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モラルハラスメント(モラハラ)とは?人事担当が知るべきリスクと対策

(画像=MachineHeadz/iStock)

「モラルハラスメント」は精神的な苦痛を相手に与えることを目的とした行為であり、職場だけに限らず、家庭や交友関係においても起こり得るものです。

具体的には相手からの嫌がらせやいじめといったものですが、加害者・被害者の双方の認識の違いで引き起こされている場合もあります。

今回は、パワーハラスメントとの違いや具体的な事例を見ていくことによって、人事担当者が押さえるべきモラハラのリスクと対策について解説します。

モラルハラスメント(モラハラ)意味は?

モラルハラスメント(Moral harassment)は、倫理や道徳を意味する「モラル」と嫌がらせを意味する「ハラスメント」からできている言葉です。

職場や家庭などにおいて、倫理や道徳に反した嫌がらせ行為全般をモラルハラスメントと呼んでおり、単にモラハラと省略されることもあります。

具体的には相手のことを無視したり、暴言を吐いたりする行為であり、人間関係が悪化する原因として社会的に認知されているものです。

ただ、モラハラの被害を受けている人自身が、「自分が悪いのかもしれない」と思い込んでしまうこともあるため、モラハラの疑いがあるときには身近な人や専門家に相談することが重要だといえます。

職場においては、従業員がモラハラ被害を受けたときには人事担当者が対応する場合も多いため、適切な対処方法を身につけておく必要があります。

イルゴイエンヌが定義した「モラハラ」

フランスの精神科医であるイルゴイエンヌの著書『モラルハラスメント』によれば、言葉や態度によって人の心を巧妙に傷つける精神的な暴力としてモラルハラスメントは定義されています。

「家庭や職場で日常的に行なわれる、この見えない暴力は相手の精神状態を不安定なものにし、ひどい場合は自殺に追いこむという」といった記述にも見られるように、モラハラが与える社会的な影響について提唱されているのです。

著書ではモラハラの定義や具体例、対処方法などについて言及されています。日本だけでなく、海外においてもモラハラがもたらす影響が問題となっており、様々な価値観や立場の人が集まる職場において課題となる部分が取り上げられています。

パワーハラスメント」と「モラルハラスメント」の違いは?

モラルハラスメントとよく比較される概念として、パワーハラスメントがあげられます。両者は重なる部分もありますが、明確に定義が異なるところもあります。パワハラとモラハラの違いについて、ここでは詳しく見ていきましょう。

パワーハラスメント(パワハラ)とは?

パワーハラスメントはパワハラとも呼ばれるものであり、職場の人間関係のみに限定されるためモラハラとは異なります。

厚生労働省が2012年に取りまとめた「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」によれば、次のように定義されています。

同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為

引用: 職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言取りまとめ

この様に位置付けられている点を押さえておきましょう。

上司や部下といった立場だけに限定されるものではなく、職場内での優位性に基づいた行為であり、業務上の適正な範囲を超えているものがパワハラに該当します。

モラハラとパワハラの違い

パワハラは判例などに基づいて、6種類に分類されています。

具体的には、

身体的な攻撃(暴行・傷害)・精神的な攻撃(脅迫・侮辱)・人間関係からの切り離し・過大な要求(遂行不可能な業務の強制)・過少な要求(能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を与える)・個の侵害(私的なことに過度に立ち入る)

といった点が挙げられています。

パワハラは職務上の嫌がらせ行為を指すのに対して、モラハラは倫理や道徳を逸脱した行為全般を指します。そのため、モラハラの場合は職場における行為だけに限定されるものではなく、家庭や交友関係などにおいても当てはまるのです。

夫婦関係や親子関係、友人関係といったものにまで影響が及ぶ場合に、モラハラとして定義づけられる点を押さえておきましょう。

人事担当が知っておくべきモラハラの原因

モラハラが蔓延してしまうのを防ぐためには、職場において起こってしまう背景を把握しておく必要があります。

就労形態の多様化や年功序列制度の崩壊による人間関係の希薄化といった職場における状況の変化が影響している側面もあるのです。

また、成果主義による競争の激化も、普段の職務におけるプレッシャーやストレスを生み出す原因になっていると言えるでしょう。

管理職や正社員としての立場で仕事をしている人たちに精神的な余裕がないことで、立場の弱い人間に対するハラスメントが起こってしまう可能性もあります。

人事担当者としては、自社の現状を踏まえたうえで必要な予防策を講じ、相談窓口を設けるなどして対処していく必要があります。

人事担当が知っておくべきモラハラのリスク

モラハラが引き起こされてしまうと、被害者・加害者の双方に少なからず悪い影響が出てしまいます。

また、職場全体の雰囲気も悪くなってしまうことで、生産性の低下といった問題も発生してしまうでしょう。

ここでは、被害者・加害者・職場全体に分けて、それぞれ被るリスクについて見ていきます。

被害者

モラハラを受けることによって、被害者が受けるリスクとしては生産性・業務効率の低下があげられます。

日常的に暴言を吐かれたり、過度な業務を押し付けられたりすることによって、仕事に対するモチベーションそのものが低下してしまうからです。

モラハラに関する悩みを同僚や上司に相談しようとしても、人間関係に問題を抱えてしまっている場合には、身近に相談できる場所がないといったことも考えられます。

場合によっては、うつ病を発症してしまうといった事態も招いてしまいます。従業員が所属する部署以外で、第三者に相談できる窓口を設けておくことが重要だと言えるでしょう。

加害者

また、モラハラは加害者側にもリスクが生じてしまうものです。

実際にモラハラを行っている従業員も、別の立場の人間からモラハラ被害を受けているケースもあります。

人事担当者としては、当事者だけの出来事として捉えるのではなく、部署や会社全体で構造的な問題がないかを精査する必要があります。

また、モラハラの加害者が被害者から訴訟を起こされるリスクもあるため、問題の早期発見が何よりも大事だと言えます。

職場全体

モラハラが蔓延してしまっている職場においては、職場全体の士気が低下してしまうことも珍しくありません。

実際にモラハラの被害に遭っていない従業員も、そうした実態に敏感に反応してしまい、思うように業務が進められないということもあります。

また、職場環境の悪化によって、早期離職を招いてしまうといったリスクも考えられるのです。

人事担当が知っておくべきモラハラ対策

職場におけるモラハラ被害を防ぐためには、事前の対策を講じておくことが何よりも重要です。そこで、人事担当者が取るべき5つの対策について解説していきます。

社内相談窓口の設置

モラハラを実際に受けている従業員を救済し、実態の把握を行うためには「社内相談窓口の設置」が欠かせません。

社内に相談をする場所がなければ、被害に遭った従業員は問題を解消することができず、離職を招いてしまう恐れもあります。

他の部署とは独立させた形で、モラハラ被害に関する社内相談窓口を設けておくことは重要なのです。

相談者のプライバシーの保護

モラハラに関する相談をしてきた従業員に対して、「プライバシーの保護」を重視することは大切です。

プライバシーの保護が適切に守られていなければ、そもそも相談をしづらくなってしまうからです。

また、誰が相談を行ったかが周囲に漏れてしまうことで、被害者が二次的な被害を受けてしまう可能性もあります。

プライバシー保護に関するルールを定めて、遵守していくことが求められます。

公平な対応と処分

モラハラ被害の相談によって調査を行い、事実が判明した場合には「公平な対応と処分」を行う必要があります。

モラハラの加害者に対する注意だけでなく、関係者の配置換えなど先を見越した取り組みが必要だと言えるでしょう。

また、処分の公平性を高めるために、外部の専門家の協力を得ることも大切です。

社内研修や外部講師による教育

実際にモラハラ被害が発生してから対処するだけでなく、事前に「社内研修や外部講師による教育」を受ける機会を設けましょう。

モラハラを行っている従業員自身が、認識がなくモラハラを行っている場合もあるからです。

会社全体としてモラハラを抑制していく取り組みを示すことによって、未然に防いでいく姿勢を見せていくことが重要です。

未然に防ぐ職場作り

モラハラは実際に起こってからでは、問題の解決までに多くの労力と時間を必要としてしまうものです。

そのため、日常の業務においてモラハラが発生しづらい風土づくりを意識してみましょう。

経営陣や人事担当者だけでなく、各部署の意見も広く集めながら、自社に合った風土づくりを進めていくことが大切です。

幹部研修などにおいてもモラハラ被害を防ぐ取り組みを盛り込み、会社全体としての意識を高めていく必要があります。

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