退職とは?退職の理由や優秀な社員の退職を防ぐ方法を解説

退職願のイメージ

企業の人事担当者であれば特によく耳にする「退職」という言葉ですが、正しい意味や退職の種類などご存知でしょうか。

人事担当者であれば退職手続きにあたることもありますし、いかにして優秀な人材の退職を防ぐかは大きな課題のひとつと言えます。

今回は、退職の定義、種類、退職理由、退職の手続き、退職を防ぐ対策など人事担当者が知っておきたい「退職」にまつわる内容をお伝えします。

退職とは

退職とは、勤めている職をやめることを意味します。
広義には労働者が死亡した場合を除く、すべての労働契約が終了する場合を指すでしょう。
狭義には、労働者の意思表示によって労働契約が終了するいわゆる依願退職(自己都合退職)のみを指すこともあります。

退職には、自己都合退職、会社都合退職、定年退職などその他契約の取り決めによる退職など3つに大別されます。

退職の3つ種類

大別される、退職の3つの種類について見てみましょう。

1.自己都合退職

自己都合退職は、労働者の意思表示によって労働契約を終了する退職方法です。
口頭による申し出も有効ですが、物証を残しておくために労働者は退職届で辞意を伝えます。
自己都合退職の理由としては、仕事の内容や職場の同僚に不満がある場合や、キャリアアップ、結婚・子育て、病気、介護のためなどさまざまです。

自己都合退職の場合、退職金を満額もらえないことが一般的でしょう。会社ごとの就業規則の定めにのっとります。
また、会社を退職した後に支給される失業保険については条件を満たしていれば対象となりますが、給付制限が設けられており、給付までに2ヵ月以上かかるので注意が必要です。

2.会社都合退職

会社都合退職とは、会社側から労働者側へ意思表示することによって労働契約を終了する退職方法です。労働者の同意によらず一方的に労働契約を終了させる解雇の場合も含みます。
解雇には、経営難による人員整理を目的とした整理解雇、労働者による不正などの処分にあたる懲戒解雇、会社の求める能力に見合わなかった場合などの普通解雇があります。

会社都合退職では、退職金は全額支給です。また、会社からの要請による退職のため、自己都合退社よりも緊急性が高いと見なされ、失業保険については1週間の給付制限期間を経て支給されます。

会社都合退職は、履歴書に「会社都合により退職」と記載することになるので、懲戒解雇など理由によっては転職に不利になることがあります。
そのため、会社側から会社都合ではなく自己都合にて退職しないか、打診があることもあるでしょう。

3.その他定年退職など

その他、労働契約書であらかじめ期間の定められた有期契約よる場合や、就業規則に定められた年齢に達したことで退職となる定年退職の場合があります。

無期雇用での退職の場合、2週間の予告期間をおけばどのような事由であっても退職することができます。
しかし、有期雇用での退職の場合、基本的には契約期間を満了するまで退職することはできず、退職ができるのは「やむを得ない事由」がある場合のみです。

ただし、暫定的には、契約日から1年経過した後は、いつでも退職することができます。

有期雇用の場合、従来から退職金制度に含められていないという問題がありました。
しかし、同一労働合一賃金ルールの改正を受けて、正社員と同等の働きをしている契約社員には同等の対価が発生すべきとして、退職金についても平等に支給するよう改められてきています。

退職の理由ベスト5位

退職の中でも、企業の頭の痛い問題である「自己都合退社」。
せっかく労力と時間をかけて採用した社員が辞めてしまうことは、できるだけ防ぎたい問題です。
ここでは、平成30年厚生労働省の調査結果を基に、退職の原因について見てみましょう。
転職入職者が前職を辞めた理由について、「出向等を含むその他の理由」を除いて男女合算すると下記の結果となります。

1位 定年・契約期間の満了 29.5%
2位 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 27.1%
3位 給与等収入が少なかった 21.4%
4位 職場の人間関係が好ましくなかった 20.3%
5位 会社の将来が不安だった 12.3%

1位は定年・契約期間の満了。自己都合や会社都合ではなく、期間満了を理由に退職したものです。

2位以降は自己都合退社によるものとなります。労働時間などワークライフバランスがとれないために辞めた人数が多いことがわかります。社会状況の変化により在宅勤務が増え、人々の関心は「働きやすさ」へとさらに拍車がかかっていると言えるでしょう。
企業はいかに社員が働きやすい環境・制度を整えるかが、離職防止のカギとなります。

また、3位・4位はほぼ同じくらいの割合で、給与と職場の人間関係への不満です。
人のモチベーションと報酬は関連性が高いと言われています。
やはり給与は、働く人たちにとって大きな動機になるのでしょう。企業は業界の平均給与にも注意を払いながら、労働と対価が連動する評価制度を構築することが大切です。

働く動機について、「働く内容」よりも「一緒にその場で働く人達」に重きを置く人も少なくありません。パワハラ・セクハラなどの問題も未だ根強く、適切な距離感を持った人間関係の中で労働ができるよう、周知・啓蒙活動を行うことも重要でしょう。

優秀な社員の退職を防ぐ4つの対策方法

ここでは、優秀な社員の退職を防ぐ方法を、厳選して4つ紹介します。

ジョブ型の雇用システムへの変革

日本は従来から、終身雇用や年功序列を前提とした「メンバーシップ型」と呼ばれる固有の雇用システムを採用してきました。

しかし、デジタル時代と呼ばれる現代、ビジネス環境は変化し、より柔軟な組織を実現するには、現在の雇用システムはマッチしないと言われてきています。

また、人々の価値観が多様化している中で、「働くこと」についての価値観も変化。ジョブ(仕事)と報酬の関係性がはっきりとするジョブ型の雇用システムの要素を取り入れる動きが、大企業を中心に活発となっています。

ジョブ型の雇用システムにおいては、優秀な社員の仕事ぶりに対して評価を受けるため、実力がある人にとっては魅力的な制度でしょう。

公正公平な人事評価制度の再構築

公正公平な人事評価制度へと見直しを行うことも重要です。
従来からの雇用システムにおいては、人事評価制度は表面上であって、社歴や年齢で報酬が決まることがほとんどでした。

この仕組みを見直し、仕事の評価によって報酬が決まる仕組みを採用するためには、公正公平な人事制度の構築は必要不可欠です。
人事評価は単純に数字や成果だけでは測れない要素が多くあるため、難しい領域ではありますが、360度評価やコンテンピシー評価など新たな評価手法も登場してきています。

経験豊富な専門家の力も借りながら、自社ならではの人事評価制度を構築していってください。

福利厚生制度の拡充

社員に喜ばれる福利厚生制度を拡充することも、退職者を減らす取り組みのひとつ。
休暇制度や育児・介護の支援など福利厚生は、社員のワークライフバランスに直結するうれしい取り組みです。

福利厚生制度には法律で義務化されている法定福利厚生と、企業が独自に提供する福利厚生サービスである法定外福利厚生とがあります。
企業独自の福利厚生を、いかに工夫できるかがポイントとなるでしょう。

失恋休暇や、旅のための長期休暇、お昼寝スペースに、マッサージの提供など個性的な休暇制度を設けて、会社のブランディングに活用しているケースもあります。

目標管理制度の導入

目標管理制度を導入することも一手。
企業の目標と個人の目標とリンクさせ、自主的に目標を設定・管理することで、「やらされる感」のない、自発的な成果を生む手法です。

目標管理制度はノルマ管理制度であるとして、勘違いさた運用をされることがありますが、それは本来の目標管理制度ではありません。

社員と上司とがコミュニケーションを取りながら、個人の目標と組織の目標をリンクさせることで社員の「やりがい」を引き出し、働きやすさを向上させることを意図とします。

円満な退職手続きの5つの手順

退職を防ぐ対策や、職場環境を整えたとしても、一定数の退職者は避けられないもの。ここでは、自己都合退社の場合に必要な手続きについて紹介します。

1.退職の申し出

法律上は退職の2週間前までに退職の意向を伝えなければならないと定められています。ただ、引継ぎなどを考慮すると1~2ヵ月ほど前までに辞意を伝える、もしくは退職届を提出するのが一般的でしょう。

2.退職者への確認事項

会社側は手続きのため、退職者に下記の内容を確認します。
・離職理由
・健康保険の任意継続希望の有無
・住民税の徴収方法の確認

離職理由は、離職票発行のために離職証明書へ本人の署名入りで理由を確認しておく必要があります。退職後の健康保険の扱いは、「任意継続」「国民健康保険への加入」「家族の健康保険へ被扶養として加入」の3つの方法です。
住民税の徴収方法には、普通徴収、一括徴収、再就職先にて特別徴収継続の3通りから退職者が選択します。

3.各種書類発行の手続きと交付・回収

会社側は期日までに下記手続きを行います。
・健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届の年金事務所への提出(退職日の翌日から5日以内)
・雇用保険被保険者離職証明書と雇用保険被保険者資格喪失届のハローワークへの提出(退職日の翌日から10日以内)
・給与支払報告・特別徴収にかかる給与所得者異動届の税務課への提出(退職日の翌月の10日まで)

退職者へは以下の書類を交付します。
・離職票※失業給付金受給希望者
・退職証明書※退職後の健康保険加入希望者
・源泉徴収票(退職日から1ヵ月以内)

また、健康保険被保険者証については、会社側が社員から回収します。また、退職所得の受給に関する申告書を退職金がある場合は、支払われるまでに提出する必要があります。
年金手帳など会社が預かっている場合は、社員へ返却しましょう。

4.貸与品の回収

社員証や、社章、事務用品、パソコンなど備品、制服、名刺など会社から貸与されているものがあれば、社員は最終の出社日までに返却します。

職場の魅力的な取り組みで退職率を低減しよう

「退職」は、時間・労力をかけた社員が辞めてしまう会社にとっては避けたい場合が多いでしょう。

特に優秀な人材の自己都合退職は、業績に直結する問題であり積極的に対策していく必要があります。自社の制度について今一度振り返り、より魅力的な組織となるよう見直しを行っていきましょう。

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