マンダラートの効果とは？作成方法や具体例をわかりやすく解説

マンダラートは目標達成や課題解決に向けて考えをまとめるツールとして、ビジネスや教育現場などさまざまな場面で活用されています。メインテーマを決めた後に広い視野でアイデアを深めていけるのが特徴です。

紙と鉛筆があれば簡単に取り組むことができますが、最近ではマンダラートアプリも登場しています。この記事ではマンダラートの活用例を交えながら、マンダラートの作り方や効果について解説します。

マンダラートとは？

マンダラートとは、正方形のマス目の中に目標やテーマを書き込んでアイデアや思考を発展させていく思考ツールです。

81個の正方形が幾何学的模様に映り、曼荼羅に描かれた仏像の配置にも似ていることから、曼荼羅とアートを組み合わせてマンダラートと名付けられました。マトリックスとの違いや、マンダラートが考案された背景についても紹介します。

マンダラートが考案された背景

マンダラートはデザイナーである今泉浩晃氏によって、「人間社会のあらゆる問題は、デザインの手法で解決できる」という独特の価値観のもとで考案されました。

グラフィックデザインから商品・経営のデザインへと発想の幅を広げ、思考をデザインする中で「人間の存在は？」という考えに到達しました。その結果、自分を考えるとは生きることだという発想にたどり着き、マンダラートが誕生したのです。

マンダラートとマトリックス法の違い

マンダラートに似た思考ツールとして「マトリックス法」があります。マス目にアイデアや発想を埋めていく点は共通していますが、思考の展開方法は異なります。

マンダラートでは中心のマス目にメインテーマを入れて、8つの発想を自由に展開していきます。一方、マトリックス法では縦軸と横軸に同じ数だけ変数を記入し、変数ごと洗い出した要素を組み合わせて現状を分析したり新たな発想につなげたりするのが特徴です。

マトリックスでは9マスを基本としているのに対し、マトリックス法ではテーマによってマス目（変数）の数が変動する場合があります。

マンダラートで得られる効果

マンダラートはシンプルで使いやすいため、短時間で思考を整理した上で目標や課題を見える化できます。マンダラートで得られる効果を具体的に確認してみましょう。

達成したい目標が明確になる

マンダラートでは中心のマス目に達成したい目標を書き込んだ上で、全体のつながりを確認しながら目標を達成するために必要な課題について細かく分析していきます。

マクロ・ミクロ両方の視点を加えて、新たな課題やアイデアにつなげることも可能です。課題を整理していくうちに、達成したい目標が明確になります。

目標達成までのプロセスを可視化できる

マンダラートでは数多くの課題を書き出していくため、考えるだけでは気づかなかった行動や問題点が明確になり、目標を達成するために必要なプロセスの見える化につなげられます。自分の取るべき行動も明確化されるため、関係者に自分の考えを伝えることで必要なサポートも得やすくなるでしょう。

思考や情報を整理できる

目標や課題を書き出す作業を通じて思考や情報が整理されていくのも、マンダラートで得られる効果の一つです。マスの数は81個と限られているため、目標によっては課題の取捨選択が発生します。目標への理解が深まると同時に、行動の変革にもつなげられるでしょう。その結果、漠然とした夢が自分の目標に変化させられるかもしれません。

短時間でアイデアを引き出せる

マンダラートは81個のマス目を強制的に埋めていく思考ツールなので、短時間で多くのアイデアを引き出すには効果的です。多くのアイデアを絞り出す中で、普段思いつかないアイデアにたどり着いたり潜在能力に気づいたりする可能性もあります。

マンダラートの具体例

メジャーリーグでも投手と打者の二刀流で活躍を続けている大谷翔平選手は、高校1年生の時にマンダラートを活用して 「ドラフト1位で8球団から指名される」 という目標を具体化し、プロ野球選手という夢を叶えたことで知られています。

当時所属していた花巻東高校の野球部の監督が、指導の中に目標達成用紙を取り入れたのが大谷選手とマンダラートとの出会いです。大谷選手がどのように目標達成用紙を活用したのかを、マンダラートの具体例として紹介します。

大谷翔平選手が実際に使った目標達成用紙

大谷選手はマンダラートの中心に「ドラフト1位8球団」という夢を掲げ、夢を叶えるために必要な、人間性・体づくりや「スピード160km」など8つのテーマを設定しました。

さらに、8つのテーマを元に新たなマンダラートを作成して、夢を叶えるために必要な行動をすべて「見える化」したのです。

マンダラートの作成にあたり、大谷選手は今の自分よりも少しだけ高い目標を具体的に書くように意識していました。

いきなり大きな目標を達成するのは難しいですが、具体化した行動を積み重ねていくことで目標を見失わずに夢へと邁進していけるという例です。大谷選手が当時使っていた目標達成用紙を例にしながら、マンダラートの作り方を考えてみてはいかがでしょうか。

大谷を怪物にした花巻東高校の「目標達成用紙」

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マンダラートの作成方法

マンダラートでは、縦横3マス（計9マス）の表を使います。手書き・パソコン・アプリなど自分に合った方法でマンダラートを作りましょう。

自分が一番達成したい目標を決めてから取るべき行動を具体化していくとスムーズです。マンダラートの作成方法を、順序立てて説明します。

自分にとって一番の目標を決める

最初に、自分にとって一番の目標をマンダラートの中央に記入します。漠然とした内容でも問題ありませんが、マンダラートのメインテーマとなるため、最終的なゴールを意識しながら目標を決めるようにしましょう。

目標を達成するために取るべき行動を具体化する

自分にとって一番の目標を決めたら、残りの8マスに自分が取るべき行動を小テーマとして具体的に記入します。考えた行動に正解・不正解はないので、自分の考えを率直に書くことが大切です。8個以上のアイデアが浮かんだ場合は、自分の希望や強み・弱みを考えながら書く内容を取捨選択します。

行動に取り組む姿勢を明らかにする

小テーマを中心とした新たな表を作成した上で、行動に取り組む姿勢を明らかにします。例えば小テーマが「人間性」であれば他人に思いやりを持って接する、あるいは信頼される人間と言われるよう誠実に対応するというように、行動を深掘りしていきます。

似たような内容・表現がないかどうかもチェックするようにしましょう。81マスすべてが埋まれば、マンダラートの完成です。

マンダラートに書いた内容を1個ずつクリアする

自分が取り組みやすいものから、マンダラートに書いた内容を1個ずつクリアしていきましょう。行動に取り組む姿勢を整えてから小テーマの達成を目指せば、自分にとって一番の目標にスムーズに近づけます。難しい課題に直面したとしても、周囲のサポートを受けながら解決を目指すことが大切です。

マンダラート作成のポイント

マンダラートを作成する際のポイントも、あらかじめ確認しておきましょう。

目標を設定する意味を理解する

マンダラートに書いた内容をクリアするモチベーションを保つには、目標を設定する意味を理解しておくことが大切です。目標を立てていなければ行動の理由も不明確な状態となり、自分の成長につながりません。自分が取り組む行動を明確化するためにも、目標は必ず設定しましょう。

必ず81マスを埋める

マンダラートを作成するときは、必ず81マスすべてを埋めるように意識するようにしましょう。81マスが埋まらなければ目標や行動について考え抜いたことにはならないからです。

すぐにマンダラートに書く内容が思いつかない場合は一旦放置して、別のテーマのマンダラートを作成してもかまいません。別の視点から考えをめぐらすことで、新たなアイデアが浮かぶかもしれません。

どうしてもマスが埋まらない場合はテーマを見直す

どうしてもマスが埋まらない場合は、マンダラートの中心に書いたテーマを見直すのも一つの方法です。物事を深掘りする中で袋小路にはまり込む場合や、そもそも深掘りできないテーマが設定されてしまうことも考えられます。

書いたテーマの表現を変えるとアイデアが浮かぶ場合もありますが、どうしても81マス埋めるのが難しい場合は、小テーマの決め方が妥当かどうかやメインテーマの実現に無理がないかどうかなどを見直してみましょう。

目標達成やアイデア創出にマンダラートを活用しよう

マンダラートを作成することで、自分が達成したい目標や取るべき行動が明確化されます。目標達成へのプロセスも見える化されるため、頭の中で考えるだけでは気づかなかったアイデアが浮かんだり潜在能力に気づいたりする可能性もあります。

自分が取り組みやすいことからマンダラートに書いて内容をクリアしていくことが大切です。周囲のサポートを受けても問題ありません。より多くのアイデアを出しながら目標達成に取り組めるよう、マンダラートを効果的に活用しましょう。