後継者にとって大事なことは「人事評価」の仕組みづくり

(写真=Jirsak/Shutterstock.com)

人材不足や後継者不在が現在、企業にとって深刻な問題となっています。厚生労働省が公表した2017年8月の有効求人倍率は1.52倍。中小企業白書によると、後継者不在で廃業した中小企業は毎年7万社に上っています。

今、まさに企業にとって重点的に取り組むべき経営課題は、人材や後継者の育成・確保なのです。企業が将来にわたって継続的、安定的に成長するために迫られている抜本的な解決策として、効果的なのが適切な「人事評価」制度の導入です。その具体的な内容や効果のほか、中小企業の事業承継問題にも触れてみます。

高齢化が進む中小企業の経営者に事業承継は深刻な問題

近年、国内企業の9割を占める中小企業で、経営者の高齢化が進んでいます。人材や後継者不足に悩む経営者が増え、すでに後継者が決まっている企業の割合は約41.6%(2017年版中小企業白書)でしかないのです。

事態は予想以上に深刻で、中小企業経営者の5人に1人が70歳以上で、75万人超となっています。経営者の平均年齢は約61歳で、高齢化に歯止めはかかりそうにありません。このまま少子高齢化が進むと、ますます経営者の平均年齢は上がりそうです。

中小企業で70歳代の経営者のうち、約半数は後継者が不在。ますます廃業や休業に追い込まれる恐れがあります。事業承継にも、人材不足や後継者の育成が進まず、事業を継がせる子どもが不在、または子どもがいても継ぐ気がないなど、困難な問題が横たわっています。

後継者や事業承継は経営の安定化に必須の要素

大企業とは異なり、組織的な経営を行えていない中小企業では、残念ながらワンマン経営となっているところが多く見られます。しかし、経営者が交代した場合には、経営の安定化、事業が継続するシステムづくりが必要です。後継者不在なら、企業は廃業や最悪のケースでは倒産という憂き目に遭うからです。

ところが、中小企業では明確な人事評価制度すら採用されていないことが少なくありません。特に、小規模企業では経営はトップに委ねられ、システム化できていないのが実情です。

優秀な人材の流出や後継者不在は、事業承継という意味でも中小企業にとっては大きな痛手です。「年功序列」や「終身雇用」という日本型の雇用システムが崩れ、売り手市場という雇用状況が続く中、適切な人事評価制度は不可欠といえます。

適切な人事評価制度が人材や管理職、後継者を育てる!

中小企業では経営者の高齢化に伴い、後継者の育成や事業承継を考えておくことが大切です。これはいつか必ず起きる問題で、突然起こるかもしれません。今から準備しておく重要性が分かるはずです。

従来の人事評価は、目前の成果のみでマネージメントし、行動目標の設定もありませんでした。また、任意で評価シートを用いず、評価基準も曖昧で、給料などに反映されない。これでは、人事のシステムはあるが機能はしていないも同じでした。特に、この傾向は中小企業に顕著と思われます。

分かりやすく公平な評価基準や報酬体系がなかったことも共通点です。努力や貢献度に対して正当な評価を受け、報酬に反映されない社員は、やりがいを失い企業の生産性は向上しません。最終的には、優秀な人材の流出まで招いてしまうかもしれません。

判断基準が形骸化したものだと5段階評価の3が多数を占め、能力のある社員と、そうでない社員の間に差が付きません。これでは事実上、従来の年功序列型と変わらないわけです。仮に、優劣の差が付く評価基準であっても、社員の双方が納得できるものでないと意味がありません。

これからの人事評価は、成果を出すためのプロセスや目標設定を行い、相対評価ではなく絶対評価を取り入れて、社員の生産性の向上を目指すことが求められます。そのために適切な評価シートを用いて人材や管理職、後継者を育成し、給料にも反映させることで社員の貢献度を評価し、離職率を下げることが重要となります。

近年、AI(人工知能)やインターネットを利用したIT技術の向上には目を見張るものがあります。人事評価クラウドの進歩も著しく、自動的に期日管理や目標管理をはじめ、中間レビュー、評価、フィードバックを点数化する仕組みもあります。低コストで利用しやすい人事評価システムに注目が集まり、仕組みづくりや導入へのハードルはかなり低くなっています。

経営の安定化には後継者育成と事業承継は避けて通れない

経営の安定化には、経営者としての資質がある後継者の育成と事業承継が欠かせません。先送りせずに、今から取り組んでも遅すぎることはありません。後継者候補は、親族はもちろんのこと、広く優秀な従業員や第三者などからも検討する必要があります。社内外の関係者から理解を得れば、後継者へのバトンタッチもスムーズに進みます。

適切な人事評価の仕組みづくりは、従業員のモチベーションや企業の生産性を大きく左右します。にもかかわらず、制度の見直しが不十分な中小企業は意外に多いようです。事業承継の場合だと、事業の特性に合わせた新しい人事制度も必要です。いつ訪れるか分からない事業継承に備え、今から後継者にとって大切な人事評価制度の見直しや導入を考える時期が訪れています。

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