響します。特にパートで働く人の場合は、配偶者が勤務先で家族手当を受け取れるかどうかにも影響するため、正確な情報提供が欠かせません。

この記事では、所得税における扶養控除の要件や配偶者控除との違い、社会保険の扶養家族として認められる収入基準などの条件について解説します。

扶養控除とは

扶養控除とは所得税を計算する際に、扶養家族の年齢や人数に応じて課税所得から一定の金額を差し引く制度です。扶養家族が多くなるほど課税所得が低くなり、所得税の負担が軽くなります。

住民税にも扶養控除の制度がありますが控除金額が異なるため、所得税が非課税でも住民税は課税される場合がある点には留意が必要です。また、扶養家族が働いて収入を得ていても、同居していれば生活費をシェアしているという考え方ができるため「生計を一にする」家族とみなされます。

社会保険にも扶養家族という仕組みがあり、年間の所得など一定の条件を満たせば追加の社会保険料を支払わずに家族も健康保険に加入できます。配偶者の場合は、国民年金の第3号被保険者として認定されれば国民年金保険料を支払わずに済みます。

最終的に一家の社会保険料の支払額が少なくなるため、事実上の扶養控除と考えるケースもあるようです。なお、家族の分の国民年金保険料や国民健康保険料・介護保険料を支払った場合は、年末調整や確定申告で社会保険料控除を受けられます。

【社会保険】扶養家族として認められる要件

社会保険の扶養家族として認められる家族は75歳未満で、被保険者本人と同一の生計関係がある3親等以内の親族です。後述する収入基準を満たしていれば、共働きでも問題ありません。追加の健康保険料も発生しません。

配偶者は法律上の婚姻関係にある人だけでなく、事実婚の人も扶養家族として認定されます。住民票に「妻(未届)」「夫(未届)」と表記されていない場合は、扶養に関する申立書での事情説明が必要です。

また、2021年9月現在では同性カップルの関係を公的に認める「パートナーシップ制度」に登録していても、扶養家族の認定では配偶者として認められません。

配偶者以外では、以下の間柄の人が扶養家族として認められます。

【被保険者側の親族】
別居でもかまわない親族 同居が必須の親族
1親等 子・父母 子の配偶者
2親等 兄弟姉妹・孫・祖父母 兄弟姉妹や孫の配偶者
3親等 曽祖父母 ひまご・甥・姪・おじ・おばと、その配偶者

【配偶者側の親族(すべて同居が必須)】
1親等 子・父母
2親等 兄弟姉妹・祖父母・孫
3親等 ひまご・甥・姪・おじ・おば・曽祖父母

2020年4月からは、扶養家族として認められる条件として国内の住民登録が加わりました。ただし、海外赴任に同行したり留学したりする家族の場合は、国内に住民登録がなくても国内に生活基盤があるものと考えて、引き続き扶養家族として認められます。

【社会保険】扶養家族として認められる収入基準

扶養家族として認められる収入基準は、1年間の収入見込み額が130万円未満です。扶養家族が60歳以上の場合や障害厚生年金を受給している人の場合は、1年間の収入見込み額が180万円未満に緩和されます。

どちらの場合も、被扶養者の年収が被保険者の年収を上回ると扶養家族として認定されません。また、扶養家族が被保険者と別居している場合は、被保険者からの仕送り額が扶養家族の収入より多ければ扶養家族として認定されます。

給与所得者の場合は、通勤交通費など非課税所得を含んだ「総支給額」で収入額が判断されます。自営業者の場合は、売上から仕入れ高・原材料費を差し引いた額を収入として考えます。

雇用保険や年金といった公的な給付も、扶養認定では収入として判断されます。所得税の扶養控除とは収入に関する考え方が異なるので要注意です。

【所得税】扶養控除の要件

扶養控除を受けられる親族かどうかは毎年12月31日の時点で判定されます。所得税を納める本人(納税者)が死亡、あるいは自治体に海外転出届を出して出国した場合は、死亡・出国した日が判定日に変わります。扶養控除を受けられる親族は、以下の4つの要件すべてに該当する16歳以上の人です。

(1)配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)
自治体から養育を委託された児童(里子)も扶養親族に含まれます。同居が前提ですが、通学や長期入院の場合は住民票が別の親族も扶養控除の対象です。

(2)納税者と生計が同じ親族
所得要件を満たしていれば、収入があっても問題ありません。

(3)年間の合計所得金額が48万円以下の親族
親族個人が確定申告した後の合計所得金額を基準に判断します。所得が給与のみの場合は、年収103万円以下が扶養控除の対象です。

(4)青色申告・白色申告の事業専従者でない親族
青色申告の場合は、1年を通じて全く給与の支払を受けていなければ扶養控除の対象となります。

社会保険よりも扶養親族として認められる範囲が広く、所得に関する考え方が異なるのが特徴です。扶養親族の人数で源泉徴収税額が変わるため、正確な給与計算・年末調整につなげるためには親族関係や同居の有無について、住民票や戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)で確実にチェックすることが大切です。

【所得税】扶養控除の金額

扶養控除の金額は以下の通りで、年齢によって異なります。

扶養親族の年齢 区分 扶養控除の金額
16歳以上19歳未満 一般の控除対象扶養親族 38万円
23歳以上70歳未満 一般の控除対象扶養親族 38万円
19歳以上23歳未満 特定扶養親族 63万円
70歳以上 老人扶養親族( 同居の場合 ) 58万円
70歳以上 老人扶養親族( 別居の場合 ) 48万円

高校生や大学生・大学院生の子どもがアルバイトをする場合、子どもが勤労学生控除を受けると納税者本人(親)は扶養控除を受けられなくなります。また、別居中の親や子どもに仕送りする場合は、親族のうち1名だけが扶養控除の対象です。

社会保険の被扶養者資格確認でも、仕送りの状況を確認できる書面の提出が求められるケースが増えてきました。扶養親族の状況を正確に把握するために、定期的な現況確認をおすすめします。

扶養控除と配偶者控除・配偶者特別控除の違い

配偶者も扶養親族の一員であることから、扶養控除と配偶者控除は関連性が深いと考えがちですが、厳密には異なる仕組みです。前述したように、扶養控除が適用になる親族は同居が前提ですが、納税者本人の所得金額にかかわらず適用されます。

一方、配偶者控除は法律的に婚姻関係があれば同居・別居は問われません。年間の合計所得金額は48万円以内ですが、納税者本人の合計所得金額によって控除額は異なります。配偶者控除の額は、以下のとおりです。

納税者本人の合計所得金額 70歳未満 70歳以上
900万円以下 38万円 48万円
900万円超950万円以下 26万円 32万円
950万円超1,000万円以下 13万円 16万円

なお、配偶者の合計所得金額が48万円を超えた場合でも、133万円以下であれば配偶者特別控除という形で所得控除を受けられます。詳しくは、国税庁タックスアンサーをご確認ください。

扶養控除を受けるために必要なこととは

社員が扶養控除を受けるためには、入社または年末調整の際に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を会社に提出する必要があります。申告書を提出した後の給与から、扶養親族の人数に応じた金額の源泉徴収が行われ、年末調整で1年分の所得税が精算されます。

年末調整までに扶養控除の申請ができなかった場合でも、確定申告を行えば扶養控除の手続きが可能です。ただし、年収2,000万円以上の人や別の会社・自営などで副業している人は、確定申告が必須となります。

なお、社会保険の扶養家族として認定を受けたい場合は、続柄のわかる書類や収入を証明できる書類を会社に提出する必要があります。健康保険組合や協会けんぽから書類の提示を求められる場合があるので、人事担当者は自己申告で済まさずに書類での確認を徹底しましょう。

負担を軽減できる扶養控除を上手に活用しよう

扶養控除は、扶養家族の年齢や人数に応じて課税所得から一定の金額を差し引く制度で、扶養家族の人数に応じて課税所得が低くなり所得税負担の軽減を図れます。

扶養控除の制度を十分に理解した上で、負担軽減のため上手に活用しましょう。
また、扶養控除と混同しやすい社会保険の扶養家族の仕組みについても押さえて、該当者の方は併せて利用してみてください。

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