ジョブ型正社員とは?普及率や導入効果、導入課題について解説

変化の激しい時代のニーズに合わせて、画期的な雇用形態である「ジョブ型正社員」に注目が集まっています。本記事では、企業の経営者や人事部のマネジメント層に向けて、ジョブ型正社員の導入効果や課題について解説します。 

ジョブ型正社員とは? 

ジョブ型正社員とは、「ジョブ型雇用」で採用した従業員のことです。ジョブ型雇用とは、職務内容を明確にしたうえでその道の専門職として採用する雇用形態です。長らく日本において主流であった「メンバーシップ型雇用」の対極に位置づけられます。

メンバーシップ型雇用とは、入社時に職種を限定せずに雇用するものです。新卒一括採用をはじめ、従来の日本の雇用はメンバーシップ雇用型が多く、背景には日本に根付いてきた「終身雇用制度」の考え方があります。

仕事内容や部署のローテーションを通じて適性を見極め、長期的に企業を支えていく人材を育てていくことに主眼が置かれており、企業への帰属意識が重視されてきました。

メンバーシップ型雇用が「会社基準」の雇用であるのに対し、「ジョブ型雇用」は仕事に人を合わせていく「仕事基準」の雇用です。

「その会社の一員として働く」ことではなく、「その仕事をする」ことに重きが置かれています。一例として、「ジョブ型雇用」によって「広報」という職種に就いたのであれば、それ以外の職種への異動を命じられることはありません。

混同されやすい「職種別採用」との違いについても解説しておきます。一部の企業で新卒一括採用において導入されている「職種別採用」とは、あらかじめ決められた職種の中から希望職種を選んで応募するものです。

ジョブ型雇用では、職務内容だけでなく、勤務地や労働時間などもすべて限定的にして契約を結びます。

ジョブ型正社員が注目される背景

ジョブ型正社員が注目されている背景には次の4つの理由があります。

1つ目は、戦後の高度成長期を支えてきた日本の「終身雇用制度」を見直す動きです。欧米ではジョブ型雇用が主流であり、特定の職種のプロフェッショナルが横断的に企業を渡り歩いてキャリアアップしていくのが一般的です。

日本の国際競争力は年々下落基調にあり、評価を下げている主要因のひとつが企業の生産性の低さです。日本も欧米のようなジョブ型雇用にシフトしていかなければ、激化するグローバル競争に勝ち残れないという強い危機感が生まれ始めています。

2つ目は、1990年代以降のいわゆる「氷河期世代」問題です。正社員の入り口が新卒一括採用に集中している日本では、不景気でそこから漏れた氷河期世代が一度も正社員になれぬまま中高年化し、採用構造の弱点が浮き彫りになりました。

いまだに非正規労働者から抜け出せないでいる彼らにある程度の安定した収入と雇用を保障する救済措置としてもジョブ型雇用は有用です。

3つ目は、専門職の人手不足です。AIやIoTなど、企業におけるデジタルトランスメーションが実行段階に来ている中、ITエンジニアなどの専門職の人手不足が深刻化しています。

業界問わずゼネラリストよりもスペシャリストへの需要が高まっており、従来の手法にこだわらず、優秀な人材をいかに確保していくかが採用の肝になっています。

最後の4つ目は、働き方の多様化です。少子高齢化によって労働人口の減少に歯止めがかからない中、多様な人材を多様な働き方で積極的に雇用する考え方が浸透しています。

個人のスキルを最大限に生かしつつ、勤務地や勤務時間を限定できるジョブ型雇用は、まさに今の時代にマッチする合理的な働き方だといえます。

ジョブ型正社員の普及率              

2016年の厚生労働省提出資料によると、調査対象(4,854社)のうち「働き方に係る何らかの限定区分を持つ」企業は全体の35.5%でした。

その中でのジョブ型正社員の普及率については企業規模によって差がみられ、企業規模が大きくなるほど割合も増す傾向にあります。具体的には、従業員数49人以下の企業では29.9%にとどまりますが、300~499人の規模になると37.7%にアップします。

さらに、500~999人の規模では47.7%と半数近くを占め、1000人以上を超える規模になると62.2%にまで増えており差が顕著です。

ジョブ型正社員を幅広く普及させていくためには、企業規模による差の解消だけでなく、運用面の見直しも重要です。

実際には職務や勤務地が限定されていても、就業規則や労働契約できちんと明文化されていないケースも散見されています。ジョブ型正社員が安心して働くためには、制度に加えて環境面も整備していく必要があるでしょう。

ジョブ型正社員の導入効果・メリット    

ジョブ型正社員の導入には、次の5つのメリットが期待できます。企業に期待できるメリットについて順番に説明していきます。

個人の能力を最大限に生かせる

ジョブ型であれば、社員は個人の能力・強みを最大限に生かして仕事に取り組めます。自分が希望しない仕事を割り振られることもないので職務に専念でき、生産性を上げられます。

各社員が得意分野で能力を最大限に発揮することは、組織全体で大きな成果を上げるための近道でもあるでしょう。

成果で評価できる

ジョブ型で雇用された正社員の給与は、仕事の難易度や成果に応じて決まります。つまり、年齢に関係なく、スキルが高く成果を出せる人が評価されます。

貢献を正当に評価されれば社員にも納得感が生まれ、仕事へのモチベーションが上がっていくでしょう。さらに高い評価を得るために、主体的に自己啓発に取り組む社員も増えるはずです。

欠員補充しやすい

ジョブ型の場合、優秀な専門知識を持った人材を必要なときに募集できます。職種や勤務地などの条件があらかじめ明確になっていれば求職者側としても応募しやすく、結果的にニーズを満たす人材に出会える可能性が高まります。

ただし、あまりに求める能力が高すぎるとマッチングは難しくなりますので、競合の中での自社の立ち位置なども考慮したうえでのレベル設定が肝心です。

社員のワークライフバランスが向上する

職種や勤務地、勤務時間などを限定する働き方を選べるようになれば、子育てや介護などの事情で仕事を辞めずに済む社員も増えるでしょう。

個人に任される仕事範囲の明確化は、長時間労働の是正や有給休暇の取得促進にも効果的です。また、住む場所を変えたくない人の希望も叶えられます。

人材の定着率が高まる

社員のワークライフバランス向上が実現できれば、結果的に人材の定着率も高まります。契約上、仕事内容も明確になっているので採用後のアンマッチも起きにくく、短期間で離職されてしまうリスクも軽減できるでしょう。

労働力不足が深刻化する昨今、優秀な人材の流出防止は企業にとって喫緊の課題です。

ジョブ型正社員導入の課題         

ジョブ型雇用は時代に合った合理的な方法に見えますが、導入にあたってはいくつかの課題も懸念されます。導入にあたっては、次の4つの課題への対処法を考えておく必要があります。

いわゆる正社員との格差

ジョブ型正社員として雇用された中には、組織内でのいわゆる総合職の正社員との間に、不合理な賃金差や昇進スピードの差を感じている人も少なくありません。自分たちだけに共有されていない情報が多いことに対する不満の声も上がっています。

ジョブ型正社員が総合職の正社員よりも格下の存在として扱われるのは望ましくなく、ジョブ型という特徴的な働き方を正当に評価できる人事制度の構築が求められます。

労働時間と業務量のアンマッチ

労働時間と業務量とのバランスにも気を付ける必要があります。実際に現場で起きている問題の一例に、短時間労働での契約に対して業務量が多い、締め切りまでに十分な余裕がない業務指示が多いなどがあります。

これはマネジメント上の課題です。ジョブ型正社員に負荷が集中していないかを可視化・管理していくマネジメント能力が問われます。

ジョブ型正社員の孤立

ジョブ型正社員の場合、自身に与えられた職務を遂行することが第一となります。場合によってはチーム内や部署内での協力意識が低いように見られ、周囲から孤立してしまう可能性も否定できません。

会社都合でほかの業務を手伝ってもらったり、残業したりしてもらえない働き方であることについては、職場の社員にも深く理解してもらう必要があります。

自社ノウハウの流出

ジョブ型では、数年単位でより条件の良い職場へと転職して、キャリアアップを図るのが一般的です。ジョブ型正社員の導入後では、人の入れ替わりが活発になることは避けられないでしょう。

人材と共に自社のノウハウも流出してしまう恐れもあります。優秀な人材の場合、ヘッドハンティングも想定されます。優秀な人材をできるだけ長期的に自社に留めておくためには、処遇面の改善や福利厚生の充実など、環境の整備も欠かせません。

ジョブ型正社員の導入に合わせて人事評価制度も見直そう

ジョブ型雇用の導入には課題もありますが、自社の即戦力として活躍してくれる人材を獲得しやすいという意味では非常に有用です。ジョブ型正社員に納得感を持って活躍してもらうためには、透明性が高い人事評価制度の導入が不可欠です。

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