キャリアアップ助成金とは?正社員化コースや金額、申請期限を解説

厚生労働省が設けている「キャリアアップ助成金」。優秀な人材を確保するためにも、企業の経営者や人事部担当者の方は知っておきたい制度です。この記事では、キャリアアップ助成金の各種コースや申請期限などについて解説します。

キャリアアップ助成金とは?

「キャリアアップ助成金」は、非正規雇用労働者を企業内で正社員化し、人材育成や処遇改善などに取り組むことを目的とした助成金制度です。

非正規雇用は、有期雇用労働者(契約社員)・短時間労働者(パートタイマ―)・派遣労働者(派遣社員・スタッフ)などが該当します。

人手不足に陥る企業が多い現代において、求職者にとっては売り手市場と言われています。業界によっては、中途転職のリスクも下がりつつあります。

そのため、これまで自社都合によって非正規雇用者を増減してきた企業側には、「人材が根付かない」「育成が追いつかない」といった問題が生まれています。

その一方で、仕事を覚えた企業でキャリアアップしたいと考える人材も溢れています。キャリアアップ助成金は、企業の採用業務のコストを抑えつつ、優秀な人材を育成・確保するために活用するべき制度なのです。

キャリアアップ助成金の種類

キャリアアップ助成金にはいくつか種類があります。各コースの概要と、「will(やりたいこと)-can(できること)-must(やるべきこと)」を活用した企業内の目標設定の方法についても解説したいと思います。

正社員化コース

正社員化コースの目的は、「有期雇用労働者などを正規雇用する、または直接雇用すること」です。

正規雇用労働者への転換とみなされる雇用条件には、勤務地限定正社員、職務限定正社員、短時間正社員といった「多様な正社員」も含まれます。助成金が認められる金額は、中小企業や大企業など「企業の規模」によって変動します。

助成金の例

  • 中小企業が有期雇用から正規雇用へ転換した場合:1人当たり57万円(生産性が向上した場合は72万円)
  • 大手企業が有期雇用から正規雇用へ転換した場合:1人当たり42万7,500円(生産性が向上した場合は54万円)

つまり、働きなれた有期契約労働者を正社員へ転換することで、企業の生産性向上が期待されています。

賃金規定等改定コース

賃金規定等改定コースでは、「有期契約労働者の基本給の賃金規定などを増額改定し、昇給した場合」に助成金が適用されます。

すべての有期雇用労働者の賃金規定などを2%以上増額した場合、対象労働者数1人~3人につき1事業所当たり9万5,000円が助成されます。生産性の向上が認められると、1事業所当たり12万円となります。

生産性が低下しているものの、「給与を上げる余裕がない」と考えていた企業にとって有益なコースだと言えます。

健康診断制度コース

健康診断制度コースは、有期雇用労働者などを対象とした「法定外の健康診断制度」を新設した上で、4人以上に実施した場合に助成金が認められます。従業員の健康管理を強化することで、長期的なキャリアアップを実現することが目的です。

「法定外の健康診断」とは、非正規での雇入時に行う健康診断や定期健康診断を指します。中小企業が実施した場合、1事業所当たり38万円、生産性の向上が認められた場合に48万円が助成されます。大手企業では助成金額が異なります。

賃金規定等共通化コース

賃金規定等共通化コースは、「有期雇用労働者などに関して、正規雇用労働者と共通の職務に応じた賃金規定などを作成・適用した場合」に助成金が認められます。有期雇用社員の働きを正当に評価し、賃金をアップさせることが目的です。

中小企業が実施した場合、1事業所当たり57万円、生産性の向上が認められた場合は72万円が助成されます。さらに、2人目以降など助成額が加算されると2万円を助成。上限は20人までとされています。

諸手当制度共通化コース

諸手当制度共通化コースは、「有期雇用労働者などに関して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を設定・適用した場合」に助成金が認められます。

非正規雇用の実状として、「正社員のように住宅手当や通勤手当、皆勤手当などが支給されない」という問題を改善することが目的です。

中小企業の場合、1事業所当たり38万円、生産性の向上が認められると48万円が助成されます。なお、中小・大手共に2人目以降の助成額には上限があります。

選択的適用拡大導入時処遇改善コース

選択的適用拡大導入時処遇改善コースは、「社会保険の適用拡大措置を導入し、被用者保険の適用と働き方改善のための取り組みを実施した場合」に助成金が認められます。

有期雇用労働者などに対して、働き方の意向を把握した上で、労使合意に基づく社会保険を適用することが条件および目的です。

中小企業の場合、基本給の増額割合が2%以上3%未満という措置に対して1人当たり1万9,000円が助成されます。生産性が向上した場合、1人当たり2万4,000円となります。

短時間労働者労働時間延長コース

短時間労働者労働時間延長コースは、「短時間労働者の週所定労働時間を延長した上で処遇を改善し、新たに被保険者とした場合」に認められる助成制度です。パートタイマーの処遇を見直し、働き方の多様化を狙う目的があります。

中小企業が短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長した上で、社会保険を新たに適用した場合、1人当たり22万5,000円が助成されます。生産性の向上が認められると、1人当たり28万4,000円となります。

助成金受給までの流れ

キャリアアップ助成金を受給するまでのステップは、大きく5段階に分かれます。キャリアアップ助成金の計画から支給申請までの流れについて、最もメジャーな「正社員化コース」を例に解説していきたいと思います。

キャリアアップ計画を作成・提出する

キャリアアップ計画の作成は、非正規雇用労働者らのキャリアアップに向けた取り組みを具体化し、実行していくために欠かせない作業です。

雇用保険の適用事業所ごとに管理者を配置した上で、「対象者・目標・実施期間・必要な取り組み」などをまとめましょう。キャリアアップ計画の作成後、転換実施の前日までに労働局・ハローワークへ提出し、認定を受けます。

就業規則等を改定する

非正規雇用者を正社員へ転換する規定がない場合、就業規則の改定や新規規定を実施します。就業規則等の改定については、労働局・ハローワークに相談することが可能です。

また、改訂した就業規則は労働基準監督署への届出が必要となります。なお、10人未満など小規模な事業所の場合、労働組合代表者の署名や押印を前提に、申立書のみの手続きが認められます。

就業規則等に基づき、正社員等へ転換

就業規則などに基づいて、正社員へ転換するステップです。転換を実施するにあたり、転換制度に基づいて試験など行うことができます。正社員への転換を果たしたあとは、雇用契約書や労働条件通知書を対象者へ交付しましょう。

それらの書類には、正社員転換後の就業規則や労働条件、待遇を明記しなければなりません。

転換後6ヶ月にわたる賃金支払い

非正規雇用労働者から正社員への転換を果たしたのち、6ヶ月にわたって賃金を支給します。支給金額が正社員転換前よりも5%以上アップしていることが条件です。

6ヶ月の間に対象労働者が休職した場合、その期間は勤務日にカウントしません。転換後の勤務日が11日以上ある月を対象に、6ヶ月分の賃金支給後の申請となります。

支給申請

支給申請は6ヶ月にわたる賃金支払いを終えたのち、2ヶ月以内に支給申請する必要があります。申請期間は、非正規雇用労働者から正社員へ転換したのち、「6ヶ月分の賃金を支給した日の翌日」から起算します。

申請前に労働者が事業所を転勤した場合、通算して6ヶ月以上の賃金支給が認められれば、最初に勤務した事業所から申請が可能です。

受給対象の条件

キャリアアップ助成金を受給するには、対象条件を満たしている必要があります。民間企業をはじめ、公益法人や特定非営利活動法人など、あらゆる事業者が対象となるので条件を把握しておきましょう。

雇用保険適用事業所の事業主である

キャリアアップ助成金の受給対象条件として、「雇用保険適用事業所の事業主であること」は大前提です。事業主には、民間事業者のほか、公益法人、NPO法人などの特定非営利活動法人、医療法人、社会福祉法人などが含まれます。

キャリアアップ管理者を配置している事業主である

キャリアアップ助成金を受給する条件として、「雇用保険適用事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いている事業主であること」が求められます。

キャリアアップ管理者とは、キャリアアップ計画を遂行する代表者のことです。

受給資格の認定を受けた事業主である

キャリアアップ計画書(変更届)の作成にあたり、「管轄労働局長から受給資格を認められた事業者であること」も受給の条件となります。また、取り組み実施日の前日までにキャリアアップ計画書を提出していない場合、受給対象外となります。

労働条件などを明らかにしている事業主である

事業主は、キャリアアップ助成金の各コースにおける対象労働者の労働条件・勤務状況・賃金の支払い状況などを書面上で明らかにしておく必要があります。さらに、賃金の算出方法も明らかにしていることが受給条件です。

キャリアアップ計画の期間を守った事業主であること

キャリアアップ計画の期間内に、対象労働者のキャリアアップに取り組んだ事業主であることも受給対象の条件です。キャリアアップ計画を実施する際は、スケジュールや進行状況を常に把握できる社内環境を保ちましょう。

まとめ

キャリアアップ助成金を利用して、人材を育成する企業が増加しています。受給には多数の条件があるため、スケジュール管理には注意が必要です。

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