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定年退職とは?人事担当が抑えるべき規則と社内手続き

(画像=elkor/iStock)

定年退職は就業規則で決められた年齢を超えた場合に、従業員との雇用契約が解除となる仕組みのことを指します。

従業員を雇用していれば、定年退職を迎えるタイミングも訪れるので、あらかじめ基本的な仕組みを把握しておくことが大切です。関係する法律や規則、必要となる手続きについて理解しておきましょう。

この記事では、定年退職の制度改正や歴史、定められた手続きについて詳しく解説していきます。

定年退職とは?

定年退職とは、就業規則などによって定年制を設けている企業が、一定の年齢に達した従業員を退職させる仕組みです。

かつては60歳での定年が一般的でしたが、2013年に高年齢者雇用安定法が改正されたことによって、企業側は従業員を再雇用するか定年の年齢を引き上げる流れが生まれました。

定年退職の対象となる従業員がどの程度いるのかによって、採用計画にも影響を与えるため慎重に判断していく必要があります。

さらに、従業員ひとりひとりのライフスタイルも異なるので、面談などを通じてきちんとコミュニケーションを取らなければいけません。

定年退職による退職日は一律に決められているものではなく、誕生月の賃金の締め日・定年を迎える年度末・誕生日当日・誕生日に達した月の月末など、企業によって取り扱いは異なってきます。

定年まで勤務した従業員は、長年の経験やスキルを蓄積しているため、再雇用を検討したり、定年する年齢を引き上げたりすることも事前に考えておく必要があります。

従業員本人の希望も踏まえて、自社にとって適した判断を下していくことが重要です。

従業員側の視点で見れば、年金の受給開始年齢まで働くことを希望する人も多いので、国の制度や法律に沿った形で働きやすい環境を整えましょう。

少子高齢化や人口減少の流れのなかにあって、労働力の不足はどの業種においても起こり得ることだといえます。

必要な人材を安定的に確保するという意味でも、定年退職を迎えた人材を積極的に活用していくことも1つの選択肢なのです。

65歳定年制について

「高年齢者雇用安定法」は高年齢者の雇用を安定させるため、前身となる法律が1971年に制定されました。

そして、急速に進む少子高齢化の流れに対応するため、高年齢者の就労機会を増やすことを目的として2013年に法律が改正されました。

厚生年金の支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたことが背景にあり、それまでの法律では対応できない部分が生じてしまったのです。

当時は多くの企業が60歳を定年としていたため、60歳を超えてからの継続雇用が認められなかった場合には、生活に大きな影響が出てしまう人もいました。

年金受給開始年齢となる65歳までの5年間は無収入となってしまう人に対応するため、年金が支給されるまでの間の雇用確保が課題となっていたのです。

そして、高年齢者雇用安定法の改正によって、定年後も希望者全員の再雇用を企業側に義務付けることが盛り込まれました。定年の年齢を引き上げるか、定年制度そのものを撤廃するかの対応を企業側は求められています。

ただ、勤務態度に問題があったり、心身の状態から勤務継続が困難と認められたりする場合には、継続雇用をしないといった選択も可能です。

継続雇用を行わない場合には客観的・合理的な理由が求められ、社会通念上において相当であると判断される点に注意しておきましょう。

そして、高年齢者の継続雇用制度は法改正によってグループ企業にまで拡大されており、勧告に従わない企業は企業名を公表できることも盛り込まれています。

定年を引き上げるメリット・デメリット

定年を引き上げることには、従業員・企業側にメリット・デメリットが存在します。 それぞれどの様な事があるか見ていきましょう。

定年を引き上げるメリット

定年を引き上げることは従業員にとってメリットがあるだけでなく、企業側にとってもメリットが存在します。

企業側からすれば、優秀な人材を長く会社に留まらせておけることは、事業活動においてプラス要素となります。長年の勤務経験で培われた専門知識は、ほかの従業員の人材育成にも役立つはずです。

また、経営理念や事業方針をきちんと理解しているため、心身が健康で勤務態度に問題がなければ、企業側にとっては戦力となり得ます。

少子高齢化や人口減少が進んでいくなかにあっては、新たな人材を確保するために多くの労力や時間を必要とするものです。

定年退職を控えた高年齢者を再雇用したり、定年年齢を引き上げたりすることで、安定的な人材の確保につなげてみましょう。

また、定年延長の影響は高年齢者だけでなく、若手社員にも良い効果をもたらす場合もあります。「長く安心して働ける職場環境」をアピールでき、新卒者の採用活動を行う際に自社の魅力の1つとして打ち出していけます。

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定年を引き上げるデメリット

定年の延長によって、少なからずデメリットも生じます。

例えば、高齢になったベテラン社員が退職しないことで、組織そのものが高齢化してしまうという点があげられます。

長い勤務経験のある社員は専門知識を生かすことで活躍してくれるものの、長期的な視点で捉えれば若い世代の社員に世代交代ができないデメリットもあるのです。

そして、定年を引き上げた期間分だけ企業側は人件費を負担することになる点にも注意が必要だといえます。

希望者全員を再雇用する必要があるので、人材を選ぶことができないのもデメリットとなります。そして、退職金は勤務年数によって算出されるため、将来的な負担が重くなってしまうということも考えられるでしょう。

賃金の水準や退職金の支給時期なども含めて、定年の引き上げを捉えていくことが大切です。

高年齢者雇用安定法では、「定年制自体を撤廃」「65歳まで定年を引き上げる」「再雇用制度の導入」が義務付けられており、2025年までの移行期間が設けられています。

法律では希望者全員を対象とすることが定められていますが、従業員側と雇用条件が折り合わなかった場合には法律違反とはなりません。

従業員が定年退職を迎えるタイミングはあらかじめ把握できるものなので、事前にしっかりと準備を整えて、労使双方が納得いく形で自社に合った定年制度の仕組みを整えてみましょう。

人事担当者が取るべき手続き

従業員が定年退職を迎えるときには、人事担当者が行うべき手続きは多くあります。

退職をしてから書類の提出や物品の返還を求めるのは双方にとって手間が生じてしまうため、どのような手続きが必要となるのかを把握しておきましょう。

健康保険・厚生年金保険の資格喪失手続き

まず、「健康保険・厚生年金保険の資格喪失手続き」を行う必要があります。

退職日の翌日を起点とした資格喪失日から5日以内に、管轄する年金事務所もしくは健康保険組合に届出を行わなければなりません。

健康保険が協会けんぽの場合は、年金事務所のみに届出を行います。

定年退職者からは扶養者分も含めた健康保険被保険者証を回収して、資格喪失届の提出時に返却します。

雇用保険の資格喪失手続き

「雇用保険の資格喪失手続き」では、管轄のハローワークに雇用保険被保険者資格喪失届を提出します。

退職日の翌日から数えて10日以内に届出を行う必要があるので注意しておきましょう。

また、本人の希望の有無にかかわらず、退職者が59歳以上の場合には雇用保険被保険者離職証明書(離職票)の発行手続きも必要となります。

ハローワークでの手続きが完了すると、事業主通知用・被保険者通知用の雇用保険被保険者資格喪失確認通知書、雇用保険被保険者離職証明書(事業主控)、雇用保険被保険者離職票-1(本人用)、雇用保険被保険者離職票-2が発行されます。

住民税の手続き

「住民税の手続き」については、給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書を従業員が退職した翌月の10日までに、自治体に提出する必要があるのです。

住民税の徴収額と未徴収残額がどの程度あるのかを把握したうえで、残額の納付方法などを用紙に記載します。

退職日が1月1日~4月30日の間となる場合には、退職時の一括徴収が義務付けられているので気をつけておきましょう。

そして、各種保険や住民税に関する手続きのほかにも、源泉徴収票を作成して本人に渡し、税務署に提出する必要があります。

また、定年退職者が使用していたメールアカウントや社内システムへのアクセス権を停止しておく必要もあるのです。

取引先とのやりとりを行う必要があるときには、一定の期限を設けてアカウントを残した後に停止するなど、柔軟な対応をとると良いでしょう。

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