人事評価制度のない会社が“ブラック”認定される

(写真=iDin/Shutterstock.com)

厚生労働省は2015年5月18日から、いわゆるブラック企業とみなされる会社の社名の公表を決定しました。対象は社会的に影響力のある大企業のみですが、従業員の労働環境に配慮しない企業に対する社会全体の目線が厳しくなっていることは間違いないでしょう。

「ブラック」とみなされてしまう可能性のある企業には、どのような特徴があるのでしょうか。

人材流出やブラック認定の原因は人事評価制度の不備

ブラック企業とみなされる要因は長時間労働や未払賃金が代表例ですが、根本にあるのは人事評価制度の不在です。離職率が高く、ブラックとみなされやすい企業には、公平でわかりやすい評価基準・報酬体系がないという共通点があります。

厚生労働省の「雇用動向調査結果の概況」(2015年)によると、転職入職者が前職を辞めた理由は「労働条件が悪かった」と「給料が少なかった」が最も高くなっています。特に40代前半の働き盛りにおいては、能力や個性を企業が評価してくれないことによる不満が目立ちます。

労働時間が長く高い成果を求められる仕事はたくさんありますが、すべてがブラックというわけではありません。社員が正当な評価が受けられ自身の成長につながると感じることができれば「やりがいのある会社」になり、努力や貢献度に対して正しい評価がない場合は「ブラックな会社」とみなされます。人事評価制度がないとブラック予備軍になるだけでなく、優秀な人材の流出を招き、労働環境が悪化して生産性を低下させます。

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こんな人事評価制度は逆効果

時代の流れを受けて、多くの大企業では成果主義を取り入れましたが、表面的な改革に止まったところが少なくありません。よくある例として、労働の質を評価する制度を取り入れたものの、5段階評価の3が多くを占め、実質的には年功賃金と変わらないというケースが挙げられます。人間は工業製品ではないので、労働の質がまったく変わらないということはありません。社員それぞれで差がつく評価基準を作らないことには、人事評価制度は形骸化してしまいます。

また、差がつく評価基準があったとしても、社員の納得のいくものでなくては意味がありません。典型的なのが「情意考課(じょういこうか)」を重視しすぎるケースです。規律性・積極性・協調性・責任感に注目した情意考課を基準とすること自体は問題ありませんが、偏り過ぎると上司や経営者の主観によって評価が左右されてしまうことになりかねません。中学高校時代に、体育や美術といった副教科の成績が、記録や成果物ではなく授業態度で決められた思い出がある人もいるのではないでしょうか。

大企業ではさまざまな人事評価制度が試行錯誤されていますが、中小企業では明確な制度が存在すらしていないところも少なくありません。規模の小さい組織では、システムではなくトップとその周辺の気まぐれによりルールが決まりがちです。しかし、就職戦線の売り手市場が続く中、人材流出は中小企業にとって大きな痛手となります。社員が安心して働ける人事評価制度は、中小企業にとっても不可欠です。

あるべき人事評価制度の姿とは

かつて日本型雇用においては、人事評価制度は必要ありませんでした。年功序列による終身雇用制度では、年齢や勤続年数などわかりやすい項目に基づいて評価をすれば済みます。しかし日本型雇用が崩れた今、社員の能力や成果を正しく測る仕組みが求められています。

これからの人事評価制度において大切なのは、以下の4つです。

・ 労使が納得できる基準であること
・ 成果だけでなく行動特性にも注目すること
・ 評価内容が「見える化」されていること
・ 評価が報酬に反映されること

評価基準が社員に納得できるものであることが何よりも大切です。そのためには、会社にとって都合のいい業績の数値目標だけでなく、専門やポジションに応じた行動特性も基準に加える必要があります。論理的思考能力や親密性など、目に見えないものの重要度の高い行動特性をみることで、結果だけでなくプロセスも評価されることになり、社員の満足度が上がります。

そして、「見える化」されていることも重要です。なぜこの評価結果になったのか、具体的に説明できない人事評価制度は信用されません。そのようにして出された評価結果が、褒めるだけでなく報酬につながっていることも重要です。

細やかで公平な人事評価制度は社員の生産性を高め退職者を減らすメリットがありますが、管理や運用が大変というデメリットがあります。しかし最近ではIT技術の向上により人事システムは低コストで高機能になっており、セキュリティも向上しているので、導入のハードルはかなり低くなってきています。中には、100万円を上限に政府によるIT導入支援の補助金が適用されるサービスもあります。この状況は、人事評価制度の在り方を考え直すチャンスなのではないでしょうか。

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