慶弔休暇とは?制度導入の現状と注意点を解説

従業員の冠婚葬祭に対応するため、ほとんどの企業では福利厚生の一環として慶弔休暇制度を設けています。

慶弔見舞金制度も設けて、従業員のエンゲージメント向上に役立てている企業もみられます。

慶弔休暇制度を円滑に運用するために、慶弔休暇の取得条件や日数などを明確にした上で従業員に周知することが大切です。

慶弔休暇・慶弔見舞金制度の仕組みや導入方法、企業における慶弔休暇制度の導入状況を解説します。

慶弔休暇とは?

慶弔休暇とは、従業員にお祝い事(慶事)とお悔やみ事(弔事)があった際に取得できる休暇です。

慶事は身内の結婚や配偶者の出産といった「おめでたいこと」、弔事は配偶者・親族の通夜や葬儀で「悲しいこと」であり、人生のライフイベントの一つとしても位置づけられています。

慶弔休暇は法定外休暇として位置づけられているため、年次有給休暇や育児・介護休暇などのように法律で付与が義務づけられているわけではありません。

福利厚生制度の一つとして位置づけられるため、慶弔休暇の付与条件や日数は企業の考え方に一任されています。

ちなみに厚生労働省の「モデル就業規則」には、慶弔休暇の対象範囲が次のように提示されています。

  • 本人の結婚
  • 妻の出産
  • 配偶者、子又は父母の死亡
  • 兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母又は兄弟姉妹の死亡

慶弔見舞金制度とは?

慶弔見舞金制度とは、慶弔休暇の対象となる従業員に対して祝い金や香典などを支給する制度です。福利厚生制度として、企業への帰属意識を高める一面ももっています。企業によっては災害での被害や従業員の病気・ケガ、そして子どもの入学・入園も支給対象にする事例もあります。祝い金や見舞金の種類について、具体的に確認してみましょう。

①結婚祝い金

    従業員が結婚または入籍した時に支給する祝い金です。初婚だけを対象とする場合や再婚・事実婚も対象にする場合があります。同性パートナーシップ証明制度の申請者を対象にする企業も登場し始めています。

②出産祝い金

    従業員本人や配偶者が出産した時に支給する祝い金です。少子化対策の一環として、2人目以降の出産では金額を大幅に増額する企業もみられます。

③入学祝い金

    従業員の子が小学校・中学校・高校・大学に入学した際に支給する祝い金です。現金に代わり品物を渡す企業もあります。

④災害見舞金

    火災や地震・風水害・雪害に遭った従業員に支給する見舞金です。被災状況によって特別休暇を付与するなど勤務面に配慮するケースが多いようです。

⑤傷病見舞金

    従業員本人が病気やケガで入院したり、一定日数以上欠勤したりした場合に支給される見舞金です。健康保険の傷病手当金申請に影響が出ないよう、給与の補てんではないことを明確化しているケースが多いです。

⑥香典

    慶弔休暇の対象となる親族が亡くなった場合に、香典として支給するお金です。香典と共に供花や弔電を出す場合があります。従業員本人が亡くなった場合には、死亡弔慰金を別途支給するケースもみられます。

慶弔休暇制度の導入状況

独立行政法人労働政策研究・研修機構「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」によると、福利厚生制度として慶弔休暇制度を設ける企業は90.7%で、トップでした。

非正規従業員への適用状況を含め、企業で導入している福利厚生制度の上位5位を紹介します。

福利厚生制度施策が「ある」割合非正規従業員に
適用している割合
1位慶弔休暇制度    90.7%   49.8%
2位 慶弔見舞金制度    86.5%    53.9%
3位 病気休職制度    62.1%    42.5%
4位 永年勤続表彰    49.5%    36.3%
5位   人間ドック受診の候補    44.6%    49.3%

福利厚生制度として、慶弔休暇制度と慶弔見舞金制度をセットで運用している企業が多いことがわかります。

また、パート・アルバイトといった非正規従業員も適用対象とする企業は、慶弔休暇制度を設ける企業の約半分です。

従業員が特に必要性が高いと思う福利厚生制度の上位5位についても、一緒にチェックしてみましょう。

 福利厚生制度特に必要性がないと思う割合
1位人間ドック受診の候補     21.8%
2位 慶弔休暇制度    20.0%
3位 家賃補助や住宅手当の支給    18.7%
4位 病気休暇制度(有給休暇以外)    18.5%
5位   病気休職制度    18.5%

慶弔休暇制度や健康管理に関する制度へのニーズが高く、企業としてもそのニーズに応えていることがわかります。

なお、企業の福利厚生制度に満足の割合が高いほど、現在の職場で引き続き働きたいという思いが強い傾向です。

慶弔休暇制度 導入の注意点

前述のように慶弔休暇制度は法定外休暇にあたるため、制度の構築は各企業に一任されています。

休暇制度は労働条件の一つとなるため、制度を導入した時点で就業規則に休暇を取得できる条件の明記が必須です。

就業規則に明記する内容や、制度を導入する上での注意事項について説明します。

取得可能な日数と条件を明確にする

慶弔休暇制度を導入する際は、休暇の取得可能日数と条件を明確にすることが大切です。

以下の点に配慮しながら、休暇の取得期限や分割取得を認めるかどうかもルール化しておきましょう。

  • 従業員の結婚に伴う休暇の場合は、入籍後相当の期間が経ってから結婚式を挙げるケースがある。結婚式後、さらに数ヶ月経って新婚旅行に出かけるケースもある
  • 配偶者の出産に伴う休暇の場合は、出産立ち会いや退院日の取得ニーズがある
  • 配偶者や近親者が亡くなった場合、初七日法要は繰り上げて行うのが一般的だが相続などの手続きで出かける機会が出てくる

【休暇の設定例】

  • 本人の結婚の場合…入籍または挙式から6ヶ月以内に5日間(分割取得可能)
  • 祖父母の死亡の場合…連続3日間

有給休暇か無休休暇にするか

慶弔休暇の取得日を有給休暇にするか無給休暇にするか、あるいは有給休暇にする場合の賃金の取り扱いについても決めておく必要があります。

ちなみに、有給休暇を取得したときの賃金の取り扱いは以下の通りですが、給与計算の利便性から通常どおり出勤したとみなすケースが多いようです。

(1)通常どおり出勤したとみなして賃金を支給
(2)平均賃金を支給
(3)健康保険法上の標準報酬日額に相当する額を支給(労使協定の締結が必須)

慶弔休暇を無給休暇にした場合は、従業員の判断で年次有給休暇に変更できる旨を定めておくとよいでしょう。

企業側から年次有給休暇への切り替えを指示すると、有給休暇自由利用の原則に反する可能性があるため注意が必要です。

慶弔休暇の申請・承認フロー

慶弔休暇の申請・承認フローも明確にした上で、従業員へ周知します。

慶弔休暇の場合は何らかの形で慶事・弔事があったことを証明できることが多いため、休暇申請時に事情のわかる書類を添付してもらうケースが多いです。

親族が遠方の場合などで所定の慶弔休暇の日数では不足する場合は、別途年次有給休暇届か欠勤届を提出するルールも設けておきます。

出産・弔事に伴う慶弔休暇では、勤務中に連絡が入ってそのまま慶弔休暇入りするケースが少なくありません。

その場合、慶弔休暇を取得する旨を上司などに口頭で伝え、事が落ち着いた後に休暇申請書を提出してもらう運用にしておくとよいでしょう。

なお、慶弔休暇のエビデンスとなる書類の例を紹介します。

  • 結婚…住民票の写し(新旧の姓または続柄が明記、事実婚の場合は「(未届)」と併記)、パートナーシップ証明書
  • 出産…産まれた子の氏名が書かれた住民票の写し、出産の事実が書かれた母子手帳
  • 弔事…会葬礼状、死亡の記載がある住民票の写し

いつから取得が可能か

入社後のどの段階から慶弔休暇を取得できるかも、明確にしておきます。具体的には、以下のパターンが考えられます。

(1)入社当日から取得できる
(2)試用期間終了後から取得できる
(3)最初の年次有給休暇が付与されてから取得できる

非正規従業員への適用の有無

パート・アルバイトといった非正規従業員へ慶弔休暇を適用するかどうかについても、あらかじめ定めておきましょう。

ちなみに慶弔休暇制度を導入する企業の約半数が非正規従業員にも慶弔休暇を適用しています。

週の所定労働日が少ない非正規従業員には勤務日の振替対応を原則として、振替対応が難しい場合に慶弔休暇を付与する方法も考えられます(厚生労働省「有期契約労働者の雇用管理の改善に関するガイドライン」にも明記されています)。

ただし、非正規従業員を慶弔休暇の対象外にすると、労働基準法で定められている不合理な待遇差・差別的取扱いの禁止に抵触する恐れがあるので、制度構築の際は留意が必要です。

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