人事担当者が知っておきたい人事評価制度の助成金

(写真=Hyejin Kang/Shutterstock.com)

政府は、企業における生産性向上や労働者の確保をサポートするために、さまざまな助成金制度を整備しています。労働者の雇用環境整備関係の助成金は、その柱の一つです。人事評価制度に関しても「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」という制度が設けられています。

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の目的

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)における最大の目的は、企業の人材不足を解消させることです。

これからの企業が置かれる環境の変化において大きな課題となっているのが、少子高齢化に伴う労働人口の減少です。限られた人材で企業が継続的に成長するためには、従業員の生産性を上げることが重要です。人材確保等支援助成金は「定期昇給等のみによらない賃金制度を設けることを通じて、生産性の向上、賃金アップ及び離職率の低下を図る事業主に対して助成するもの」(厚生労働省ホームページより)です。

本助成金制度を活用することで、生産性の向上を実現させることは人手不足の解消につながることが期待できます。

人事評価改善等助成コースの支給対象になる事業主・労働者の条件

事業主の対象条件

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の支給対象となる事業主は、下記3つの条件をすべて満たす必要があります。

  1. 社会保険の要件を満たす場合社会保険適用事務所であり、要件を満たす労働者が社会保険の被保険者であること
  2. 新規創業や、計画時離職率算定期間の1年間に雇用保険被保険者が存在しないなどの事情により、計画時離職率が算定できない事業所でないこと
  3. 指定の助成金について受給している場合、最後の支給決定日の翌日から起算して3年間が経過している事業主であること

労働者の対象条件

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の支給対象となる労働者は、次の条件のすべてを満たす必要があります。

  1. 期間の定めなく雇用されている者、または一定の期間を定め雇用され、その雇用期間が反復継続され、事実上期間の定めなく雇用されている場合と同等と見なせる者
  2. 事業主に直接雇用される者であること。
  3. 雇用保険の被保険者(「短期雇用特例被保険者」及び「日雇労働被保険者」を除く。「高年齢被保険者」は含む)であること

引用・参考:助成金クラウド「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)は人事評価の整備で最大80万円支給(令和3年度より制度整備助成が廃止)」

人材確保等支援助成金における2つの助成金

人材確保等支援助成金には、「制度整備助成」(50万円)と「目標達成助成」(80万円)があります。

制度整備助成とは、事業主が、生産性向上のための能力評価を考慮した人事評価制度の整備と、2%以上の賃金アップを含んだ賃金制度を整備して、実行した場合に支給されます。

目標達成助成とは、事業主が制度整備助成の内容を満たし、人事評価制度整備改革の認定申請を済ませてから3年経過後に人事評価制度などを継続して実行し、生産性の向上、労働者の賃金2%以上のアップ、離職率の低下についての目標をすべて達成した場合に支給されるものです。

人事評価改善等助成コースを利用するメリット・デメリット

人事評価改善等助成コースを活用するメリットは、賃金制度を設けることを通じて、生産性の向上や賃金に不満を抱える労働者の離職防止などに役立つ点です。ただ、デメリットとしては、一時的には助成金で補助されますが、その後増加した人件費の負担を続ける必要があるため、労働コストが上昇する点があるでしょう。

人事評価改善等助成コースの支給申請に必要な書類

人事評価改善等助成コースの支給申請に必要な書類は「人事評価制度の認定のための行動計画申請の書類」「助成金申請のための書類」の2つに大きく分けられます。

行動計画の申請には、人事評価制度等整備計画(変更)書、整備する人事評価制度等の概要票、事業所確認票など全11種類の書類が必要とされます。また、助成金申請のための書類については、制度整備女性については令和3年度に廃止されており、目標達成助成については11種類の書類が必要とされます。

人材確保等支援助成金支給までの流れ

人材確保等支援助成金の制度整備助成を受けるためには、事業主は5つのステップを経る必要があります(以下、厚生労働省都道府県労働局ハローワーク「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)のご案内」より引用)。

①人事評価制度等整備計画の作成・提出(計画の認定申請)
②認定を受けた①の整備計画に基づく人事評価制度の整備
③人事評価制度等の実施
④制度整備助成金の支給申請
(提出期限:2%以上の賃金がアップするものとして整備した
 人事評価制度等に基づく賃金が最初に支払われた日の翌日から
 起算して2か月以内)
⑤助成金の支給(50万円)

目標達成助成の助成金の支給申請には、次の3つの要件を満たす必要があります。

(1)「制度整備助成」の措置を実施すること
(2)「生産性要件」を満たしていること
(3)離職率を目標値以上に低下させること

生産性要件とは、計画認定申請日の属する会計年度の前年度とその3年後の会計年度を比べて「生産性」が6%以上伸びていることです。また、「生産性」とは、付加価値(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)を雇用保険被保険者数で除した割合になります。

人事評価制度を生産性向上に活用する

人材確保等支援助成金の支給を受けるためには、生産性を向上させ人事評価制度の整備と賃金制度の構築が必要です。さらに3年後の「目標達成助成」の支給要件には、生産性が6%以上伸びていることや賃金アップ、離職率低下などがあります。生産性を向上させて追加的な助成を受けるためには、一過性のものではなく継続的な取り組みが重要です。

人手不足解消や従業員のモチベーションアップには、公正な人事評価制度の整備が効果的です。本助成金を活用することは人事評価制度の円滑な導入につながり、結果として生産性の向上にも寄与するでしょう。

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