ロックアウトとは?認められる条件や賃金の支払、事例を解説

(画像=taa22/iStock)

「ロックアウト」はストライキなどの労働争議に対して、会社側が事業所などを一時的に閉鎖して対抗する手段のことです。

良好な労使関係を築くことが企業活動においては重要であるものの、組織が大きくなれば多様な問題を抱えてしまうこともあります。

今回は、ロックアウトに関する基本的な捉え方や正当な労働争議の定義、具体的な事例などについて紹介します。

ロックアウトとは?

ロックアウト(LockOut)は、従業員側が起こす労働争議に対抗するための会社側の手段を意味しています。

会社側が従業員に対して仕事の提供を行わないことを指し、具体的には事業所や工場などを一時的に閉鎖して、従業員を職場から退出させます。

ロックアウトは一方的に認められるものではなく、あくまでも従業員による労働争議が行われていることが前提です。

労働争議によって労使関係のバランスが崩れ、会社側が著しく不利な状況に陥っている場合に認められます。

平常に事業活動を行っているときには意識する必要がないものの、労働争議の影響によって事業そのものに重大な支障が生じているときには、ロックアウトといった手段があることも押さえておきましょう。

ロックアウトの目的

ロックアウトを行う目的は、労使関係のバランスが崩れてしまった状態を是正して、1日も早く平常通りの事業活動を取り戻すことにあります。

労働争議を行っている従業員はあくまでも、自社の社員であることを忘れずに、労使関係の是正に努めることが大切です。

労働争議に対抗する手段としてロックアウトは認められているものの、必要以上な措置をとってしまえば、その後の事業活動にも大きな影響が出てしまいます。

最高裁判所は会社側がロックアウトを行う権利そのものは認めていますが、正当性については厳しい立場をとっているので、きちんと要件を満たしているのかを慎重に判断する必要があります。

労働争議とは?

「労働争議」は、従業員側と会社側の労使間で行われる争いのことを指しています。

労働関係調整法の定めによれば、「労働関係にある当事者間で主張が一致しない場合に、争議行為が発生している状態もしくは発生する状態」です。

争議行為とは、ストライキ・サボタージュ・ボイコットなどのことを指し、当事者が主張を通すことを目的として行う手段で、正常な業務の運営を阻むものが該当します。

労働争議は長引けば事業活動に悪影響を及ぼすことになり、労使双方にとって好ましくない状況を生み出してしまいがちです。

労使の話し合いによる解決が難しいときには、都道府県や厚生労働省に設置された「労働委員会」に意見調整を申し出るのも1つの方法だといえます。

ストライキとは?

「ストライキ」とは、同盟罷業とも呼ばれるもので、従業員側が業務を放棄することで、会社側に労働条件や労働環境の改善を求めることです。

法律によって労働者の権利として認められていますが、むやみにストライキを行うことはできません。

従業員側の要求の提示を、労働組合を通じて事前に行い、会社との話し合いの場を設ける必要があるのです。

従業員側の要求に対して回答期限を過ぎても会社側の回答がなかったり、交渉が決裂してしまったりしたときにはじめて、ストライキの正当性が認められます。

サボタージュとは?

「サボタージュ」は怠業ともいわれ、従業員が業務の質や量を意図的に低下させることを指します。

それによって、会社側に対して労働条件や労働環境の改善を促すことができます。

労働争議としての正当性がある場合には、労働者の権利として認められているのです。

サボタージュは労働をまったく行わないストライキとは異なり、労働そのものを拒否するわけではありません。

あくまでも、業務の質や量を低下させて、会社側に抗議をする手段だといえます。

ボイコットとは?

「ボイコット」は、自社が販売している製品やサービスを利用しないといった不買運動のことを指します。

従業員側が団結して不買運動を行うことで、会社側は売上の減少によって損失を被ります。

会社側に経済的な打撃を与えて、待遇改善を促す争議行為の1つであり、法律によって認められています。

ただ、あくまでも自社内におけるボイコットのみが正当なものであり、顧客や取引先に対してまで不買や取引停止を呼びかけることは違法行為となるのです。

「正当な労働争議」と認められる3つの条件

ロックアウトなどの労働争議は、法律の定めに則って行う必要があり、正当な労働争議として認められるためには3つの条件をクリアしなければなりません。

労働争議の正当性の有無は、刑事免責や民事免責などにもかかわってくるため、条件にあてはまっているのかを精査する必要があります。

1.労働組合側による争議行為による圧力が存在すること

1つ目の条件は「労働組合側による争議行為による圧力が存在すること」であり、従業員側が団結して労働条件などの改善を訴えていることが前提となります。

逆にいえば、労働組合からの要求の提示を受けていないにもかかわらず、ロックアウトを行うことはできません。

2. 使用者が著しい打撃を受けていること

2つ目の条件は「使用者が著しい打撃を受けていること」です。ストライキやサボタージュ、ボイコットといった争議行為は会社側に経済的な損失を与えることで、従業員側の要求を受け入れてもらう行為です。

そのため、会社側の損害が軽微である場合には、ロックアウトといった強い対抗手段をとることはできません。

3.労使間の勢力の均衡を回復するための防衛手段であること

そして、3つ目の条件としては「労使間の勢力の均衡を回復するための防衛手段であること」があげられます。

たとえば、従業員側のストライキによって会社が大きな損害を受けている場合には、労使関係のバランスを回復する対抗手段としてロックアウトが認められます。

しかし、会社側が損害を受けていないにもかかわらず、従業員を作業所や工場から締め出すことは認められません。

あくまでも、防衛のための手段であることに注意が必要です。

ロックアウトは従業員の争議行為を認め続けることによって、労使間のバランスがかえって崩れてしまい、会社側が著しく不利な状況に陥っている場合に正当性が認められます。

なお、労働争議が正当なものであるかは、会社側に立証責任がある点も押さえておきましょう。

ロックアウトの賃金カット

ロックアウトの実施に伴って、従業員の賃金をカットする場合には、正当性の有無が重要です。

正当性があると認められたときには、会社は従業員に対する賃金の支払い義務を免れます。

一方で、正当性が認められない場合には、労働契約上の賃金の支払い義務があり、休業手当についても支給しなければなりません。

たとえば、ストライキの発生が一部の工場に留まっているにもかかわらず、すべての工場を閉鎖した場合には、争議行為に関係がない残りの従業員に対する賃金の支払い義務が発生します。

ロックアウトの事例

ロックアウトについて理解を深めるためには、実際に起こった労働争議の事例にふれることも大切です。

それぞれの事例の概要と結果について、賃金発生の有無も含めて紹介します。

1.日本原子力研究所事件

1977年11月に東京高裁で判決が下された「日本原子力研究所事件」は、ロックアウトを行った会社側に賃金の支払い義務があることが認められた事例です。

ストライキを行った労働組合に対抗する手段として会社側はロックアウトを実施しましたが、ストライキが解除された後も21日間にわたってロックアウトを継続しました。

そのため、賃金カットの合理性が認められず、カットした分の賃金の支払いが会社側に求められました。

2.西日本新聞社事件

1965年11月に福岡高裁で判決が下された「西日本新聞社事件」は、ロックアウトによる賃金カットの正当性が争われた裁判です。

この事例では、会社側が行ったロックアウトの正当性が認められ、従業員側の賃金支払請求は棄却されました。

3.安威川生コンクリート事件

1995年2月に大阪地裁で判決が下された「安威川生コンクリート事件」は、ロックアウト中の賃金の支払いと従業員としての地位確認が争点となった裁判です。

この事例では、会社側のロックアウトは正当であることが認められ、ロックアウト期間中の賃金の支払義務は免除されました。

4.杉乃井ホテル事件

1989年12月に大分地裁で判決が下された「杉乃井ホテル事件」は、会社側が行ったロックアウトを違法として、賃金を請求された裁判です。

この事例では、ロックアウトに踏み切った時点で会社側が著しく不利な立場になっていなかったとして、従業員側の賃金請求権を認めています。

会社側が労働組合側との約束を守らず、解雇処分を連発するなどした結果、労働組合側の反発をあおることにつながったとされています。

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