ダイバーシティとは?インクルージョンとの違いや、推進手順、企業事例を紹介

ダイバーシティのイメージ画像

人事部の社員にとって、あらためて「ダイバーシティ」という言葉の意味が気になるのではないでしょうか。

ダイバーシティというワード自体はよく聞くけれども、正確な意味はわからない、推進手順もわからない、という方は実際のところ多いのかもしれません。
そこで今回は、ダイバーシティの正確な意味や推進手順、インクルージョンとの違いについて詳しく解説します。

最後にダイバーシティを推進して成功した企業の事例も紹介しますので、ダイバーシティについて理解を深めたい方は参考にしてください。

ダイバーシティとは

ダイバーシティには「多様な働き方」という意味があります。もともとは1990年代のアメリカにおいて、人種・信仰などを含むマイノリティー(少数派)に対し、差別のない処遇を実現するために広がった言葉です。

日本では「企業が女性を含む多様な人材を活用する」という意味で使われる機会が多いのではないでしょうか。
経済産業省はダイバーシティ経営について次のように定義しています。

「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」

「多様な人材」には人種・信仰以外にキャリア・経験・働き方が含まれ、「能力」には潜在的な能力・特性が含まれます。そのような多様性が生かされる環境によって自由な発想が生まれ、企業の競争力が強化されるという考え方がダイバーシティ経営です。

「ダイバーシティ経営の推進」

経済産業省

ダイバーシティとインクルージョンの違いとは

インクルージョンには「多様な人々が一体化している状態」という意味があります。ダイバーシティの「多様な働き方」を補完する形で生まれた言葉です。

ダイバーシティによって多様な働き方が実現しても、一体化している状態でなければ働きやすい環境とは言えないでしょう。働きづらい環境では従業員の離職率がアップするので、採用に伴うコストが膨らみます。

そのため日本では、「ダイバーシティ=ダイバーシティ&インクルージョン」として実質的に取り組んでいる企業が多くなっています。特に外資系企業は「ダイバーシティ&インクルージョン」を掲げて推進しているところも少なくありません。

ダイバーシティを推進する手順

企業はどのようにダイバーシティを推進すれば良いのでしょうか。具体的な手順について見ていきましょう。

推進チームをつくる

まずは経営者がダイバーシティの重要性を認識したうえで推進チームをつくることが重要です。経営者がプロジェクトリーダーに就任すれば、より推進力は強化されます。

推進チームが整った後、ホールディング会社・主要な関係会社があれば連携しつつ、各部門に対してダイバーシティの実践を促します。

KPIを設定する

KPIとは「重要業績評価指標」を意味します。つまり「企業の達成目標」です。ダイバーシティのKPIには、次のようなものがあります。

・女性管理職の割合を今後3年間で20%アップする
・高齢者の雇用割合を今後5年間で30%アップする
など

必要以上に複雑なKPIは避けて、具体的な数値で落とし込むのがポイントです。

KPIを設定すれば実現までのロードマップを描きやすくなるので、各部門も主体的に取り組みやすくなるでしょう。

働き方改革を進める

全社的にダイバーシティに取り組むには、多様な働き方に対応できる「働き方改革」も必要になります。たとえば次のような内容が考えられるでしょう。

・フレックスタイム制を導入して勤務時間に幅を持たせる
・リモートワークを導入して勤務場所の制約をなくす

日々の出社が難しい高齢者や育児・介護中の方でも、リモートワークによる在宅勤務制度を導入すれば働ける可能性があります。

そのような柔軟な働き方に対応するための改革が、ダイバーシティの推進ではポイントになります。

啓蒙活動を行うなど説明

自社の従業員ひとりひとりへの啓蒙活動も重要です。従業員の意識を変えることはインクルージョンの実現にも結び付きます。

他にも、従業員にダイバーシティが浸透することにより、「この会社はリモートワークでも働きやすい」「育児中は出勤日数を減らして対応してもらえる」など、仕事に対するモチベーションがアップする効果も考えられるでしょう。

ダイバーシティを推進する企業事例

ダイバーシティを推進し、成果を挙げている企業の実例を紹介します。経済産業省の「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれた2社の事例です。

日本ユニシス株式会社

東京都にある日本ユニシス株式会社は、クラウドやアウトソーシングのサービスビジネスなどを手がける会社です。ダイバーシティの推進によって従業員の多様性を高め、受け入れ、活かすことでイノベーションを加速させています。

具体的な成果として、以下それぞれの数値がアップしています。

・自主参加型プログラムの参加者数
・イノベーションを意識した社員割合
・チーム運営を実感する社員割合

他にもダイバーシティ経営の成果として、ビジネスの拡大や、注力領域の売上が伸びているようです。

大橋運輸株式会社

愛知県にある大橋運輸株式会社は、一般貨物自動車運送業を行っている会社です。ダイバーシティの推進によって職場環境が向上し、採用力が強化され、チームワークも良好になっています。

具体的な成果は以下です。

・事業の発展と拡大
・新しい人材の獲得

大橋運輸株式会社は、「中小企業だからこそダイバーシティが必要」という思いの下、ダイバーシティの推進に取り組まれてきました。

10年にわたるトライ&エラーの結果、環境整備によって社員のプロ意識が向上するだけでなく、業績拡大が実現している企業です。現在は中小企業におけるダイバーシティ経営の成功モデルとしても知られています。

「令和2年度新・ダイバーシティ経営企業100選」

経済産業省

ダイバーシティを推進して働きやすい会社を目指そう

本記事ではダイバーシティについて解説しました。

日本におけるダイバーシティは「企業が女性を含む多様な人材を活用する」という意味で使われる機会が多く、インクルージョンはダイバーシティを補完する形で生まれた言葉です。

ダイバーシティを推進するには、まず経営者が率先して取り組む必要があります。その後は次の流れで考えましょう。

・推進チームをつくる
・具体的なKPIを設定する
・働き方改革を進める
・啓蒙活動を行う

最後に実際の企業事例も紹介しましたので、ダイバーシティを推進して働きやすい会社を目指すために参考にしていただければと思います。

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