ジレンマの意味とは?ビジネスで起こるジレンマや解消した企業の事例を解説

よく耳にする言葉ではあるが、正しい意味を理解していない言葉の一つとして、「ジレンマ」があります。日常生活でもビジネスの現場でも、なんとなくは伝わるものの、正確な意味はわからずに使ってしまっている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、そもそもジレンマとはどのような意味を持っているのか、代表的なジレンマの例を見つつ、ジレンマの解消につながるポイントを解説します。

ジレンマの意味

ジレンマとは2つの選択肢で、どちらか一方を選択すればもう一方がマイナスの結果になってしまう状態を示すものです。元々は、「2つの仮定」という意味を持つギリシア語が語源ですが、現在では、2つの選択肢のどちらも選べない状態を示す言葉として定着しています。

具体的な例をいくつか見てみましょう。

  • 「A:仕事を優先して出世を目指す」と「B:プライベートを優先して充実した生活を送る」
  • 「A:収入を優先して仕事を増やす」と「B:健康を優先して睡眠時間を増やす」

など、Aを優先すれば、出世や収入増が見込めるが、プライベートや健康は犠牲にしなければならない。逆にBを優先すれば、出世や収入増は諦めなければならないといった状態です。

また、自分自身のなかでのことだけではなく、他人が介在することで生まれるジレンマもあります。

  • 「A:自分は新製品の開発にも携わったため、こだわりがあり販売に力を入れたい」と「B:上司からの命令で新商品よりも既存商品を売るように指示された」

この場合、自分はAを選択したいと願うものの、上司からはBを指示された際、どちらを選択すべきかで思い悩むのも、ジレンマといえます。

なお、ジレンマの反対語は、思い悩む状態から解放されたという意味を持つ「カタルシス」です。

ジレンマに似た意味の言葉との違い

ジレンマに似た言葉としては、「葛藤」「板挟み」「窮地」などがあります。それぞれの違いは次のとおりです。

葛藤との違い

葛藤とは、2つもしくはそれ以上の間でのバランスが悪くなり、緊張が生じている状態を指します。たとえば、2つの選択肢のなかでジレンマが生じ、思い悩む状態が葛藤です。

板挟みとの違い

ジレンマが自分のなかで2つの選択肢のどちらも選べない状態になっていることを指すものなのに対し、板挟みは、2つのものに挟まれ身動きが取れない状態です。「AとBの異なる予定が同時に入る」「母の言い分と嫁の言い分の間に入る」といった状況を指します。

窮地

窮地とは、苦しい立場に追い込まれた状況であり、ジレンマのように2つの選択肢がない。場合によっては何も選択できない状態の場合もあります。

ジレンマの表現方法と例文

ジレンマについてさらに詳しく解説していきます。まずはジレンマを表現する6つの方法、使い方や例文を見てみましょう。

ジレンマの表現方法6つ

  • 1.ジレンマに陥る

「陥る」とは落ちてなかに入り込むといった意味を持ちます。つまり、2つの選択肢のどちらも選べず、抜け出せなくなった状態です。

  • 2.ジレンマがある

現在進行形で何かしらのジレンマがある状態を指します。

  • 3.ジレンマに悩む

ジレンマに陥り、どちらを選択すべきかで思い悩む、つまり葛藤している状態です。

  • 4.ジレンマを抱える

現在進行形で何かしらのジレンマがありなおかつ常にそのジレンマがあることで生活や心に重荷を抱えている状態を指します。

  • 5.ジレンマを解消する

2つの選択肢から1つを選択し、選択しなかった方のマイナス面も問題なく解決した状態です。

  • 6.ジレンマと戦う

ジレンマに陥ってしまった状態から何とか抜け出そうともがき苦しんでいる状態を指します。

ジレンマの使い方例文

上述したジレンマの表現方法を基にした例文をいくつか紹介します。

  • 内定通知を受けた会社のなかで、自身のやりたい仕事を選択するか、給料のよい仕事を選択するかで決められずジレンマに陥っている。
  • たばこをやめるか、吸い続けるかのジレンマは常に自分のなかにある。
  • 上司の指示を守るか部下の意思を尊重するかのジレンマに思い悩んでいる。
  • 運送費の高騰により送料の値上げをしたいが、値上げをすると売上が落ちるのではといったジレンマを抱えながら商売を続けている。
  • 栄養をしっかりと取りながら痩せたいといったジレンマを解消する商品の開発に成功した。
  • ジレンマと戦い続けて消耗するより、少しマイナスになっても将来的に自分の成長につながる方を選択するべきだ。

有名なジレンマの例

次に、具体的にジレンマを理解するうえで欠かせない有名なジレンマの例を解説します。

囚人のジレンマ

囚人のジレンマとは、社会的ジレンマやゲーム理論とも呼ばれるジレンマです。2人の容疑者が別々の部屋で警察から取り調べを受けるという設定で、警察官はそれぞれの容疑者に次のような提案を行います。

  • A案:あなたが自白して共犯者が黙秘をした場合、あなたの罪を共犯者が被り、あなたは釈放されます。
  • B案:あなたも共犯者も黙秘した場合、2人とも本来より短い刑期で釈放されます。
  • C案:あなたも共犯者も自白した場合、刑期は本来のまま変わりません。

仮に本来の刑期が5年。短い刑期を3年にした場合、A案を選択すれば、自分は刑期はなしで共犯者の刑期が10年になります。B案を選択すれば、自分も共犯者も刑期は3年になります。そして、C案を選択すれば、2人とも刑期は5年です。

この場合、自白をすれば刑期はなしか5年、黙秘をした場合は、3年か10年の刑期が課されます。自分と共犯者の2人ともが刑期なしになる可能性はないため、2人とも黙秘をして3年で釈放されるのが2人にとって最適な選択です。しかし、自白をすれば場合によって刑期がなくなる可能性もあるとなれば、黙秘をしなくなる可能性があります。

つまり互いに協力をし合えば本来よりも短い刑期で釈放されるのに、それよりも魅力的な選択肢(刑期なし)があると互いに協力をしづらくなる状態が囚人のジレンマです。

ヤマアラシのジレンマ

ヤマアラシのジレンマとは、ドイツの哲学者であり思想家でもあるアルトゥル・ショーペンハウアー氏の寓話が基になったものです。ヤマアラシとは体中にトゲのある動物で、寒さで互いに体を合わせて寄り添うと自身のトゲによりケガをしてしまいます。

人間関係においても、親子や恋人、友だちなど互いに近づきたいが近づき過ぎると互いを傷つけてしまう、そのため近づいては離れを繰り返す状態がヤマアラシのジレンマです。

たとえば、互いに好意を持っているにもかかわらず、近づき過ぎて嫌われるのが怖くて友だちの関係から発展しない。仲間と協力し合って問題解決をしたいが、大勢で集まると気を使ってしまい思ったように動けないので離れて1人で問題にあたるなどが挙げられます。

安全保障のジレンマ

安全保障のジレンマとは、国家間での軍備増強や同盟国との安全保障条約に係るものです。具体的には、ある国が自衛を目的に軍備を増強する、周辺国家との同盟強化を行うなどにより敵対する国との緊張関係を高めてしまう状態を指します。

敵対国家との緊張関係を緩和させるには、軍備増強や同盟強化を止めればよいと考えるかもしれません。しかし、自衛を止めてしまえば、敵対国家から侵略されるリスクが高まります。この自衛と敵対国家との緊張関係が安全保障のジレンマです。

ビジネスの現場で起こるジレンマ

ここまで代表的なジレンマの事例を紹介してきましたが、ビジネスの現場においてもさまざまなジレンマが存在します。

社員教育のジレンマ

社員教育は企業にとって欠かせないものの一つですが、特に中小企業にとっては社員教育の重要性はわかりつつも、手間やコストがかかる点は大きなジレンマといえます。

業種や企業にもよりますが、大企業に比べると優秀な社員を採用することが難しい中小企業では、いかに社員教育で戦力として育成するかが重要な課題です。

しかし、本格的な社員教育を行うには、現場社員が講師になるもしくは外部から講師を招聘しなくてはなりません。自社の社員であれば人手不足になるリスクがあり、外部から招聘する場合はコストがかかります。それでも教育は必要なため、どちらを選択すべきかというジレンマに悩む人事担当者が多くいるのです。

昇進のジレンマ

昇進のジレンマとは、出世させる人材の選択方法にあります。大きな成果を上げる社員は、失敗してしまう可能性も高く、結果として企業の利益に貢献できないケースも少なくありません。そのため、大きな成果は上げていなくても、失敗を犯さず何事もソツなくこなす社員を昇進させることになります。

しかし、失敗経験がない社員は部下の失敗にも寛容になれません。小さなミスも厳しく指摘することから、部下は難しい仕事にチャレンジするよりも確実な仕事だけをこなすようになってしまう可能性が高まります。

もちろん、失敗をしない社員よりも失敗をしてしまう可能性の高い社員を昇進させるのは、企業にとって大きな賭けです。ただ、失敗をしない上司のもとでは、新製品の開発や新規事業の創出は難しいでしょう。

自社を発展させていきたい場合、どちらの社員を昇進させるかの選択に悩む状態は昇進のジレンマといえます。

女性活躍のジレンマ

ひと昔前であれば、多くの女性は結婚や出産などをきっかけに退職するケースが珍しくはありませんでした。現在、結婚や出産をしても共働きで退職をしない女性の割合は増えつつあります。しかし、男性に比べ女性はすぐに退職するといった古いイメージを持つ企業がいまだに存在することも否めません。

現場では女性に定着して働いてもらいたいと思っていても、経営層が古い体質で女性が活躍できる機会を与えてくれない。逆に経営層は女性に活躍して欲しいために職場環境の整備を進めるが、現場の上司が男性ばかりを優遇するケースもあります。

男性、女性問わず活躍の場を与えたいと思っていても、一部の古い体質が抜けきらず女性が継続して働きづらい雰囲気となっている状況は、女性活躍のジレンマといえます。

イノベーションのジレンマ

規模の大きな企業に起こりがちなジレンマです。大企業は、新しいものを始めるまでに何人もの承認や決済が必要になり、スピード感に欠けてしまう傾向があります。これに対し、スタートアップ企業やベンチャー企業はまだ人数も少ないため、新たなことへチャレンジする際の迅速に動き出すことが可能です。

その結果、時には予算や人数ではまったくかなわないベンチャー企業が大企業に先手を打てるケースも珍しくありません。予算や新規事業に割ける人数も圧倒的に勝る大企業ゆえにイノベーションを起こすことが困難になるというのが、イノベーションのジレンマです。

経費削減のジレンマ

企業を継続させるには、常に利益を上げ続ける必要があります。そのため、長期的な視点での経営が重要です。しかし、目先の赤字を怖がってしまい本来であれば、必要な経費までを削減するケースがあります。

たとえば、オフィスを賃料の安い場所へ移転する、パートの給与を削るために解雇するなどは、一瞬は利益になっても長期的にはマイナスになるケースがほとんどです。業績が好転し人材が増えれば、また新たに広いオフィスへ移転しなければなりません。現在の給与よりも高い給与でないと新たにパートを雇えない場合もありえます。

利益を上げるための経費節減が、長期的に見るとかえって経費がかさんでしまう状況になることが、経費節減のジレンマです。

ジレンマを解消した企業の事例

ここでは、ジレンマを解消し売上向上、新製品の開発を実現したサントリーとニンテンドーの事例を紹介します。

囚人のジレンマを活用したサントリー

サントリーはビール業界大手4社のなかで4位という状況でした。そのなかで、原材料や輸送費の高騰で各社がビールの値上げを決めたところ、サントリーだけが囚人のジレンマを活用し、価格据え置きを決断。価格の安いサントリーの需要が伸び売上を大幅に上げ、4位から3位へと浮上しました。

イノベーションのジレンマを突破したニンテンドー

ハード機の売上減少やスマホゲームの台頭により苦戦を強いられたニンテンドーは、新たな活路を探すも大企業ゆえのイノベーションのジレンマに悩まされていました。

しかし、USJとの提携によるキャラクタービジネスの展開や、スマホゲームに対抗しいつでもどこでも楽しめるハード機、ニンテンドースイッチの発売を機に巻き返しを実現。時代の変化やユーザーニーズの変化を取り込み、イノベーションのジレンマを突破して売上大幅アップを叶えました。

自社が抱えるジレンマを把握し改善しよう

ジレンマとは2つの選択肢から、どちらか一方を選択すればもう一方がマイナスの結果になってしまう状態を示すものです。ビジネスの現場においても、社員教育、昇進、女性活躍、イノベーション、経費節減などさまざまな場面でジレンマに悩まされているのではないでしょうか。

ジレンマを解消するには、実際に解消した企業事例を見ることも重要です。しかしそれ以上にジレンマの意味を正しく理解し、自社にどのようなジレンマがあるかの把握が欠かせません。そのうえで、似たようなジレンマを抱える企業の解消事例を探すことをおすすめします。

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