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辞令とは?人事担当者なら絶対知っておきたい法的効力や交付方法

(画像=taa22/iStock)

毎年3月や7月は、移動などの「辞令」を交付する機会が多く、人事担当にとっては忙しい時期になります。

社員数や配置転換の多い会社では、当たり前のように行われる辞令の交付ですが、法律上の扱いについて知らない人も多いのではないでしょうか。

しかし、人事に関わる部署であれば、辞令について理解をしておくことは必要不可欠でしょう。

今回は、辞令に関する基礎知識や法的効力のほか、交付する方法や書式など人事担当者なら押さえておきたい情報について解説します。

辞令とは

辞令とは、企業の人事に関する発表を表示した書面を指します。

官職・役職などを任免する際に、その内容について記されている文書であり、任免の対象となる人物に直接渡されるものです。

辞令は特に法律で規定されたものではなく、自然に使われるようになったと考えられています。

ただ、日本国内だけではなく、ほかの国でも辞令の交付を行う習慣を持っている国や企業はあります。また、国内においては特に大企業で使用されることが多いです。

辞令の種類は人事に関わるものすべて

辞令は会社が従業員に対して交付する書類のことであり、人事に関するものはすべて辞令として取り扱われます。

新卒採用や中途採用時、昇進、降格、異動、勤務場所の変更、職種変更、退職、転籍など人事に関する内容が対象です。

例えば、人材を採用する際に交付する「採用辞令」には、採用日や業務内容、労働条件などが明記されています。

辞令に法的効力はない?

辞令そのものの交付は、法律で義務付けられているわけではないため、必ず用意しなければならない書類ではありません。

ただし、労働契約書を締結した時点で、会社は従業員に対して人事命令をする権利があり、従業員は命令に従う義務があります。

つまり、会社が従業員に辞令を出した場合は、その辞令には法的拘束力があるということです。

これは書面で示された辞令だけに限らず、口頭によって伝えられた場合でも同様になります。辞令を渡された場合は原則として、その命令に従わなければなりません。

辞令は必要ない?辞令の意義とは

辞令の書類自体は法律上必要ないということは、辞令は出さなくともよいのでしょうか?

法律上は必要ないですが、企業が従業員に辞令を出すことには重要な意義があります。

まず、書面化されることによって、証拠として機能する点があげられます。

会社側が発した人事命令に関して、トラブルが起こった場合、書面として残っていれば「どのような辞令だったのか」を証明することが可能です。

口頭で伝えた場合には、伝えた内容が曖昧になる可能性があるため、辞令を書面にする意義は充分にあります。

また、書類の交付は利便性が高いという面もあります。人事異動など、人事に関する通知は企業の規模が大きくなるほど煩雑です。

たくさんの従業員に通知をする場合、すべてを口頭で伝えるのは手間も時間もかかります。書面であれば一度に多くの従業員に、人事に関する通知を渡すことができます。

書面による通知は、確実に辞令を知らせるという確実性もあるため、企業で活用されているという面もあるでしょう。

他の効果として、書面によって辞令を通知することで、「辞令が下された」と社内に周知できる面もあります。

人事に関する通知は、従業員にとって大きな意味を持つものです。
重要なものだからこそ、書面化された辞令を使うことが最適なことが多いのでしょう。

辞令は断ることができる?

企業が従業員に辞令を渡した場合、それを断ることは基本的にはできません。
先ほども少し触れましたが、それは、企業と従業員が「労働契約」を結んでいるからです。

労働契約により、企業は給与を支払うことで、従業員から労働力を得ています。この契約の範囲内であれば、企業には従業員に対して、人事に関する命令をする権利があるのです。

もし企業に人事命令権がなければ、経営そのものが成り立ちません。

そのため、人事命令権を持つ企業が辞令を通じて人事命令を行う場合、その内容には法的効力があり、従業員側が根拠なく断ることはできないのです。

辞令の拒否が認められる2つのケース

辞令を通じて人事命令が行われた場合、それを受ける従業員には原則として断る権利はありません。ただし、例外となるケースもあります。

まず、企業側が法令に反する形で辞令を渡した場合、人事命令を拒否することが可能です。これは法律と照らし合わせることで、問題がハッキリします。

もう1つのケースは、「人事権の範囲を超えた命令」である場合です。

こちらのケースは明確な基準がないため、裁判所で結論を求めるしかありません。

ただし、「根拠に乏しい命令」や「通常甘受すべき不利益を超える命令」については、拒否できる可能性があります。

しかし、これらの場合も「根拠」「通常甘受すべき不利益」といった基準自体が、企業の状況や社会情勢、社会通念によって変わるものです。

そのため、辞令を拒否できるかを最終的に決めるには、裁判が必要になるでしょう。

仮に、企業側の辞令に法的な問題がないにもかかわらず、従業員が拒否する場合には解雇になる可能性もあります。

解雇となれば、大きなトラブルに発展するリスクがあるため、何らかの落としどころを見つけるために両者で話し合いを重ねるべきでしょう。

辞令の交付方法

辞令の形式や交付方法については企業側の自由です。

例えば、書類による工事や給与明細書への記入、メールでの通知といった形で辞令を発する企業もあります。

個別に辞令書を従業員に渡すという方法でも問題ありません。

ただし、現実的には利便性・確実性などの面から、交付方法を定める必要があります。

証拠能力を持たせるために書面にしたり、社内に周知するために掲示を行ったりするなど、目的に合わせて交付方法を選択するのがよいでしょう。

辞令を受け取る従業員側からすれば、「会社からの指示」として受け止められるため、就業規則などの社内ルールに沿った形で交付しなければなりません。

辞令のなかには懲戒処分といったものもあるため、厳正なルールに従って作成することが大切でしょう。

内示があるケースが一般的

人事命令を出す場合、いきなり辞令で通知するというケースは多くありません。

一般的には、まず口頭や個別書類で内示を出してから、公示する流れになります。

内示は辞令とは異なり、限られた人にしか伝えられず、その内容を周りに漏らしてはいけないものです。

内示は辞令のための準備期間とされており、手続きや引き継ぎなどの準備を進めることになります。

辞令の書き方

辞令には決まった書式はありませんが、人事にまつわる書類であるため、必要事項を漏れなく内容に盛り込んでおく必要があります。

辞令を交付する側と受け取る側が必ず生じるため、正確に内容を伝えることが大切だといえます。

一般的には会社の代表者名で交付されるものであり、後から認識にズレが生まれてしまわないように、日付や伝達事項を明示しましょう。

使用する文言については、できるだけシンプルな表現を用います。

「〇〇を任じる」「〇〇を命ず」といったように、異動となる役職や業務内容を端的に伝えましょう。

また、現在の役職と兼任させるわけではない場合には、「受令者の現在の任を解き、新たに〇〇に任ずる」といった文言を付け加えることが大事です。

そして、期間・場所・給与に関することは、就業規則や雇用契約書の内容と照らし合わせて問題がないかを確認することも重要でしょう。

また、辞令の交付は労務の基本的な部分に触れるものであるため、交付前によくチェックしておきます。

辞令としては最低限の伝達事項を明記すれば問題ありませんが、従業員のモチベーションを高める意味で励ましの言葉などを添えることもあります。

その場合は、「一層の精進を期待します」や「貴殿の活躍を切望します」のような表現を用いましょう。

辞令はやはり必須!従業員との万一のトラブルに備える

人事に関する通知は、企業においては決してめずらしいものではありません。
そのため、従業員に向けてどのように伝えるかは、とても重要です。

辞令は人事命令を伝える主な手段であり、よく使われる方法でもあります。
辞令には必ずしも法的効力はありませんが、確実性や利便性から利用する方がおすすめです。

書式のテンプレートもあるため、それらを上手に活用して、確実に人事命令が伝わるようにしましょう。

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